7日(土)は迷ったのだが、いろいろ打ち合わせることもあり「大野教室」に向かった。
といってもむろんイヤイヤではなく、喜び勇んでの川口行きである。
大野教室には午後1時40分ごろに入った。と、すぐ後に中井広恵女流六段が、ガチャリ、とドアを開けて入ってきたのでビックリした。
私のすぐ後ろを歩いていたのか? じゃあ声を掛けてくれればいいのに、と思ったが、中井女流六段も照れくさかったのだろう。ふふ…。
しかし中井女流六段、桜色のスーツがお似合いで、きょうもエレガントである。
人間が若返る、ということは物理的にはあり得ない。しかし中井女流六段は、数年前と比べると、明らかに若返っている。肌がつやつやしているし、何より笑顔がキラキラと輝いている。娘さんも大きくなって、いまがいちばん充実しているのではなかろうか。
室内にはズラッと少年少女がおり、大野八一雄七段が多面指しの指導対局を行っていた。成人はW氏、Is氏がいた。
まず大野七段に「将棋ペン倶楽部」の最新号を渡す。大野七段は、「忘却の角<完結編>」の主人公である。昨年5月の吉田正和四段戦の自戦解説で、大野七段が「▲6六角」の一手をド忘れしていなかったら、前後編のエッセイはこの世に出なかった。大野七段に感謝するところ大である。
余談ながら、次のエッセイの題材にしたいのは中倉宏美女流二段である。しかし、「取材」の時間がないのが悩みのタネである。
奥の部屋に入ると、Fuj氏とMa君が一般対局を行っていた。最終的な人数は大人4人、子供(未成年)7人。
私はまず、美少年君と指す。彼には過去2戦して2敗。いずれも振り飛車でやられているが、どちらもこちらの模様がよかったので、悲観はしていなかった。
対局開始。どちらが先手だか忘れてしまったが、美少年君が飛車を振るかと思いきや、居飛車で来たのでビックリした。彼の居飛車は初めて見るが、芸域を拡げよう、の心意気が窺えてうれしかった。彼は強くなる。
将棋は終始むずかしい戦いだったのだが、(私が先手だとして)盤上に▲8一竜がおり、▲2一飛成△3三玉▲3二竜△同玉▲4四桂△同馬▲4一銀△2二玉▲3二金△1三玉▲1四歩△同玉▲2五銀(以下△1三玉▲1五香)まで、私が相手玉を華麗に詰ませて、制勝した。
2局目は、Saw君が私と、美少年君がFuj氏と対局。私の先手で、▲7六歩△3四歩▲2六歩に、Ma君は、ちょっと首をヒネって△7四歩。こんな手も試してみたいんですけど、という手で、これも若々しくて好感が持てた。
将棋は相掛かり調に進んだが、△7六歩の存在が大きく、後手優勢。
▲2七歩、2九桂、3七歩、3八金、4六銀、4七歩。△2四飛、6五角の局面でMa君は△2八歩だが、ここは△2六歩▲同歩△同飛とされると、▲2七歩に△4六飛があり(▲同歩は△3八角成)、私が負けていた。
本譜も私が大苦戦だったが、私が5筋に綾をつけにいった手を、Saw君が素直に応接したのがマズかった。以下は私の無理攻めが通って、これも私の勝ち。
きょうはあることがあって、ちょっと将棋を指す心境ではなかったのだが、指運がよかったようだ。
すでにみんなは3時休みに入っており、ここで私も休憩に入る。
といっても、みんなは詰将棋に夢中だ。それで私も、大野七段からプリントをいただく。しかし今回は一目、解き易そうだ。最初の問題が7手で解けたので怪訝に思ったら、4題とも7手詰だった。
詰将棋のレベルが上がりすぎて一部の生徒からは不評だったのだが、大野七段は、弱者の願いを聞き入れてくれた、ということらしかった。
対局再開。いよいよ大野七段に、角落ちで教えていただく。相居飛車で進むが、私は▲8八金と寄り、次に▲7八飛のぶっつけを見る。けっこう私は力戦形に進めることが多い。
中井女流六段は、奥の部屋で指導対局中。本当に綺麗で、思わず見とれてしまう。自分の筆力では、彼女の美しさを、しっかり伝えられないのがもどかしい。しかし中井女流六段は、このあと帰宅するとのこと。残念である。
局面――。数手進んで、上手△6二銀、6三金、7三桂、8四飛。下手▲3七角、7五歩、7八飛・持駒歩 の局面で、私は▲6四歩。以下△同金▲同角△同飛▲7四金としたが、△2八角が当然ながら粘りある手で、むずかしい戦いになった。
▲7四金では▲7四歩と突きだすべき。その前の▲6四歩でも、▲7四歩と突く手を掘り下げるべきだった。
その終盤、以下の局面になった。
上手・大野七段:1一香、1五歩、2一桂、2二銀、2三玉、2四歩、2八馬、3三歩、4三歩、5三金、5四歩、6五歩、6六香、6七銀、7六歩、8五歩、9一香、9四歩 持駒:金、歩2
下手・一公:1七歩、3五歩、3七桂、4五歩、4七金、4八玉、5六歩、5七銀、6二竜、6四と、7九飛、8七歩、8八金、8九桂、9六歩、9九香 持駒:銀、桂
△2八馬と寄られたところ。次に△5八金までの詰めろで、ヘタな受けをすると△3八金でも詰んでしまう。また負けたか…。私は投了を考えた。
ところがこの将棋、11手後に私が勝つ。
(つづく)
といってもむろんイヤイヤではなく、喜び勇んでの川口行きである。
大野教室には午後1時40分ごろに入った。と、すぐ後に中井広恵女流六段が、ガチャリ、とドアを開けて入ってきたのでビックリした。
私のすぐ後ろを歩いていたのか? じゃあ声を掛けてくれればいいのに、と思ったが、中井女流六段も照れくさかったのだろう。ふふ…。
しかし中井女流六段、桜色のスーツがお似合いで、きょうもエレガントである。
人間が若返る、ということは物理的にはあり得ない。しかし中井女流六段は、数年前と比べると、明らかに若返っている。肌がつやつやしているし、何より笑顔がキラキラと輝いている。娘さんも大きくなって、いまがいちばん充実しているのではなかろうか。
室内にはズラッと少年少女がおり、大野八一雄七段が多面指しの指導対局を行っていた。成人はW氏、Is氏がいた。
まず大野七段に「将棋ペン倶楽部」の最新号を渡す。大野七段は、「忘却の角<完結編>」の主人公である。昨年5月の吉田正和四段戦の自戦解説で、大野七段が「▲6六角」の一手をド忘れしていなかったら、前後編のエッセイはこの世に出なかった。大野七段に感謝するところ大である。
余談ながら、次のエッセイの題材にしたいのは中倉宏美女流二段である。しかし、「取材」の時間がないのが悩みのタネである。
奥の部屋に入ると、Fuj氏とMa君が一般対局を行っていた。最終的な人数は大人4人、子供(未成年)7人。
私はまず、美少年君と指す。彼には過去2戦して2敗。いずれも振り飛車でやられているが、どちらもこちらの模様がよかったので、悲観はしていなかった。
対局開始。どちらが先手だか忘れてしまったが、美少年君が飛車を振るかと思いきや、居飛車で来たのでビックリした。彼の居飛車は初めて見るが、芸域を拡げよう、の心意気が窺えてうれしかった。彼は強くなる。
将棋は終始むずかしい戦いだったのだが、(私が先手だとして)盤上に▲8一竜がおり、▲2一飛成△3三玉▲3二竜△同玉▲4四桂△同馬▲4一銀△2二玉▲3二金△1三玉▲1四歩△同玉▲2五銀(以下△1三玉▲1五香)まで、私が相手玉を華麗に詰ませて、制勝した。
2局目は、Saw君が私と、美少年君がFuj氏と対局。私の先手で、▲7六歩△3四歩▲2六歩に、Ma君は、ちょっと首をヒネって△7四歩。こんな手も試してみたいんですけど、という手で、これも若々しくて好感が持てた。
将棋は相掛かり調に進んだが、△7六歩の存在が大きく、後手優勢。
▲2七歩、2九桂、3七歩、3八金、4六銀、4七歩。△2四飛、6五角の局面でMa君は△2八歩だが、ここは△2六歩▲同歩△同飛とされると、▲2七歩に△4六飛があり(▲同歩は△3八角成)、私が負けていた。
本譜も私が大苦戦だったが、私が5筋に綾をつけにいった手を、Saw君が素直に応接したのがマズかった。以下は私の無理攻めが通って、これも私の勝ち。
きょうはあることがあって、ちょっと将棋を指す心境ではなかったのだが、指運がよかったようだ。
すでにみんなは3時休みに入っており、ここで私も休憩に入る。
といっても、みんなは詰将棋に夢中だ。それで私も、大野七段からプリントをいただく。しかし今回は一目、解き易そうだ。最初の問題が7手で解けたので怪訝に思ったら、4題とも7手詰だった。
詰将棋のレベルが上がりすぎて一部の生徒からは不評だったのだが、大野七段は、弱者の願いを聞き入れてくれた、ということらしかった。
対局再開。いよいよ大野七段に、角落ちで教えていただく。相居飛車で進むが、私は▲8八金と寄り、次に▲7八飛のぶっつけを見る。けっこう私は力戦形に進めることが多い。
中井女流六段は、奥の部屋で指導対局中。本当に綺麗で、思わず見とれてしまう。自分の筆力では、彼女の美しさを、しっかり伝えられないのがもどかしい。しかし中井女流六段は、このあと帰宅するとのこと。残念である。
局面――。数手進んで、上手△6二銀、6三金、7三桂、8四飛。下手▲3七角、7五歩、7八飛・持駒歩 の局面で、私は▲6四歩。以下△同金▲同角△同飛▲7四金としたが、△2八角が当然ながら粘りある手で、むずかしい戦いになった。
▲7四金では▲7四歩と突きだすべき。その前の▲6四歩でも、▲7四歩と突く手を掘り下げるべきだった。
その終盤、以下の局面になった。
上手・大野七段:1一香、1五歩、2一桂、2二銀、2三玉、2四歩、2八馬、3三歩、4三歩、5三金、5四歩、6五歩、6六香、6七銀、7六歩、8五歩、9一香、9四歩 持駒:金、歩2
下手・一公:1七歩、3五歩、3七桂、4五歩、4七金、4八玉、5六歩、5七銀、6二竜、6四と、7九飛、8七歩、8八金、8九桂、9六歩、9九香 持駒:銀、桂
△2八馬と寄られたところ。次に△5八金までの詰めろで、ヘタな受けをすると△3八金でも詰んでしまう。また負けたか…。私は投了を考えた。
ところがこの将棋、11手後に私が勝つ。
(つづく)