玄関先に掲げた。明日は、正月飾りをする。ばあちゃんは、元日とニ日は、ヘルパーさんがお休み。介護食のおせちは、準備してある。美味しそうに食べるので、食べさせかいがある。「哀」として、記念の小冊子に綴りこんだものです。「帰へるんだぁ 帰る帰ると 声荒げ 闇の彼方を 指さしていう」。「鬱々と ベットをたたき おでこをたたく 豆電気のなかで 夜明けを待つ」。「あれはなぁ ぐうぐうぐうって おれは眠むんねぇ 豆あかりのなかで 目がすわる」。「誰も来ねぇ みんなも来ね そびしいもんだぞぉと 口をとがらす」。「じっさぁーん ばっぱぁさぁーんて 親を呼ぶ 夢を見ていたのか 闇にみひらいて」。「待ってろよ 待ってろよって 手招きし 兄姉の面影 天井に浮かぶ」。現在も、独り言をしている顔をみると、こんな情景を、思い出しているのかも。95歳ころの、おしゃべりです。脳梗塞になってから、一年が過ぎた。夏のある日。鳥の絵のうちわを持たせられて、おむつ替えの時に唄っていた。「からすなぜ泣くのぉ カラスは山に」と唄い、「可愛いくて ちぇんちゃくて めんごいの 五、六羽いるからよぉ。 おっぱいちょうだい おっぱいちょうだいって 泣くんだょお。 なんで めんごいの 置いてきちゃったんだっぺなぁ 早く帰ぇってやれよぉ すぐに帰ぇってやれよぉ。 おっぱい いっぱい飲ませっから えさ探しにきたんだっぺぇなぁ」と、ひとり語りをしていた。「ばあちゃんの 子どもも おっぱい頂戴って 云ってんのげぇ」と聞くと、「んだ んだぁ」と、何歳になっても、子どものことを、思っているのだろう。