いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

自民党はなぜ圧勝したか・・・野党も朝日新聞もモリカケで首相を攻撃しましたが、「モリカケはもういいよ」というのが有権者の素朴な感情です。

2017年10月24日 01時46分12秒 | 日記

衆議院選挙は、22日の日曜日に投開票が行われ、自民党の圧勝
で終わりました。
 安倍首相をあれほど攻撃していた民進党、共産党、それに、朝日
新聞の誤算はどこにあったのでしょうか。

 ひとつは、モリカケ問題です。
 森友学園と加計学園で、安倍首相の意向によって、有利な決定が
なされたというものです。
とくに朝日新聞は、このモリカケ問題で、安倍内閣を倒したいと
いう意気込みに燃えていたようです。

 しかし、国民、有権者は、モリカケ問題に冷めていました。
 私の周囲の友人、知人を見ていると、テレビのニュース番組とい
うか、ニュース・バラエティ番組というか、ニュースともバラエテ
ィとも分からない番組で、モリカケ問題が始まると、「またモリカ
ケか」「いつまでモリカケやっているんだろう」という声が圧倒的
に多かったのです。
 「もう、いいよ」という声です。

 テレビでモリカケを取り上げれば取り上げるほど、「もう、いい
よ」という感じになる。
 朝日新聞がモリカケを書いても、読者は、モリカケの記事を素通
りしていく。モリカケを読まないのです。

 どうしてそうなるか。
 いくつか理由があります。
 
 ひとつは、森友学園の問題も、加計学園の問題も、テレビや新聞
で取り上げれば取り上げるほど、報じる内容が、微に入り細に入り
という感じになってきて、何を言っているのか、分からなくなって
くるのです。
 小説でよくあるように、登場人物の一覧と、事件の概要を、付録
としてつけないと、分からない。
 朝日新聞は、連日、こんな問題が分かった、こういう事実があっ
た、こんな証言があった、と書くのですが、なにしろ、話が細かい。
前回の記事を読んでおかなければ、今回の記事の意味が分からない。
だから、書けば書くほど、読者は、「もう、いいよ」という感じに
なります。

 民進党や共産党も、朝日と連携するかのように安倍首相を責め立
てるのですが、テレビで見ている視聴者にしてみると、ずっと聞い
ていないと、いま何が問題なのか分からない。なにしろ、細かい点
を問題にするのです。

 二つ目は、誤解を恐れずにいえば、そもそも、モリカケが、国会
で連日議論するような問題なのか、ということです。
 野党や朝日は、安倍首相が森友や加計に、便宜を図ったと批判す
るわけです。
 しかし、これも誤解を恐れずにいえば、便宜を図っても、犯罪で
はないということです。そこに現金のやりとりがあれば、これは、
汚職になります。ロッキード事件の田中角栄首相が、そうでした。
次の航空機を選定する際、田中首相がロッキードに有利になるよう
働きかけ、その見返りに、億という現金をもらった。これは汚職で
す。
 しかし、モリカケ問題では、朝日や民進党がどんなに調べても、
安倍首相との現金のやりとりというものは、出てこなかったわけで
す。それどころか、森友学園では、安倍昭恵夫人が逆にお祝いとし
て100万円をあげたという話まで、取りざたされました。現金を
もらったのではなく、あげたというのですから、本当だとしても、
これは犯罪にはなりません。
テレビのあるバラエティ番組がモリカケ問題を取り上げていたと
き、司会者が「だけどさ、便宜を図るというけれど、知り合いに便
宜を図ってやって、何が問題なの?」と話して、スタジオが凍り付
いたことがありました。たぶん、事前に打ち合わせた進行の手順と
はまったく違うことを、司会者が言ったのでしょう。司会者が「何
が問題なの?」と言ってしまえば、そこで番組は終わってしまいま
す。でも、あえていえば、この司会者の感覚は、間違っていないと
思います。

 話をまとめると、こうなります。もし、ロッキード事件のような
とんでもない汚職事件であれば、新聞の読者は新聞を克明に読むで
しょうし、テレビの視聴者も「もう、いいよ」とは言わないでしょ
う。
 いかんせん、モリカケ問題は、ロッキード事件と比べようもない
話なのです。そういう話に、新聞の読者も、テレビの視聴者も、つ
まり、私たち国民は、関心を示さないのです。
 そのモリカケで内閣を倒そうというのが、そもそも、無理筋です。
 選挙の争点にするのも、無理というものです。
民進党や共産党、朝日新聞がしゃかりきになったほどには、国民
は、関心を示さなかったということです。

 しかし、ひとつ、重要な問題があります。
 安倍首相の対応です。
 モリカケ問題で、安倍首相の対応は、実にまずかった。
 木で鼻をくくるとはこういうことかと、その見本になるほど、そ
っけない対応を続けました。
 安倍首相という人は、何にしても、素っ気ない人です。
 選挙で圧勝し、23日の月曜日、官邸で記者団に対応していまし
たが、「おごらず謙虚に政策を実行していきます」というようなこ
とを短く話したと思ったら、くるりと背中を向けて、去っていきま
した。もしかすると、安部さんという人は、これがかっこいいと考
えているのかしらん?と思ってしまいます。
 言うことを言って、もうそれだけで背中を向ける。
 この素っ気なさは、ちょっと、ないでしょう。

 選挙前の各紙の世論調査で、安倍首相の支持率は、落ちていまし
た。不支持のほうが、支持より多いぐらいでした。
 で、不支持の理由で、「安倍首相の人柄が好きではない」という
のが、少なくなかったのです。
 そう。
 モリカケ問題は、内閣を倒すような問題ではないし、いつまでも
関わっているような問題ではないけれど、でも、モリカケに対する
安倍首相の対応は誠実ではないし、なにより、木で鼻をくくったよ
うな対応は、ほめられたものではない。
 たぶん、多くの人が、そう思っているのです。
 
 いつまでもモリカケで安倍首相を攻撃した民進党や共産党、朝日
新聞やTBSは、どこかで勘違いしている。
 だから、モリカケがあっても、有権者は野党に投票せず、自民党
に投票した。
 しかし、有権者も決して安倍首相に好感を持っているわけではな
い。安倍首相に投票したのではなく、ほかにないから、自民党に投
票したんだ。
 と、今回の選挙は、そういう図式だったのだろうと思います。







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