シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

山本薩夫監督「氷点」(1966年、107分)☆☆☆☆

2020-10-08 11:36:17 | 日本・1960年~


三浦綾子の同名の小説の映画化です。

「氷点」とは、自らの出自(汚点)のことです。人間は誰でも過去(現在の存在に至る祖先)を遡ればどこかに決定的汚点があります。それはキリスト教の世界では「原罪」です。

舞台は北海道の旭川市です。

この町に住む医師、辻口啓造(船越英一郎)の家族に起こった深刻な事件がテーマです。

事件は4歳の娘、ルリ子の殺人です。その事件が起きたとき、妻の夏枝(若尾文子)は村井靖男(成田三樹夫)と密会の不貞をはたらいていました。

敬造は激怒し、あることを企みます。ルリ子にかわる娘が欲しいという夏枝に、啓造はそれとは知らせずに殺人犯の女の子を引き取ります。女の子は陽子(成長した役は安田道代)と名付けられます。陽子は明るく素直に育ちます。

もらわれてきた陽子には、徹(山本圭)という兄がいました。徹はあるとき、敬造と夏枝が陽子の出自のことで大げんかしているのを立ち聞きし、驚愕します。

そして、あろうことか、夏枝は成り行きで、陽子と恋人(津川雅彦)の前で、陽子の出自を暴露します。動転、絶望した陽子は、自殺をはかります。

結末。陽子が殺人犯の娘というのは偽りです。
(陽子を紹介した幼児施設の医師、高木雄二郎「啓造の友人」の配慮)。自殺をはかった陽子は蘇生します。
コメント
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