いせ九条の会

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ベトナム 米大統領演説に反論/山崎孝

2007-08-26 | ご投稿
【大統領の侵略正当化発言/ベトナム外務省が反論/戦争の事実が逆さま】(2007年8月25日付「しんぶん赤旗」)

ベトナム外務省のレ・ズン報道官は二十三日、ブッシュ米大統領が前日のミズーリ州でのイラク政策演説で米国のベトナム侵略戦争を正当化したことに対し、「戦争はベトナム人民に非常に大きな損害を与えた」「私たちは祖国防衛のための戦争をし、それはベトナム人民の正義のための戦争だった」と反論しました。

 ブッシュ大統領は米軍のイラク駐留継続をはかるため、ベトナムからの「米国の撤退の代償は、再教育キャンプ、ボートピープル、キリングフィールド(大量殺人現場)といった新しい言葉とともに数百万の無実の市民の苦痛で支払われた」と述べました。

 さらに、「オサマ・ビンラディンは、米国民がベトナム戦争で政府に反対して立ち上がった、今日も同じようにすべきだと言っている。これもベトナムからの撤退の代償だ」などとも主張しました。

 レ・ズン報道官は「戦争の傷跡はいまに至るまで残っており、戦争を忘れるベトナム人民はいないといえる」と強調。同時に、「ベトナム人は平和を愛するため、過去を忘れることはないが、現在を重視し、未来を志向し、すべての国と良好な関係を持っている。米国もその一つだ」と述べました。

 ベトナム戦争で米国は、後にウソだったことが明らかになる一九六四年の「トンキン湾事件」を口実に侵略を拡大。この戦争でベトナム人三百万人、米兵六万人の命が奪われました。米軍が大量に散布した枯れ葉剤は三百万人といわれるベトナム人に被害を与えました。

 ブッシュ大統領はまた、「(朝鮮やベトナムの共産主義者が)イデオロギーを他者に強制することにわれわれが立ちふさがったため、彼らはアメリカ人を殺した」と、かつてのドミノ理論を正当化しました。

 ドミノ理論は、ベトナムなどが共産主義化すれば周辺諸国も「ドミノの列のように倒れてしまう」(アイゼンハワー大統領)というもので、侵攻の口実にしました。しかし、ベトナム戦争を推進したマクナマラ国防長官自身が、ドミノ理論は「強迫観念」「ものの見方の誤り」だったと認めています。(以上)

米国がトンキン湾事件を口実に北ベトナムを攻撃し始めましたが、それまでの南ベトナムの人たちの戦いは、米国の支援を受けた独裁政権との戦いでした。このことは何人もの僧侶たちが南ベトナム政権に抗議の焼身自殺を行なったことで明確です。

戦争を起こした国の人が自国の行為を正当化する場合、自分たちが戦争を仕掛けなければ起こらなかった、相手国の人的・物的被害のことを率直に見つめることだと思います。

このことは米国の大統領に限らず、日本の日中・太平洋戦争を正当化する人たちにも言えることです。

日本の改憲を推進する人たちは、宣伝し少なからぬ日本人に植え付けた北朝鮮と中国への「強迫観念」を利用してきました。しかし、最近は北朝鮮関係においてはこの宣伝量はかなり減っています。そして、ニュースでは6者協議が前進していく情報が多くなっています。憲法を守り生かす立場の人たちにとっては有利な情勢です。