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マーケティング研究 他社事例 その223 「世界初のIOT医薬品」 ~大塚製薬の飲み薬~

2018-09-06 08:21:53 | ビジネス
マーケティング研究 他社事例 その223 「世界初のIOT医薬品」 ~大塚製薬の飲み薬~


昨年の11月に世界初のIOT医薬品が米国食品薬品局(FDA)で承認されました。

大塚製薬がアメリカ企業と共同開発した「エブリファイマイサイト」です。

大塚製薬の統合失調症や双極性障害などの治療薬「エブリファイ」に約3cm大のセンサーを埋め込んだものです。

外観は通常の錠剤と同じで、異なるのは飲み込んだ後になるようです。

センサーが胃液と反応すると独自のシグナルを発信し、体に張り付けたパッチ型の機器が検知すると、患者の同意を得たうえで日時などがクラウド上のサーバーに送信されます。

処方した薬がきちんと服用されているか、医師が確認できるのがそのすぐれたシステムです。

大塚製薬は、「まずはアメリカで少数の患者に使用し確認していく」とし、現時点で日本での提供は未定です。

大塚ホールディングスはの2016年度の売上高は1兆1955億円です。

5兆円規模のアメリカのファイザーなど大手に遠く及ばない大塚製薬がなぜ、世界に先駆けられたのでしょうか?

背景には特許切れに伴う危機感がありました。

エビリファイは2002年に承認されて以来、長らく大塚製薬の収益の大黒柱でした。

ところが、2015年4月に最大市場の米国で特許が切れると、状況は暗転しました。

2014年度に全世界で6542億円に達したエビリファイの売上高は、2016年度に954億円まで減少したのです。

同社は次の収益源の確立を急ぎましたが、エビリファイの落ち込みは補い切れませんでした。

そこで、既存薬にセンサーを内蔵して付加価値を高めることで、後発薬に対抗しようとしている訳です。

この動きを後押しするのが、飲み忘れなどで生じる「残薬」の問題です。

(続く)


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