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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

A級昇級前にタイトルを3期獲った棋士

2020-10-22 00:09:20 | 将棋雑記
永瀬拓矢王座は王座防衛によってタイトル3期になり、九段に昇段した。「A級未経験でタイトル2期or3期での即日九段昇段」は渡辺明竜王(当時)以来、2人目。
では、A級昇級前にタイトルを3期獲った棋士を見てみよう。

中原誠十六世名人……棋聖・棋聖・棋聖
高橋道雄九段……王位、王位・王位、棋王、十段
羽生善治九段……竜王、棋王・棋王、王座、竜王・棋王
屋敷伸之九段……棋聖・棋聖、棋聖
渡辺明名人……竜王・竜王・竜王・竜王・竜王・竜王
藤井猛九段……竜王・竜王・竜王

中原十六世名人は20歳のときの1967年、第11期棋聖戦でタイトル戦初登場。C級1組・五段での挑戦はセンセーショナルだった。このときは山田道美棋聖に2勝3敗で敗れたが、翌期にリターンマッチし、奪取。初タイトルを手にした。以降も2期、棋聖を防衛した。
1971年にA級八段に昇級昇段、翌年に名人奪取。もう文句なしに九段なのだが、このころは九段昇段規定が未整備で、当時の九段は塚田正夫、大山康晴、升田幸三の3名しかいなかった。なお木村義雄十四世名人が九段云々の話は聞かないが、それを超越した永世名人だったから、九段位はどうでもよかったのだろう。
1973年秋に「九段昇段30点制」が導入され、中原十六世名人はそれに該当し、同年11月3日に、ようやく九段に昇段したのだった。

高橋九段は1983年、五段で内藤國雄王位を破り、王位獲得。五段でのタイトルはセンセーショナルだった。その後も棋王、十段などを奪取し、B級1組在位時で、すでにタイトルを5期獲得していた。
しかし当時もまだ「タイトル2期で八段」などのルールがなかったため、いくらタイトルを取っても、七段据え置きだった。
1989年にA級昇級・八段昇段。1年以内の二段階昇段はなかったため、九段昇段にはさらに1年待つことになった。しかしこれだけ成績抜群の高橋九段でも、A級昇級後はタイトルを獲れなかった。

羽生九段は1989年、第2期竜王戦で島朗竜王を破り、初タイトル。1992年、棋王を防衛しタイトル3期になったが、段位はまだ七段だった。1993年にA級昇級・八段昇段したときはタイトル6期、竜王・王座・棋王の三冠王だった。
なお羽生九段も九段昇段まではあと1年待つことになった。ただ、当時はタイトル名での呼称が馴染んでいたので、昇段はほとんど話題に上らなかった。

屋敷九段は1990年・第56期棋聖戦で中原棋聖から奪取。このときC級1組在籍だった。翌期も防衛し、1997年、3度目の棋聖を獲得した。このときもまだC級1組で、同クラスでのタイトル3期は記録である。

渡辺名人は2004年、C級1組在籍時に第17期竜王戦で森内俊之竜王を破り初戴冠。以降竜王を9連覇した。A級には、6連覇時にあたる2010年に昇級。九段昇段は竜王2期目。A級未経験でのタイトル2期or3期での即日昇段第1号となった。

藤井九段はB級2組在籍時の1998年、第11期竜王戦で谷川浩司竜王を破り初タイトル。翌期、翌々期も防衛した。このときB級1組在籍だった。
現在の規定では2期目の竜王を獲った1999年に九段昇段だが、当時は翌2000年10月1日に九段昇段している。

郷田九段は四段時に棋聖挑戦(敗退)、王位挑戦(獲得)、棋聖挑戦(敗退)という輝かしい記録を持っている。1998年には棋聖を獲得し、3つめのタイトルは時間の問題に思われた。A級へは一足早く、1999年に昇級した。3つめのタイトル獲得は、2001年だった。

中原十六世名人から藤井九段までの6名は、もちろん全員、A級に昇っている。永瀬王座は現在B級1組だが、A級昇級は時間の問題といえる。
コメント (2)
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