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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

「第30回将棋ペンクラブ大賞」二次選考を終える

2018-06-20 00:06:10 | 将棋ペンクラブ
今年も5月22日に、「将棋ペンクラブ大賞」二次選考の観戦記集が送られてきた。今年で第30回である。私は二次選考委員を第25回から仰せつかっており、今年で6年目となる。
大賞選考の過程を簡単に説明すると、一次選考委員(おもに幹事)が厳選した観戦記、文芸図書に、二次選考委員が「優・良・可」の評価と、コメントを付ける。この点数を加算して大賞候補をしぼり、後日最終委員(木村晋介会長など)の選考によって、各大賞が決まるのである。なおコメントも会報に掲載される場合があるので、いい加減なことは書けない。
また、ほかに「技術部門」もあるが、素人の私たちはタッチしない。
話を戻すが、観戦記の一次選考は個人によって異なるから、ここは運不運が生じる。ただしそれを言ったら、「ミス○○」の選考も、個人の好みだ。
二次選考に上がった観戦記(好きな将棋が、文章で彩られている最高の読み物だ)は、例外なくおもしろい。まさに甲乙つけがたく、楽しくも苦しい選考の時間が待っているのだ。
が、それだけにこの楽しみは、あとにとっておきたい。それで私は封を開けず寝かしておいたのだが、6月5日になってハッと気づいた。
しまった! すっかり忘れていた! もう読まなくては!!
封を開けると、今年は17局の観戦記(のコピー)が同封されていた。さしずめ「将棋ペンクラブ特製・2018年版観戦記アンソロジー」で、この玉稿を読めるのは、世界広しといえども、二次選考委員の10名だけだ。
評価の締切は、13日(水)。幸い観戦記を読む時間は十分にある。問題は文芸図書で、これは個人で「可能な限り」用意しなければならない。今年は5冊がピックアップされていた。
私は区の図書館のHPを開く。幸い、5冊とも収蔵されていた。藤井本を予約したら、1冊貸出中だったが、どうなるのだろう。とにかく5冊とも予約した。
なお、図書館にない場合は、本屋で立ち読みするか、自腹で購入、ということになる。もっとも本屋にあっても、立ち読みする時間と度胸はないから、大抵は購入となる。今年は5冊全部あってよかった。
翌6日、観戦記を一気に読む。翌日に持ち越すと、体調の変化で感想が変わってくるからダメだ。
評価は絶対評価なので、極端な話、全部「優」にしてもよい。ただしそれをやると首になるので、重箱の隅をつついて瑕疵を見つけるのである。私の場合、2回読んで2回とも「うん?」と引っ掛かる箇所があれば、涙をのんで減点してしまう。
その結果、今年は「◎優1、優6、良9、可1」という評価になった。「◎優」は評価の項目にないが、優の中でもとくによかったものに、勝手に◎を付けている。
13日に投函する前にもう一度読み直したところ、渡辺弥生さんの観戦記を「良」にした理由がよく分からず、「優」に変更した。こんな感じで、読み直すと評価が変わってしまうので、要注意だ。
今年の観戦記部門最終評価は「◎優1、優7、良8、可1」となった。

続いて文芸部門である。とりあえず3冊借りられたので、それを読破した。「優1、良2」だった。ここまでは13日に投函した。
問題は残りの2冊で、どちらもすぐ読めると思ったのに、図書館に行って確認すると、1冊は74人待ち、もう1冊は1人待ちだった。
もう締切日を過ぎているから、私はアオくなり、本屋に行った。比較的大きな本屋を2件回ったのだが、どちらもなかった。
私は帰宅して、74人待ちの本だけ、ネット注文した。もう1冊の方は、図書館から返ってくるほうが先になると思った。
注文の本は16日(土)に届いたが、563ページもある大作で、読むのに時間がかかった。
もう1冊のほうは、16日に図書館に行った際は戻っていなかったが、18日(月)にPCのメールを確認すると、16日の夕方に図書館から、本が用意できた旨のメールが届いていた。
このすれ違いがあり、この本を読んだのは19日だった。
私は18日と19日に、幹事にメールで、評価を知らせた。が、遅かった。19日朝に、「将棋ペンクラブログ」で最終候補作が発表された。私の評価は反映されなかったのだ。
ちなみに残りの2冊は、「◎優」「優」だった。これらは最終選考に残っただろうか――。
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将棋ペンクラブ関東交流会2018(3)

2018-06-19 00:13:50 | 将棋ペンクラブ
4局目はYaj氏と戦う。棋力は三段で、一応私が後手だ。
Yaj氏が早く飛車先の歩を決めてきたので、私は向かい飛車に振る。その後、7~8筋方面で戦いが起こったのだが、私はと金を2枚作り、負けない態勢。ではあるのだが、この類は結着がつくまで先が長いのだ。
事実Yaj氏は詰み上がりまで指すタイプのようで、妙に進行が遅い。
やっと最終盤になったが、傍らでKun氏が観戦していたため、光速の寄せを見せてくれるワと詰ましにいったが詰まず、面倒なことになった。
ただし勝敗に影響はなく、私の勝ち。これでイーブンになった。
辺りを見回すと、今年は一昨年ほどの大盛況ではないが、昨年並みの入りだ。しかしどこか景色が違う。
よく考えたら、幹事はA氏のほかに、Mo氏、Hak氏の姿がない。Was氏の姿もないが、氏は現在「将棋ペン倶楽部」の編集で忙しい、とさっき聞いた。私は無職だから、彼の多忙が羨ましい。
会員では、関西のHa氏、Sig氏の姿がない。また長野県のHige氏もいない。
その代わりといってはなんだが、今年は女性の参加が多い。ここにも将棋ブームの余波が現れている。
現在Osa氏とNi氏が戦っている。星のつぶし合いで、結構長い戦いだ。対局会は勝数のみの争いになるので、ここで時間を使ってくれたほうがいい。
縁側で、軽食のおにぎりを頬張る。将棋会館で将棋を指し、腹が減れば満たす。将棋ファンにとって至福の時間である。
5局目はTak三段と指す。私の後手で、相居飛車となった。Tak氏が▲3四飛と横歩を取った手に対し、私は△8八角成▲同銀△2八歩▲同銀△4五角。いわゆる△4五角戦法だ。
ここでメジャーな定跡は▲2四飛といったん寄るのだが、Tak氏は▲7七角。これで分からなくなってしまった。

第1図以下の指し手。△8八飛成▲同角△3四角▲1一角成△3三桂▲3六香△6七角成▲同金△7九飛(第2図)

△8八飛成から△3三桂までは当然の進行。ここで▲8四飛なら△2五角で後手よし、と石橋幸緒さんに教わったことがあるが、Tak氏は▲3六香。もし▲2四飛△2三歩の交換が入っていれば角が4五にいるので、△3六同角▲同歩△5四香と進めるのだが、これでは角を切れない。
とはいえこの進行なら後手が得になっているはず。しかし正着が分からず、私は角切りから△7九飛と強襲した。

第2図以下の指し手。▲6九飛△同飛成▲同玉△8八飛▲7八角△8七銀▲同角△8九飛成▲5八玉△8七竜▲3三香成△6九角▲4八玉△6七竜▲3二成香△4六桂(第3図)

飛車の王手にTak氏は▲6九飛と合わせたが、▲6九歩でよかったと思う。
私は△8八飛。もはや攻め続けるしかないのだが、これが正着とも思えない。▲7八角にはいったん△8九飛成と桂を取ってから、△8七竜。これで少し盛り返したと思った。
Tak氏は待望の▲3三香成だが、ここはもう一手我慢し、▲6八歩と金取りを受けて先手が十分だったと思う。
本譜は私が金を取り、△4六桂が必殺手だった。

第3図以下の指し手。▲3六歩(途中1図)

△5八竜(途中2図)

▲3七玉△4七竜▲2六玉△3六竜(投了図)
まで、一公の勝ち。

ここでTak氏が大長考に沈む。第3図で▲4六同歩は△4七金▲3九玉△3八歩▲同金△同金▲同玉△6八竜(参考1図)。そこでA▲2七玉は△2六歩が最後の1歩の好打で、a▲2六同玉は△2八竜▲3五玉△2五竜、b▲1八玉も△2八竜▲同玉△2七銀▲3九玉△3八金まで詰む。またB▲4八桂は△同竜▲同玉△4七金▲3九玉に△3八歩と、ここでも最後の1歩が利き、詰む。

よってC▲5八桂合だが、これも△5八同竜▲2七玉△2八竜▲同玉△2七歩(参考2図)▲同玉△3五桂以下詰む(つまりA▲2七玉には、すぐ△2八竜でも詰む)。

つまり必至級と認識していたのだが、Tak氏が▲3六歩と逃げ道を開けたのが、なかなかの粘りだった。
勝ちは我にあるはずなのだが、決め手が見つからぬ。しかし逸って指して寄せ損ね、Ni戦の二の舞になるのはごめんである。
そこで△5八竜が閃いた。
指してしばらくすると、「竜ノコですか」とTak氏はつぶやいた。
これを▲5八同金は、△3八金▲5九玉△5八桂成まで。よって▲3七玉と逃げることになるが、竜をタコ糸のように使って詰む。本譜は△3六竜まで、Tak氏の投了となった。この詰み筋があるから、△6八竜でなくジカづけの△5八竜が正着なのだ。

感想戦。第2図の△7九飛にはやはり▲6九歩がよかったようで、以下△8九飛成▲3三香成△5五桂なら、▲4二成香(参考3図・Tak氏の指摘)△同銀▲5五馬のような手もあって、先手が有望だった。

本局、中盤までは冴えなかったが、最後はうまくまとまった。こういうギリギリの勝負を制すると、自信になる。
これで3勝2敗。ついに貯金1である。
(22日につづく)
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将棋ペンクラブ関東交流会2018(2)

2018-06-18 00:40:00 | 将棋ペンクラブ
大広間には、Kun氏、ミスター中飛車氏、Ok氏らの姿があった。Ok氏はわざわざ千駄ヶ谷まで、熱心なことだと思う。
次の対局を待っていると、湯川博士幹事に話しかけられた。
「仕事はどうなの?」
「あ、ああ…昨年で仕事を畳みまして、今求職中です」
私の失職なのを知って、慮ってくれたのだろうか。
「将棋指してんの」
「はあ、時間はあるんですが、だからといって将棋を指す気にもならなくて…」
もっと話をしたかったが、私に対局が付いてしまった。相手はNi氏で、関東交流会最多勝の常連である。逆にいえば、この直接対決を制せば、私が最多勝に近づける。
Ni氏は確か五段だったが(手合いカードは見ない)、振駒とし、私の先手になった。
▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩。Ni氏はウソ矢倉が得意なので、そうなる前に私が急戦に出る。Ni氏は矢倉風味から中飛車に振り、右玉に構える。ただしこれはNi氏の将棋ではないはずで、私が気分的にラクになった。
ただ形勢自体は難しく、一進一退。でも私の攻めが何となく決まったようで、私が後手玉を寄せきれそうな雰囲気になった。
そこで室内がザワつく。森内俊之九段がいらしたのだ。森内九段は、第26回の将棋ペンクラブ大賞で、文芸大賞の優秀賞を受賞している。
ビッグネームの登場に、私たちは大拍手で歓迎の意を示す。
「今日は公務で将棋会館に来たんですが、交流会があると聞いて、お邪魔しました」
私たちはニコニコしながら挨拶を拝聴する。先の指導対局と合わせ、私はこれだけでもう、3,000円の元を取った感じだ。
さて、私の将棋である。私が▲7五歩と打って詰めろを掛けたのに対し、Ni氏は△7四歩と打ってそれを防いだ。「敵の打ちたいところへ打て」の好手で、意外に粘りがある。

第1図以下の指し手。▲4五角△5四銀▲同角△同香▲5二銀打△7三玉▲7二金△8四玉▲8一金(第2図)

この局面は私の勝勢だと思うが、寄せ見えなくなってしまった。あまり考えてもアレなので▲5四角と王手したが、何となくおかしい。
以下力づくで追って、△7三玉に▲7二金。「取れないってわけですね」とNi氏は苦笑する。
△7二同玉はもちろん詰み。それでNi氏は△8四玉と逃げたが、私のほうも▲8一金と飛車を取った感触が悪い。金がソッポで、しかも詰めろでないからだ。完全に流れがおかしくなった。

第2図以下の指し手。△8九銀▲9七玉△7八銀不成▲8二金△8七銀成(投了図)
まで、Ni氏の勝ち。

Ni氏は△8九銀。9七に打つ手ばかりを考えていたので、意表を衝かれた。
△7八銀不成にいまさら受けてもいられないので▲8二金と迫ったが、これでも詰めろでないっぽい。
と、Ni氏は△8七銀成! しまった、これで詰みだったか! 無念の投了である。

「△9七銀で詰まないので、△8九銀と打った」
とNi氏。一方、私は釈然としない。さすがに終盤は私の勝ちでしょうと検討するが、やってみると、後手玉も耐久力がある。
「私は(途中まで負けと思っていたので)全然読んでなかったから」
とNi氏が言うので、私が一人で意見を言う形だ。
さんざん突っついて、第1図では▲5三歩で先手有望、の結論が出た。詰めろで迫ればよかったのに、無理に玉を追い駆けておかしくした。いい将棋を、もったいないことをした。
というわけで、2局終わって0勝2敗は厳しい。早くも最多勝に黄信号が灯ってしまった。
3局目はOsa氏と。Osa氏も最多勝の常連で、私はこの直接対決がラストチャンスだ。
Osa氏の昨年の自己申告は1級。今年は「二段」と修正申告したが、それでも本来の段位と乖離がある。ちなみに私は四段で申告した。本当は三段だが、周りが許してくれなかった。
対局前に、年齢のことで雑談する。Osa氏は私を40代と思っていたそうだ。それはありがたいが、こんなに禿げあがった40代はいない。
Osa氏も若々しいが、年齢を聞いたら結構な数字だった。将棋を指すと若くなるのだろうか。
将棋は後手Osa氏の三間飛車。でも氏得意の穴熊には組まず、美濃囲いだった。
私は4筋から急戦を目指すが、▲4四歩△同銀のあと、▲2五歩とこちらに攻めの舵を取ったのが工夫。
これにOsa氏が動揺?し、私は二段目に飛車を成り込み、▲5二銀。△同金▲同飛成が△4三の金に当たっているが、Osa氏は△6一銀打と守りを固める。私は▲4三竜と金得し、さすがにこの岐れはよくなったと思った。
その得した金を4六に打ち、馬を叱る。Osa氏は「うわあー、ひどいねえ」とボヤくが、Osa氏はちっとも堪えていないので、騙されてはいけない。

Osa氏は馬を自陣に引くが、私は▲4四歩と閉じ込める。ここで焦って攻めたら負ける。どんなに汚らしくても、負けない手を心掛けた。
このあとOsa氏は駒損の攻めで8九に馬を作ったが、私は▲5九飛と打ち馬を殺し、数手後Osa氏が投了した。

大豪Osa氏に勝てたのは望外の戦果。ようやく片目を開け、私はホッと一息である。
(つづく)
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将棋ペンクラブ関東交流会2018(1)

2018-06-17 00:18:08 | 将棋ペンクラブ
5月19日(土)は、東京・将棋会館で「将棋ペンクラブ関東交流会」があった。
いつもヒマな私だが、週末の外出は精神的にラクだ。何となく10時前に家を出て、適当な時間に、千駄ヶ谷駅に着いた。現在駅構内の工事中で、改札口が西寄りに移動していた。
将棋会館への街並みは、微妙に変わっていた。私は慢性的な引きこもりなので、街の変化には疎い。
鳩森八幡神社にお参りする。週末ではあるが、いつにない混雑だ。まさか「藤井効果」の余波でもあるまいが。
敷地内に「泣き虫しょったんの奇跡」の広告看板が設置されていた。瀬川晶司五段が主人公の、この秋公開の映画だ。私はほとんど興味はないが、映画のラストは気になる。すなわち「棋士になってハッピーエンド」だったら、ちょっと甘いと思う。棋士になってからがスタートなのだから。
ちなみに私が映画監督だったら、熊坂学五段か中尾敏之五段の映画を作る。
10時36分、将棋会館に入る。「関係者以外立入禁止」の、3階に上る感覚がいい。
4階の大広間に入り、In氏にお金を払う。いつもの幹事連中はいるが、A氏の姿はなかった。
今年の指導棋士は上野裕和五段と、中井広恵女流六段である。中井女流六段に空きがあり、In氏が対局を付けてくれた。
中井女流六段に挨拶する。中井女流六段にお会いするのは、何ヶ月か前に蕨将棋教室で指導対局を教わって以来。さらにその前となると、何年か前、教室の帰りに中華料理屋に入り、そこに中井女流六段が顔を見せた時となる(この中華料理屋「大味」は、6月1日の日本テレビNews every.「女房あっての美味繁盛店」で紹介された)。
私「お久しぶりです。手合いはどうしましょうか」
中井女流六段「なんで私が決めるんですか」
というわけで、平手にしてもらう。ただし平手の戦績は、私の1勝(2勝?)20数敗である。

初手からの指し手。▲7六歩△8四歩▲2六歩△8五歩▲7七角△3四歩▲6八銀△3二金▲7八金△7二銀▲2五歩△7四歩▲4八銀△7三銀(第1図)

中井女流六段はいつも通り、圧倒的な熟女ぶり。3面指しで、右の先客は飛車落ちだった。
▲7六歩△8四歩に、早くも作戦の岐路である。気分的には飛車を振りたいのだが、中井女流六段の左美濃or穴熊は、難攻不落だ。結局▲2六歩として、相居飛車となった。
数手後の▲6八銀に△3二金が今風で、素直に角は換えないのだ。
私は雁木に組むのか、自ら角を換えるのか。中井女流六段は方針を決めているようで、△7三銀と早くも出動してきた。

第1図以下の指し手。▲2四歩△同歩▲同飛△4一玉▲2八飛△2三歩▲4六歩△6四銀▲4七銀△7五歩▲同歩△同銀(第2図)

私の左に対局者が入った。棋力は三段とのことだが、「せっかくの記念なので…」と平手を所望した。
第1図で私は飛車先の歩を切ったが、どうなのだろう。将棋ソフトはこの手を有効と見ないらしいが、でもやはり換えたくなる。
△4一玉に私は▲2八飛と引いたが、▲3四飛はどうか。以下△2八歩▲2四飛△2九歩成▲同飛△7七角成▲同銀△2二銀は、上手が歩切れではあるが、桂得で指せるのだろう。
△2三歩に▲4六歩。近い将来角交換になるから、4筋の歩を突いた。中井女流六段は予定通り△6四銀と繰り出し、△7五歩▲同歩△同銀。

第2図以下の指し手。▲2二角成△同銀▲7七銀△7六歩▲6六銀△6四銀▲6八玉△5二金▲9六歩△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8二飛(第3図)

左の人は三間飛車。中井女流六段は左美濃に組み、万全の態勢だ。
私のほうは、後手(上手)に先攻され、私が受けに回っているという情けない展開。このままでは8筋が危ないので、バカバカしいが私から角を交換した。
△2二同銀に、▲7七銀と上がらなければならないのがつらい。
しかしこれでは▲6八銀と上がった意味がない。ということは私の▲4六歩~▲4七銀が不急で、▲6六歩~▲6七銀と雁木を急ぐべきだった。
中井女流六段は△7六歩。これに▲8八銀では元気が出ないので、▲6六銀とぶつける。中井女流六段は△6四銀と引き、ここまでは互角の流れだと思った。
というところで、私の▲9六歩が緩手。将来的な△9五角の王手を気にしたのだが、何をビビッているのか。▲5八金と上がるべきだった。

第3図以下の指し手。▲7二歩△同飛▲8三角△7三飛▲5六角成△8三角▲同馬△同飛(第4図)
▲7二角△8四飛▲6一角成△8三角▲同馬△同飛(第4図)

ここで▲7二歩と垂らしたのが狙いの一手。数手後▲5六角成でしてやったりと思ったのだが、よく見ると△8三角がある。4七銀が浮いているので、▲3四馬と逃げられないのだ。
実戦も△8三角と打たれ、私は▲8三同馬としたのだが、ここでは▲7四歩と頑張る手があったか。本譜は歩損だけが残ってしまった。
私は▲7二角から再度馬を作るが、中井女流六段は「ウン、(しょうがない)」という感じで、やはり△8三角。▲同馬△同飛で、さっきの局面に戻ってしまった。
だから▲9六歩では▲5八金だったのである。

第4図以下の指し手。▲5八金△8二飛▲5六銀△3三銀▲3六歩△3一玉▲4五歩△9四歩▲3七角△9五歩▲同歩(第5図)

私は1歩損しているから、千日手は歓迎である。しかし指導対局で下手がそれを望むのもどうかと思う。
もう一度▲7二角と打って様子を見る手もあったが、私は▲5八金と上がる。もちろん、これでも指せるという読みである。
中井女流六段は△9四歩と、悠長に端歩を突く。私は▲3七角と据え、敵飛のコビンを狙った。とはいえ、狙いが見え見えだ。
△9五歩には▲6五銀右と指し掛けたが、穏やかに▲9五同歩と取った。

第5図以下の指し手。△9八歩▲同歩△9七歩▲同桂△9五香▲6五銀右△9六歩(投了図)
まで、72手で中井女流六段の勝ち。

中井女流六段は△9八歩と打った。私は△9七歩と控える手を予想していたので、慌てた。△9四歩は悠長どころではない。最も早い攻めだったのだ。
左の将棋が終わり、中井女流六段の勝ち。三段氏、やはり平手では厳しかった。
私は△9八歩を取るしかないが、以下△9五香まで。ここで私は▲6五銀右とぶつけたが、△9六歩が厳しく、考えているうち、戦意を喪失してきた。
もはやこれまでと投了。エッ!? と中井女流六段は驚いたが、本人も自身の勝ちを確信していたはずだ。
「いやー、▲9五同歩で▲6五銀右でしたか」
私はすぐさまボヤく。
「でも△6四銀形だからね」
中井女流六段、単に銀交換しても上手がいいでしょう、という口ぶりである。
私は▲7二歩の垂らしがすべて。苦労して作った馬を消されてからは、もう下手が勝てない将棋だと思う。
ああ、貴重な指導対局だったのに、残念だった。当然ながら、中井女流六段は強かった。

(つづく)
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タイトル獲得の特典

2018-06-16 10:22:05 | 将棋雑記
渡部愛女流王位のタイトル獲得はめでたい。LPSA設立以来、最高のビッグニュースになったと思う。
渡部女流王位がタイトルを獲ったことで、今後どんな特典があるのか考えてみた。

1.女流三段に昇段した。
2.女流四段への道が近くなった。
3.優勝賞金を取得する。
4.(たぶん)対局料が高くなる。
5.第30期女流王位戦五番勝負に出場する。
6.第32期竜王戦に出場できる。
7.第60期王位戦に出場できる。
8.第67期王座戦に出場できる。
9.第13回朝日杯将棋オープン戦に出場できる。
10.第69回NHK杯女流棋士出場者決定戦にほぼ出場できる。
11.第50期新人王戦にほぼ出場できる。
12.第9期加古川清流戦にほぼ出場できる。
13.第9期女流王座戦は、本戦トーナメントにシードされる。
14.第41期女流王将戦は、本戦トーナメントにシードされる。
15.第27期倉敷藤花戦は、2回戦より出場する。
16.LPSAより女流王位の新グッズが発売される(売れる)。
17.東京新聞(三者連合)元日の恒例、「王位VS女流王位」のお好み対局に出場できる。
18.NHK「将棋フォーカス」で特集が組まれる。
19.「将棋世界」に記事が載る。
20.ますます人気が出る。

タイトル戦に出場することは大変な勲章で、それだけでもけっこうな特典がある。タイトルを獲ればなおさらである。それだけ渡部女流王位は大変な偉業を達成したということだ。
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