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インテックス大阪 G20 咲洲 負の遺産 大阪国際見本市会場

2019年07月01日 13時08分14秒 | G20大阪サミット


G20大阪サミットの会場となったインテックス大阪


インテックス大阪(大阪国際見本市会場)     出典 Wikipedia

 首脳会合は、大阪湾を埋め立てて造成した人工島の咲洲(さきしま)にある国際展示場、インテックス大阪(大阪国際見本市会場)で開かれる。国際メディアセンターや国際放送センターもインテックス大阪(大阪国際展示場)に設置される。
 見本市会場を会場とするので、これまで開催された首脳会合の会場に比べて、極めて「質素」な会場となった。また人工島の咲洲というロケーションでは、開催都市・大阪らしい雰囲気ひゃ日本の伝統文化の香りはまったく感じることはできない。G20首脳への「おもてなし」という観点で見ると首をかしげざるを得ない。昨年のG20アルゼンチン2018の写真を見れば一目瞭然である。(前掲)
 インテックス大阪は、1985年に大阪市が、市政百周年を記念して建設した国際展示場で、インテックス大阪(Intex Osaka= International Exhibition Center)という愛称が付けられている。
 敷地面積は、12万8986平方メートル、延床面積13万2709平方メートル、総展示面積7万2978平方メートルで、日本国内では、延床面積は東京ビッグサイト(東京都)、幕張メッセ(千葉県)に次いで3番目を誇る。
 「インテックスプラザ」、「スカイプラザ」という名付けられたホールを中心に1号館から6号館まで6つの展示館が配置されている。
 インテックス大阪は、展示会・見本市を中心に、企業インセンティブ・式典・表彰式・パーティー・大規模コンベンション、イベントやコンサートを年間に200件以上開催している。
 しかし、利用状況はここ数年、横ばいか微増で、交通の便が悪い立地条件がネットとなり、厳しい経営環境が続いている。見本市の開催は、東京の一極集中が加速、とりわけ東京ビックサイトの一人勝ちとなっている中で、大阪の地盤沈下はなかなか挽回できないでいる。インテックス大阪がまとめた2017年度からの5か年計画でも、今後大幅な開催件数の伸びは期待できないとしている。
 大阪市は、埋め立て地に21世紀を展望する新しい臨海都市をつくる「テクノポート」構想を打ち出し、バブル経済の絶頂期に総工費2兆2000億円を投入して、大阪湾に咲洲(160ha)、舞洲(225ha)、夢洲(390ha)の3島を造成して、先端技術開発・国際交易・情報・通信機能の3つの中核施設の整備をすすめた。しかし、バブル経済は崩壊、「テクノポート」構想は挫折し、大阪市は4兆円を超える負債を抱えて破産寸前に陥った。咲洲に建設されたアジア太平洋トレードセンターやワールドトレードセンターはいずれも破産、今のその後遺症に苦しめられている。インテックス大阪は破産は免れたが、咲洲全体が「負の遺産」の象徴になっている場所なのである。日本で初開催となるG20の会場は、「夢と希望」に彩どられた場所ではない。

 インテックス大阪は、建設以来30年以上を経過し、施設は老朽化が激しく、大規模な改修工事が迫られている。
 その象徴がトイレ事情である。
 インテックス大阪には、「国際展示場」を掲げているにも関わらず、未だに38基の和式トイレが残っていた。今回、そのうち半分の19基を洋式に変更し、さらに女性用トイレ16基と多目的トイレ1室で構成される『トイレ棟』を新設、便器だけでなく洗面設備、床、壁、天井なども全面的に改修した。その総費用は1億2700万円という。
 また蒸し暑い大阪の初夏に備えてエアコンも更新する。参加国の政府関係者から「日本の雨期は暑いと聞くが大丈夫か?」と不安の声もあったとされ、大阪市は約9278万円をかけて空調設備を更新した。

 37の国と国際機関の代表団が集まるインテックス大阪には、首脳会合だけでなく、約200回の二国間会談(バイ会談)が開催される予定である。見本市会場のインテックス大阪には、こうしたホスピタリティー・スペースはない。このため約20の会談室を仮設で展示場内に新たに整備した。会議室は「西洋のホテル風」の豪華な内装にしつらえるという。G20の首脳が勢揃いする首脳会合場も、首脳が集まるにふさわしい豪華な内装が施されるだろう。
 「西洋のホテル風」にしつらえた会議室は会議終了後、首脳会合場を除き、解体される。展示場には20室の豪華な会議室は不要だろう。
 大阪市では、G20サミット終了後の7月2日と3日に、希望者を募り、500人程度の市民を対象に首脳会合場や会議室の見学会を催す。
 しかし、わすか数日間のためだけに、多額の経費を投入して整備される「西洋のホテル風」の会議室、無駄遣いと感じるのは筆者だけであろうか?

 大阪市は、「アジアNO1のMICEセンター」を目指して、展示場面積を10万平方メートルに拡充し、会議場も併設するオールインワン型のコンベンションコンプレックスが施設の整備が必要という提言をまとめた。また、大阪・関西に強みがあるIoT、AI、ドローン、ロボット、高齢化、ライフサイエンスなどをキーワードして展示会やイベントの誘致に力を入れていくとした。
 関係者の間では、インテックス大阪はを将来的に廃止し、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を目指す隣の人工島・夢洲(ゆめしま)や大阪市の中心部の梅田周辺に約10万平方メートル規模の建設し、国内最大級の国際会議・展示施設を整備する案も持ち上がっているという。
 2025年大阪万博の開催にも期待を寄せているが、シンガポールや香港、中国などアジア諸国との見本市ビジネスの競争激化の中で、大阪が「「アジアNO1のMICEセンター」としてどう生き残るのか、その課題は山積している。



「大阪オートメッセ2019」 出典 インテックス大阪


インテックス大阪 西ゲート 出典 Wikipedia


インテックス大阪  センタービル 出典 Wikipedia


総展示面積7万2978平方メートル、6つの展示場を備える日本で第三位の国際展示場  出典 インテックス大阪







2019年6月30日
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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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