いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

自民党より自民党的な民主党・・・民主党は永遠の野党でいたほうがよかったかもしれません。

2012年07月16日 21時59分32秒 | 日記

 野田首相は、首相になってから、どんどん保守化してき
ました。
 とても、民主党の首相とは思えません。
 自民党以上に自民党的な首相になってしまいました。

 いまの野田首相を見ていると、もしかして、民主党は、
永遠の野党でいたほうが、日本のためにはよかったのでは
ないかと思えてきました。
 政権交代しないほうがよかったのではないかとさえ、思
います。

 民主党が政権与党になり、自民党的な政策を採り始めた
ため、「NO」を言う政党がいなくなってしまうのです。
 もちろん、社民党や共産党のように、いまでも「NO」
という政党はありますが、小さな勢力です。
 「NO」を言う大きな勢力が、いまの日本から、消えて
しまったのです。
 これは、怖いことです。

 いま、毎週金曜日に、首相官邸の周辺で、原発反対の大
きなデモが続いています。
 普通の市民が呼びかけて始まったデモで、こういうデモ
は、日本では初めてでしょう。画期的なデモです。
 
その感想を聞かれた野田首相が、「大きな音ですね」と
答えたというので、問題になりました。「音」とは失礼じ
ゃないかーーというわけです。
 野田首相は「音といったわけじゃない」と釈明していま
した。
 いずれにしても、野田首相が、このデモに関心を持って
いないということを、示してしまったと思います。

 しかし、ちょっと、考えてみてください。

 もし政権にいるのがいまも自民党で、民主党が野党だっ
たとしたら?ーーと。

 もし、民主党がいまも野党だったら、野田さん(野党な
ら首相ではありません)は民主党の党首として、このデモ
に参加していたのではないでしょうか?

 民主党は、いくつかの勢力が集まってできた政党ですが、
ひとつの大きな勢力は、市民運動の流れでした。菅直人・
前首相が、その代表的な人物です。
 今回のデモのような運動は、本来、民主党が担ってきた
運動だったはずです。
 いまも自民党政権が続いていたとしたら、野田さん、菅
さん率いる民主党は、こぞってこのデモに参加し、「反原
発」を訴えていたのではないかと思います。

 ところが、いまや、民主党は政権の座にあり、大飯原発
の再稼働を決めました。
 とても、「反原発」ではありません。
 野田首相の言動を見ていると、原発推進に近いでしょう。

 一方の自民党は、もともと、原発を推進してきました。
 
 そうなると、大きな政党で、今回のデモを支援する政党
がなくなってしまいます。

 冷静に考えると、こんな怖いことはありません。
 
 社会党が野党として健在だったころは、「反政府」を掲
げる人たちには、味方として社会党が存在していました。
 ところが、いま、首相官邸でデモをする人たちにとって、
味方となるような政党が存在しないのです。
 
 こんなことは、戦後の政治史で、初めてのことではない
でしょうか。

 沖縄に配備されようとしているオスプレイのこともそう
です。

 オスプレイの事故の動画を見ていると、どうにも、危な
い飛行機に思えます。左右の翼に着いているプロペラが、
シンクロしない。事故の動画を見る限り、左右のプロペラ
がうまく同調できず、どちらかのプロペラが異常回転する。
その結果、どちらかの翼だけが浮き上がってしまい、機体
そのものが傾いて墜落しているように見えます。
 そうだとすれば、これは技術的な欠陥でしょう。

 これが沖縄に配備されたら、沖縄の人は、不安だろうと
思います。
 いつ落ちるか分からないというのは、不安ですよ。

 ところが、野田首相の民主党は、アメリカに配備の中止
あるいは延期を求めることなく、米軍の計画通り、オスプ
レイの配備を進めようとしています。

 自民党は、もともと、米軍に反対するわけがありません
ので、結局のところ、民主党も自民党も、つまり、最大与党
と最大野党が、そろって、オスプレイの配備に賛成という
ことになってしまいます。
 現実にそうなっています。

 もし、かつての社会党がいまも最大野党だったら、社会
党は、大きな声でオスプレイの配備に反対したでしょう。
 社会党は、もともと、日米安保に反対していたのですか
ら、オスプレイの配備に賛成するはずがありません。

 そうであれば、オスプレイの配備に反対する沖縄の人た
ちにとって、社会党は、強力な味方だったのです。
 
 民主党は、社会党の流れも引き継いでいます。血筋から
いえば福島瑞穂さんの社民党のほうが純粋な社会党に近い
のですが、しかし、民主党には社会党出身の議員がたくさ
んいます。
 民主党は、市民運動と社会党の流れをくむのです。

 もし、いまも自民党政府が続いていて、民主党が最大野
党だったら、民主党は、当然のごとく、オスプレイの配備
には反対していたでしょう。

 ところが、民主党はいまや政権の座に着き、野田首相は、
どんどん保守化して、米軍の計画通り、オスプレイの配備
を進めようとしている。
 アメリカにはNOといわない。

 もちろん、自民党は、アメリカにNOというわけがない。

 そうなると、大きな政党で、オスプレイに反対する政党
は、どこにも存在しなくなってしまいます。
 そして、実際に、そうなっています。

 では、沖縄の人たちは、いったい、どの政党を味方とし
て頼めばいいのでしょう。
 二大政党である民主党と自民党は、頼むに足らずという
政党になってしまいました。

 いま、自民党が政権を担当していたら、最大野党の民主
党は、オスプレイの配備に猛烈に反対し、沖縄の反対運動
と協力して、かなり大規模な反対運動を起こすことが可能
でしょう。もしかすると、国民的な反対運動になるのでは
ないでしょうか。
 自民党政権は、相当な危機感に見舞われる。
  
 これはいけないというので、自民党政権は、アメリカに
たいし、オスプレイの配備の延期を求めるかもしれません。
 その可能性が高いのではないでしょうか。

 まことに皮肉なもので、自民党政権だったほうが、オス
プレイの配備に慎重だったかもしれない。
 ところが、民主党は政権の座に着いたため、自民党なら
躊躇したと思われるオスプレイの配備を進めようとしてい
るわけです。

 沖縄の人たちの政治不信は、いったい、どれほど強くなって
しまうのでしょう。

          ****

 民主党は、野党のままなら、「反原発」を掲げていたで
しょうし、オスプレイの配備にも反対したでしょう。

 ところが、なまじ政権の座に着いたがために、「反原発」
を捨て、同時に、沖縄より米軍の側に立ってしまいました。

 その結果、反原発、反オスプレイを言う大きな政党は、
どこにも存在しなくなってしまいました。

 これは、かなり危険な状況です。
 相当危ない。

 民主党は、野党のままでいたほうがよかった。
 野田首相の無表情な顔を見ながら、つくづく、そう思い
ます。
 こういう言葉はつかいたくないのですが、
 野田首相は、恥を知るべきでしょう。
 
 このままでは、日本は危ない。
 ・・・それが杞憂に終わればいいのですが。




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