いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

キャラメルと大阪のおばちゃん・・・東京の武士の文化では中国との外交はできません。

2011年12月05日 01時26分28秒 | 日記

 この週末、所用があり、大阪で泊まりました。
 あるコンビニでのことです。
 たまたま、お客さんが少ない時間帯でした。
 私が雑誌とキャラメルを買い、レジに行くと、いかにも
大阪のおばちゃん、というより、大阪のおばあさんという
感じの70代の女性がひとり、レジの女性と話しこんでい
ました。知り合いのようです。ふたりの話は、なかなか終
わりません。
 ちょっとしびれを切らし、私は、持っていた雑誌とキャ
ラメルを、レジの机の上に置きました。
 早くレジをやってくれませんか、という感じです。

 さすがにレジの女性はレジを打ってくれる感じになった
のですが、大阪のおばあさんは、まだ話をしたいようです。
 それでも、ふたこと、みこと、世間話をして、大阪のお
ばあさんは、レジを離れようとしました。
 そのとき、大阪のおばあさんは、私が置いたキャラメル
を見て、
 「あ、悪いなあ、これ、もらえるの?」
 といって、自分の手にキャラメルを取ったのです。
 
 私は、ずっこけて
 「え? いや、それは私がこれからレジをしてもらうん
ですけれど」
 と答えると、大阪のおばあさんは、
 「あ、そう。ごめん、ごめん。わたし、欲張りでいかん
なあ」
 とにこやかに笑って、キャラメルをレジに置いて、出て
行きました。

 私は、神戸生まれなので、もちろん、大阪のことはよく
分かります。
 このおばさんの感覚は、実によく分かります。
 普段は東京に住んでいて、つい大阪の感覚を忘れてしま
うのですが、大阪、神戸に帰ると、この感覚がよみがえっ
てきます。

 東京は武士の文化です。
 こういう大阪のおばさん、大阪のおばあさんの感覚は、
東京には、まず、ありません。
 どういう感覚かというと、恥ずかしげもなく、自分の利
益を主張する感覚です。
いわゆる「もうけた」という感覚ですね。

 東京はよくもあしくも武士の文化です。
 大阪はよくもあしくも商人の文化です。

 武士の文化は、武士同士が、律儀に向き合う文化です。
掛け値なしの「正札」の文化です。
 大阪の商人の文化は、いつも「得」を考える文化、すこ
しでももうけようという文化です。正札ではなく、「掛け
値」の文化です。

 
 武士の文化は、相手も武士であるとか、あるいは、相手
も武士の文化を尊重してくれるなら、しっかり成立します。
しかし、相手が商人なら、武士の文化は成立しないのです。

 日本が国際社会を相手にするのなら、武士の文化では一
方的に損をすることのほうが多いでしょう。
 中国をイメージしてください。
 中国を相手に武士の文化で外交交渉したら、損をするだ
けです。
 中国を相手にするには、大阪の商人の文化がいいのです。
 レジで、自分の横に置かれたキャラメルを「あ、私にく
れるの?」と、恥ずかしげもなく言ってしまう文化でなけ
れば、中国との外交交渉はできないと思います。


 外交は、大阪の人にまかせるのがいいのではないかと、
かなり本気でそう思います。

坂田三吉 端歩もついた
 明日は東京に出ていくからは
 なにがなんでも勝たねばならぬ
 空に灯が点く通天閣に
 おれの闘志がまた燃える