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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

2020年冬・哀切の北海道旅行(1)

2020-04-25 02:09:30 | 旅行記・北海道編
令和初の北海道旅行である。平成は31年間、毎年冬まつりに出かけたが、令和はどうなるだろう。
今年は11日の建国記念の日が火曜日で、もし会社勤めを続けていたら、10日(月)を休むかどうか、大いに悩むところだった。
皮肉にもそれは杞憂?に終わり、行きは7日(金)、帰りは12日(水)の日程となった。帰りはいつでもよかったが、求職中とあっては、いつまでも遊んでいるわけにはいかない。

今回はANAの無料航空券の利用である。行きは13時00分の便だった。
7日(金)朝、準備を整える。今回は長期旅行なので、ビデオ録画の容量をかなり空けなければならない。一部はブルーレイディスクに移動したりして、かなり面倒だった。
そしてもうひとつ大問題。ANAカードが財布になかった。これはクレジットカードとSuica機能も有していて、かなり重要なアイテムである。もちろん今回の予約でも使用した。そのカードが見当たらなくなっていた。
いつもはジャンパーのポケットに入れていたのだが、ここ何日かの間に消え、JR利用の際は、普通のSuicaを使っていた。でもANAカードは財布にあると思っていたのだ。
実は今日、オフクロも日帰り旅行に出ることになっており、11時に家の近くから出発する。ちょうど私と同じ時間に出る感じだったが、私がこんな有様では出発できない。オフクロには先に出てもらい、私は心当たりを探しまくった。
と言ったって調べるところは限られているから、すぐに窮した。
あれえ? どこに行ったのだ‼
出先で失くしたということはない。だから家にあるはずなのだが……。
どうしようもなく、私は出発した。こんなに不安な出発は初めてだった。

駅前の金券ショップで浜松町までの切符を2枚と、モノレールきっぷを1枚買い、山手線に乗った。みんなは働いているのに、私はプーの立場で旅行。これはかなり空しかった。
浜松町からのモノレールは、空港快速ゆえか、意外に混んでいた。
羽田空港第2ビルに着き、ANAのカウンターで、チケットを発券してもらう。これはANAカードがなくてもできる。係の女性は、帰りのチケットも発券してくれた。
ANA065便に搭乗すると、スッチーはマスク姿だった。新型コロナウイルスの対策だが、こんないでたちは初めてだ。とはいえ、マニアには堪らない姿である。
定刻に出発。傍らのオーディオ機能は最新版で、前の席のモニターにいろいろ映った。道理で、スッチーが積極的に、イヤホンを配っていたわけだ。
通常の仕様では、番組を選択して受動的に聴くが、ここでは自分の聴きたいアイテムをリピートできた。これはすこぶる便利である。それで私は、村下孝蔵の「初恋」、渡辺美里の「My Revolution」を交互に聴いた。東京オリンピックにはこの機能のものが普及して、世界からの観光客を楽しませてくれるのだろう。
蛇足ながら、落語は「桃太郎」だったが、これは湯川恵子さんの落語で聞いていたから、ここでは聞かなかった。
なおスッチーが飲み物を配る時は、透明の手袋をつけていた。日本でコロナウイルスの感染者が見つかったのは先月下旬だが、さすがに航空会社で、感染予防には万全を期していた。
新千歳空港には、14時35分に着いた。私はまず、オヤジに電話をする。いろいろ考えたのだが、私はこの1週間前にトコヤに行っている。その際私はいつも、玄関脇の文机の抽斗に、メガネを置いてゆくのだ。その時、ANAカードも無意識に置いたのではないか? そしてそれを取り忘れた、と。もうこのくらいしか、カードの在処を思いつかなかった。
だがオヤジとは繋がらなかった。
気を取り直して、旅行貯金である。今日は平日なので、できるのだ。たしか空港内に郵便局があったので、そこで済ませたい。
それで、以前の記憶を頼りに探したが、ない。インフォメーションセンターで聞き直すと、どうも変なところを案内された。
戸惑いつつその場に着いたが、やたら狭い。不安感満載のまま局員に聞くと、現在は切手販売と発送しかやってないとのこと。以前あった郵便局は閉鎖し、規模を縮小したらしかった。
いやこれは誤算である。札幌まで行けば郵便局はいくらでもあるが、それでは午後4時を過ぎてしまう。
それと、切符の問題がある。例年は3~4日の行程だから行く場所も決まっていたが、今年はあっちこっち行けそうだ。となれば「北海道フリーきっぷ」が便利だ。JR全線の特急列車とJRバスに1週間乗れるヤツだ。
ただ不愉快なのが、ANAカードで買えないことだ。いま、政府はキャッシュレスを推進していて、いくらかポイントバックがある。ANAカードにもそれが適用されそうだが、カードがない。仮に適用されなくとも、通常のマイルは溜まる。それがなくなってしまうのが痛いのだ。返す返すも、私は痛い忘れ物をしたのだ。
みどりの窓口に行って、同きっぷを買う。27,430円はけっこうな額だ。なお支払いには、銀行系のカードを使った。
次の千歳線下りは15時15分発の快速エアポート153号である。札幌まで行ったらタイムアウトだから、どこかで降りねばならない。ただ幸いなことに、どこで降りようが、もう追加料金はかからない。
15時22分、千歳で降りた。この西口駅前に郵便局があったからだ。
今年の北海道は雪が記録的に少ない。数日前にドカ雪は降ったらしいが、どのくらいのものだろう。果たして駅前の雪は少なかった。
「千歳郵便局」207円。
15時37分の快速エアポート155号に乗り直す。車内は適度に混んでいたが、座れた。外国人の姿は、思ったよりなかった。
さてここで、再び選択である。札幌で降りて、夜の「さっぽろ雪まつり」を愉しむか。それともこのまま小樽へ行って、「小樽雪あかりの路」を愉しむか。
やはり「さっぽろ」は明るいうちからじっくり見たいということで、小樽まで行くことにした。
16時07分、札幌着。我が155号はこのまま小樽まで行くのである。6分後の13分、出発した。
手稲を過ぎて、日本海の荒波が見えてくるはずだが、私は海を背にして座っているので、見られない。それで、スマホを繰っていた。何となく、「小樽雪あかりの路」の最新情報を入手しようと思った。
……なにい⁉
まさかの情報に、私は目を剥いた。
(つづく)
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「煙が目にしみる」全20話を観終えた

2020-04-24 00:23:26 | 将棋雑記
23日の読売観戦記に、え? と思う箇所があった。詳しく指摘するのは嫌味だから書かないが、記録は「66歳」じゃないの?
よく分からないが。

   ◇

当ブログでは昨年の12月3日に、BS12「銀河テレビ小説・煙が目にしみる」の案内をした。12月11日は、第1話の感想を書いたが、先月だったか、全20話を視聴し終わった。
でも初見当時からの記憶違いが多く、記憶のいい加減さに苦笑した。
まず、オープニングの青野照市七段(当時)の、「煙詰」の指し手が素早い。ササッと進んでいくのだ。私はもっと、一手一手重厚に指したと思った。またオープニング音楽も、私が記憶していた曲と違っていた。
奨励会三段・根本信吾(川谷拓三)の恋人・宮坂千草(根岸季衣)は生活費を稼ぐため、フラメンコダンサーからストリッパーに転身するのだが、それは物語の終盤、たとえば第17話くらいだと思っていた。
実際は最終話で、千草が地方の舞台で踊り、下着を脱ごうというとき、駆けつけた信吾がカーテンを放り投げ、彼女の略奪?に成功するのである。
物語全体の感想としては、間延びしているな、と思った。
各回20分の全20回で、オープニングを1分とすると、本編は19分×20回で380分=6時間20分となる。信吾の四段昇段の記にしては、ちょっと長い気がする。ぎゅっと搾って、2時間半ぐらいのスペシャルドラマにしたらいいと思った。
違和感も数々あるが、真っ先に挙げられるのは、根本の弟弟子・垣見である。垣見は新進気鋭の若手五段、という存在である。だが、演者の誠直也に貫禄がありすぎるのだ。
誠直也は1948年6月25日生まれで、撮影当時は32歳。すでに「ファイヤーマン」「秘密戦隊ゴレンジャー」「特捜最前線」の人気番組に出演経験があり、キャリアは十分だった。
師匠・内堀勇八段(松村達雄)の愛娘・香子(田坂都)と結婚し一軒家に住んでいるのだが、リビングでブランデーをくゆらす画はとても新鋭五段に見えず、突っ込みどころ満載で笑えてしまう。
ほかには、棋士の指し手についてのセリフが微妙におかしい。例えば第6話で、信吾が指した将棋を、内堀と垣見が批評するシーン。

垣見「これが敗着ですねえ。8一ヒなら勝ったんじゃないでしょうか」
信吾「8一ヒか……」
内堀「一目で指し切りだな。気取った手を指すから潰れるんだ」

「ヒ」は「飛車」と言うのではなかろうか。内堀のセリフも、「指し切ってるな。気取った手を指すからそうなるんだ」くらいでどうだろう。
さらに、第12話で内堀が青野七段と指した将棋。

図の△4八歩に内堀が▲5九金と寄った手が好手で、
「内堀先生の一手勝ちですよ。逆転ですよ」
と控室から声が飛んだ。だが、私レベルでは、まだまだ先手の一手勝ちには見えない。
この対局のあと、内堀が料亭で、垣見に漏らす。
「いやー、はじめのうちはもたれて指したんだがね、5筋に角が成られてからずっとこっちが悪かったんだよ。ハハ、最後は指し運だな、王さんが固い分だけ得したよ」
やはり、セリフが微妙におかしい気がする。「指し運」とは「指運(ゆびうん)」のことだろうか。また玉の固さも、双方同じだと思う。ただこちらは、セリフに見合った局面が用意できなかったのだろう。
いずれにしても、脚本は愛棋家のジェームス三木だから、もう少し自然なセリフが書けたはずなのだが。

当時はスタジオ撮影が多く、若干安っぽい印象を受けた。これはこれでとても味があるのだが、いまのNHKが同じドラマを創ったら、もっとリアリティのあるものになるのではないか。
なお、当時の四段昇段条件は、「13勝4敗」か「9連勝」。現行の三段リーグでは、9連勝はもちろん、13勝5敗でも14勝4敗でも、四段に昇段できる保証はない。昇段者も年4人に限られており、当時より厳しくなっている。
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過去記事を推敲する・2

2020-04-23 00:23:37 | 将棋雑記
ときどき当ブログの過去記事を見るが、そのたびに、冗長な文章に辟易する。
2016年10月13日の記事では、過去の一記事を取り上げ、現在の目で推敲した。自分ではまずまず修正したと思ったのだが、読者のコメントでは、前の文章のほうがいいということだった。これは意外な感想だった。
とにかくそんなわけできょうは、3年半ぶりに推敲作業を行いたい。
題材はきょうと同じ日付の、しかも古いものがいい。それで2011年の4月23日を探したが、該当記事がない。
よく考えたらこの日は将棋合宿に行っていて、当時ケータイを持っていなかった私は、記事のアップができなかったのだ。そのため、2009年5月19日から続けていた連続投稿が、この日でストップしたのだった。
よって、翌4月24日の記事を推敲する。

●原文(2011年4月24日)

「5月7日(土)は、どっちだ⁉」

先月だったか今月だったか、将棋ペンクラブ幹事のHak氏に、「将棋ペンクラブ大賞第一次選考会」の選考委員を打診された。これは前年の4月から今年の3月までに発表された観戦記や書物から、優れた作品をピックアップするという、重要な作業である。
一次選考は原則的に幹事が行うので、一会員にすぎない私には関知しないことではある。あるのだがそこはそれ、会報常連の私に湯川博士統括幹事も目をかけてくれ、私はほかの会員より、内部寄りにいる。実際湯川統括幹事の誘いで、一時は幹事見習いになったこともあったのだ。
もっとも私はネが怠惰なので、その後の活動に積極的に参加しなかった。ところが昨年、ひょんなことから将棋ペンクラブ大賞第一次選考会に請われ、同席させていただいた。その縁でまた、今年もお誘いがあったというわけだった。
その選考会だが、今年は5月7日(土)と聞いて、ちょっと二の足を踏んだ。昨年と同時期ではあるのだが、今年は日程の関係で、6日(金)の仕事を休むと、3日から8日まで6連休になる。これは絶好の旅行日和ではないか! いま、ウチの仕事はヒマである。無理をいえば休みは取れる。しかし一方で、将棋ペンクラブ幹事が私に協力を求めている。旅行か、ペンクラブか――。私はヒトの頼みは断れない。即答はしないまでも、やはり7日は一次選考会に顔を出そうと考えていた。
ところが――。
14日のLPSA木曜ワインサロンに出席したとき、主宰の船戸陽子女流二段から、5月7日に第5期マイナビ女子オープンの予選組み合わせ抽選会があると聞いて、驚いた。将棋関係の行事がよりによって同日に重なってしまったからだ。
同抽選会は一昨年から始まったもので、全国の将棋ファンが参加女流棋士の代わりにクジ(直筆サイン色紙)をひ引き、そのクジ(色紙)がファンへのプレゼントになるという、一石二鳥の好企画である。私は過去2年とも参加し、一昨年は野田澤彩乃女流1級の色紙を引き当てた。
そして昨年は、中村桃子女流1級、中倉彰子女流初段、室谷由紀女流3級(当時)の中から色紙を引くという、願ってもないチャンスに恵まれた。そこで私は中村女流1級の色紙を引き、まあそれはそれでたいへん喜ばしかったのだが、その後室谷女流3級が同棋戦で大活躍し、彼女があんなに魅力的なら、室谷女流3級の色紙獲りにもっと念を入れればよかったと、軽い後悔をしたものだった。
そんなエピソードがあったので、私は今年も予選抽選会に参加し、ぜひとも室谷女流初段の色紙を引き当てたい、と考えていたのだ。今年は過去2年と違って週末の開催だから、将棋ファンの参加人数は爆発的な数に上るだろうが、それでも参加したい。ああしかし、一次選考会の作業も重要なのである。
将棋ペンクラブの活動に、ギャラは一切出ない。幹事はすべて無給で、いわば手弁当のボランティアである。ならばそんな一次選考委員の話なんか、断ってしまえばいい。
しかしコトはそう単純ではない。ギャラが発生するのなら、仕事を拒否すればいい。代わりはいくらでもいるからだ。しかし「おカネの話が関係ないと、断る理由もない」という、ヘンな考え方もできるのだ。前述したが、全国に数多いる会員の中から私指名でお誘いを受けているのに、それを無下に断ることはできない。
以上、大いに迷うところではあるが、現在の心境は、旅行よりも予選抽選会。予選抽選会よりも一次選考会参加、というところである。


●推敲後

「5月7日(土)は、どっちだ⁉」

先月だったか今月だったか、将棋ペンクラブ幹事のHak氏に、「将棋ペンクラブ大賞第一次選考会」の選考委員を打診された。これは前年の4月から今年の3月までに発表された観戦記や書物から、優れた作品をピックアップするという、重要な作業である。
一次選考は原則的に幹事が行うので、一会員の私には関知しないことだ。ただ、会報常連の私はほかの会員より、内部寄りにいる。事実湯川博士統括幹事の誘いで、幹事見習いになったこともあったのだ。
でも私は、その後積極的に参加しなかった。ところが昨年、ひょんなことから将棋ペンクラブ大賞第一次選考会に請われ、同席させていただいた。その縁で、今年もお誘いがあったというわけだった。
その選考会だが、今年は5月7日(土)と聞いて、ちょっと引っ掛かった。昨年と同時期ではあるのだが、今年は日程の関係で、6日(金)の仕事を休むと、3日(火)から8日(日)まで6連休になる。これは絶好の旅行日程ではないか!
いま、ウチの仕事はヒマで、無理を言えば休みは取れる。しかし一方で、将棋ペンクラブ幹事が私に協力を求めている。旅行か、ペンクラブか――。私はヒトの頼みは断れない。やはり7日は、一次選考会に顔を出そうと考えていた。
ところが――。
14日のLPSA木曜ワインサロンに出席したとき、主宰の船戸陽子女流二段から、5月7日に第5期マイナビ女子オープンの予選組み合わせ抽選会があると聞いて、驚いた。将棋関係の行事が同日に重なってしまったのだ。
同抽選会は一昨年から始まったもので、全国の将棋ファンが参加女流棋士の代わりにクジ(直筆サイン色紙)を引き、それが同時にファンへのプレゼントになるという、一石二鳥の好企画である。私は過去2年とも参加し、一昨年は野田澤彩乃女流1級の色紙を引き当てた。
そして昨年は、中村桃子女流1級、中倉彰子女流初段、室谷由紀女流3級(当時)の中から色紙を引くという、願ってもないチャンスに恵まれた。そこで私は中村女流1級の色紙を引き、まあそれはたいへん喜ばしかったのだが、室谷女流3級があまりにも魅力的で、こんなことなら彼女の色紙獲りにもっと念を入れればよかったと、後悔をしたものだった。
そんなエピソードがあったので、私は今年こそ室谷女流初段の色紙を引き当てたい、と考えていた。今年は週末の開催だから、参加人数は爆発的に多くなるだろうが、それでも参加したい。しかし、一次選考会の作業も重要なのである。
将棋ペンクラブの活動に、ギャラは一切出ない。幹事はすべて無給で、手弁当のボランティアである。それゆえに、私も協力したくなるのだ。
大いに迷うところではあるが、現在の心境は、旅行よりも予選抽選会。予選抽選会よりも一次選考会参加、というところである。

……以上。

中盤までは意外に推敲は少なかったが、終盤、一次選考会に出席するか否かの逡巡は長すぎて、読んでいてウンザリ。思い切って削除した。約270文字の削減。
それより、本文の内容自体が興味深かった。中でも、前年(2010年)のマイナビ抽選会の、最終3枚の色紙のくだりが凄かった。何しろ、どれを引いても当たりだったのだから。
当時は「室谷女流3級」を引き損ねて落胆したが、いまとなっては「中村女流1級」のそれも、宝物である。
また、5月7日は当初の予定通り、将棋ペンクラブの一次選考会に参加した。女流棋士の色紙より、選考委員を選んだのだ。バカだよなあ。
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LPSA芝浦サロン・渡部愛女流初段4(後編)

2020-04-22 00:20:59 | LPSA芝浦サロン

第4図以下の指し手。▲8六同角△8八歩▲7七桂△8九歩成▲4五歩△5三角▲6四歩△同角▲同角△同飛▲6五歩△6二飛(第5図)

LPSA芝浦サロンは駒込サロンと違い、会員同士の自由対局は推奨されなかったので、指導対局が終わった人は帰るしかなかった。だから今回もポツポツと人が少なくなっていった。
第4図で私は▲8六同角と取ったが、どうだったか。ふつうに▲8六同歩で、角を中央に利かせておくべきだった。▲8六同歩は△8七銀~△8八歩を嫌ったのだが、プロがそんなイモ手を指すわけがない。
本譜△8八歩にも、▲同飛と取る手はなかったか。△6五銀▲同桂△同飛▲同金△8八角成の筋を嫌ったのだが、考えすぎ。ただ、▲7七桂と跳びたいところでもある。
下手は△8九歩成とされて忙しいが、次の▲4五歩は、手順に△5三角と引かれてお手伝いだった。
私は抑え込みにかかっているので、駒の交換は網が破れてしまう。それを誘発した罪は重かった。

第5図以下の指し手。▲4六角△9二飛▲8五桂△4九角▲5九玉△3九銀▲2六飛△6七角成▲同金△4八金▲6八玉△4七金▲7三角成(第6図)

▲4六角△9二飛で飛車を僻地にやったようだが、△4九角の反撃が厳しかった。
私は▲5九玉と催促したが、一手の価値がない。渡部女流初段に△6七角成~△4七金と一本道で二枚換えされ、大きく形勢を損ねた。
第5図に戻って、いまだったら▲7三角△9二飛▲4六角成とするかもしれない。

第6図以下の指し手。△4八銀不成▲6六角△8八銀▲2四歩△同歩▲同飛△2二歩▲3四飛△4四歩▲3五飛△3七銀不成▲4四歩△4六銀不成▲2五飛△3三桂▲2七飛(第7図)

実は第6図からの指し手に意味不明のところがある。△4八銀不成▲6六角に、渡部女流初段が香取りを放置して、△8八銀と若干的外れなところに打ったからだ。
対して私も香を取らず、▲2四歩。棋譜が間違ってるんじゃないのか?
たとえば▲6六角のところでも、いまの目なら▲5五歩も考えたいところである。
本譜に戻り、△2四同歩▲同飛△2二歩に、▲同角成△同金▲同飛成は、△5九角以下詰み。なるほどこうなれば、△8八銀も十分効いている。とはいえ▲3五飛は一手の価値がなく、戦意が感じられない。

第7図以下の指し手。△4五桂打▲同桂△同桂▲6四桂△6三金▲8三馬△6四金▲同歩△6五桂▲7四馬△3一玉▲8六歩△7七歩(投了図)
まで、100手で渡部女流初段の勝ち。

第7図のあたりではほかの会員も全員帰ってしまい、渡部女流初段と2人だけという異常な状況になっていた。
△4五桂打は盤上から私の桂を消す好手。それでも▲同桂△同桂に▲6四桂と打って一瞬面白くなったと思ったが、強く△6三金と上がられていけない。
▲8六歩は▲7八玉~▲8七玉の脱出を見たものだが、冷静に△7七歩と脱出路を塞がれ、ここで投了した。玉は包むように寄せよというが、投了図は典型的な左右挟撃である。
本局、3年ぶりに教えていただき、中盤は駒損ながら厚みのある将棋にしたのに、その後に空中分解してしまい、いささか消化不良の残る将棋にしてしまった。

後日談。注目の倉敷藤花戦は、渡部女流初段VS貞升南女流初段が6月25日(水)に行われ、渡部女流初段が敗れた。というわけで、臨時マッカラン勝負で賞品を渡したのは、私だけになってしまった。
芝浦サロンの最終日は27日(金)で、その日は中倉シスターズの担当だった。
最終日とあって、駒込サロンの常連だったW氏、Kun氏、そしてHon氏らが姿を見せた。
私は彰子女流初段に指導対局を受けた。続けて宏美女流二段に指導を受けようとするも、ほかのみんなが飲みに行くというので、私もそちらを選んだ。その飲み会は楽しい時間だった。
あのあと、芝浦サロンのスペースには、学習塾が入った。すべては夢。懐かしい思い出である。
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LPSA芝浦サロン・渡部愛女流初段4(前編)

2020-04-21 00:10:06 | LPSA芝浦サロン
最近、プロ棋士のオンライン指導対局が流行りのようである。このたびLPSAも開講した。名付けて「LPSAオンラインサロン」。初回は26日(日)で、担当は島井咲緒里女流二段。ファンクラブ「Minerva」会員限定で、90分8,000円は値が張るが、女流棋士を独り占めできる時間は至福に違いない。
2014年6月9日(月)、LPSA芝浦サロンで、渡部愛女流初段(当時)に教えていただいた将棋を初披露する。
駒込サロンが芝浦に移転してから私は徐々に足が遠のき、前年11月29日以来の訪問だった。
また芝浦サロンはこの翌月から「LPSA麹町サロンin DIS」として衣替えをすることになっており、このころは惜別の雰囲気が漂っていた。
私は2010年から、LPSAの女流棋士を対象に「勝手にマッカラン勝負」をやっていたが、当時は2013年10月1日から2014年3月31日までブログを休止していた(というか、やめるつもりだった)。よってこのときは渡部女流初段のみに、臨時マッカラン勝負を敢行していた。
すなわち、倉敷藤花戦で渡部女流初段が勝ち進むごとに、ジョナ研メンバーがリレーで賞品をプレゼントする、というものだった。
結果は、渡部女流初段が2回戦で清水市代女流六段に勝ち、第一関門を突破。まずは私がプレゼンターである。芝浦サロンに行く前に日本橋に寄り、賞品選びだ。記憶がハッキリしないのだが、今治のタオルセットを購入した気がする。
そしてちょっと信じられないのだが、渡部女流初段に教えていただくのは2011年5月13日以来、約3年ぶりだった。
午後7時半からの回に予約を入れたが、10分前に入ると、渡部女流初段が6面指しをしていたのでびっくりした。この時間帯は講師側の休憩時間にあたっていたが、芝浦サロンは厳しく時間を制限していなかったので、みんなズルズルと延びてしまったのだろう。
指導対局前に「ご愛顧感謝くじ」を引くと、LPSA全棋士扇子が当たった。移転に伴い、在庫一掃を図ったのだろうが、それにしてもいいものが当たった。
ひとり抜けたので、いよいよ私が対局となった。

初手からの指し手。▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲7七銀△6二銀▲2六歩△4二銀▲4八銀△3二金▲7八金△5四歩▲5六歩△4一玉▲6九玉△7四歩▲5八金(第1図)

当時渡部女流初段は女流名人リーグと女流王位リーグに入り、すでに一流棋士の片鱗を見せていた。この日はピンクのブラウスで、愛らしかった。
私の▲7六歩に、△3四歩なら振り飛車、△8四歩なら矢倉の作戦だったが、渡部女流初段は後者だったので、私は▲6八銀から矢倉を志向した。
以下は昭和の定跡通り進み、▲5八金の次の手が作戦の岐路。

第1図以下の指し手。△6四歩▲6六歩△6三銀▲3六歩△7三桂▲2五歩△5五歩▲同歩△同角▲3七桂(第2図)

△6四歩が今流。昔だったらこの手は銀矢倉への第一歩だったが、現代では急戦の意思表示だ。
私は▲2五歩と伸ばす。作戦的にはスズメ刺しが好きなのだが、上手の急戦&中央志向には立ち遅れる。もはやスズメ刺しは消えた戦法なのだ。
しかも△3三銀と受けるような渡部女流初段ではなく、当然△5五歩。▲同歩△同角が飛車取りで、▲3七桂と受けるようでは先手陣が薄い。

第2図以下の指し手。△5二飛▲5六歩△4四角▲6七金右△5四銀▲4六歩△6五歩▲4七銀△8五桂(第3図)

△5二飛の矢倉中飛車に▲5六歩はいいとして、△4四角には▲6七金左だったか。上手が中央志向なので、それに対抗せねばならなかった。
△5四銀に▲4六歩も一手の価値がなさそうだが、ほかに指す手がなかったのだろう。
渡部女流初段は△6五歩。満を持しての攻めという感じで、早くも下手つぶれそうだ。
これにはふつうに▲同歩でよかったと思うが、私は前手を継承して▲4七銀。渡部女流初段は反対側に△8五桂と跳んだ。

第3図以下の指し手。▲6五歩△7七桂成▲同金上△6二飛▲5七桂△5二金▲6六金左△8五歩▲7七角△8六歩(第4図)

渡部女流初段は軽口を交え、楽しそうに指導を進める。中にはこれを楽しみにしている客もいるが、私は盤上没我のほうだ。
ここで▲8六銀では△6六歩でつぶれなので、▲6五歩。銀桂交換の駒損は仕方ない。
△6二飛には▲5七桂と辛抱する。ここを乗り切ればまだまだ指せる。△5二金には▲6六金左と盛り上がり、渡部女流初段が
「アウーン、これどうやって崩すんですか?」
と悩まし気な声を上げた。
それに惑わされたわけではないが、△8六歩に▲7七角はどうだったか。▲5五歩が利くなら利かせたかった。これに△6三銀なら得だが、無視して△8六歩もある。でも指導対局だから、おとなしく△6三銀だったのではないか。
本譜に戻り、△8六歩に次の手もどうだったか。

(つづく)
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