いせ九条の会

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「千の風になって」/山崎孝

2007-01-20 | ご投稿
昨年放送のNHK番組「紅白歌合戦」は、ある組の出演者たちのきわどい姿が批判されましが、素適な影響も与えています。同番組でテノール歌手秋川雅史さんが歌った「千の風になって」が、番組終了後に人気が上昇し1月15日発表した22日付オリコンのシングルチャートで1位になりました。

 この歌は新井満さんが、地道に社会貢献活動をしていた女性の追悼文集「千の風になって―川上桂子さんに寄せて―」に掲載されていた翻訳詩に感動して、原詩をオリジナルともいうべき翻訳詩にし作曲をして、自らがうたっていた曲でした。

 歌は、私は墓の中に眠ってはいない、千の風になって大空に吹いている、二節目で新井満さんは「秋には光になって 畑にふりそそぐ/冬はダイヤのように きらめく雪になる/朝は鳥になって あなたを目覚めさせる/夜は星になって あなたを見守る、とうたっています。

 とても美しい心象風景です。人の魂の不滅をうたい、固定観念に囚われない自由な発想の歌です。

1月16日付け朝日新聞掲載の「袖のボタン/歴史の勉強」で、丸谷才一さんが述べた言葉を真似(もじらせて)もらいますと、

《戦争の犠牲者に哀悼の意を表する手段としては靖国神社しか思いつかず、若者たちや娘たちの倫理と風俗を憂えるとき、拠るべきテクストとして持ち出すのは教育勅語である。》

《「美しい国」などと言って昔にあこがれ、もしできることならタイムマシーンに乗って旧憲法のころに帰りたい人たちには》、この素晴らしい心象風景は見えない、想い描けることはできないと思います。美しい国を、人それぞれが自由に思うことができなければなりません。国家がひとつの価値観で統べる必要はありません。あるとしたら世界に普遍的な人類愛であると思います。

《 》の部分が丸谷才一さんの文章お借りした部分です。

丸谷才一さんは現憲法下で生み出された女性たちの文学作品を、身近な抒情性とユーモアを盛った。女性解放と女子高等教育が長い歳月の末にあげた収穫だと指摘して《「美しい国」などと言って昔にあこがれ、もしできることならタイムマシーンに乗って旧憲法のころに帰りたい人たちには、見えないに決まっているけれど》と述べています。