原作は庄司薫による同名の小説です。芥川賞受賞作品。この小説のすぐ後にこの作家は「白鳥の歌なんか聞こえない」「さよなら怪傑黒頭巾」を発表。
その頃、大学生だったわたしはこの「赤ずきんちゃん気をつけて」を読みました。面白い小説とは思いましたが、正直のところ、「え、これが芥川賞? 深みがない!」。
芥川賞作品といえば石川達三「蒼氓」、安部公房「壁」、遠藤周作「白い人」、松本清張「或る『小倉日記』伝」、吉行淳之介「驟雨」、北杜夫「夜と霧の隅で」、開高健「裸の王様」、大江健三郎「飼育」など、高校生時代、かなり読んでいましたが、当時のわたしの主観(!)では、その延長線上に考えられないテーマ、文体だったからです。(現在の芥川賞受賞作品は、「その文学的価値」をみとめつつ、しかしたぶんに「話題作り」に傾斜してますね)
その「赤ずきんちゃん気をつけて」が映画作品にあると知ったので、観ました。
舞台は東京。東大入試の中止が決定された1968年の冬。
卒業を間近にひかえた日比谷高校生・薫(岡田祐介)の一日を描いています。家族やガールフレンドとの関係が映し出され、観念的な(?)政治や世界観についての友人との議論、青春の悩みがほとばしります。
そのうち、街で偶然であった幼女に「赤ずきんちゃん」の絵本を選んであげ、ふれあう中、大学受験を断念します。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます