我が家には18歳になるミックス犬のチャンスがいる。
ある日の夕方、庭でトイレをするチャンスを外に出し、
私は夕飯の支度をはじめた。
毎回、同じ場所で用を足した後、階段を数段上り
ドアの前で吠え声を1−2度あげ、
”中に入りたいワン” と
私達に知らせてくれるチャンスの声が
その日聞こえないことに私が気づいたのは
チャンスを外に出して20分ぐらい経った後だった。
しまったぁ
チャンスを外に出したことをスッカリ忘れてしまっていた。
急いで庭に出て、周りを見回してもチャンスの姿はどこにもない。
寝室にいたバッキーにそれを伝え、二人で近所を探し始めた。
顔にあたる空気が冷たくて、凍えこんだチャンスを想像する私は
チャンスが寒さをしのぐ為、
軒の下とかで丸くなってるんじゃないかと思え
懐中電灯を近所の庭にあて、覗き込むような姿勢で探した。
第三者から見たら、その姿は不審者だ。
ここで書いたような行動はアメリカではしない方が良いです。
銃を保有している人が多いので不審に思われ、撃たれる事もあり得ます。
我が家には銃はないのですが、
バッキーの知人には50丁もの銃を保有している人もおり
中にはマシンガンまで持っているらしくて
それにはバッキーも驚いています。
チャンスは18歳という年齢もあって、遠くまで歩いて行けないし
だいたい家の庭からさえ出ることのないチャンスが
見当たらないというのは
”誰かに連れて行かれた” としか考えられないとは思うものの
誰が老犬チャンスを欲しがるだろう。
足腰の弱ったチャンスを車に入れるのも大仕事だし、、。
バッキーとそんな話をしながら近所を歩いていると、
後ろからゆっくりと走ってくる車が私達の側で止まり
”もしかして犬を探してらっしゃるの?” と
女性ドライバーが話しかけてきた。
”ある婦人が道路でうろうろしていた犬を見つけて
アニマルシェルターに連れて行ったわ”
女性ドライバーにそう言われた私達は、
アニマルシェルターの留守電にメッセージを残し
翌日、バッキーがチャンスを迎えに行った。
シェルターで1夜したチャンスは 疲れが溜まっていたのだろう
その日はいつもに増して深い眠りに入っていた。
チャンスを迎えに行った時に、
お金を取られるかも知れない と
バッキーと話したけれど、それがなかったので
”シェルターへの寄付として受け取って下さい” と言って
20ドル札(2千円)を置いて来たらしい。
”そしたらな 自分のポケットに20ドル札を入れてたぞ。
別にその金でビールを買ったって良いんだがなぁ。”
そんな様子を笑いながら話すバッキーは、生前の義父にそっくりだった。
年を取るごとに何気ない動作や口調までが義父に似て来る。
ベッドに横になっていたバッキーが、今回の件で私にこう言う。
”俺はお前の事が心配だぞ!
先日は電気コンロ(Electric stove)をつけっぱなしだったし
今日はチャンスを外に出したことを忘れるし、、、。”
そう言われた私は、
電気コンロを消し忘れた日の事を思い出そうとしたけど
その日は深い霧の中で,何も思い出せなかった。
ぽちっとね