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空想歴史ドラマ 貧乏太閤記 144 忍び寄る影

2023年02月03日 17時16分47秒 | 貧乏太閤記
 関白豊臣秀次の不幸は、天下人秀吉の甥に生まれたことだ
何事もなければ尾張で平凡な百姓として、近在の百姓娘と結婚して、子をもうけて平凡な生涯を終えただろう。
 人には人生の中で一度は、越えなければならない大きな山に出くわすことがある。
仕事での決断、大失敗、転職、事業の失敗、大病、大事故に遭って体の一部が欠損したり、子供の登校拒否、障害を持った子の誕生、配偶者の死、熟年離婚、事件に巻き込まれるとか、何かの理由で莫大な債務を負うとか、全財産を失うとか、数え上げれば切りがない
それは貴賎を問わず、老若を問わず訪れる
これを乗り切れるか、乗り切れないかは本人の強さ、弱さによる
不幸は時に幸福の糧になることもある、秀吉のように負の境遇から始まったことが、彼を強い人間に押し上げて、天下一の男にまで上り詰めた、徳川家康もしかり。
だが秀次には、そんな才能はなかった、降ってわいたような幸福だった
貧乏百姓が突然家臣にかしずかれる生活に変わったのだ、養子に出されたとはいえ、大名の若君だ
不幸だったのは、それにふさわしい産まれでなかったことだ、まず武士と言うものを知らないうちに武士になった、それも領主さまだ
だが地位を得たことで、何でも我儘が通ることを知った、怖い者は叔父の秀吉だけだ、何よりも遠くから見ることすらできなかった天下の美女を思いのままに手に入れることが出来ることに気づいた。
 結局、秀次は大将としての学びも行ったが、もっとも関心を持ったのは女であった、若いから仕方ないとしても叔父の秀吉譲りの女好きは病的であった
だからこそ秀吉もそれを危ぶんで「女道楽は家の中だけにしろ」と釘を刺したのだ、実際それを言われる前の秀次の乱行は城下で知らぬ者がない
町屋の娘や女房でも見染めると、すぐに手籠めにする、逆らうと暴力に訴え、抵抗して殺された家族もいたのだ。
 秀吉に叱られてからは、ようやく庶民に手を出すことは辞めたが、秀次にこびを売る者たちは、良家の美女を土産に秀次に近づいた
正室が二人、側室は名のある者だけでも30名近く、子もできた

 こんな話をすると秀次は道楽者で片付けられてしまうが、才があったのか、和歌や能は秀吉の勧めで、それなりの腕前であったし
茶道も秀吉の勧めで千利休に師事して、高弟七人の一人に数えられるほどにの腕前になった。
因みに高弟となった大名は、細川忠興、蒲生氏郷、高山右近、木村重玆、古田織部などがいる
また武将としてもデビュー戦の長久手の戦の大敗が、むしろ薬になって、その後は指揮した戦で負けたことがない
 秀吉も、そのように成長してゆく秀次に期待したからこそ、自分の後を継ぐものとして認めて関白を譲ったのだった

 ところが秀次の第二の不幸は、淀殿が思いがけず秀頼を産んだことで始まった、それが原因となって秀次の不幸だけでとどまらず、豊臣家の基盤を揺るがす史上まれな大獄が秀吉によって引き起こされる
この原因は、秀吉の老いも関係している、老いがすすんだことで淀殿と秀頼への愛情が大きくなった、それは秀頼を守りたいという親心
秀次はじめ親族大名を秀頼守護の力とすればよいものを、秀吉は排除に向けてしまった、これが大きな過ちであった。
結局、このことがライバル徳川家康の力を強めることにつながっていく、明らかに秀吉の老いは進んできた。

 そんな秀吉は幾つも難題を抱えている
朝鮮、明との交渉、秀頼の将来、ヒステリックになった淀への対処
秀頼が産まれた当初は当然としても、それ以後も秀吉との床入りを拒むようになった、なおも迫るとヒステリーを起こしてわめく
これには秀吉も手を焼くばかりである、他の側室であれば叩いてでも従わせるが、淀は秀頼の唯一の母親である、さすがの秀吉も淀には腫れ物に触る様にsているしかなかった。
 他にも一向に進まぬキリシタン排除、これはキリシタン大名があまりにも多くなって無理に弾圧すれば反乱も起きかねないほどである、小大名では家臣全員をキリシタンの信者にしようとする者さえ出てきた
小西行長も領土の天草で広めているし、前田利家や細川忠興などもキリシタンに寛大な処置で接している
さらに、かって茶人の最高峰で、秀吉も師事した千利休を切腹に追い込んだが、その弟子である大名の間には未だに納得しない者がいるということ
また朝鮮から戻った兵士の間に、厭戦どころか反戦の機運が高まっていること
秀次の動静が気になって仕方ない
それと自分自身も感じる老い、秀頼の成人を見ることが出来ない気がしている
そんな弱気の反面、大明を従えてから、南蛮人も従えようという大きな野望
つねに秀吉の前には超えることが出来なかった、織田信長の姿が浮かんでいる
これを成し遂げて、初めて信長を超えることになると思っている、それも焦りの原因になっている。






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