シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

アンドレ・テシネ監督「溺れゆく女(Alice et Martin)」(フランス、1998年、124分)

2024-09-01 12:03:37 | フランス
 
原題は「アリスとマルタン」という主人公の男女の名前。それがどうして邦題の「溺れゆく女」になるのでしょうか?(センスが悪すぎます)。

アリスに溺れたのはむしろマルタンで、アリスは彼に溺れるどころか、自己の罪の意識から喪失状態に陥った彼を引きあげ、前に踏み出させ励ます女性です!

舞台はパリ。

20歳の青年マルタン(アレックス・ロレ)は、10歳の時、美容師をやっている母ジャニーヌ(カルメン・マウラ)の示唆で、会ったことがない実父ヴィクトールのもとに連れて行かれます。以来、彼は工場を経営する父親の屋敷で成長しましたが、ある日突然、失踪。兄弟の中で唯一気が合ったゲイの兄バンジャマン(マチュー・アマリック)のアパートに転がり込みます。

非摘出児として生まれた過去に苛まれていた彼は、アリス(ジュリエット・ビノシュ)というヴァイオリニストに会います。アリスは俳優を目指す兄の同居人です。マルタンはスカウトの紹介でモデルとなり成功しますが、アリスが妊娠を告げた時、彼は過去のトラウマから情緒不安定におちいります。

それには理由がありました。家を出ようとしたマルタンは止めようとする父親と言い争い、階段から父親を転落させてしまった過去です。アリスの妊娠を知ったマルタンは「父親殺し」の過去に悩み、自己喪失,精神錯乱に陥りますが・・・。
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