いせ九条の会

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憲法問題は生活問題と離れた特別な問題ではない/山崎孝

2007-08-15 | ご投稿
【憲法審査会/始動先送りでつまずき】(2007年8月14日付「しんぶん赤旗」)

 十日に閉会した臨時国会では、衆参両院に設置が決められた憲法審査会の運営規程や委員構成が決まらず、審査会の実体づくりは、秋の臨時国会に持ち越しとなりました。日本共産党は「九条改憲を狙いとする改憲手続きを進めることは許されない」(穀田恵二国対委員長)と主張。参院選での与野党逆転の新たな国会状況も受け、野党は衆参両院での憲法審査会の始動阻止で一致しています。安倍改憲路線が、大きなつまずきを見せています。

 「戦前を肯定するような安倍晋三首相の発言が、国内外にメッセージとして伝わり、この内閣のもとで改憲をすることは危険なのではないかという雰囲気を広げた。それがこの国会で憲法審査会を始動できなかった原因の一つでもある」憲法問題に携わる自民党有力議員はこう述べます。

【国民は「ノー」と】 安倍首相は「戦後レジーム(体制)からの脱却」を掲げ、戦後初めて「任期内改憲」を表明。内閣も、侵略戦争を正当化し、いまの憲法を壊そうとする「靖国」派で固めました。教育基本法改悪、防衛省格上げ、改憲手続き法など、たてつづけに強行してきました。

 格差・貧困の打開を求める国民の声に耳を傾けず、改憲タカ派路線を突き進み、二〇一〇年の改憲発議を公約のトップで掲げた自民党に、国民は参院選で大きな「ノー」の声を突きつけたのです。

 選挙後には、米下院議会で、「従軍慰安婦」問題で日本政府に謝罪勧告の決議も採択されるなど、安倍「靖国」派政権は国内外でおいこまれることになりました。

【総選挙意識して】 「自民党内も“憲法”を口にしにくい雰囲気になっている。解散・総選挙を意識し始めた衆院議員は、自分の“身”のことを第一に考えている」

 自民党憲法審議会関係者はこうこぼします。同党内では「憲法、憲法と言っていたらまた(選挙で)負ける」という声もこぼれているといいます。

 参院選で自民党は片山虎之助参院幹事長が落選し、青木幹雄参院議員会長が大敗の責任をとって辞任。改憲手続き法の採決を強行した関谷勝嗣参院憲法調査特別委員長も落選しました。いまだに党の参院運営体制も定まらず、安倍首相続投への国民の批判も強い状況の中で「憲法審査会どころではない」(自民党関係者)という状況です。

 一方、改憲手続き法の問題では、自民党と共同で成立を目指してきた民主党憲法調査会幹部の一人は、参院選後の同党のスタンスについてこう述べます。

 「通常国会での安倍首相の指示による与党の強硬な審議、採決に対する反発が尾を引き、安倍首相とは一緒に憲法論議はできない。選挙の結果を受けて、生活問題を第一に取り上げていくという流れの中で、『憲法は特別』といって安倍さんと一緒に改憲議論を進めるというわけにもいかない」

 国民新党の憲法問題関係議員も「憲法問題で採決を強行するというのは非常に危険なこと。国民も見ており、強行採決にもとづく憲法審査会の論議には乗れない」と述べます。(中祖寅一)(以上)

自民党憲法審議会関係者の「憲法、憲法と言っていたらまた(選挙で)負ける」とか、民主党憲法調査会幹部の一人は、参院選後の同党の姿勢について《選挙の結果を受けて、生活問題を第一に取り上げていくという流れの中で、『憲法は特別』といって安倍さんと一緒に改憲議論を進めるというわけにもいかない》。これらの言葉は、憲法を破壊する立場、憲法は国民を国家が規制するというものという考えからは、憲法は国民の生活問題に結びつかないという政治感覚となり「憲法は特別」な、イデオロギーの問題という捉え方になります。

政治家は国民の命と生活を守ることが使命です。この目的を達成するために、現行憲法の平和主義と個人の尊重を基本にしていることを深く認識し、政治に理念を生かすことをすれば、「憲法は特別」というものではなく、日常的な政治家の「座右の銘」としなければならないものと考えます。

今日は8月15日です。日本が国民を縛ってきた大日本帝国憲法の下から脱却して、国民が憲法を「国家の命令書」(井上ひさしさんの言葉)にしてゆこうと歩みだした記念すべき日だと思います。

そして、隣国が日本の圧政・圧迫から解放されたと捉えていることを日本人は忘れてはならないと思います。政府の行為により戦争の惨禍を繰り返さないと誓い、海外での武力行使をしないと規定した現行憲法は、アジアの国に安心を与えているものであることを日本人は認識していなければならないと思います。