シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

森谷司郎監督「赤ずきんちゃん気をつけて」(1970年、90分)☆☆

2023-09-11 20:37:00 | 日本・1970年~


原作は庄司薫による同名の小説です。芥川賞受賞作品。この小説のすぐ後にこの作家は「白鳥の歌なんか聞こえない」「さよなら怪傑黒頭巾」を発表。

その頃、大学生だったわたしはこの「赤ずきんちゃん気をつけて」を読みました。面白い小説とは思いましたが、正直のところ、「え、これが芥川賞? 深みがない!」。

芥川賞作品といえば石川達三「蒼氓」、安部公房「壁」、遠藤周作「白い人」、松本清張「或る『小倉日記』伝」、吉行淳之介「驟雨」、北杜夫「夜と霧の隅で」、開高健「裸の王様」、大江健三郎「飼育」など、高校生時代、かなり読んでいましたが、当時のわたしの主観(!)では、その延長線上に考えられないテーマ、文体だったからです。(現在の芥川賞受賞作品は、「その文学的価値」をみとめつつ、しかしたぶんに「話題作り」に傾斜してますね)
その「赤ずきんちゃん気をつけて」が映画作品にあると知ったので、観ました。

舞台は東京。東大入試の中止が決定された1968年の冬。

卒業を間近にひかえた日比谷高校生・薫(岡田祐介)の一日を描いています。家族やガールフレンドとの関係が映し出され、観念的な(?)政治や世界観についての友人との議論、青春の悩みがほとばしります。

そのうち、街で偶然であった幼女に「赤ずきんちゃん」の絵本を選んであげ、ふれあう中、大学受験を断念します。
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