いせ九条の会

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教育再生っていつに戻るの/山崎孝

2007-08-19 | ご投稿
ブログのタイトルは、朝日新聞8月19日付「声」欄「若い世代」に掲載されていたタイトルをお借りしています。名古屋市の中学生 三輪綾里佳さん(14歳)の文章です。なかなかに鋭い指摘をしています。以下はその文章です。

教育再生といわれますが、再生とは元に戻すことです。その「元」とは、いつの教育でしょうか。今、私たちの受けている教育は、何なのでしょうか。

 「徳育」を正式教科にしようと言います。しかし、マニュアル通りの授業をして、生徒に押しっけて、それで本当に道徳を理解することができるでしょうか。

私のクラスでは、道徳の時間に、先生が本や新聞などからコピーしてきてくれる、本当の「良い」文章を読みます。そういうことで生徒たちは、温かい気持ちを育てることができたり、自分を見つめ直したりできるのだと思います。

教師を評価するといっても、国が決める「よい先生」と、生徒にとっての「よい先生」は違うと思います。学校を評価するといっても、学校はよい評価のために仕事をするわけではないのです。

 いじめ問題もあります。いじめを行う生徒を処分しようと言います。本当にそれがいじめの減少につながるのでしょうか。今いじめている子も、前はいじめられていたかもしれないのです。

今、会議室で「教育再生しよう」などと言っても、現場の混乱を招くだけではないでしょうか。(以上)

【新編『あたらしい憲法のはなし』というシリーズの記事で「報国レジームの記憶/「脱戦後体制」その先に」というタイトルのついた記事が朝日新聞8月19日に掲載されています。前記の中学生の投書は「元に戻すとは」という疑問を突きつけていましたがその関連で紹介します。

 「新憲法制定」を自民党マニフェスト(政権公約)のトップに掲げ、参院選で惨敗した安倍首相は、4日後の今月2日付で配信した内閣メールマガジンに選挙結果への思いをつづった。

 「私が進めつつある改革の方向性が、今回の結果によって否定されたとは思えない」

 改革の方向性として掲げる一つが、改憲を含む「戦後レジーム(体制)からの脱却」だ。

 首相は今年初めの国会で、日本の戦後社会についての見解を口にした。公共の精神や国に対する愛情、道徳心などを軽んじ捨ててきた――。

 著書「美しい国へ」では、国に殉じた戦時下の特攻隊員たちの姿をめぐり、持論をこう説く。「(命を)なげうっても守るべき価値が存在する」

 愛国心を盛った教育基本法の改定、故意のための国民投票法の成立……。首相が実績として挙げる改革と「戦後体制の脱却」の掛け声の先に、戦前回帰への危うさを感じ取る人は少なくない。

 国家が樺力で公共の精神や愛国心などを強いた戦前・戦中とは、どんな社会だったのか。(以下略)

記事はこのように書いた後、「日本が『神の国』だった時代」などの著書がある作家の入江曜子さんを取材した内容を書いています。私はこの本から抜粋して、戦前の日本は占領した所に真っ先に立てて万歳を三唱したことを子どもたちに教えていたことをブログで紹介しています。他国を武力で占領しても正しいことと教えていました。

安倍晋三氏は、「(命を)なげうっても守るべき価値が存在する」と大上段に振りかざした言葉を書いていますが、人道主義を追求している今日の世界では、政治家の使命は戦争を回避して国民の命を守り、外交力によって対立する問題を解決することが一番の使命です。

そのためには、力ずくで問題を解決する姿勢は禁物です。このことは、米国の北朝鮮政策の経緯や安倍晋三氏が主導した拉致問題の経緯で明らかです。

それに「(命を)なげうっても守るべき価値が存在する」価値とは、おうおうにして国民のための利益ではありませんでした。今日においても米兵が守ろうとしたのは、客観的には軍産複合体制に関係する企業等の利益です。