いまジャーナリストとして

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橋下知事のトライ・・・大阪は大阪都になるべきです。東京都はただの「ひがし」「きょうと」なのですから。

2011年10月23日 01時39分40秒 | 日記

 大阪の橋下知事が、今月末で知事を辞職し、大阪市長選に出るこ
とを決めました。
 この人の、君が代を強制する態度だけは許せません。
 
 しかし、大阪市を中心にして「大阪都」を作りたいという構想に
は賛成します。
 
 神戸市に勤務する友人がいます。
 彼の話を聞いていると、県の仕事が、よく分かりません。
 兵庫県は、もちろん、神戸市のことは神戸市に任せます。
 すると兵庫県の仕事は、神戸を除く兵庫県内です。神戸といえば
兵庫を代表する市です。兵庫県の仕事をするときに、神戸抜きとい
うのは、民間企業ではちょっと考えられないでしょう。

 これが、大阪府では、さらに問題になります。
 大阪府知事は、大阪市を除く大阪府の仕事をします。
 大阪府で、大阪市を除いてしまうと、かなり仕事のウエイトは小
さくなります。

 これは、東京都に引きつけてみると、よく分かります。
 東京都は、東京23区を市にしていないので、東京都知事は、2
3区を直接担当します。もちろん、23区以外の東京も守備範囲で
す。
 ちょっと考えてみてください。
 もし、23区が独立した市、たとえば東京市で、東京都知事がそ
の東京市を担当しないとすれば、東京都知事という仕事は、えらく
影の薄いものになります。

 公務員の数もそうです。
 もし、東京市というものがあれば、東京市の公務員が大勢います。
 そして、それとは別に、東京都の公務員がまたいるわけです。
 いまは、東京市がなく、東京都が23区を直接担当するから、東
京の公務員は、それだけ少なくすんでいるわけです。

 そこで大阪です。
 大阪は、東京と並び、日本を代表する地域です。
 それなら、東京と同じように、知事が、大阪市を直接担当しても
全然おかしくありません。

 現状は、大阪市には、大阪市の公務員と大阪府の公務員が両方い
て、公務員の数が多くなっています。
 大阪市を廃止し、大阪府知事が大阪市も直接担当するようにすれ
ば、大阪市の公務員は不要になります。
それだけ、税金が少なくてすむのです。

 東京、大阪だけではなく、
 神奈川と横浜、
 愛知と名古屋
 福岡県と福岡市
 京都府と京都市
 兵庫県と神戸市

 の6つのエリアでは、同じように知事が市も担当するということ
にすれば、行政が効率的になるのではないでしょうか。

 東京は、ちゃんとそうなっているのですから、ほかのエリアも、
同じように、そうすればいいのです。

 ちなみに、東京都 の名称です。
 「とうきょうと」という言い方が定着しているので、私たちは、
つい「東京」の「都」と考えてしまいます。

 しかし、東京都は、明らかに、「東」の「京都」です。
 明治維新で明治政府ができました。
 京都にいた天皇が、無血開城した江戸城に入ったので、「都」は
京都から江戸に移りました。
 このときは、まだ「江戸」です。

 さて、名前をどうするか。
 もともと、天皇がいた場所は、「京都」です。
 そうです、「京」の「都」ーー「きょう」の「みやこ」です。
それが、東の江戸に移りました。
 そこで、江戸を、「東」の「京都」としたのです。
 
 東京都というのは、
 「東京」「都」
 ではなく、
 「東」「京都」
 なのです。

 あくまで、本来のオリジナルな都は、「京都」です。
 「東」「京都」と、わざわざ「東」がつくのは、オリジナルでは
ないことを表します。
そう思われると困るので、明治政府は
 「ひがしきょうと」ではなく、
 「とうきょうと」
 と読むことにしたのでしょう。

 京都の人たち、たとえば、京都に本社のある日本電産の永守社長
は、いまでも、東京のことを
 「あれは、ひがしきょうとや」
 と言ってはばかりません。


 京都の人たちは、いまでも、
 「天皇さんは、東京にお貸ししてある」
 などと思っていたりします。

 明治政府は、さらに、えげつないことをしました。
 江戸を、東京都「とうきょうと」としたから、京都が「きょう
と」のままでは、なんだか、東京のほうが格下のようになります。
 そこで、京都に、わざわざ、「府」というわけのわからない名称
を付け、「京都府」にしてしまったのです。
 京都というのは、「京の都」ですから、本来、それで完結した呼
び名です。そこにあえて「府」をつけると、「京の都の府」となっ
てしまって、ほとんど意味がありません。

 東京の明治政府は、よほど、西が怖かったのでしょう。
 京都だけではなく、秀吉ゆかりの大阪にまで「府」をつけ、大阪
府としました。
 すなわち、
 東の「東京都」が、日本の都(みやこ)、
 西の「大阪府」「京都府」は、ただの府(ふ)という位置づけに
してしまったのです。

さて、そこで、橋下知事です。
 彼の主張する「大阪都」は、大阪は「東京都」に並ぶ存在やでー
ーということを主張することにもなるのです。

 ではもし、京都でも、同じ動きが起きたら?
 それは、「京都府」にまた「都」をつけるわけにはいかないでし
ょう。そんなことをしたら、「京都府都」になってしまいます。
 京都で、同じ動きが起きたら、そのときこそ、
 「京都府」も「京都市」も消え、
 突然、
 「京都」が復活するのです。
 そうです。
 「京の都」の復活です。

 そのとき、東京都は、「ひがし」「きょうと」に転落してしまい
ます。

 京都には、京都御所があります。
 これは、明治維新まで、何百年もの間、天皇家のすまいでした。
 「京都府」が「京都」になったとき、天皇家は、京都に戻るとい
うオプションもあるかもしれません。

 橋下知事のトライは、彼がどこまで意識しているのかは知りませ
んが、本来、実は、そこまでの長い射程のある話なのです。
 橋下氏には、ちょっとがんばってもらいたいと思います。


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2 コメント

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東京都の誕生は1943年 (通りすがり)
2011-11-06 08:18:50
通りすがりで失礼します。

東京都が誕生したのは明治ではなく、第二次世界大戦中の1943年です。東京府と東京市が合併して誕生しました。1943年以前は現在の大阪府・大阪市と同じような状況でした。
返信する
ありがとうございます。 (筆者)
2011-11-08 11:19:40
 通りすがりさん。
 貴重な指摘をありがとうございます。
 こういう指摘には、感謝いたします。
 折を見て、修正しておきます。
 引き続き、ご愛読ください。
返信する

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