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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

5年半ぶりの彰子

2023-05-05 23:19:51 | LPSA麹町サロンin DIS
今年初めのLPSA麹町サロンin DISの参加は、1月12日だった。第1部は中倉彰子女流二段、第2部は上川香織女流二段で、どちらも空いていたので、申し込んだ。ふたりで9,000円の指導料となるが、額は考えないようにした。
まずは彰子女流二段とである。定刻(15時)の2分前に入室すると、すでに3人の生徒がいた。ひとりはTod氏、もうひとりは常連氏だった。Tod氏とは軽く新年の挨拶をした。
彰子女流二段に指導対局を受けるのは、2017年7月20日以来で、約5年半ぶりとなる。
彰子女流二段はもちろん5つ歳を重ねたわけだが、ちっともふけこんでいない。宏美女流二段も容姿に衰えはないが、この姉妹はどういうことになっているのだろう。
指導対局開始。彰子女流二段は「大沢さん強いからナ」とつぶやき、数手後四間飛車に振った。
△9四歩には無視して▲6八玉と上がったら、すかさず△9五歩と伸ばされた。やはり気合からいってもそうなるだろう。
私は▲5七銀左からの急戦。端に手を掛けない分、上手の立ち遅れを衝きたい。
右の男性氏は角落ちで、矢倉に組んでいた。Tod氏は勇敢に平手で挑んでいる。
私は早速仕掛けたが、上手の陣形が低い分、かえって上手に捌かせた結果となってしまった。
42手目△8六桂に▲6八玉。以前似たような将棋で、ここで彰子女流二段が△7九角と打ち、▲同玉と取られてアッと叫んだことがある。▲7九同金△同竜▲同玉△7八金までの詰みを見たものだが、彰子女流二段のとんだ錯覚だった。
彰子女流二段は一手一手じっくり考えて指す。指導対局らしくないといえばらしくないが、そのくらい真剣に指してくれていると思えばありがたい。
本譜はその後もむずかしい戦いが続く。私は受けている合間にと金を活用し、金得の戦果を挙げた。
その金を▲3九に打ち竜を殺して、ひょっとしたら有利になったんじゃないかと思った。
以下、彰子女流二段が△7八成香と銀を取ったところで、指し掛けとなった。
噂によると、彰子女流二段は指導対局の棋譜を公開されるのがイヤらしい。ただこれは本人に直接確認したわけではないから分からない。ただ、本当にそうだとイヤなので、あえて確認はしない。とりあえず総譜だけ記しておく。

▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△4二飛▲5六歩△9四歩▲6八玉△9五歩▲7八玉△7二銀▲5八金右△3二銀▲3六歩△3三角▲6八銀△6二玉▲5七銀左△5二金左▲2五歩△4三銀▲4六銀△7一玉▲3五歩△3二飛▲3四歩△同銀▲3八飛△4五歩▲3三角成△同飛▲5五銀△4三銀▲3三飛成△同桂▲3一飛△2七飛▲3四歩△2九飛成▲3三歩成△8六桂▲6八玉△5四銀▲同銀△同歩▲8六歩△8八角▲5九桂△9九角成▲3四角△8二玉▲4三と△5一金引▲7七桂△4九竜▲6六歩△8八銀▲7八銀△7四香▲6七玉△9八馬▲6八桂△9七銀不成▲4二と△6二金上▲5一と△7一金▲5二と△8六銀成▲6二と△同金▲3九金△7六成銀▲同桂△同馬▲5七玉△8六馬▲1一飛成△7七香成▲4九金△7八成香(図)

まで、82手で指し掛け。

彰子女流二段の美貌を堪能した2時間だった。
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「将棋の日」の、島井咲緒里女流二段(後編)

2022-12-27 22:50:16 | LPSA麹町サロンin DIS

第4図以下の指し手。△5四歩▲3四歩△5五歩▲4五銀△3五角▲4六銀△6二角▲5五角△4四歩(第5図)

第4図で島井咲緒里女流二段は△5四歩と突いた。でも私は△3七銀の露骨な攻めがイヤだった。
以下▲5八飛△2六銀成▲同金△同角が考えられるが、そこで▲5四歩と突き出して、下手も指せるかもしれない。
本譜△5四歩に▲同歩は△8八角成▲同玉で、上手にどんな攻めがあるのか。下手も▲5四歩の拠点が大きいから食指は動いたが、私は3筋を緩衝しようと▲3四歩。△同飛はもちろん▲4五銀だ。これは我ながら小気味いい歩だった。
島井女流二段の△5五歩に、手順に▲4五銀と進出し、△3五角にも▲4六銀と手厚く打つ。そして△6二角に▲5五角が絶好の飛び出しで、これはこっちがよくなっているのではと不思議な気持ちになった。
しかし△4四歩に次の手がマズかった。

第5図以下の指し手。▲3六銀△4三金▲2六金△5二飛▲5六歩△7四歩▲2四歩△8四角▲3五金△3九角成▲2六飛△5四金▲8八角(第6図)

△4四歩に第一感は▲5六銀である。駒は中央に集めるのがよく、△3六歩は▲2七の金で払うハラだ。
しかし考えているうち△3六歩の存在が大きく見えてきて、私は▲3六銀とこっちに引いた。
しかしこれがマズかった。
私は▲2七金を活用しようと▲2六金だが、これは金が上擦るうえ、飛車が間接的に釘付けになり、大損だった。その間島井女流二段は△4三金と活用し、△5二飛。島井女流二段の指がしなってきた。私が有利と思ったのは一瞬だった。
やむない▲5六歩に△7四歩。私はこの手の意味が分からず、私は、島井女流二段があからさまに緩めてくれているのかと思った。
そこで私は▲2四歩としたが、これがトドメの緩手。△同歩と取ってくれるはずもなく、△8四角とノゾかれて参った。△7四歩はこの手を見ていたのだ。
それにしても、私は▲2四歩の時期がいつも遅い。相手に歩を渡すのを嫌うからだが、いつも証文の出し遅れになる。
私は角成を甘受したが、▲2六飛に△5四金とされ、4二にいた金にここまで活用されては、クサるしかなかった。

第6図以下の指し手。△7五歩▲同歩△7二飛▲4四金△6四金▲5三金△7五金▲1一角成△7七歩▲6八玉△7八銀▲5八金△8九銀成(投了図)
まで、80手まで島井女流二段の勝ち。

△7五歩が急所の歩突き。▲同歩△7二飛に、私は▲4四金~▲5三金としたが、こんな手しかないようでは、もうダメである。
△7八銀から△8九銀成とされ、受けても一手一手。指し継ぐ気力もなくなり、投げた。

感想戦では、第5図からの▲3六銀を、真っ先に悔いた。島井女流二段も同意してくれたが、島井女流二段は第4図から6手後の▲4六銀に疑問手の烙印を捺した。私は手順に厚くできたからいいと思ったが、島井女流二段は銀を温存する▲5八金を推奨した。
なるほど、本譜は▲6九金が働かなかったことを思えば、ここは味よく▲5八金だった。
感想戦を終えても、時間が40分以上残っていたが、中途半端になるので、これでアガリである。
そのとき、11月27日に行われる「LPSA Minerva交流将棋団体戦2022」に誘われた。そういえば、13日の「将棋ペンクラブ大賞贈呈式」で、中倉宏美女流二段に、「団体戦はどうですか」みたいなことを聞かれたが、それはこのことを言っていたのか。
私はこの類の団体戦に出たことはないが、27日は幸い、時間がある。我が頭が気になるが、申し込んでみた。
(おわり)
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「将棋の日」の、島井咲緒里女流二段(前編)

2022-12-26 23:23:15 | LPSA麹町サロンin DIS
11月17日は「将棋の日」。この日は木曜日で、LPSA麹町サロンin DISがあり、第1部の島井咲緒里女流二段の回に空きがあったので、申し込んだ。
と、当日島井女流二段からメールがあり、スタッフが動画を録る旨が記してあった。もちろんモザイクを掛けてもらうことはできるが、そこまでする必要もあるまい。
四ッ谷駅で降り、とりえず「小諸そば」へ行く。ところが、二枚もりが380円になっていた。この前値上げしたばかりだと思ったが、また値上げしている。それでも380円は安いから注文したが、次に値上げしたらどうなるか分からない。
二枚もりは、やや盛りが少ない気もしたが、通常通り美味かった。
麹町サロンに入ると、先客がひとりだけいた。いつもの人である。しかしTod氏の姿はなし。ほかにキャンセルもあったという。
島井女流二段は年齢を感じさせず、いつも通りキュートだ。私は一段と禿げ上がり会わせる頭がないが、それでも島井女流二段にはここで何度か指導対局を受けているので、若干気はラクだ。
「きょうはよろしくお願いしますね。ビデオはそんなに長時間録らないと思います。メインはこのあとの愛ちゃんだと思うので」
と島井女流二段。
私もビデオは気にせず、対局開始となった。

初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△3二銀▲5六歩△4二飛▲6八玉△6二玉▲7八玉△7二玉▲5八金右△8二玉▲2五歩△3三角▲6八銀(第1図)

私の居飛車に島井女流二段の四間飛車は予定通り。昨今は角道止めずの振り飛車が多いが、島井女流二段は角道を止める昭和の振り飛車を常用している。これは意外といえば意外である。
私は飛車先の歩を決め、▲6八銀。居飛車はここが最大の岐路で、固い囲いを放棄した以上、急戦で行くしかない。

第1図以下の指し手。△9二香▲5七銀左△9一玉▲3六歩△8二銀▲3七銀△4三銀(第2図)

島井女流二段は、「やってみるか」と△9二香。島井女流二段の得意形で。指導対局といえども手加減がないが、逆にありがたいことである。
私は予定の▲5七銀左で急戦。そこからまだ幾本かに分岐するが、私は▲3七銀と棒銀を採用した。

第2図以下の指し手。▲3五歩△3二飛▲3四歩△同銀▲2六銀△4二金▲3八飛△4五歩▲5五歩(第3図)

第2図では▲2六銀が本手だと思うが、似た将棋で藤井聡太竜王が、先に▲3五歩と突っかけた。それで、それを真似してみた。
私は▲3四歩から▲2六銀だが、何かワンテンポズレている。やはり▲3五歩では▲2六銀だった。
島井女流二段は△4二金。大山康晴十五世名人の新手で、こう指されると攻略は難しい。
とりあえず▲3八飛と寄ったが、島井女流二段は元気よく△4五歩。これに▲3三角成は△同金で攻め切れない。気合の悪さは否めないが、▲5五歩と穏やかに拒否した。

第3図以下の指し手。△4四角▲2八飛△7一金▲3七銀△3五銀▲5六銀△3六銀▲4八金△3七銀成▲同金△3六歩▲2七金(第4図)

このあたりでビデオ撮影があっただろうか。カメラ慣れしている島井女流二段はニコニコしながらカメラを見ている。対して私は盤を凝視し、顔を紅潮させている。プロとアマは心の余裕が大差だ。
島井女流二段は軽く△4四角。これがなかなかの手で、▲2八飛と戻らざるを得ないようでは、下手が作戦負けである。
島井女流二段は△7一金と締まり、あとは全力で攻めるのみである。
私は▲3七銀と引いたが、島井女流二段は爽快に△3五銀。完全に島井ペースだ。
私は▲5六銀と立ったがこれが本局最大の悪手だったと思う。銀が浮き駒になったため、何かにつけて狙われる駒になってしまったのだ。
△3六銀に▲同銀は△同飛で、△5六飛と△3九飛成を見せられ下手負け。私の▲4八金は仕方ないが、潰されてもおかしくなかった。
島井女流二段は銀を交換して△3六歩。ここは「銀」もあったが、歩も厳しい。
これに▲3八金は△3七銀で下手がツブレだから▲2七金は是非もないが、島井女流二段に決め手がありそうである。

(つづく)
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上川女流二段に癒される(後編)

2021-11-27 23:29:45 | LPSA麹町サロンin DIS

第2図以下の指し手。▲3六銀△3二金▲4五銀△3五歩▲3四銀△2二角▲2五歩△4二銀(第3図)

上川香織女流二段が無雑作に△5三銀と上がった局面。私はチャンスと見て、▲3六銀と出た。「アッ……!」と上川女流二段がもらした。次にどうでも▲4五銀と出て、後手陣を攪乱する狙いだ。
「ちょっとオ、これマズイんじゃない?」
上川女流二段は固まってしまった。「大沢さんって、こういう鋭いところあるよねえ」
結局上川女流二段は△3二金と備えたが、私は予定通り▲4五銀。ただ▲3四銀△2二角と凹ましても、まだ難しいところがある。

第3図以下の指し手。▲2三銀成△同金▲2四歩△5六歩▲6六歩△5七歩成▲同金△5六歩▲6七金(第4図)

▲2三銀成は先に銀損するので指しにくいが、△5四飛と浮かれる前に一仕事しなければならない。
本譜△5六歩に、▲2二角成△同金▲2三歩成はちょっと違うと思った。▲6六歩と突いて交換を拒否。しかし△5六歩から再度の△5六歩で拠点を作られ、上手もポイントを稼いだ。

第4図以下の指し手。△3四金▲2三歩成△4四角▲3二と△5一銀▲2一飛成(第5図)

上川女流二段は△3四金と上がったが、やはりこう指すところであろう。私は▲2三歩成~▲2一飛成。これで銀桂交換まで駒損を縮小した。プラスこちらは飛車を成れたので、これで下手が有利になったと思った。

第5図以下の指し手。△3六歩▲5五歩△同角▲5六金△3七歩成▲同桂△3六歩▲4五桂△同金▲同金△5四銀▲同金△同飛▲4五金(第6図)

第5図で上川女流二段の△3六歩は意味が分からなかった。私は▲5六金と歩を払い、相手の手に乗って桂を捌く。上川女流二段のお手伝いで私は金桂交換の駒得になり、これは負けられないと思った。
△5四銀には▲同金と取って、△同飛に▲4五金のおかわり。これは私の勝勢となった。

第6図以下の指し手。△4四金▲5四金△同金▲3一飛△6四桂▲7七銀△4六角▲4二と△5七角成▲6八金△5六金▲5七金△同金(第7図)

△4四金に私は▲5四金と飛車を取る。「やっぱり飛車を取ったか」と上川女流二段が嘆息する。
▲3一飛は遅い攻めだが、受けなしの3手スキだ。
△5七角成▲6八金に上川女流二段は△5六金と繋いだが、私は▲5七金と馬を取り、これは勝ったと思った。

第7図以下の指し手。▲8六歩△6七金打▲8七玉△7七金▲同桂△6七金▲5一と△7八銀▲9八玉△7六桂▲6一と△8四歩▲7一と△8三玉▲7二銀△7四玉▲8三角△7五玉▲6五金△8六玉▲9六金(投了図)まで、89手で一公の勝ち。

ここで攻め合いにしてうっちゃられたら元も子もない。私は▲8六歩と懐を拡げた。
「一転受けに回るこの渋さ」と上川女流二段が言う。ああこの声、ハコヅメの戸田恵梨香によく似ていると思った。
△7七金には▲同桂。「桂馬で取るのか」と上川女流二段。そう、当然▲同角と取るところ、うっかり桂で取ってしまった。
しかし大勢に影響はなく、△8六玉。上川女流二段は「金を打て」と妙な念力をかける。しかし私は▲9六金。「▲8七金と打ってくれたら逆転だったのに」と、上川女流二段が投了した。

きょうは1局目で敗勢から必勝形になったが、それを詰まし損ね、痛い敗戦となった。
それを慮ってか、2局目は上川女流二段の緩め方がハンパなかったと思う。私はここ数ヶ月、灰色の生活だったから、きょうは上川女流二段に大いに癒された。
また機会があったら、上川女流二段に教えていただきたいと思う。
(おわり)
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上川女流二段に癒される(中編)

2021-11-26 22:27:24 | LPSA麹町サロンin DIS

第5図以下の指し手。△5二桂▲5三角成△同金▲同金△4九飛行成▲同銀△同飛成▲4二飛△同竜▲同金△同玉▲4三銀△同銀▲同桂成△同玉(第6図)

上川香織女流二段は半分トークをしながら指導対局を行っている。その声が、誰かに似ている。ちょっと前まで、テレビでよく聴いていた気がするのだ。とにかく、すこぶる聞き心地がよかった。
局面、▲4四金には△5二桂が見えている。しかし▲5三角成△同金▲同金となると、△5二桂がバカになる可能性がある。よって△5二桂では△5二金と寄り、▲5四金なら△4九飛行成▲同銀△同飛成を狙う手もある。ただ△5二金と寄った時点でその変化は読まれてしまう。
とはいえ上川女流二段が△5二桂自体に気付いていない可能性が高く、一丁脅かしてやろうと△5二桂と打った。
果たして上川女流二段は「ギョエー、そんな手があった?」と驚く。そこで▲4三銀はあったようだが、上川女流二段はやはり▲5三角成と突っ込んできた。対局者同士の心理というか、私もこの手が本線だった。
さらに△4九飛行成も決行すると、案の定この手も見えていなかったようで、上川女流二段は「飛車が通ってたんだ」と驚いた。「大沢さん、そこまで読んでたのね」。
ただ私はその先も読んでいて、この竜は▲4二飛で消去されてしまうのだ。実戦もそう進み、私の勝勢?はすぐに解消された。
△4二同玉の局面で、上川女流二段が「大沢さんとはいつも熱戦になるよねえ。面白い」と嬉々として言う。それは私も感じるところである。
もっとも実戦は先手を取られ、負けにしたと思った。

第6図以下の指し手。▲7三飛△5三歩▲4四歩△同桂▲7七飛成△3六桂打▲同歩△同桂▲3八玉(第7図)

▲7三飛では▲4一飛もある。しかし王手馬取りに打つのがふつうだろう。
私は△5三歩だが、そこで上川女流二段の▲4四歩が、ココセ級の疑問手だった。△同桂が、先手玉に迫る手になったからである。
▲7七飛成に私は△3六桂打。「エッ!?」と上川女流二段が頓狂な声をあげた。これは先手玉がトン死筋である。
「でも▲3八玉の形は意外に耐久力があるから」
と上川女流二段は強がる。そしてその言葉に、私が疑心暗鬼に陥った。

第7図以下の指し手。△2八金▲3七玉△3八飛▲4七玉△4六歩▲同銀△4八金▲5七玉△5八金▲6六玉△8四角▲7五歩△6四銀(第8図)

第7図で私の持駒は「飛角金金銀銀」。どうやっても詰みそうだが、難しいところもある。
「筋は△3七銀なんだよなあ」と私。A▲3七同桂なら△2九角▲4九玉△3九飛▲同玉△3八金まで。B▲3七同玉なら△2八角で詰みそうだが、C▲4七玉と躱されたときが分からない。それなら△3七銀を△3七金に代えればいいが、金をおごるのも抵抗がある。
「藤井クンならノータイムで詰ますんだろうけど」
「そうよねー」
私は迷った末に△2八金と打ったが、これはイモ手で、我ながら呆れた。
▲3七玉に△3八飛と近づけて打ったのも疑問だったようだ。私は金を使って金得したが、全然得していない。というか、ちっとも寄っていない。
なんでこんな将棋にしちゃったんだ、と自己嫌悪に陥る。そのころ常連氏の将棋が終わり、上川女流二段が勝った。いつもは私が一番手に終わるのだが、本局は私がモタモタしている。
結局先手玉は詰まず、私は△6四銀。これは100%負けにしてしまった。

第8図以下の指し手。▲4四歩△3二玉▲4三角△3三玉▲2一角成△6五歩▲7六玉△7五銀▲8五玉△7六銀打▲同竜△同銀▲8四玉△8一飛▲7三玉(投了図)
まで、117手で上川女流二段の勝ち。

▲4四歩に△3二玉以下は指してみただけで、▲7三玉まで投了。途中△6五歩では△6五銀打なら▲2一馬が消去できたが、それでも私が負けであろう。
しかしこの将棋を負けるとは、もうどうしようもない。

「△3八飛では△3九飛で詰みでした」
と上川女流二段。私は▲5八金を取るつもりでいたが、△3八飛成の詰みを見た方がよかったのだ。
私の読みとしては、第7図でやはり△3七金でよかった。以下▲同玉△2八角▲4七玉△3八銀▲同玉△3九飛▲4七玉△3八銀▲3六玉△3五金(参考図)まで、典型的な並べ詰めだった。

「あと中盤、私が▲6四歩(途中図)と叩いた手がありましたよね。あれは△同銀と取るべきです」

「それは▲7四歩で潰されると思ったのですが」
「△6三銀で受け切れます」
上川女流二段はキッパリと言った。「あと、△7三金▲同飛成△同桂▲7四歩に大沢さんは△7七角成としましたけど、ここは△8三飛がよかったです」
「ああその受け! 全然気が付かなかった」
そういえばむかしプロの実戦で、こんな飛車浮きを見たことがある。
「大沢さん、10回くらい勝ちを逃しましたね」
上川女流二段は慰めるように言い、私はうなだれるしかなかった。

Tod氏は飛車落ち戦を勝ち、2局目を開始。私も2局目となった。LPSA麹町サロンは、時間内なら何局でも指せるのだ。
2局目は私が強引に先手にさせてもらった。

初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲2六歩△5四歩▲4八銀△5五歩▲6八玉△5二飛▲7八玉△3三角(第1図)

「大沢さんには石田流が通じないのが分かったから」
と上川女流二段が言う。実際は私が内容的にも負けていたのだが、ともかく次は上川女流二段がゴキゲン中飛車に来そうだった。
それなのに初手▲7六歩がうっかり。▲2六歩を先にすべきで、本譜は△5五歩とされてしまった。私見だが、中飛車相手に△5五歩の位を取らせるのは、居飛車が損だと思う。

第1図以下の指し手。▲4六歩△4二銀▲4七銀△6二玉▲5八金右△7二玉▲6八銀△5三銀(第2図)

私は▲4六歩とするしかないが、▲4七銀と立った形はバランスが悪いと思う。▲6八銀と上がり、次に▲6六歩~▲6七銀を目指したが、上川女流二段は△5三銀。こ、これは……。

(つづく)
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