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「甲越軍記」を現代仕様で書いてみた (154) 長尾家 67

2024年07月29日 18時32分12秒 | 甲越軍記

新発田勢は安田の城を囲むと、休む間もなく攻めかかる
城の大将、篠塚宗左衛門は精鋭を城外に繰り出して新発田勢に突きかかり四方八方で打ちかかれば、新発田勢は叶わず後退する、さらに篠塚勢が新発田勢を追うところに、小越平左衛門勢が攻めかかれば、今度は篠塚勢が新手に敵い難く城内に逃げ戻る
「それいまぞ付け入れ」と下知して追いかけるが、城方は城門を固く閉ざして雨あられの如く鉄砲を打ちかけたので、城門に押し掛けた小越の騎兵たちまち二十騎、打倒される

篠塚勢の守り固いことを知り、寄せ手は急な攻め方をあきらめて遠巻きにしながら、各陣を固めることとした
村松の要害を攻め落とし大将を討ち取ったことで安田が孤城であること、敵は必死で無理攻すれば味方の損害が増すこと、それゆえに遠巻きにして敵の兵糧尽きて弱るのを待つ考えである。
しかし数日たっても城方の弱る様子はなく、相変わらず意気盛んなるを見て、斉藤八郎は新発田尾張守に「このまま時を過ごせば、三条の新山、黒滝より敵の後詰が来ないとも言い切れぬ、そうなれば我らが不利になる
ここは敵が孤城の内に、何が何でも攻め落とすのが良策である、某が先陣承って攻め寄せよう」と言えば、諸将もこれに賛同して、鬨をあげて総攻めを始めた

城方も、総攻めは想定の内、直ちに弓鉄砲を揃えて、寄せ手に撃ちかける
斉藤勢は今日の戦を先んじて言った手前、敵の攻撃がいかに激しいとはいえ、一歩も退かず城門を破ろうと攻めかかる
城門付近には十五、六騎が攻め寄せて取りついて攻め上らんとする
そこに斉藤の郎党、紀新左衛門と言う大剛の勇士、人に先を越されてなるかと「我こそ一番乗り」と言って、味方の肩に手をかけて鎧の上帯に乗りかけて塀を飛び越えんとしたところに、敵の銃弾が飛びきたる
忽ち新左衛門は首を打ち砕かれて、仰向けに塀から落下した
斉藤八郎は大いに怒り、自ら塀に取りつきよじ登る、これを見て斉藤の家臣たちは主を討たせまいと塀に取りついて喚き叫んで乗り入ろうとする
しかし城方は大木、大石を投げ落し防げば、いかに斉藤が剛力と言えども一歩も進まず難渋する

これを見て小越平左衛門が斎藤を助けようと、鉄砲を並べて城兵に撃ちかけて一斉に攻め懸けれども、城方の抵抗はさらに強く、ついには小越の真向に鉄砲玉があたり、小越は落馬した。
これにより小越勢はさっと引いた、ここに小越の家臣藤枝主税は種子島を引き下げて、敵将篠塚宗左衛門が櫓の上で指揮するのを見届け、火縄に火をつけて狙いを定めて放てば、流石の腕前に弾は過たず宗左衛門の胸板を貫き、宗左衛門は櫓から真っ逆さまに落ちて死んだ。

小越、新発田勢は大いに意気上がり、一気に攻め落とせとかかれば塀を軽々乗り越えて、我先に切って回る
城兵は大将を討たれてもはや勢いは失せて逃げ惑う、大手門からさんざんに逃げるのをあえて追わず、新発田、小越、斉藤勢は三日間、城内で休息をとった。




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