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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

美しき中倉彰子女流二段との指導対局(前編)

2024-03-22 22:35:55 | LPSA麹町サロンin DIS
今月7日のLPSA麹町サロンin DISは、第1部に中倉彰子女流二段、第2部に中倉宏美女流二段がシフトされていた。人気姉妹だからどちらも満席が予想されたが、彰子女流二段に1席空いており、たまたま7日はヒマだったので、6日に予約を入れた。
彰子女流二段の誕生日は、福間香奈女流五冠と同じ3月2日である。昨年はその日に彰子女流二段の指導対局があり、私も参加し、ささやかながら誕生日プレゼントを購入した。今年は5日違いだが、やはり買わねばならないだろう。そして今年は、宏美女流二段にも買いたい。宏美女流二段の誕生日は今年もう過ぎてしまったが、私の気持ち次第なので、構わない。
さて、7日当日である。とりあえず東京駅で下車した。地下街に土産物屋があるが、ふらふらしていたら、大丸の地下街に入ってしまった。ちょっとイメージが違うが、面倒なので、ここで調達することにする。
お菓子類を2種類買い、宏美女流二段にも同等のものを買った。
ここからJRで四ッ谷に向かい、下車。迷ったが、小諸そばに入った、二枚もりをたぐる。420円は小さくない出費だが、それに見合った満足感はある。きょうの二枚もりも、美味かった。
麹町のサロンに入ると、すでに3人が入室していた。私はプレゼントを渡し、早速駒を並べる。私の先手で、対局開始となった。

初手からの指し手。▲2六歩△3四歩▲7六歩△4四歩▲4八銀△9四歩▲5六歩△9五歩▲5八金右△3二飛(第1図)

大野教室スタッフのW氏情報によると、彰子女流二段は自身の指導対局の記譜公開を望まないという。だけどそれを私は彰子女流二段から直接聞いていないし、何より彰子女流二段の将棋が素晴らしいので、今回も勝手に公開させていただく。なお、当人および関係者から削除要請があれば、すぐに応じるつもりである。
私の▲2六歩でスタート。6手目△9四歩に挨拶しないのが私流で、以前それをやってコテンパンに負かされ、どなたかに「やっぱり端歩は受けないとダメなのよ」とたしなめられた記憶がある。
それでも端歩を受けない私は、成長していないのだ。
▲5六歩に、彰子女流二段は△9五歩。ここは意地でも突き越したいところだろう。
▲5八金右に、彰子女流二段は意外な三間飛車だった。

第1図以下の指し手。▲6八玉△6二玉▲7八玉△7二銀▲2五歩△3三角▲4六歩△4二銀▲4五歩(第2図)

きょうも彰子女流二段は綺麗である。もうけっこうな年齢になっているが、みずみずしさはみじんも喪われていない。中座真七段も休場から無事復帰し、憂いもなくなったというところ。
対して私はここ数ヶ月でさらに抜け毛が進行し、頭は無残な状態になっている。さっきも駒を並べる際、彰子女流二段が私の頭に一瞬目を止め、「あれ? 大沢さんのアタマ、こんなにハゲていたっけ?」という顔をした。
私は▲6八玉から玉の整備にかかる。しかしここでは若干の誤算があった。彰子女流二段が三間飛車に振るなら、石田流に組ませて▲5六銀左戦法があるのだが、私は早々に▲5六歩を突いてしまった。しかも▲5八金右まで指してしまったので、棒金戦法もできない。私は作戦に窮してしまった。
私は▲2五歩△3三角を決めて▲4六歩。上手が早めに△7二銀と上がったので、9一の香が浮いている、よって8二に角を打てれば下手が優位に立てるのではないか?
私は▲4五歩と仕掛けた。

第2図以下の指し手。△4五同歩▲2四歩△同歩▲3三角成△同銀▲3六歩△7一玉▲4三角△2二飛▲3七桂△5二金左▲6五角成△4四銀(第3図)

第2図から△4五同歩は、角交換から▲8二角がある。よって△4三銀か。以下▲4四歩△同銀▲4五歩△同銀▲3三角成△同桂に▲8二角or▲2四歩……あたりを読んでいたら、彰子女流二段は堂々と△4五同歩。そういうものか……と私は唸った。
予定の▲3三角成△同桂▲8二角は、△9三香or△9四香となる。その後私は▲7七桂~▲8五桂とするが、いざその局面の権利を得てみると、その攻めがまだるっこしく思えてきた。
とりあえず私は▲2四歩と突き捨てたが、早まった、というのも、次の▲3三角成を△同銀と取られ、予定の▲4三角は△2二飛で、次の△2五歩~△2六歩が早く、下手敗勢となる。
それで▲3六歩としたが、リズムがおかしい。
そこで彰子女流二段は△7一玉としたが、ここは△4二飛や△4二金で、馬作りを消されるほうがイヤだった。
▲4三角△2二飛に、私は△2五歩に備えて▲3七桂。一本取ったつもりが苦労の連続で、こんなことなら、▲4六歩で▲3六歩だった。

第3図以下の指し手。▲4五桂△4六角▲2九飛△4五銀▲2三歩△4二飛▲2一馬△5六銀▲1一馬(第4図)

彰子女流二段はまとめて指さない。ふつうは2手、多くても4手で隣に移る。それだけ時間がかかるが、下手もそれだけじっくり考えられるので、それでいいと思う。
私の▲4五桂は非常手段。彰子女流二段は、たんに△同銀でもいいが、△4六角で▲2四飛を防ぎ、△4五銀とした。
▲2三歩は継続手。△4二飛に▲2一馬で駒損は回復したが、歩切れが痛い。
彰子女流二段は△5六銀と進出して好調。私は▲1一馬くらいしかないが、この展開では私の負けだと思った。

(つづく)
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4月6日のLPSA麹町サロンin DIS(後編)

2023-09-22 23:04:52 | LPSA麹町サロンin DIS

第5図以下の指し手。△9五歩▲同歩△9六歩▲同銀△9七歩▲同角△6七歩成▲同金直△同銀成▲同金△9五香▲同銀△9六金(第6図)

第5図で受けるなら△5二歩であろう。以下▲6二成銀△同金▲6三金で、これは千日手もあり得る。しかし「攻めの島井」が受けの手を選択するはずもなく、島井咲緒里女流二段は△9五歩から端攻めに出た。
たしかに「シマイ攻め」は怖い。しかし大山康晴十五世名人ではないが、受けているほうは気が楽でもある。実際、そんなに悪い手は指さなかったと思う。
島井女流二段は金を入手し、△9六金。カナケが入れば、8七に打って詰みだ。そしてその駒は5三に落ちている。

第6図以下の指し手。▲4三成銀△9七金▲同桂△9六歩▲3三成銀△同桂▲4四角△6九角▲7八銀△4七角成▲5三歩成(第7図)

私は▲4三成銀と逃げた。これが角取りと▲5三歩成も見た、一石三鳥の手だった。
ここで島井女流二段は△9七金と角を取ったが、どうだったか。こちらは角金交換の駒損でも、金が入るのが大きい。しかもその前には香もいただいているから、実質二枚換えだ。のちの感想戦で出たが、ここは黙って△9五金と銀を取り、次の△9六歩や△9六銀に期待する手もあったかもしれない(参考図)。

本譜▲9七同桂にも△9六歩があるが、ここで▲3三成銀が間に合い、やや良くなったと思った。
△6九角には手堅く▲7八銀と打つ。島井女流二段は「成ってるようじゃダメです」と、△4七角成とした。島井女流二段は三味線を弾かない。ということは、私が相当いいのだろうか?
私は▲5三歩成。第5図の▲5四歩が、24手後にと金に昇格した。

第7図以下の指し手。△6六歩▲同金△5七馬▲9四香△7九馬▲9二金△7一玉▲6二と△同金(第8図)

第7図から△6六歩▲同金△5七馬。この手も怖いが、この金には▲4四角のヒモが付いているので大丈夫。
ここで▲9四香が期待の一手だ。これは、△9五金と銀を取られていたら、生じなかった。
▲6二とで金得したが、自玉は詰めろ。次の受けは、まあ当然であろう。

第8図以下の指し手。▲8七玉△9七歩成▲同香△4二飛▲3三角成△5二飛▲6三桂△6一玉▲5一金△7二玉▲5二金△同金▲8二金△6二玉▲7二飛(投了図)
まで、105手で一公の勝ち。

▲8七玉が好手で、だいぶ良くなったと思った。
▲6三桂に△6一玉は、わざと王手飛車(▲5一金)にかかりに行っているようだが、ここ△7二玉は、▲8二金以下詰むから仕方なかった。
以下、▲7二飛まで私の勝ち。

私の飛車は一手も動かなかった。ちなみに、3月16日に教えていただいたときも、私の飛車は、島井女流二段に取られるまで、一手も動かなかった。五段時代の谷川浩司十七世名人が、広津久雄九段とのC級1組順位戦で、飛車を一手も動かさず勝ったのだが、「近代将棋」の自戦記では「飛車の使い方が下手なのかなァ」と記していたのを思い出した。
感想戦は軽くやる。その最中、島井女流二段が△9七金と角を取るところで、△9五金が発見された。
その局面もむずかしいが、こう指されたら私は、銀をボロッと取られたショックで、負けていたと思う。勝敗はいつも紙一重なのだ。
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4月6日のLPSA麹町サロンin DIS(中編)

2023-09-21 01:12:19 | LPSA麹町サロンin DIS

プロ相手にこの駒損では勝てない。もう対局時間が少なくなっていることもあり、ここで私は投了した。
感想戦は二言三言。まだほかも対局中なので、そそくさと失礼した。
次の指導対局までの間、新宿通りをぶらぶらする。だいぶ陽が長くなってきた。見たことのない立ち食いソバ屋が夕日に照らされていた。ちょっと入ってみたいが、予算的に合わず、見送りとする。私はこうして、出会いのチャンスを逃すことがよくある。
歩きながら、中倉宏美女流二段戦の終盤戦を考える。△7四桂に▲同銀△同銀で投了となったのだが、▲同銀が暴発。ここは相手角の生還を抑えるため、▲6六歩(参考A図)はなかったか。

以下△8六桂▲同歩△同飛▲8七歩△8一飛に▲3八金(参考B図)でどうか。

以下△8九角には▲7七玉と立って、ギリギリ凌いでいる気もする。
LPSA麹町サロンin DISに戻ると、島井咲緒里女流二段が来ていた。指導対局の前に、私はよせばいいのに、さっきの宏美女流二段との将棋(紙片)を見せる。そこで▲6六歩以下の変化を提示し、形勢を問うたりした。
さて、島井女流二段と対局開始である。

初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△3二銀▲5六歩△4二飛▲6八玉△6二玉▲7八玉△7二玉▲5七銀△4三銀▲7七角(第1図)

宏美女流二段戦と同じすべりだしだったが、島井女流二段は、こちらの期待通り?四間飛車できた。
私は珍しく、▲5七銀と早く上がる。続いて▲7七角は、正統居飛車穴熊への手順だ。

第1図以下の指し手。△7四歩▲8八玉△7三桂▲6六歩△5二金左▲5八金右△5四銀▲6七金△9四歩▲9六歩(第2図)

島井女流二段は「どうしようかなー」とつぶやいて△7四歩。▲8八玉に△7三桂と跳ねた。対穴熊を見越しての牽制だが、こちらとしては、島井女流二段の穴熊がなくなったことのほうが大きい。
私も穴熊には固執しないので、銀冠を目指した。

第2図以下の指し手。△8二銀▲7八銀△6四歩▲8六歩△7一金▲8七銀△8一玉▲7八金△6二金左▲2五歩△3三角(第3図)

宏美女流二段が再び現れた。どうも、プライベートレッスンがあったようである。私は例の局面が書かれたメモを、宏美女流二段にも見せる。▲3八金までの局面で、どうかということだ。
これに宏美女流二段が真剣に考え始めてしまったので、「これ以上は時間外手当を払わなければいけなくなります」と、私がご遠慮願った。
さて局面、島井女流二段の△8二銀に驚いた。大橋貴洸七段の輝龍四間飛車にも似ているが、どうなのだろう。さらに△7一金。以前紹介した渡部愛女流三段との将棋で、左右反転でこの手順が出てきた。しかし私が対峙したのは、この島井戦が先。要するに島井女流二段も、よく研究しているということだ。
私は銀冠を完成させた。繰り返すが、私にしては珍しい展開である。

第3図以下の指し手。▲9八玉△6五歩▲6八角△6六歩▲同銀△4五歩▲2四歩△同歩▲5五銀(第4図)

▲9八玉は、将来の角の直射を避け、至当。△6五歩には、気が利かないが▲6八角と引いた。
続く△6六歩▲同銀には△6五歩と押さえられるのがイヤだったが、島井女流二段は△4五歩。これも待望の一手である。
私は▲2四歩と突き捨て、▲5五銀とぶつける。△6五歩と押さえられる前に動いたのだが、これが問題の一手だった。

第4図以下の指し手。△2二飛▲7九角△7二金寄▲6四銀△6五銀▲5三銀成△6六歩▲6八金引△5六銀▲6四歩△6二金上▲5四歩(第5図)

第4図で△5五同銀は▲同歩△同角▲2四飛で、下手が良いように見える。しかし以下△6六歩▲5七金△6七銀▲同金寄△同歩成▲同金△8八金▲9七玉△8七金▲同玉△9九角成は、下手敗勢であろう。
むろん島井女流二段も、公式戦だったらこのくらいは2秒で読む。しかしそこは指導対局であり、島井女流二段も本気で考えてないから、△2二飛と穏やかに指した。
私は▲7九角と引き、今度は8八の地点が強化でき、6八に金を引く余地もできたから、だいぶ事情が違う。
△7二金寄は玉を固めると同時に△6二飛を見た手。そこで、▲6四銀と出てみた。
△6五銀に▲5三銀成はこちらの銀がソッポに行ったが、なんとなく上手の駒の捌きを抑えている感がある。
▲6四歩に△6二歩は二歩で打てないから、島井女流二段は△6二金上とした。さすがに最強の手だ。
これには▲5四歩とつないでおく。
第5図、島井女流二段の手は、攻めか受けか?

(つづく)
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4月6日のLPSA麹町サロンin DIS(前編)

2023-09-20 01:01:39 | LPSA麹町サロンin DIS
4月6日(木)にLPSA麹町サロンin DISで指導対局を受けたときの記譜が出てきたので、自戦記を書きたい。
当日は御徒町のディスカウントストアで、ドライブルーベリーを買った。が、あんずボーは1袋5本入り88円から128円に大幅値上げされており、買う気が失せた。いくら物価高とはいえ、値上げ幅がえげつなさすぎる。
四ッ谷駅近くの小諸そばで二枚もりをたぐり、麹町サロンに向かった。
今回は中倉宏美女流二段、島井咲緒里女流二段の二本立てである。どちらも3月中旬に申し込んだが、島井女流二段の回は、満席になっていた。ところがのちに空きが出て、これはこれで悩んだ末、当初の予定通り、申し込んだ。
まずは宏美女流二段戦である。宏美女流二段に指導対局を受けるのは相当に久しぶりだ。昨年11月27日にMinerva交流団体戦に参加した私は宏美チームに入ったが、面と向かって交流はしなかった。だが今回は対面となり、我が頭髪を見られるわけだが、やむを得ない。
宏美女流二段の前に座ると、宏美女流二段が私の頭を一瞬じっと見た……気がしたが、私は黙って耐えるよりなかった。

初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△4二銀▲5六歩△4三銀▲5八金右△3二金▲2五歩△3三角▲7八銀△8四歩(第1図)

私は3手目に居飛車明示。宏美女流二段は角道を止めたから、てっきり振り飛車かと思った。
ところが宏美女流二段は雁木に組んだ。ここから中飛車にする手もあるが、まあ居飛車であろう。私は相居飛車を好まないが、仕方ない。
▲7八銀に△8四歩。宏美女流二段の居飛車が確定した。

第1図以下の指し手。▲7七銀△6二銀▲6八玉△7四歩▲7八玉△5二金▲7九角△6四歩▲6六歩△7三桂▲6七金△8五歩(第2図)

▲7八玉に宏美女流二段は△5二金と、まだ玉の態度を明らかにしない。どっちにしろ私は、慎重に駒組を進めるしかない。

第2図以下の指し手。▲2四歩△同歩▲同角△同角▲同飛△2三歩▲2八飛△4一玉▲6八金直△6三銀▲4六歩△8一飛▲3六歩△5四歩▲5八金△9四歩▲9六歩△1四歩▲1六歩(第3図)

私の▲2四歩からの角交換は、こう指すところだろう。
宏美女流二段は△4一玉と寄り、ようやく玉の態度を明らかにした。そしてここからはお互い角を持っているだけに、角の打ち場所に気を付けて進めなければならない。▲5八金あたりはその方針に沿ったものだ。

第3図以下の指し手。△4二玉▲4七銀△6五歩▲同歩△同桂▲6六銀△6四歩(第4図)

宏美女流二段の△4二玉も、バランスを取った手。私の▲4七銀に、宏美女流二段は△6五歩▲同歩△同桂と、局面をほぐしにきた。私は△6五同桂で△3九角も覚悟したが、宏美女流二段にその気はなかったようだ。
私もそろそろ中盤の勝負手を放たなければならない。

第4図以下の指し手。▲2六角△5三金▲4八角△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8一飛(第5図)

私は▲2六角と打ったが、宏美女流二段に手厚く△5三金と備えられ、不発となった。私は▲4八角と引き、何かのときの9筋攻めを見たが、玉側の攻めなので微妙だ。
それを知ってか知らずか、宏美女流二段は飛車先の歩を交換して涼しい顔だ。本局、宏美女流二段はほとんど私語を発さず、おとなしい。

第5図以下の指し手。▲1五歩△同歩▲1四歩△9五歩▲1五角△5二玉▲5九角△9六歩▲9八歩△1二歩(第6図)

私は▲1五歩と、こちら側から行った。△同歩に▲1四歩。ちょっと私らしくない洒落た手だが、△同香なら▲1五香△同香▲同角が王手になるので、以下なんとかなると見ている。
そこで宏美女流二段も△9五歩の攻め合い。しかし私は▲1五角と飛び出し、ポイントを挙げたと思った。
もっとも△5二玉に▲5九角と引き、しまいには双方とも、端に歩を謝った。どちらも暴発しないのである。

第6図以下の指し手。▲8六角△7五歩▲同銀△7七歩▲同桂△8五歩▲6五桂△8六歩▲5三桂成△同玉▲8六歩(第7図)

私は▲8六角と出たが、意味不明。そこから▲6五銀△同歩▲7七桂~▲6五桂と進めばまだしもだが、その間上手も指すわけで、とうてい下手の攻めがうまくいくとは思えない。
ところが宏美女流二段は△7五歩と呼応し、それならこちらも新たな攻め筋が構築できそうな気がした。
▲7五同銀に△7七歩。これも▲同桂と取り、以下宏美女流二段の攻めに応じる形で、駒を捌いた。
最終▲8六歩では▲8六銀のほうが平穏だったが、△3九角を気にした。

第7図以下の指し手。△3九角▲2五飛△3三桂▲1五飛△7四桂▲同銀△同銀(第8図)

宏美女流二段は、それでも△3九角。これに▲3八飛は、△7五角成▲同歩△4九銀でバリバリ攻められるのがイヤだった。
そこで私は▲2五飛と浮いたが△3三桂▲1五飛と追われ、△7四桂が洒落た手に思われた。
次の△8六桂が厳しく見え、私は思わず考える。しかしあまりに長考するのもアレなので、▲同銀と取った。しかし△同銀と取り返された形は、下手が角桂交換の駒損である。私は指す手に窮してしまった。

(つづく)
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2年4ヶ月ぶりの愛(後編)

2023-09-13 12:45:51 | LPSA麹町サロンin DIS
私は指導対局料を払っているわけだが、それは「将棋を教えていただく」ことの対価である。渡部愛女流三段には、それに「LPSAのアイドル」という付加価値が付く。これが大きいのである。
考えてみればどの世界でも、プロがアマに直接指導するケースは稀である。私たちは恵まれた環境にいると思う。

第1図以下の指し手。△4四角▲5六銀△3三桂▲4六歩△2二銀▲5八金左△3一金▲3六歩△2一玉▲3七桂△4二金寄▲4五歩△5三角(第2図)

渡部女流三段は△4四角と上がった。これが令和の手、というか平成にもあったが最近また流行っている手で、そのココロは△3三桂と跳ね角の頭を守り、玉は2一に潜り、玉を固めるものである。
本譜もその進行になったが、その途中の△3一金が工夫で、「おかしいですか?」と渡部女流三段が言った。いやいや、そんな指し方もあるのかと、こちらが勉強になる。渡部女流三段は本当に研究熱心である。
私は▲3七桂から▲4五歩と角を追ったが、端と囲いが弱くなったので、よくなかった。
ただ、△5三角と引かせて、私にも構想があった。

第2図以下の指し手。▲6五銀△8四飛▲9五角△9四飛▲9六歩△3二金寄▲7八飛△5一銀▲7五歩△4二銀(第3図)

まず▲6五銀と出て△5四歩を狙う。渡部女流三段の△8四飛には▲9五角と出て、△9四飛と僻地にやった。そこで▲7八飛とし、自分の飛車だけ捌く。
だが渡部女流三段は△5一銀と引き、「おおらかすぎますかね」と落ち着いたものだ。
△4二銀には、もう行くしかない。

第3図以下の指し手。▲7四歩△同歩▲5四銀△3五歩▲5三銀不成△同銀▲7一角△9五飛(第4図)

私は▲7四歩△同歩と突き捨て、待望の▲5四銀。すると渡部女流三段はそれを尻目に△3五歩と突き、「見落としじゃないですよ」と言った。
むかし大野教室での指導対局で、渡部女流三段が飛車をタダでくれる手を指し、似たような言葉をもらしたことがあったのを思い出した。
私はありがたく▲5三銀不成と角を取り、▲7一角。これを渡部女流三段は軽視していたようで、これに△6二銀打は▲同角左成△同銀▲同角成で、次に▲9五歩を見て下手優勢。
よって渡部女流三段は△9五飛と角を取ってきたが、ここが問題の局面だった。

第4図以下の指し手。▲5三角成△9四飛▲3五馬△6九銀▲7六飛△5八銀成▲同金△8八角(第5図)

第4図、▲9五同歩と飛車を取りたいのはヤマヤマだが、△6二銀打▲8二角成△3六歩で下手悪いと思った。
そこで▲5三角成と銀のほうを取ったのだが、△9四飛と食い逃げされて失敗に気づいた。
それでも▲3五馬と歩を取り桂頭の懸念は払拭されたのだが、△6九銀が痛打。こちらの読み筋通りに進行しているのに、ちっともよくなっていないのに唖然とした。
戻って▲5三角成では、やはり▲9五同歩とすべきだった。そこで渡部女流三段が△6二銀打とするはずがなく△4二金寄くらいだが、そこで▲4七銀でどうか。いやそこでも△6九銀がある。とすると、▲9五同歩でもむずかしかったのか。

第5図以下の指し手。▲6二馬△9九角成▲9五歩△7五歩▲9六飛(途中図)
△8九馬▲9四歩△4六桂▲4七金△3八桂成▲同玉△6七馬(投了図)
まで、70手で渡部女流三段の勝ち。

私は▲6二馬と入る。次に▲9五歩が実現すれば、さすがに下手有利だろう。ちなみにここ▲9五銀は、△7五歩▲同飛△5四飛▲7一飛成でむずかしいが、▲9五銀がスカになるのが不満だ。
渡部女流三段は△9九角成と根元の香を取るが、私は▲9五歩。渡部女流三段は当然△7五歩(飛車取り)と逃げ道を開けてくるが、そこで▲9六飛(途中図)が狙いの一手。渡部女流三段が「アッ!」と叫んだ。

渡部女流三段は仕方ない、という感じで△8九馬と桂を取る。私はありがたく飛車を取ったが、△4六桂と両取りを打たれ、今度はこちらがうめいた。
これに▲4七銀打は△5八桂成▲同銀△4六香くらいで下手もたない。
そこで▲4七金と上がったのだが、△3八桂成で、下手陣はずいぶん薄くなってしまった。
渡部女流三段は△6七馬。これが急所の一着で、次は△4九銀▲2八玉△5八馬▲4六金△5七馬が狙いか。
だが私の持駒に金がなく、思わしい受けがない。なんで守りが金1枚だけなんだ……と思うと、戦意が失せてきた。ここで投げた。

「ええー!?」と渡部女流三段は驚いたが、もう指せない。
「もう受けられません」
「▲9八飛(参考図)はどうですか?」

「あ、そんな手がありましたか」
以下△5八銀▲4八金△4六香▲5八金△同馬▲同飛△4七金▲2八玉△5八金…ヘンな寄せ方か。ではやはり△4九銀▲2八玉△5八馬か。
だがそもそも、下手はこんなに苦労する将棋ではない。
「あ~失敗した」
「じゃあ、(第3図で)▲7四歩と仕掛けるところで、▲4七金はどうですか? 私は△2四歩と突くくらいしかないから、そこで本譜の順なら、△6九銀はなかったし」
「あうっ、▲4七金かー」
それでも渡部女流三段のこと、うまく指してくるのだろうが、本譜よりははるかにマシだった。
感想戦を終えたところで、渡部女流三段が2局目を指そうとした。時刻は5時45分で、まだ指せる。が、私は丁重に断った。ほかの対局も残っているし、これ以上粘ってもしょうがない。
さて、次に渡部女流三段と指せるのはいつだろうか。また2年後だと、ちょっと考えてしまう。そのときの自分は、相当ヤバいことになっている。
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