シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

野村芳太郎監督「五辯の椿」(1964年、162分)☆☆☆☆★

2022-12-01 23:24:08 | 日本・1960年~


原作は山本周五郎による同名小説です。

ストーリーは、江戸時代、自らの出生の秘密を知った娘おしの(岩下志麻)が、それと関わった男たちに接近し、酒杯を重ねて彼らを籠絡し次々と平打ちの銀の釵で殺していくというサスペンス的展開です。

殺人現場には、養父が好きだった椿の瓣が・・・。

町方与力の青木千之助(加藤剛)がその若い女性に疑いをもつのですが、彼女は要領よく居場所を移し、証拠を掴まれることがありません。

彼女が負った不幸は、男狂いの薬種問屋「むさし屋」の母親おその(左幸子)が夫以外の別の男との間につくった子どもだということを、泥酔したおその自身から聞いたことでした。

亀戸のむさし屋喜兵衛(加藤嘉)の寮である日、おそのは労咳(結核)で死んだ夫を前にして、菊太郎(入川保則)という若造と戯れていました。怒りにさいなまれ、失意のおしのは寮に火を放ちます。焼け跡からは3人の焼死体が見つかった。当主の喜兵衛、妻のおその、娘のおしのです。天保5年の正月のことでした。

しかし、おしのは生きていました。その年の晩秋から、おそのと関係のあった浄瑠璃の蝶太夫(田村高広)、医者の海野徳石(伊藤雄之助)、肉体的快楽以外に関心事がない香屋の清一(小沢栄太郎)、「丸梅」の源次郎(岡田英次)が次々と殺められていきます。

みなそろいもそろって「人でなし」の連中。蝶太夫はたて三味線を横取りする目的で兄弟子の利き腕を、やくざを使って折る、徳石はにわか覚えのあやしい治療法で金儲けに血眼になっている、清一と源次郎は情けのかけらもない女たらし、などなど。

「御法定で罰せられない」、けれど到底許しがたい人でなしはどう裁かれなければならないのか。おしのがとった道はただひとつ。彼女の復讐が始まりました。
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