冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

Jazz現代の名盤 その43

2011-10-30 18:33:06 | 息抜き
秋の夜長シリーズ第2弾。

Native Sense。大御所Chick Corea(ピアノ)とGary Burton(ビブラフォン・マリンバ)の共演です。

まあ、恐らくですが、このアルバムを聞いて嫌いというのは難しいと思います。
Coreaらしい旋律で始まるアルバムタイトル曲の1曲目からして、完全なコンビネーション。緊張感が高い演奏で、知的な凄みを感じます。
2曲目の"Love Castle"は双方の速弾きから始まって、温かみのある楽しい旋律へ。ピアノと鉄琴・木琴ってこんなに合うんですね。驚きます。
鍵盤楽器同士だから本質的に似てるってことなのか?
全11曲のうち、このアルバムのために作曲されたのは2曲だけで、あとはCoreaがピアノのための曲として作ったものが主体です。
それなのに、異常なほど鉄琴・木琴が調和しています。

曲にも演奏にもストーリー性がかなり感じられ、そういう意味で山あり谷ありで面白いのも魅力でしょう。
4曲目の"No Mystery"などは特にそうですね。
それにしても、ベースもドラムもないのに、ちゃんとリズムが生きているのは不思議な気がしますね。
あとは、9曲目の"Tango"や10曲目の"Rhumbata"などはまさにそうなのですが、ラテンっぽい、スペインとかアルゼンチンっぽい雰囲気の曲が多いのも特徴でしょうね。
ラテンっぽい雰囲気が、感情表現を豊かにしているというか、メロディにストーリー性を与えているんだと思います。

ある意味、このデュエットを実行したこと自体が恐るべきクリエイティビティ。
名盤と言えるでしょう。

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Jazz現代の名盤 その42

2011-10-23 18:59:43 | 息抜き
落ち着いたヨーロッパのピアノトリオを1つメモ。
これからちょっとの間、秋の夜長を静かに楽しむ系のアルバムをメモしていきます。
以前、真夏に思い切り冬のイメージのアルバムをメモしたことがありましたが、その反省から。
日本人として季節感は大事にしたいところでしょう。


Micheal Beck Trio。そのまんま過ぎるアルバムタイトル。言うまでもなくMichael Beckというピアニストのトリオ作品ですな。
Joe Haiderという、かなり高齢と見受けられるスイスのピアノ弾きが運営するレーベルから出ているアルバムです。
スイスのピアノってレベル高いんですよね。

さて、このMichael Beckですが、一言で言えば端正な出来のアルバムといえるでしょう。
私がこのブログで好みのアルバムとしてメモしているのは、即興性の利いたパワーのある演奏が多いと思いますが、これは端正。
育ちがいいというか、落ち着きあるメロディをきちっと美しく演奏しながら、トリオのリズムパートもちゃんと生かすところに安心感があります。
2000年代前半のヨーロッパのピアノトリオの特徴が出ていると思います。
イメージとしては、スイスといっても山や湖ではなく、どちらかと言うと都会的な感じ。美しい中部ヨーロッパの都市ですね。ウィーンやフランクフルトのような大都市ではないですが。そんなに大きくない都会の感じがスイス的なのかも。

静か過ぎてつまらないということは、まったくありません。
3曲目の"Point Turnagain"などは3分弱と短い曲ですが、テンポも速いし高音域の絡むあたりは結構迫力あります。
まあ、曲作りが上手いのでしょう。演奏能力やスタイルも大事ですが、センスの良し悪しというのは、結局のところアルバムの出来を相当程度決めてしまいます。
一方、4曲目の"Farewell"はベースのBans Oesterの作品とのことで、ベースのソロパートも含めて極めて落ち着いた語り口。本来はこっちの方がこのトリオのカラーなのだと思います。
いずれにせよ、メロディは綺麗ですし、リズムもちょっと複雑に絡んで(モンクとは言わんですが、ちょっと実験的なものも)、なかなか聴き応えがあります。
私の好みは6曲目の"Open Doors"とそれに続く7曲目の"Three Men in a Boat"ですかね。前半はトリオで一番若いドラムのSamuel Rohrerによる作曲のようですが、リズムはもちろんメロディが端正なのに加えて、トリオの全体的なテンポが小気味よいです。それに続く方はMichael Beckの作曲で、ピアノの生かし方がやはり上手。随所に美しいフレーズが入ります。

それでも、老婆心ながら敢えて付け加えるとすると、普段はあまりJazzを聴かない方が静かで落ち着くアルバムを私のメモの中からピックアップして買ってみるのであれば、1枚だけ選ぶなら他の叙情系、耽美系、審美系をお勧めします。
このMichael Beckが劣ると言うつもりはないのですが、おそらく多くの人にとっては他のメモに書いたアルバムの方が聞きやすいと思いますので。
それらの次に、秋の夜長にこいつも聞いてみると、ヨーロッパのピアノの間でも趣味の違いがハッキリと出て面白いのではないかと。

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Jazz現代の名盤 その41

2011-10-15 21:53:54 | 息抜き
Danny Grissettについては前に一度メモしましたが、今年の1月に録音された新しいアルバムがとてもよかったので、もう一度メモしておきます。

STRIDE。格調高いピアノトリオ作品です。

一聴して思うのは、本格派だということ。落ち着いたメロディと演奏。しっかりした技術。安心して聴くことができます。
自作の曲は美しく叙情的でありながらもテンポがよく、ただ美しいだけの音楽とは異なる趣です。
これがいいんです。Jazzはある程度エネルギーを発揮するところがないと面白くないでしょう。
フランスのピアニストにあるような毒はなく、あくまで美しいメロディでまとめるところはGrissettのまじめな性格が出ているのだと思うのですが、いずれにせよテクニックに支えられた骨太な演奏は聴いていて面白い。
1曲目のアルバムタイトル曲であるStride、5曲目のClose Quartersなどは本領発揮。

3曲目は、とても叙情的で素敵な曲だけど、なんだかクラシックの演奏みたいだなと思って聞いていたら、なんとショパンの曲でした。
いや、ショパンなんて普段は聞かないから知らないんですけどね。でもやはり感じるもの、通じるものはあるのでしょう。もちろんJazzにアレンジされていますが、極めて美しい。
CDの解説書を読むと、Grissettはもともとはクラシックのピアノから入ったようですね。自分が昔から好きな作曲家の曲をアルバムに入れるのだから、気合も入るのでしょう。出来栄えは流石です。これだけでも聞く価値はあると思います。

他のJazz musicians の曲をカバーしたものも、オリジナルを知らなくても十分楽しむことが出きるでしょう。
そして、8曲目はレナード・バーンスタインの曲のカバーでした。格調高い感じは、演奏のスタイルだけでなく、選曲に由来する部分もあるのでしょうね。

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Jazz現代の名盤 その40

2011-10-10 17:18:28 | 息抜き
日本のJazzアルバムについても書いてみようかと思っていましたが、実はあまり聞いてません。
そんな中で好みのバンドの懐かしいアルバムをメモ。

PIMPIN’。 Soil & Pimp Sessionsという日本のバンドの作品です。
その後もコンスタントにアルバムを出していますが、最新のものは聞いていないのと、私としては最初に聞いたこのアルバムの衝撃が大きかったのでこの盤をメモします。

このバンドを知ったきっかけは、当時NHKでやっていたフロントランナーという番組にバンドが取り上げられて出演していたこと。
この番組、各界で活躍する比較的若手の日本人を紹介するもので、時々見ておりました。
BBCのAward を取ったとか、旧ユーゴでむちゃくちゃ人気があるとかいう話でしたが、とにかくライブの演奏がハンパなものではなかったです。
パワー爆発。音量最大級。まさに音の洪水。

Saxの元晴とTpのタブゾンビは呼吸不能と思われるまで大音量で高速で吹きまくるし、ピアノ(キーボード)の丈青はしっかりメロディキープしながら即興入りまくるし、ベースの秋田ゴールドマンは渋いけど骨太だし、番組でもメンバーが言ってましたけど、ドラムズのみどりんは音でかすぎだし。社長のアジは見てて楽しいし。
この音、リズム、そして全体的な雰囲気はすべて日本という枠を超えまくっています。Jazzというジャンルも超えているでしょう。
1つ絶対に言えることは、超楽しいということです。いろんな方のレビューも、とにかく格好いいという内容が多いですね。
パワーに圧倒されるのは、結構楽しいものです。

Jazzがなぜ面白いかというと、少なくとも1つの大きな要素として予測不可能な即興性があるからだと思います。
そういう意味では、きれいなメロディの上手いピアノというのはあまり面白くない。
縦横無尽なSoil & Pimp Sessionsの音楽は、Jazzの面白みの本質に迫っていると思います。
固いこといわずに思い切りのいい音楽を聴きたい時には、今でも時々手にするアルバムですな。

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MLB、私的には今年は終しまい

2011-10-09 18:49:37 | 息抜き
残念な終わり方でございました。今年のMLB。
もちろんまだポストシーズンのスケジュールは終わっていないですが、レギュラーシーズンで両リーグのトップの成績を残したNY Yankees もPhiladelphia Philliesも敗退しては、私的にはあまり面白くないです。
個人的には、基本的には強いチームがベタに勝ちあがって最後まで行くほうが面白いと思っています。
アップセットもいいのだけれど、後から振り返るとそれほど心に残っていないケースが多い気がしますね。
やはりある程度は本命が勝ち進んでいく方が、最後まで楽しめるし歴史に残るようなゲームが出てくると思います。
2001年のArizona Diamondbacks vs. NY Yankeesとか、私の好みの年ですね。
第7戦のR. Clemens vs. C. Schilling (リリーフがR. Johnson)。9回裏に1点負けていてM. Riveraから2点とってArizonaが勝ったシリーズ。素晴らしい。

その年のシリーズを越えて考えると、アップセットを起こしたチームがその後も成長を続け、一時代を築くようになると面白いです。
自分の人生の場面と一緒に思い出したりしますからね。そういうチームは。
Philliesも弱小チームだったのが2004年ごろから結構勝てるようになって、このところずっとポストシーズンに出ているし、ワールドシリーズも2度出て1度は勝ちました。最初は常勝AtlantaやSt. Louis相手にアップセットを起こす側だったんですけど。
J. Rollins, C. Utley, R. Howard が成長してピークに達して活躍し、そこにC. Hamels, B. Lidgeなどのピッチャーがいてワールドシリーズを盛り上げて、その後は優勝はできなかったけど打撃陣の加齢による衰退を補う投手陣の補強でC. Lee, R. Halladayなどのまさに鬼神のごとき活躍があったので、ここ5年くらいのこのチームは記憶に残るチームとしてMLBの歴史にある程度インパクトを与えたものと思います。

一方、去年のNL Championship Series, World Series をアップセット的に勝ったSt. Francisco Giantsは、今年はポストシーズンに進出すらできませんでした。別に特別厳しいDivisionでもないのに。
こうなると、1年だけのチームで歴史的なインパクトはないし、ちょっと残念。まあ、来年どうなるか分からんですけど。

しょうがないのでRugby World Cupに集中します。

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Jazz現代の名盤 その39

2011-10-01 21:27:17 | 息抜き
週末息抜きシリーズです。


Form and Fantasy。アメリカの白人ピアニスト、Kenny Wernerのトリオ作品です。
Wernerについては、やや重苦しさのある名作について前にメモしましたが、こちらは楽しいライブ版です。
Jazzの盛んなフランスはパリでのライブ収録。かなり気分が乗っていいたようです。

1曲目のAmonkstは意表を付くようなモンク調。Wernerの器用なところが光りますが、聴き所は2曲目、3曲目のSicilienne。
2曲目は叙情的にピアノソロで入り、3曲目で息の合ったトリオの美しくかつ迫力ある演奏。この即興性と美意識には感嘆させられます。
そして4曲目のNardis。これもトリオで突っ走って迫力十分。Wernerは知的で技巧もかなりあるものの、器用貧乏で面白みがないなどという評価もあるようですが、このライブ版ではのびのびと楽しい演奏を聴かせてくれます。5曲目ではEric ClaptonのTears from Heavenをカバーしたり、自由な感じですね。
そして、ラストのTime Remembered の凄まじい盛り上がり。ドラムズのAri Hoenigが鬼才なことも手伝って、パワー大爆発。
最初から最後まで極めてエンターテイニングなアルバムと言えるでしょう。

Jazzを普段は聴かない人でも十分楽しめる内容だと思います。
私としては、こういう作品にJazzを聴き始めたころに出会うことができたのはラッキーだったと思います。

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