レフ・トルストイの同名の小説の映画化です。
「クロイツェル・ソナタ」は、ベートーヴェンによって作曲されたヴァイオリンソナタ9番の通称です。この映画では主人公のポズドヌイシェフ侯爵の妻リーザと彼の友人のヴァイオリニスト・トレガチェフスキーによって演奏されます。ポズドヌイシェフ夫婦の関係がねじれる切掛けです。
時はロシア帝政時代です。舞台は長距離列車のなか。
列車の中で、複数の男女の乗客が、結婚とは何か、女性の地位、夫婦関係などについて議論していました。
突然、その中の一人、公爵ポズドヌイシェフ(オレグ・ヤンコフスキー)が自らの暗い過去の告白話を始めます。愛情より貴族としての見栄を優先させる彼は、妻リーザ(イリーナ・セレズニョーワ)を死に至らしめた凶行で捕らえられ、その刑期を終え帰郷する途中でした。
夜も深まり、ほとんどの乗客が就寝のなか、ポズドヌイシェフはひとりの相客に語りつづけます。モノローグの中身は、自らの結婚にいたる遍歴、妻との諍いと破局、子供に対する接し方、などなど。
そして、彼の妻がパリ帰りのヴァイオリニスト・トルハチェフスキー(ドミトリー・ポクロフスキー)と関係をもつようになったことで、嫉妬と妄想から遂に・・・・。
重厚な作品です。原作に忠実です。