長年、保守王国岐阜に住んでいて、これまでは、だれに投票しても
自民候補が勝ってしまうことに、ずっとはがゆい思いをしてきたが、
今回はついに親の地盤に胡坐をかいていた世襲候補が負けて、痛快な気分だ。
だが、民主党に過大な期待を抱いているわけではない。
新聞のコラムにあったように、「自民党に入れたくないから民主党に入れた」だけだ。
長年自民党にばかり投票してきた父は今回どの党に入れたのかな。
「お父さんはなにがあっても自民党だから」と、母がなかばからかうように
話していた父なのだが。そうはいっても、父は自民党応援企業の社員でもないし、
岐阜出身ではあるものの、結婚してからはずっと県外に住んでいるのだ。
ところで、父の実家は江戸時代は庄屋だったので、かなりの大地主だ。
それも、山奥の過疎地ではなくて、岐阜市のベッドタウンだから地価は高い。
ところが、強欲な長男夫婦が、おじいさんが認知症になったのをいいことに
生きているあいだに土地の名義をすっかり自分たちに書き換えてしまった。
そして、おじいさんが亡くなったときには、わたしの父をはじめ他の兄弟姉妹には
まったく土地の分与がなかった。裁判所に訴えれば、名義の書き換えは無効に
できると言ってくれる人もいたそうだが、長男夫婦以外はみな気のいい人たちで
親戚同士で気まずい思いをしたくないと、だれも不服を唱えなかった。
自民党の世襲候補を見ると、つい、この伯父夫婦に重なってしまう……。