いせ九条の会

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世界に誇るべき平和憲法をあるがままに遵守すべき/山崎孝

2007-08-06 | ご投稿
広島市平和記念式典は、8月6日午前8時から広島市の平和公園で行われました。はじめに、この1年間に亡くなったり、新たに死亡が確認されたりした5221人の名前が書き加えられた25万3008人の被爆死没者名簿が慰霊碑に納められました。そして、原爆が投下された午前8時15分、参列者全員が黙祷をささげました。

平和宣言で、広島市の秋葉忠利市長は、核の拡散が加速するなかで「唯一の被爆国である日本政府は、謙虚に被爆のほんとうの姿を学び、世界に広める責任がある。世界に誇るべき平和憲法をあるがままに遵守し、米国の時代遅れで誤った政策には、はっきりとNOと言うべきです」と述べました。

このあと、あいさつに立った安倍総理大臣は「今後とも平和憲法の規定を遵守し、国際平和を誠実に希求し、非核3原則を堅持していくことをあらためて誓う」と述べました。

式典には、これまでで最も多い42の国から駐日日大使などが参列しましたが、枚保有国からはロシア1国にとどまりました。原爆投下から62年になることし、被爆者の平均年齢は74歳を超えました。悲惨な体験を語り継ぐことが難しくなっているだけに、若い世代に核兵器の恐ろしさをどう伝えていくかが大きな課題となっています。(以上、12時のNHKニュースより)

広島市の秋葉忠利市長は、「世界に誇るべき平和憲法をあるがままに遵守」と述べました。この言葉は安倍首相の憲法解釈を変えて一部の集団的自衛権行使を可能にしようとする考えに異を唱えたものと思われます。

安倍首相の「今後とも平和憲法の規定を順守」の言葉は、普通に理解すれば、憲法を変えないと受け止めることが出来ます。本年はこれまでで最も多い42の国から駐日日大使などが参列したと報道されていますから、日本と世界の人に向かって述べた言葉と言えます。安倍首相はこの言葉を守らなければならない道義的責任があります。

私は、ブログで、安倍政権は参院選で歴史的な敗北を喫したから、歴代政府が守ってきた憲法解釈を変える資格も権威もないと主張しました。これと関連して集団的自衛権を研究する「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」に関連する情報を紹介します。

【集団的自衛権:安保懇報告棚上げへ 法制化に慎重論】(2007年8月5日付毎日新聞)

安倍晋三首相の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二前駐米大使)は8月10日、参院選で中断した議論を再開する。集団的自衛権の行使を認めるための憲法9条解釈の見直しを今秋、報告書にまとめて提言する。だが、参院選惨敗で安倍政権の求心力は急速に低下、首相は与党内の慎重論に配慮し、報告書を当面棚上げし、法制化を見送らざるを得ない状況だ。

「安保法制懇の報告書はそのまま置いておくことになる。集団的自衛権の容認は安倍政権の自殺行為だ」。元々、行使容認に反対論の強い公明党幹部はこう断言した。

5月18日に始まった懇談会は、参院選までに3回議論を重ねた。首相が検討を要請した4類型のうち、日米同盟を強化するための▽公海上の米艦の護衛▽米国向け弾道ミサイルの迎撃--の2類型の議論はほぼ終え、「集団的自衛権の行使を認めるべきだ」との意見で一致。再開後は、自衛隊の国際平和協力活動を拡充するため、▽駆け付けたうえでの他国軍隊の護衛▽戦闘地域内での後方支援活動の是非--の残る2類型を議論する。メンバーの一人は「元々結論ありきの懇談会で、参院選結果がどうであれ報告書の内容は変わらない」と語っており、これらも容認の見通しだ。

ただ、実際に集団的自衛権を行使するためには「首相が宣言するだけではだめで、自衛隊法改正など法的担保が必要」(内閣官房幹部)になる。自衛隊法は同盟国のための活動は規定しておらず、同法を改正し「集団自衛出動」などの項目を設ける必要があり、文民統制を徹底するための国会承認の規定などを盛り込んだ「集団自衛事態法」の制定も想定されている。

しかし、公明党は「タカ派色の政策は一切だめだ。法案を出してきたらシュレッダー行きにする」(幹部)と態度を硬化させており、関連法案の提出は当面絶望的。自民党内でも、集団的自衛権の議論をリードしてきた石破茂元防衛庁長官が公然と首相退陣を訴えるなど、意見集約は難航必至の状況だ。【古本陽荘】