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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

3月25日の大野金曜教室(中編)

2022-07-01 21:28:03 | 新・大野教室
4局目は大野八一雄七段に角落ちで教えていただく。
「久しぶりだね」
「どーも」
「この前、指していくと思ったのに。帰っちゃうんだもん」
たしか2月だったか、支部会費を払うため、教室を訪れたのだ。そのときは指していくつもりだったが、気が変わって帰ってしまった。ま、私の将棋熱は、この程度である。

初手からの指し手。△5四歩▲7六歩△6二銀▲5六歩△5三銀▲2六歩△4二玉▲2五歩△3二玉▲4八銀△8四歩▲6八銀△4二金▲3六歩△8五歩▲7七銀△3四歩(第1図)

きょうはじっくりした将棋を指したかったので、矢倉を志向した。△3二玉に、以前なら▲2四歩だが、この歩交換は権利なので、いますぐには動かない。▲4八銀とした。
ただ、△4二金に▲3六歩はどうだったか。矢倉には必須の手ではあるが、▲7七銀を急ぐべきだったかもしれない。

第1図以下の指し手。▲7九角△5二金右▲3五歩△同歩▲同角△4四歩▲6八角△4三金右▲7八金△2二銀▲2四歩△同歩▲同飛△4五歩▲2八飛△2三歩(第2図)

▲7九角が違和を感じるところである。▲3六歩を突いたから、居角で戦う手もあったかもしれない。
私は3筋の歩を角で、2筋の歩を飛で交換し、まずまず。ただ、大野七段には2筋の歩交換を逆用され、△3三桂~△2一飛とされたことがあるので、それには留意しなければならない。

第2図以下の指し手。▲3七銀△4四銀▲3六銀△3三銀上▲5八金△5五歩▲同歩△同銀▲4五銀△5六歩(第3図)

私は3筋の歩交換を継承し、▲3七銀から▲3六銀と立つ。
▲5八金では▲6九玉も有力だが、5筋を厚くしたくなった。
大野七段は5筋の歩を交換したが、私は▲4五銀と1歩を得する。これで悪いわけがないと信じたが、大野七段に黙って△5六歩と垂らされると、後の△6五桂や△4五桂が気になって、急に自信がなくなってしまった。

第3図以下の指し手。▲6六歩△5二飛▲6七金右△4四銀上▲同銀△同金▲7五歩(第4図)

私は▲6六歩とした。次に▲6七金右とし、5六歩も取る算段である。
ぐずぐずできない大野七段は△4四銀上をぶつけてきた。こんな銀は交換する一手だが、△4四同金のあと上手には、△7四歩から桂の活用がある。そこで▲7五歩と突いたが、一手パスの感は否めない。
さっきまでは角落ちのアドバンテージがあったのに、いつの間にか指しづらくなっている。この将棋も負けそうな気がしてきた。

第4図以下の指し手。△5七銀▲7九角△4六歩▲同歩△同銀成▲5八歩△3六歩▲3八歩△3三桂(第5図)

露骨な△5七銀が痛い。私は▲7九角と引くしかないが、このあたりではもう諦めムードである。
△4六歩▲同歩には△同銀上がイヤだったが、大野七段は少考で△同銀成。私は▲5八歩と受けるしかないが、△3六歩▲3八歩を利かされ、ついに△3三桂。こっちの桂が出動してきた。

第5図以下の指し手。▲4七歩△同成銀▲4八歩△4六成銀(投了図)
まで、63手で大野七段の勝ち。

ぐずぐずできない私は、何か反撃しなければならない。そこで考えたのは、2筋の歩を打ち捨て▲4六角と切り、△同銀に▲2四飛と金取りに飛び出る手である。上手が金を逃げたら▲2三銀や▲2一銀で迫るという手だ。
だがすぐにそれを決行すると、▲2四飛の瞬間、△1五角の王手飛車がある。
そこで私は▲4七歩~▲4八歩とその筋を消した。だがそのあと、▲2四歩△同歩▲4六角△同銀▲2四飛には、△3五銀(参考A図)で簡単に受かってしまうのだ。

むろんいまから軌道修正はできるが、▲4七歩で1歩損をした上、3筋~5筋に歩が立たない。とてもここから勝てるとは思えず、投げてしまった。

局後、私は大野七段に誤算を述べた。すると最後の△3五銀で、「△3五角と打ちますね」とのことだった。
第5図では▲4七歩と打たず、黙って▲4八銀が正着だったらしい。次に▲4七歩と打って仕切り直しだが、まだまだこれからの将棋だったという。
それよりも問題だったのは第3図での▲6六歩だったらしい。「ここは▲6六銀でしょう」と大野七段。以下△5二飛なら、▲5五銀△同飛▲4六銀△5二飛▲5五歩(参考B図)とする。次に▲5六銀とすれば下手勝勢だ。

感想戦では出なかったが、第3図で▲5七歩はあったと思う。A△同歩成は▲同金だし、B△4四歩は手順に▲5六銀でいい。
下手は▲4五銀と歩得したのが大きく、△5六歩にも恐れる必要はなかったのだ。

もう帰ろう、と思ったところへ、U君が来た。U君と会うのも久し振りで、私は気が進まなかったのだが、一局指すことになった。
振駒で私の先手になり、▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩。これは雁木の狙いかと思いきや、相矢倉になった。そうだ、U君は矢倉党だったのだ。
しかも、U君はガッチリ矢倉を好む。そこで私は▲6六銀(第1図)と出動した。

しかし、▲5五歩△同歩▲同銀△5四歩に、ヒョイと▲4六銀とこっち側に引いたのが悪手。こっちは右銀の定位置で、これでは右銀の立場がない。
よって私は▲5七銀と引き、新たな活躍の場を作った。

第2図以下の指し手。△7四銀▲3七桂△3五歩▲2六飛△6五銀▲同銀△同歩▲4五歩△8六歩▲同歩△同角▲4四歩△同金▲2四歩△同歩▲4五銀(第3図)

私が▲4六歩と突いたところ。後手は4筋を厚くするかと思ったが、U君は△7四銀と、筋悪く出た。
▲2六飛に、U君は△6五銀とガッチャン。私も銀交換に応じ、▲4五歩。ここでは先手十分だと思ったのだが、そうでもなかったのだろうか。
△8六歩▲同歩△同角に▲4四歩△同金はいいとして、次の▲4五銀は威勢が良すぎた。私はAIソフトを持っていないが、これは恐らく悪手だろう。
対してU君の次の手は。

(つづく)
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3月25日の大野金曜教室(前編)

2022-06-30 00:12:05 | 新・大野教室
だいぶ前の話になるが、3月25日(金)は、大野金曜教室に行った。その前はいつ指したか思い出せないくらい、久し振りである。
教室へ入る前に縁起物だからと、川口駅ナカの立ち食い蕎麦屋でかけそばを食らった。
教室に入ると、子供たちが多い。この時間の直前まで子供教室があったのだ。
「子供たちが多いね」
「週末はもっとすごいよ」
とW氏。藤井聡太竜王の影響はまだ続いているようだ。親御さんが塾感覚で子供を通わせているのかもしれないが、一つイヤミを述べておく。誰も藤井竜王にはなれない。
私の第1局は少年と。ここの少年はみな雰囲気が似ていて、気だるそうに盤の前に座る。彼もそうだった。オジン臭い将棋を指すことに抵抗があるのだろう。
私の飛香落ちで対局開始。少年は飛車を1筋に据え、1歩交換を狙う。対して私が△4三銀型に組んだのが、実戦不足を露呈した悪手だった。ここは一公流で△2三銀とし、2筋を厚くすべきだった。
本譜は1筋に成桂を作られ、角を詰まされてしまった。初手からこの前後まで、大野八一雄七段の直伝なのだろう。生徒もよく理解して、指しこなしている。
でもこっちもやられたフリをして、銀香の二枚換えに持ち込んだのが上手の技である。そして△5六歩▲同歩△5七歩▲同金直△6五桂と攻め合いに持ち込んだ。厳密にいえば無理攻めだが、下手が正着を続けることができないのは、分かっている。
以下、私が下手を誤魔化して制勝した。
2局目はShin氏と。いまやShin氏はOk氏と並び、大野教室の貴重な成人常連で、私としてはShin氏と指すことが、おのが棋力のリトマス試験紙になる。
私の先手で対局開始。相居飛車はShin氏の研究に嵌まると見て、三間飛車に振った。
Shin氏は穴熊に組む。たしかShin氏との初対局でもShin氏がイビアナに組んだが、Shin氏が穴熊党というわけではなく、対振り飛車に有力な戦法と見ているだけのことだ。
私は5筋の歩を換え、▲5四歩と垂らす。対穴熊では、この筋に歩を垂らすのが有力と思う。△5二歩と受けさせれば利かしだし、△5二金(本譜)なら、いつでも▲5三歩成が権利となる。
Shin氏が△8二飛と戻した手に対し、私は▲4四歩△同歩▲4五歩。もし△同歩なら▲同桂で、次の▲5三歩成が受からない。
グズグズできないShin氏は△8六角と飛び出たが、▲同角△同飛に、▲5三歩成△同金▲7五角の飛金両取りが実現し、私が有利となった。
そこから局面は進み、私が▲3二金と詰めろに絡んだ局面。ここで△3一金打なら最悪千日手も覚悟したが、Shin氏は自陣に受けがないと見て、△3七角成と突撃してきた。しかし以下▲3七同玉△2五桂▲4六玉△4九竜▲同銀△4七金▲同玉まで、私の勝ちとなった。
Shin氏に勝つと大きな自信になる。私もまだまだ指せると思った。
3局目は見覚えのある少年と。振駒で私の先手となり、▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩▲同飛。
ここで少年が△2三歩と謝ったから怪訝に思った。この指し方で▲3四飛を誘い、のちの△2五角を狙うのが私の十八番なのだが、少年がその指し方をするとは思えない。
そこで少年をよく見ると、なんと、私がいつも飛車を落としていた相手だった。私が勝手に平手で指してしまっていたのだ。
当然飛車落ちで指し直す。しかし少年にはいつも負けており、本局も負けるんだろうなと思った。
だが私が思いのほかうまく指し、勝勢になった。最後はうまい詰みを見つけ、△7七桂(投了図)まで、私の勝ち。

ここまで堂々の3連勝で、指し将棋はとんとご無沙汰しているのに、私はなんて強いんだろうと思った。
だが、いいのはここまでだった。ここから私は、地獄を見ることになる。
(つづく)
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7月18日の4時から男(後編)

2021-08-11 16:45:15 | 新・大野教室

第1図で少年は▲4六竜と指しかけた。これでもいいが、相手玉に簡単な詰みがあるときは詰ましたい。
そこで少年は▲6六同竜。△同玉に▲6七銀で見事に詰ました。

W氏が少年に結果を聞き、勝ったことを伝えると、「勝ったの!?」とW氏が大仰に驚いている。
聞けば大野八一雄七段はすでに二枚落ちを卒業させたがっているが、その最終関門に私が選ばれたらしかった。
それならそうで、私にも指し方がある。私は少年に泣きの再戦を申し込み、今度は私が勝った。
でも、少年がW氏に勝敗を伝えたかどうかは確認しなかった。それで思い出したのだが、以前私がある少年に二枚落ちで私が勝ったとき、少年がW氏には「自分が勝った」とウソの報告したことがあった。そのときの少年と今回の少年は同じだったか?
いずれにしても、今回の少年とはもう少し、二枚落ちで指したい。
4局目は女流棋士志望のお嬢ちゃんと角落ち戦。お嬢ちゃんはいつも通り四間飛車。私は大野流を真似て右玉に構えようとも思ったが、やりなれないことはやめようと、玉頭位取りに出た。
しかしこの構想がややおかしく、指しづらさを感じた。
第1図。お嬢ちゃんが▲8五歩△同歩▲同飛と飛車交換にきたが、私は△同飛▲同桂に△8七飛と両取りに打って、悪い道理がないと思っていた。ところが……。

第1図以下の指し手。▲8二飛△7七飛成▲8一飛成(第2図)

第1図からお嬢ちゃんは平然と▲8二飛。角をくれるというわけだ。私はありがたく△7七飛成としたが、▲8一飛成の局面は次に▲1一竜が厳しく、上手の受け次第では▲2四桂や▲1四歩など指したい手がいっぱいある。しかも▲7三桂成~▲6三成桂の追撃もある。気が付けば上手敗勢で、愕然とした。

第2図以下の指し手。△4一金▲7三桂成△2三銀▲6三成桂△4二銀▲6四桂(投了図)
まで、お嬢ちゃんの勝ち。

私の△4一金は変な手だが、ほかに指す手が分からなかった。
しかしお嬢ちゃんにビシビシ指され、▲6四桂まで投了。上手として恥ずかしい将棋にしてしまった。

お嬢ちゃんがこんなに強いんだったら、平手で指してもいい勝負になるんじゃないか? と誰かが言い、試しに平手で指しみることにする。
そしたらこれもお嬢ちゃんがうまく指し、というか私の指し方が下手クソで、またも私が劣勢になった。

第1図の△7一銀は▲6二歩成を受けたものだが受けになっておらず、構わず▲6二歩成△同銀▲6三銀成があった。
本譜はお嬢ちゃんが自重したがそれでもお嬢ちゃんが優勢。以下勝勢となり、最終盤、私は△3二銀と竜に当ててまだまだと思いきや▲2一金があり、ここで私の投了となった。

以下△2一同銀▲同桂成△同玉▲2三竜は、△3一玉▲3二銀△4二玉▲4三竜△5一玉▲4一竜までピッタリ詰み。
まさかお嬢ちゃんに平手で負けるとは思わなかったが、これが将棋である。少年少女の伸びは早い。お嬢ちゃんともこれから平手で指すことが普通になる日が来るだろう。
近くではTod氏が指している(図)。その将棋が終わり、今度は私との対戦になった。

手合いは私の二枚落ちで、過去3連敗をしたこともあるのだが、「オレとTodさんは二枚落ちだから!」と、負けた上手が手直りを許さない不思議なことになっている。

将棋は私が素直に△2二銀と上がったが、中盤でうまくごまかし、終盤は私が優勢。というところでTod氏の▲9三竜(第1図)捨てが出た。

第1図以下の指し手。△9三同玉▲9四銀△9二玉▲7二と△7五角▲8四歩(投了図)
まで、Tod氏の勝ち。

これには△7四玉でもいいが、Tod氏渾身の竜捨てだから、取ってみることにした。
しかし△9三同玉以下▲9四銀△9二玉に、黙って▲7二とが好手。ここ、先に▲9三香とばかり考えていて、それなら△8一玉で耐えていると思った。
本譜は△7五角に▲8四歩がピッタリで投了。

局後、△9三同玉で△7四玉も考えていたことをTod氏に言うと、「なんでそう指さなかったんですか」と苦笑された。まあ、よい。
これにてきょうの将棋は終了。7局指して2勝5敗はちょっといただけなかった。
食事は大野七段、W氏、Tod氏らと「楽」に行った。私は唐揚げ定食を頼む。ここの唐揚げ、冷凍食品っぽい気もするのだが、無性に食べたくときがあるのだ。きょうも美味しくいただいた。
食後に軽く雑談していると、もう午後8時である。埼玉県のコロナ対策はよく知らないが、川口市と蕨市では微妙に制限が違うらしい。
ともあれ8時に散会するという、極めて健康的な措置になった。
ここからお茶をしに行けるときはいつ来るのか。もっともそんな日が来ても、私に将棋を指す気力が残っていないかもしれない。
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7月18日の4時から男(前編)

2021-08-10 01:15:00 | 新・大野教室
7月18日は埼玉県川口市にある「大野教室」に向かった。といっても昼からではなく、会員のみの対局となる夕方からの出席である。
教室に入る前、ちょっと迷ったがエキナカの立ち食い蕎麦屋で、久しぶりに蕎麦をたぐった。これが本来にルーティーンである。
教室に入るとOk氏やShin氏らいつものメンバーの中に、Tod氏もいた。彼とはあとで指せればうれしい。
1局目は新人の男性と。振駒で私の先手になり、私の居飛車明示に男性は角道止めずの四間飛車。こういうとき私はチキンなので、▲6六歩と角道を止めてしまう。これはこれで先手にも主張があるのだが、本譜は男性氏に△2二飛から△2四歩と来られ、つまらぬ展開にしてしまった。
数手進んで男性氏に△2七歩▲同飛△3八角の攻めがあったが男性氏は選ばず、ここから私が持ち直す。
終盤は私の玉が上部に逃げ出して勝負あり。有段者との勝負で勝つと、自分もまだ捨てたもんじゃない、と前向きになれるのだ。

2局目はShin氏と。彼とは最近○●が交互に付いていて、順番からいけば次は私が勝つ番だが、そううまくいくかどうか。
将棋は私の後手で、相矢倉。昨今の矢倉は後手が急戦に出るパターンがほとんどだが、本局は私も金矢倉を構築する。温故知新ではないが、今後プロ棋界でもこの形が盛り返してくると思う。
Shin氏は棒銀に出て、▲3五歩△同歩▲同銀に、私は△3四歩。これには▲2四歩と行きたいが、構わず△3五歩と銀を取り、▲2三歩成△同金で後手が耐えている。
よってShin氏は▲2六銀と引いたが、これなら私も腹が立たない。

第1図以下の指し手。△6五歩▲同歩△同桂▲6六銀△6四銀▲2四歩△同銀▲同銀△同歩(第2図)

私は△6五歩▲同歩△同桂▲6六銀に△6四銀と立った。次に△7五歩▲同歩△7七歩の攻めを見て、これは私が十分になったと思った。
Shin氏の▲2四歩は当然の反撃。これを△同歩は▲2五歩△同歩▲3七桂で先手の攻めに弾みがつくので、私は△同銀とし、銀交換になった。
負けない形勢と思えたのだが……。

第2図以下の指し手。▲2五歩△同歩▲6五銀△同銀▲2五飛△2三歩▲6五飛(第3図)

Shin氏は▲2五歩と継ぎ歩できたが、桂が跳ねているわけではなく、大した攻めではないと思った。
私はさして考えもせず△同歩。するとShin氏は▲6五銀と桂と食いちぎる。形勢が悪くなってムチャ攻めに来たのかと思った。
だが△6五同銀に▲2五飛と走られて飛び上がった。王手銀取りで、典型的な十字飛車だ。こんな教科書のような攻め手を喰うとは、お恥ずかしいの一語である。

第3図以下の指し手。△8六歩▲同歩△6九銀▲6一飛成△9二飛▲2四歩(投了図)
まで、Shin氏の勝ち。

私は△8六歩▲同歩を入れて△6九銀。ここで△6四歩は▲8五飛△8二歩で、飛車角が蟄居しまったく未来がない。
私も十字飛車は喰らったが、その直前に▲6五銀△同銀で銀桂交換の駒得をしている。だが十字飛車で銀を取り返されたので、私の桂損なのだ。この事実に気付き、ここで戦意を喪失した。
▲6一飛成△9二飛に、▲2四歩と指されたら投了しようと思った。果たしてそう指されたので、投げた。○●の連続は、ついに途絶えてしまった。

感想戦では、Shin氏が▲1五銀と出直してきたとき、私が△1四歩とすぐに追い返すのが最善とされた。ここで▲2六銀と退却させておけば、後の▲2四歩からの銀交換はなかった。
また△6五歩▲同歩△同桂▲6六銀に△6四銀と立ったところでも、すぐに△7五歩も考えられたようである。
いずれにしても、相矢倉の後手番でこんな素直な手ばかり指していては勝てない。本局は完敗で、また出直しである。
3局目は少年との二枚落ち。少年の銀多伝に私は大人しく△3二金~△2二銀と上がる。私が素直にこう指すということは、ふつうに指せば下手が勝つということである。
中盤で私が下手の角を取ったが、少年が▲3九桂と渋く守りの手を指したので、私は唸った。少年はさして考えず打ったのかもしれないが、級位者にこの桂はなかなか指せない。
その後は私の玉が△8四で孤立し、下手は▲5三にと金を作り、将来の飛車成が約束されている。もう角損などものの数ではなく、少年が優勢である。
その後も少年がうまく指し、▲9四金△8五玉▲7七桂△7六玉▲5六竜△6六銀、と進んで第1図。

ここは少年に綺麗に決めてもらおう。
(つづく)
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7月4日の4時から男(後編)

2021-07-29 02:00:37 | 新・大野教室
多面指しは難しい。ふつうのアマは1局の将棋を脳内で考えるのが精一杯だから、そこに別の将棋が入り込む余地はない。だけど女流棋士などは、段位に関係なく、3面指しでも4面指しでも難なくこなす。さすがにプロを名乗るだけあって、この芸当には唸らざるを得ない。
飛車落ちの少年は、いつもの定跡通り。下手の仕掛けまでいつも同じ形で面白くないが、もし変化するなら、それは上手の義務だろう。
お嬢ちゃんもいつもの銀多伝。たまには平手で思いっきり指したいだろうが、いまは我慢してもらうしかない。
この将棋は、私が△8五金と寄り△9五金を見せた手に対し、お嬢ちゃんが▲9四歩(第1図)と伸ばしたのが好手。歩をすっと伸ばす感覚がいい。本局で私が最も感心した一手だ。

そこから一進一退の攻防があったが、最後は私が観念して、△2七銀(第2図・詰めろ)の形作り。

ここでお嬢ちゃんはしばらく考え、ハッシと▲2三竜。以下△同玉▲3二銀△1二玉▲2三金△1一玉に、▲2一銀成(第3図)が好手。

以下△同玉▲3二成銀△1一玉▲2二成銀まで、お嬢ちゃんの勝ちとなった。
お嬢ちゃんは亀の歩みながら強くなっている。このままいけば女流棋士も夢ではない。

少年との一戦は、中盤で私が相手の金を剥がしたが、それでも下手は銀冠が残って、堅い。しかも私も△6九金と変な形で残って、やはり飛車落ちの分だけ悪い。
そこで、△7三桂を守るべく△6三金と打ったのが悪手。ここは桂をあげてもいいから、△6一金と、▲5一馬と▲7一銀取りに打つべきだった。
本譜は△2四香の飛車取りに▲6五桂打(第1図)が厳しい。私は「しょうがない」と△2四香としたが、少年に「王手ですよ」と言われ愕然とした。王手放置で別の手を指すなんて、石田和雄九段みたいだ。

本来ならここで投了だが、続けさせてもらう。私は△6五同桂と取ったがこれも疑問っぽく、以下▲同桂△同銀▲同飛で下手優勢。そして最後は▲6五桂△4三玉▲6二銀成という手順で、私の投了となった。
続いて強豪女性と平手戦。うっかり振駒にしてしまったが、とんでもない。私が先手にしてもらった。
将棋は私の三間飛車に、女性の居飛車穴熊。私は▲5七銀形にしたあと▲4五歩と伸ばしたがこれが悪手で、すかさず△4四歩と反発された。こっちは▲3七桂を跳ねてないので、▲同歩△同銀に▲4五歩と打てない。ここで大きく形勢を損ねた。
いっぽう女性は△4二飛と増強して好調。これは負けたと思った。
その後女性がトイレに行き、しばらくしたあと、女性の持ち時間が減るのを潔しとせずチェスクロックを中断にしたのだが、今度は私のスマホに某所から電話が入り、盛大に中断になってしまった。
しかし戻ってみると、女性が△4四の銀を△3三に引いていた。私は攻勢に来られたらツブレと覚悟していたので、これはありがたかった。
私は▲4六歩とキズを消したあと▲5五歩から▲5六金と、高美濃の金を上がった。これはのちの▲4八飛を見たものだが、ちょっと下品だったようである。
将棋は難解な攻防のまま終盤に突入したが、▲3四歩の王手に女性が△2三玉と逃げたのが小ミスで、私は▲4五角と据え、次に▲3三歩成の両王手を見せた。
これが存外受けにくく、私の勝勢となったようである。
私の玉も▲1九に落とされたが、▲2七馬の存在が強大で、いわゆる「Z」状態。そのまま女性が投了した。
感想戦では本譜△4四歩で後手が大作戦勝ち。そのあとは△5五歩▲同歩△同銀▲5六歩△4六銀(参考図)を目指せば女性が必勝だった。

女性がひるんだあとは私の▲5六金が悪手で、大野八一雄七段に「▲5五歩は筋のいい手で感心したのに、ここは▲5六銀と立つ一手でしょう」と叱責された。大野七段がこれだけ怒るのは珍しいことで、それだけ私の▲5六金が悪かったということだ。
将棋は自然な手を指すのが一番、と教えられた。
これにてきょうの将棋は終わり。結局Shin氏とは指せなかった。やはり何人もの棋客と指そうと思ったら昼から行かなければいけないが、私も休日は録りだめしたテレビ番組を見なければならず、時間がないのだ。
食事は大野七段、W氏、Shin氏らと行く。「楽」は食後ものんびりできるので重宝なのだが、休み。トンカツ屋も休みだったので、町中華屋へ入った。
私はラーメンと半チャーハンのセットを頼み、美味しくいただいた。
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