冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

台風前に秋晴れの瑞牆山・金峰山

2014-10-21 22:41:11 | 旅行
10月前半の週末は、台風上陸を意識して予定を立てなければならなかったものの、体育の日の3連休は関東では大まかに言って実質的に問題なかったと思われる。
この週もずっと天気図を見ていたのだけど、大陸にある移動性高気圧がどんどん強くなっている感じだったので、11日の土曜日終日と12日の日曜日の午前中くらいまでは、ほぼ100%晴れると踏んでました。
一番人気のある北アルプスの紅葉は既にほぼ終了とは言え、他の山域での紅葉シーズンはまだまだ続いています。今回は、奥秩父の盟主と言われる主峰の金峰山と、金峰山同様に百名山に選ばれている瑞牆山をターゲットにしました。
奥秩父ということで深い森の匂いやコケも魅力的だし、多くの木々が色づけば相当スケールの大きな紅葉シーンが見られるかもしれないし、特に瑞牆山は岩岩しい山容だから北アルプスとはちょっと違うとしても紅葉と岩稜が一緒に見られる風景は絵になると思った訳です。
結果的には、紅葉もよかったし、それ以上に雲海に浮かぶ富士山や南アルプスを見ながらの岩稜歩きがとても楽しく、予想以上に充実した登山になりました。富士見平小屋スタッフも親切だったし、テント場も平坦で木々によって風が遮られていて過ごしやすかった。

で、まずは幾つか山行まとめ的な写真を。








今回は、JR中央線の韮崎駅からバスで1時間15分ほどの瑞牆山荘から登山を開始します。ここが標高約1,500メートルで、300メートルほど登ったところにある富士見平小屋のテント場をベースキャンプにして瑞牆山と金峰山を狙います。最初のバスが8時50分発なので、瑞牆山荘到着が10時過ぎ。比較的ゆっくり目のスタートです。
瑞牆山荘は、車で来られる位置にあるために山小屋というよりはちょっとしたカフェでした。


序盤はテント泊装備を担いでの登りなので、早くテント場について荷物を軽くしたいという気持ちが強く、あまり写真を撮っていません。翌日下山時に余裕をもって見まわしたら、この樹林帯もブナやナラの木が魅力的で、私が登った時はまだ紅葉には早かったみたいだけど1週間後には美しかったでしょう。


で、ガシガシ登ってコースタイムを巻きながら富士見平小屋到着です。ロッジ風でかわいい感じ。幕営料1,000円を支払ってテントを設営。ここの水場は水量豊富な上に口当たりの柔らかい名水で、とてもおいしかったです。


小屋前には魅力的なメニューが。まだお昼には早かったので食べませんでしたが。


11時半ごろに瑞牆山に向けて出発。まずは沢まで100メートルくらい下ります。途中には奥秩父らしいコケも出現。


冒頭の瑞牆山の山頂付近の全体写真は、このコースの最初の部分でちょっと開けたところから撮りました。ここ以外にはコース上でこのような全体像を収められるところはなかったと思われます。
お天気は最高で、好く晴れていて暑いくらいでした。沢に下りていく樹林帯は、ツガなどの針葉樹が多かったと思いますが、それでも紅葉しているミネカエデなどを楽しむことができます。




沢を渡って少し行くと、不思議な割れ方をしている大きな岩が登場。ヤマレコなどの山行記録にもよく出てくるチェックポイントですね。




そして、この後は山頂まで基本的にかなりの急な登りが続きます。大きな岩がどんどん出てくる道なので、前回の鹿島槍の時の柏原新道のように歩きやすい道とは好対照。
ストックも邪魔になるでしょう。私はストックは持っていきませんでした。


道は厳しいものの、お天気のおかげもあって景色は最高。


樹幹から翌日上る予定の金峰山も見えます。山頂の有名な五丈岩が目印。


紅葉シーンも随所に現れます。






紅葉に限らずですが、木々の葉はアップで撮るのが好み。ブナやシラカバ、ミネカエデやナナカマドなど。














こんな狭い岩の間を通ることも。大きなザックだったらたいへんだ。


そして、ようやく山頂付近。有名な大鑢岩が見えてきました。


この岩はロッククライマーの登攀対象ですね。我々はこの横を進みます。が、やはり同様に岩の道で厳しい。鎖やロープも随所に出てきます。実際には鎖は使わなくても登れるところが多かったですが、所々一枚岩が滑るので注意が必要。


大きな岩などはなかなか一気に足を上げて登るのも大変だし、頭のあたりに注意していないと岩に頭をぶつけそうになったりと、意外とたいへんでした。
で、最後の鎖を凌げばやっと頂上。瑞牆山制覇です。山頂も岩で、登山者で混雑しているのに結構斜めになっているので少し危険です。


お天気がよく、富士山も見えました。


金峰山方面。瑞牆山の岩と黄色が目立つ木々の黄葉が素晴らしい。原生林を持つ山の魅力が凝縮。




木々を拡大。カラマツとかもあるのでしょうか。黄色が目立つので。


山頂から瑞牆山の奇岩を見下ろします。大鑢岩も見下ろせます。




お昼を食べたりしながら景色を楽しみ、山頂に結構長くいました。汗が乾くと流石に寒く感じますね。この時期は。
そして下山。やはり大きな岩の多い道を下るので、注意が必要です。膝への負担も小さくないですね。富士見平小屋からは標高差は400メートルちょっと。途中で沢に下るので実際には100メートル以上余分にアップダウンがあるとはいえ、それほどの標高差ではありません。しかし、標高差以上に体力を使う道ですね。地図でコースを検討していた時はちょっと甘く見ていましたが、実際に登ってみると登り甲斐のある山でした。流石は百名山の一角。

富士見平小屋のテント場に戻って辺りを見回すと、ちょうど周囲の木々が紅葉していて、テント場自体が紅葉の名所になっていることに気づきました。










その後は小屋の外のベンチで本を読んだりして過ごしました。晴れていたので夕日も綺麗だった。


夜は意外と暖かかったです。鹿島槍の時はテントが霜で覆われてしまったけど、むしろ暑くて夜中に起きたくらい。
翌日は、金峰山へのルートの途中にある大日岩でご来光を拝もうと思って暗いうちから出発しました。しかし、いつものように早朝は体のキレがまったくなく、のろのろと登る状況。そして、歩きながら、位置的に大日岩からでは日の出はほぼ見られないのではないかと冷静に気付く。なぜなら東側にはこの辺りでは最高峰の金峰山とその稜線が位置しているから。このことに気付くと、「まあ、早く出てきたから時間はたっぷりある。ゆっくり登ろう。」という気分になってご来光は諦めました。

で、1時間半くらいで周囲も十分明るくなってきたころに大日岩に到着です。思ったより大きい。頂上に登るのは結構難しいと思ったので、ペンキの印がある中腹まで登って景色を堪能。


既に夜は明けていたと思いますが、まだまだピンクの光が美しかったです。南アルプス北部が甲府盆地の雲海の向こうに浮かんでいました。




八ヶ岳も。やはり赤岳は雄々しい。


瑞牆山と遠景には八ヶ岳。瑞牆山の岩に朝日が当たって輝いていました。


そして富士山も。雲海に浮かぶ富士山は絵になります。


景色を堪能したら、樹林帯をしばらく行きます。ここが地味に急登。樹林帯では特に思いますが、木の根などを踏まないようにしたいものです。豊かな森なので、急登でつらいことを理由に足取りを乱して植物を傷めることのないように。
しばらく黙々と登ると、岩稜に出ます。砂払ノ頭という2,317メートルのポイントで、ここからは富士山もよく見えます。と言うか、ここから先はずっと右手に富士山、振り返ると南アルプスです。
ここからの道は岩場で、特に危険ではないもののある程度注意の必要なところも出てきます。穂高連峰などとは比較になりませんが、それなりに気を付けるべき道でしょう。こんな感じなので。


そして、途中で千代の吹上(標高2,497メートル)などのポイントを通りながら、徐々に高度を上げていきます。晴れているので、左右は絶景です。が、岩場の急登は結構疲れます。


意外と苦労しましたが、8時少し前に金峰山山頂に到着です。


金峰山と言えば五丈岩。多くの人が登っていましたが、私は単独行なので怪我したら誰も助けてくれないので、パス。鳳凰三山のオベリスクもそうでしたが、リスクを取り切れないですな。


晴れていて雲海もあるという絶好のコンディションで、富士山と五丈岩のコラボ。


とにかく、この日の金峰山は絶景でした。八ヶ岳も南アも富士山も。金峰山自体が岩稜と五丈岩と黄葉で見どころ多いし。お得感の高い登山でした。
30分以上山頂で写真撮ったり絶景眺めたりして時間をつぶし、8時半少し前に下山を開始。
岩岩しい道で結構急なので、膝への負担が以外っとありました。最近はテント泊装備でもほとんど膝への負担は感じていなかったけど、この日は痛みも感じるくらいでした。侮れません、金峰山。

岩稜帯を抜けて樹林帯に入ると、土や木の匂いが心地よいですね。奥秩父や八ヶ岳の好きなところです。


森深い感じを楽しむなら、本当に梅雨の時期とかいいのでしょうね。まあ、雨の中を歩くのは蒸れていやだけど。


針葉樹の若木が育っていました。


途中、富士見平小屋の方々が鎖場を手入れされていました。地道な登山道整備、ありがたいです。
富士見平小屋が近づくと、紅葉もちらほら。標高1,800から2,100メートルくらいのレンジが見頃だったように思います。




11時過ぎには無事にテント場に戻ってきて、コーヒーを淹れて一息ついたらテントを撤収。富士見平小屋のテント場は快適で、また新緑の季節などに来てみたいです。
さらに瑞牆山山荘まで下山ですが、このコースも登りの時には気付かなかった美しい森林でした。




12時55分発のバスで戻ります。お天気がよかったので、台風前とはいえ満員でした。
下山後のお楽しみと言えば温泉。バスの路線上に、地元の市が直営している増富の湯という施設があります。それを利用。面白いのは、増富の湯に寄るとバスの料金が瑞牆山荘から韮崎駅まで通常2,060円なのに2,050円に割引になること。途中下車なのに割安。しかも、温泉の入浴料が100円割引に。地元の施設を利用してくれるということで、こういう値段設定だとのこと。ありがたいです。私は、割引券は使いませんでした。代わりに、富士見平小屋でもらった50円の割引券を使いました。50円損だけど、富士見平小屋の券を使うと入浴料の一部が山小屋の整備に使われるらしいので、親切な山小屋がこれからも奥秩父の自然を守っていくのにお金が使われる方がいいと判断。


温泉は露天こそないですが、広々していてよいです。難点は、かけ流しのお湯の温度が35度とか37度程度と低いので、結局42度程度に温められた浴槽に入ることになる点。
かけ流しの浴槽は3つくらいあって、それなりに楽しめるのですが、やはり熱い湯につかりたいので。

さっぱりした後は、食堂で天ぷらそばをいただきました。そばは長野のイメージが強いですが、結構美味しかったです。何より、天ぷらの野菜が美味しかった。近くで採れたものなのでしょう。


お土産には、産直品を売っているお婆さんから漬物と梅干を購入。どちらもとても美味しくて、漬物は1週間せずに完食しました。

瑞牆山と金峰山、東京からもそれほど遠くない割にはレベルの高い絶景や深い森の楽しめる、とてもよい山だと思いました。
もっとメジャーになってもよさそうなのに。
どうしてもアルプスや八ヶ岳の方が優先されるのでしょうけど、奥秩父の森と岩稜を経験しないのはもったいない。
付近の甲武信ヶ岳とかも含め、もっと開拓の余地がありそうです。

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