いせ九条の会

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住民の犠牲を増やすアフガニスタンにおけるテロとの戦い/山崎孝

2007-08-04 | ご投稿
【アフガン空爆:大量の民間人に犠牲か 政府が調査へ】(2007年8月3日付毎日新聞)

【カブール栗田慎一】アフガン政府当局は3日、米軍などが南部ヘルマンド州で2日に実施した空爆で「大量の民間人が犠牲になった」との現地当局の報告を公表し、調査に乗り出した。ロイター通信は、目撃者の話として死者数を「200~300人」と伝えた。米軍は「死亡したのは(旧支配勢力)タリバン兵」と反論している。

アフガン政府によると、空爆による民間人の犠牲は今年に入って既に350人を超えている。今回は、1回の空爆では過去最多の死者数となる可能性が指摘されている。(以上)

2007年4月16日付毎日新聞は、米海兵隊特殊部隊が3月にアフガニスタン東部ナンガハル州ジャララバード付近で自爆テロ攻撃を受けた後、民間人に相次いで発砲して少なくとも10人を殺害し、33人を負傷させたことが米軍の予備調査で判明した。死者には幼児2人や老人3人も含まれている。ワシントン・ポスト紙が15日報じた。米軍は「テロ後に敵が小火器で攻撃してきたため反撃した」と発表し、民間人死傷の大部分は敵の責任だと主張したが、小火器攻撃を受けた証拠は見つかっていないという。

アフガンの公式機関である独立人権委員会も14日、民間人12人が死亡し35人が負傷したとの目撃証言などに基づく現地調査結果を発表。海兵隊員が「無差別かつ過剰な攻撃を行い、国際人権法が定める基準の深刻な違反を犯した」と指摘した。

人権委員会の報告書は、現場を警備した国際治安支援部隊(ISAF、米軍を含むNATO=北大西洋条約機構=部隊などで構成)の兵士が、記者の取材を妨げたり撮影した映像の消去を強いたうえ、事件の報道を控えるよう脅すような発言をしたとも指摘している。ISAFは消去を認めたが「安全確保や調査上必要だった」と主張している。

事件は3月4日の朝に発生。6台の軍用車両に分乗した海兵隊特殊部隊員約30人の隊列に車両が接近して爆発し、運転者は死亡、隊員1人が破片で負傷した。

米軍の調査によると、特殊部隊は爆発現場から離れた後、約5キロにわたって通りかかった車や人に相次いで発砲した。

人権委員会は、米軍の発砲は16キロにわたって続いたと指摘。米軍部隊などが事件後に「調査と治療」目的で現場周辺に警戒線を張り、地元警察の立ち入りも拒んで薬きょうや弾丸などをすべて持ち去ったとしている。

米中東軍は事件直後の発表で「自爆テロ後に敵の小火器攻撃を受けた」と説明。報道官は英BBCに「民間人死傷者の全部か一部は敵の発砲のせいだと信じている」と語っていた。

米軍は当該の部隊をアフガンから離任させ、今月11日には刑事捜査を開始したと発表した。(以上)

2007年4月17日付朝日新聞報道は、昨年から勢いを増したタリバーンのテロ攻撃が続いている。今年起きた自爆テロは16日までに43件に達する。NATO軍主体の国際支援部隊とアフガン軍は3月上旬から、南部へルマンド洲で5500人を投入した掃討作戦を続けている。タリバーンも抵抗を強め、国際支援部隊の車列への待ち伏せ攻撃などを頻発させ、8日からの一週間だけでカナダ兵など12人に外国兵士に犠牲が出ている、と伝えています。

カルザイ政権になっても目に見える復興成果はほとんど無く、失業者は増える一方。カルザイ政権は地方の腐敗した軍閥を抑えることが出来ず、結果的にはタリバーンの影響力を増している。(以上)

アフガニスタンにおけるテロとの戦いは多くの非戦闘員を犠牲にしている戦いです。これではテロリストの無差別の暴力とあまり変わりません。テロとの戦いも勝利の見通しもついていません。このような戦いを支持するわけにはいけません。

しんぶん「赤旗」の記事を抜粋 11月1日で期限切れを迎えるテロ特措法の延長問題が秋の臨時国会の重大焦点として浮上してきました。

参院選で自民・公明両党が大敗を喫して過半数を割り込みました。民主党の小沢一郎代表は「これまで反対したのに、今回、賛成するはずがない」と反対を表明(七月三十一日)、参院で野党が一致すれば廃止されます。

 シーファー駐日米大使は、「日本は国際社会の責任あるメンバーだ。この問題(テロとのたたかい)はもはや重要でないと決定してほしくない」(英紙フィナンシャル・タイムズ一日付)と懸念を表明。民主党に対し、小沢代表との面会を申し入れたものの、小沢氏側は「会う理由はない」と当面、応じない意向です。(註 その後、小沢氏は会う意向を示した)

 危機感を強める与党が参院で否決後に衆院の三分の二の賛成で再可決することも想定されます。「民主党が参院で否決しても、衆院での再議決が織り込み済みならそれでいい」(防衛省幹部)との声も聞かれます。

 しかし、これは「本当の禁じ手中の禁じ手。もう参院はいらないというのと同じ」(日本共産党の志位和夫委員長)です。安倍自公政権と国民との矛盾が極限まで達するのは目に見えています。

参考 テロ特措法 米同時多発テロ事件後、アフガニスタンでの「対テロ」報復戦争を支援するため、二〇〇一年十月に自民・公明両党の賛成で成立。海上自衛隊は同年十二月以来、補給艦と護衛艦を派兵し、インド洋で対テロ作戦に参加する米艦船などへの洋上給油を続けています。

 海自は対テロ作戦参加艦船の全燃料の四割を提供しており、「海の無料ガソリンスタンド」と言われています。

 しかし、アフガニスタンでは武装勢力タリバンが勢力を盛り返し、自爆テロや誘拐が頻発するなど治安が悪化しています。米軍の死者数も年々、増加しており、海自の活動はテロ根絶に何ら貢献していません。

海自の活動 派兵艦船数:のべ59隻、派兵人員:のべ1万600人、給油回数:761回、供給国:米国、英国など11カ国、艦船燃料供給量:48万キロリットル