西武鉄道 高田馬場駅発行 国鉄線110円区間ゆき区間変更券

昭和53年5月に西武鉄道新宿線高田馬場駅にあります国鉄線乗換中間改札にある精算窓口で発行された、国鉄線110円区間ゆきの区間変更券です。


   


桃色せいぶてつどう自社地紋の硬券式B型大人・小児用改札補充券になります。
この様式より前の時代では西武鉄道で採用されていた連絡乗車券の地紋色である青色地紋の様式となっていましたが、この頃より同社では連絡乗車券の地紋を桃色地紋としていましたので、この券もそれに合わせた格好にしたものと思われます。


この券は高田馬場駅の連絡通路の中間改札にある精算所で、高田馬場以遠まで有効の原券を持つ旅客が国鉄線への区間変更を申し出た際に発行するもので、原券金額から高田馬場駅までの正規運賃を差し引いた差額分を110円から差し引いた額を領収し、領収額欄に記入して発行するもので、発行実績に回収した原券を添えて精算を行うといった、少々複雑な精算事務をすることになります。
大抵の場合、西武新宿までの乗車券を所持した旅客が高田馬場乗換に区間変更した際に発行されていたようです。

通常、連絡通路にある中間改札では被乗継事業者が設備した乗車券を発売しますが、区間変更にかかる改札補充券はその逆となり、乗継元の事業者が設備するのが一般的のようです。これは連絡乗車券としての扱いであるという考えに拠るものと考えます。


   


裏面です。

発行箇所名の他に「11/11」の記載がありますが、これは「110円区間のうちの0円を領収した」という意味で、精算事務の際に添付された原券の差額分を充てることによって実際の売上金との照合をおこなうためのものとなっています。
例えば原券が20円多かった場合、110円から20円を差し引いた90円を領収することとなり、領収額欄に「90」と記入して発売します。しかし、この券1枚発行するには売上金の現金が110円必要となるために20円不足しますが、領収した90円と原券の過剰分20円を加算すれば110円になるので、それで売上金と照合するという事務処理になるわけです。

同社には御紹介のような金額記入式の券しか無かったと記憶していますが、国鉄の駅によっては需要のあるところでは領収額が予め印刷されているものも存在し、例えば「110円区間の90円領収用」という券であれば「2/11」という記載になります。


現在では改札端末等が発達していますので、このような手間の掛かる区間変更券を使用している例は聞いたことがありません。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )