シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

ミハイル・シヴェイツェル/ソフィア・ミリキナ監督「クロイツェル・ソナタ(Крейцерова соната)」(ソ連、1987年、156分)

2020-10-21 17:00:45 | ロシア・ソ連
 
レフ・トルストイの同名の小説の映画化です。

「クロイツェル・ソナタ」は、ベートーヴェンによって作曲されたヴァイオリンソナタ9番の通称です。この映画では主人公のポズドヌイシェフ侯爵の妻リーザと彼の友人のヴァイオリニスト・トレガチェフスキーによって演奏されます。ポズドヌイシェフ夫婦の関係がねじれる切掛けです。

時はロシア帝政時代です。舞台は長距離列車のなか。

列車の中で、複数の男女の乗客が、結婚とは何か、女性の地位、夫婦関係などについて議論していました。

突然、その中の一人、公爵ポズドヌイシェフ(オレグ・ヤンコフスキー)が自らの暗い過去の告白話を始めます。愛情より貴族としての見栄を優先させる彼は、妻リーザ(イリーナ・セレズニョーワ)を死に至らしめた凶行で捕らえられ、その刑期を終え帰郷する途中でした。

夜も深まり、ほとんどの乗客が就寝のなか、ポズドヌイシェフはひとりの相客に語りつづけます。モノローグの中身は、自らの結婚にいたる遍歴、妻との諍いと破局、子供に対する接し方、などなど。

そして、彼の妻がパリ帰りのヴァイオリニスト・トルハチェフスキー(ドミトリー・ポクロフスキー)と関係をもつようになったことで、嫉妬と妄想から遂に・・・・。

重厚な作品です。原作に忠実です。
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アンリ・コルビ監督「かくも長き不在(Une aussi longue absence)」(フランス、1960年、98分)☆☆☆☆

2020-10-21 11:00:36 | フランス
舞台はセーヌの河岸に近い、「古い教会のカフェ」。テレーズ(アリダ・ヴァリ)は、そこの女主人。しっかりもので、独り身でした。

彼女がある日、店の前を通る浮浪者(ジョルジュ・ウィルソン)の姿に目をとめます。その老人は16年前、ゲシュタポに捕えられ消息を絶った夫アルベールに似ていました。

観察を続ける毎日。ある夕暮れ、手伝の娘に男を呼びとめさせ、男の声に耳を傾けます。彼は記憶を喪失しているらしいのです。それから、彼女は男と初めて言葉をかわします。

もしかして……。確信が高まります。ところが・・・。
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