いせ九条の会

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安倍首相の組閣人事、大元のところ一致する人物を配置/山崎孝

2007-08-28 | ご投稿
朝日新聞の組閣記事の見出しは《理念後退「延命」にじむ》です。

また、2007年8月28日付毎日新聞は、

「お友達内閣」からの脱却。首相・安倍晋三にとって今回の改造の評価は、自分と距離がある政治家や批判派の政治家も閣内に入れ、リーダーの度量を示せるかどうかにかかっていた。そのシンボルになったのが、厚生労働相に起用された参院自民党政審会長の舛添要一だ。

舛添は参院選前から、激しい安倍政権攻撃を繰り返してきた。惨敗が決まった先月29日の選挙当日には「国民の声に耳を傾けないことは許されない」と続投を批判。党勢立て直しの本格議論が進まない自民党を「(惨敗で)ショック死状態」とこきおろした。

「耳の痛いことを言う人をちゃんと配置できるかにかかっている。今は茶坊主内閣。最もいい仲間は、裸の王様には聞こえない外の声を教えてやる人だ」(毎日新聞1日夕刊)と安倍に注文をつけていた舛添。その舛添の携帯に、27日午後2時ごろ、安倍から入閣要請の電話が入った。

「ずっと批判してきた人間が入っていいのか」と念押しする舛添に、安倍は答えた。「それがむしろいいんだ」

年金問題の対応に追われる厚労相は「誰がなっても大変なポスト」(自民党幹部)。自民党前総務会長・丹羽雄哉ら経験者の名前が一時はとりざたされたが、安倍はあえて安倍批判派の急先鋒を矢面に立たせた。

皇居での認証式を終えた安倍は27日午後9時すぎ、官邸での記者会見で舛添起用の理由を「年金への造詣が深く、国民に説明できる方だから」と説明した。舛添も、組閣本部に呼ばれたあとの会見でこう強調した。「批判は批判。今は一体となって自民党を立て直さないといけない」(敬称略)(以上)

毎日新聞は、「首相・安倍晋三にとって今回の改造の評価は、自分と距離がある政治家や批判派の政治家も閣内に入れ、リーダーの度量を示せるかどうかにかかっていた。そのシンボルになったのが、厚生労働相に起用された参院自民党政審会長の舛添要一だ、と報道していますが、日本が集団的自衛権行使を可能にするという基本的な考え方では完全に一致しています。

2006年10月11日の参院予算委員会で、北朝鮮の核実験問題を口実に、明文改憲や海外での武力行使を可能とする集団的自衛権行使に向けた解釈改憲を求める議論がありました。口火を切ったのは、自民党の舛添要一参院政審会長。舛添氏は、「軍事制裁」を後押しする立場に立って、米軍が北朝鮮への制裁として臨検(船舶への立ち入り検査)を実施するケースを想定。「臨検をしているアメリカ海軍に向かって発砲が始まったときにそばにいて、うちは憲法で禁じられているから何もできませんというのが通じるのか」とのべ、米軍とともに武力行使に乗り出すべきだという考えを強くにじませました。そのうえで、「もはや(自衛権を)個別や集団と峻別する意味はない」「憲法改正という形で筋道を立てたい」と改憲を強く求めています。

安倍首相も、公海上で米軍艦が攻撃された場合や、イラクで英豪軍が攻撃された場合を挙げ、「(集団的自衛権の行使を可能にするよう)しっかりと研究していくことが、われわれの責任だ」と答弁。さらに「研究を行った結果、それはわが国が禁止する集団的自衛権の行使ではないという解釈を政府として出すことも十分あり得る」と応じています。

舛添氏は、自民党新憲法草案を事務局次長として取りまとめ、既に集団的自衛権の議論は終わったと、集団的自衛権行使の可能は既定の方針という発言をしています。

麻生幹事長は歴史観が安倍首相と共通しています。2006年2月14日の予算委の閣僚答弁で、安倍氏は「侵略戦争をどう定義づけるかという問題も当然ある」と述べ、麻生氏も「(連合国軍最高司令官だった)マッカーサーも侵略戦争のみとは言い難かったと認めている」と語った。あの戦争について「きちんと政府としても検証することが必要だ」と述べています。

また、昨年の北朝鮮のミサイル発射実験への対応では「外務省は当初から非難決議への譲歩を想定していたが、『安倍長官がネジを巻いた』結果、麻生外相、谷内正太郎事務次官らが集まった7月7日の幹部協議で『中国に拒否権を行使させてもいい』と正面突破を図る方針を確認した」ことがあり、強硬な外交路線を取る体質を秘めています。

しんぶん「赤旗」の報道は、内閣の要となる官房長官には、「仲良し官邸団」などと批判の的になっていた塩崎恭久氏にかわり、経済財政担当相や党政調会長、官房副長官などを歴任してきた与謝野馨氏を充てました。与謝野氏は、自民党の新憲法制定推進本部事務総長として、党新憲法草案をとりまとめた“実績”があり、幹事長に起用された麻生氏とあわせ、党と内閣の中枢を改憲派が押さえた形です。

首相が看板にしている「教育再生」についても、伊吹文明氏を文科相に、山谷えり子氏を教育再生担当首相補佐官にそれぞれ留任させ、継続姿勢を鮮明にしました。

民間から岩手県前知事の増田寛也氏を地方都市格差是正担当として入閣させたものの、甘利明経済産業相、大田弘子経済財政担当相、渡辺喜美行革担当相は、それぞれ留任。貧困と格差をひろげ、参院選での自民党大敗の要因となった「構造改革」路線を継続する布陣を敷きました、と報道しています。

このように組閣人事で、安倍首相とは日本の方向を変えようとする考え方では根本のところで一致している人物たちを配置しています。

安倍首相は、政権を延命させ、政権の支持率を回復させ、チャンスを作り出すことが出来れば、必ず「戦後レジーム体制」からの脱却の総仕上げとして、改憲を強力に進めることは間違いありません。