冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

ウルップソウを求めて白馬岳 & 下山は蓮華温泉 その1

2017-07-30 17:14:33 | 旅行
7月15日からの海の日3連休は、白馬岳に行ってきました。ターゲットはウルップソウです。
白馬岳は山歩きを始めた頃からの憧れの山の1つで、魅力は何といっても高山植物。特にツクモグサとウルップソウに惹かれていたのですが、ツクモグサは昨年八ヶ岳で堪能しました。
ウルップソウの時期は梅雨の時期になるので、これまではなかなかお天気的にタイミングが合わずに山行に踏み切れなかったのと、どうせなら雪倉岳、朝日岳方面のお花畑にも縦走したいという欲張りなプランを立てがちだったために後回しになっていました。
今年は雪溶けが遅くて雪倉・朝日方面には行きにくいようでしたし、それなら白馬岳1本に絞って下山後に秘湯と言われる蓮華温泉でまったりするのも悪くない、というプランです。

時期が時期なので天気予報も毎日変わり、それは高層天気図を含めて予想天気図も毎日変わることを意味します。大気の状態が不安定で、連休の天気はよく分からんというのが率直なところでした。しかし、高層天気図ではどう見ても標高3,000メートルくらいのところでは空気が比較的乾燥しているように見えました。少なくとも土曜日は。あるいは、日曜の午前中までは。これは、標高1,500メートル程度の高層天気図との大きな違いでした。そのため、雲は出るけど稜線は雲の上、と判断して夜行バスのチケットを取りました。

さて、土曜の早朝4:30頃に猿倉に到着。いよいよ白馬岳に臨みます。100円払ってトイレを済ませ、軽くおにぎりを食べて5時頃に出発。


最初の50分くらいは林道&傾斜のほとんどない登山道歩きです。早速大きな山が前方に現れました。


これが白馬岳なのかどうか、わかりません。沢越しに見る姿は、方向的に小蓮華山のようにも思われます。日曜に白馬岳から縦走するルートにある山で、その山頂は白馬三山が綺麗に見える展望台です。いずれにしても山頂付近の岩岩しい感じが南アとは違う。


沢沿いの道の定番であるタニウツギやカラマツソウが多く咲いています。




オオバミゾホオズキ。中部地方以北の日本海側中心に咲くようです。北アではメジャーなのかも。初めて見ました。


何かの白いお花の群生。葉の形的にはいつもの見分けのつかないニリンソウ・サンリンソウなどの仲間に見えますが、こんな風に下向きでお花を閉じがちなのは初めて見ました。早朝はこのようになるのでしょうか。


白馬尻小屋の直前はサンカヨウの大群落。こんなにいっぱい集まっているのは初めて見ました。流石は白馬。花の宝庫としての実力はこの時点で既に全開か。


サンカヨウは大きな葉っぱがいっぱいで、その中心にふわっとした白いお花が集まって咲くのがとても可愛い。雨にぬれると花びらが透明になるのも神秘的。


で、早速白馬尻小屋に到着です。多くのブログやヤマレコレポートで目にするものを一応撮っておく。


前週の北岳ではプチ脱水症状になったので、ここでちょっと給水してから大雪渓に向かいます。大雪渓手前はキヌガサソウの大群落。針ノ木雪渓にもこのお花の群落があったと記憶していますが、後立山の雪渓名物なのでしょうか。大きなお花ですが、際立つ白さと凛とした張りが格好いい。






雪渓脇でチェインスパイクを装着しながらちょっと見ると、周囲の木々は雪の重みで曲がっています。こんなになっても成長していく木々の逞しさよ。




さあ、いよいよ真夏の雪山に挑みます。2015年の針ノ木雪渓以来の2度目。日本三大雪渓の二つ目。


雪渓歩きは、風が来て冷気が巻き上げられて体に当たると涼しいです。が、そうでなければ太陽と雪の照り返しで暑いです。お花がどんどん出てくるわけではないので、そういう意味では風景の変化はあまりありません。でも、白い雪渓と緑の夏山、青い空のコントラストは素敵です。


振り返ると、後続の方々もどんどん雪渓に取りついている。


クレバスもあります。近寄らないように。私は今回はチェインスパイクを使いました。2年前の針ノ木雪渓の時は12本爪アイゼンでした。当時に比べると雪山歩きの技術も自分なりに進歩し、キックステップで慎重に行くべきところやサクサク進んでいいところなどの判断もできるようになっているので、軽い装備にしました。結果、問題はありませんでした。


落石は多く、ルート上にも大きなものがかなりの数見られます。が、このような大きな石が実際に近くを転がるシーンには当たりませんでした。ラッキーだったのかもしれませんが、もう少し上部まで歩くと、落石の典型的なメカニズムが想像できる地点があります。そこで考えたのは、ちゃんとルート上を歩いていれば恐らく危険は少ないということ。


斜度はあまりきつくないです。針ノ木雪渓を登った時、他の登山者の方が白馬大雪渓の方が斜度が緩いとおっしゃっていましたが、その通りだと思います。


正面左奥に結構格好いい岩が見えてきました。


その上に月が出ていて綺麗。


振り返る。結構登ってきた。前ばかり見てしまいがちですが、雪渓登りは振り返るといい景色だと思います。男性単独行で、お天気が問題なければ90分もあれば大雪渓は登り切れると思います。


雪渓のかなり上の方に来ると、写真のように山側から石が崩れてきているのに気づきます。ルートが大雪渓の中央左寄りだったので左手の山側を見ていましたが、恐らく右側にも同じようなものがあると思います。要するに、落石はこのようなもろい岩の部分から発生し、少し斜めに走りだして雪渓を落下していくのだと思います。実際に、ガラガラと音を立ててどんどん石が落ちていました。が、ルートからは外れたところばかりでした。よほど変な感じで落ち始めないと、ルートには来ないのでしょう。逆に、来るものは特徴的なはずだから気を付けていれば気づくものと思われます。


もう少しで大雪渓も終わりです。


このクレバスはルート上にあって、最後の難所って感じ。まあ、小さいので簡単に飛び越えられます。


大雪渓を登り切りました。チェインスパイクを外し、給水&行動食の補給です。ここからは葱平というお花畑を目指して行きますが、このルートで最も斜度のキツイ登りが待っています。
早速ミヤマキンポウゲ。


の群落。


ミヤマオダマキも。


お花を撮りながら、休み休み行きます。結構な急登。シロウマオウギでしょうかね。イワオウギかも。同定は難しいようです。


コンロンソウかな。このお花はいつもピントが合わないで苦労する。


テガタチドリ。初めて見ました。下から上に咲いていくお花。今回のターゲットのウルップソウと同じですね。


ミヤマタンポポかシロウマタンポポか。見分けるには花を横から見る必要があるようで、これでは分からず。まあ、町のタンポポより大きくて力強い。


急登続いてつらい。葱平のお花畑は、時期的にまだまだ序盤だったのだと思います。実力発揮は梅雨明けぐらいなんですかね。


で、小雪渓と呼ばれる地点に来ました。ヤマレコレポートなどを読むと、多くの方はアイゼンを装着せずに進んでいるようですが、私は単独行だしチェインスパイクだと装着も簡単なので、念のために装着して進みました。


滑落したら結構下まで行くでしょう。


雲が上がってきて、格好いい。


杓子岳の天狗菱と呼ばれる岩が姿を現しました。白馬岳、登山中の見どころ多いですね。流石です。スター性の高い山だ。


さて、小雪渓を終えて再び登りです。階段状に整備されているところが多く、テント泊装備で登るのはいい加減疲れてきます。お花としては、黄色と白が目立ちますね。ヤマガラシも参戦。


ちょっとしたお花畑。


そんな中にワインレットのベニバナイチゴ。これも針ノ木岳でも見ました。


標高が上がってくるとハクサンイチゲの群落が目立つようになるのは日本アルプス一般の特徴。


杓子岳。格好いい。この後、杓子岳は今回の山行中のお気に入りのモチーフになります。




さて、いよいよ白馬岳頂上宿舎が見えてきました。頂上宿舎という名前ですが、頂上へは30分弱の距離を残しており、日本最大の山小屋である白馬山荘の方が山頂に近いです。


宿舎近くは百花繚乱。オヤマノエンドウ、ミヤマオダマキ、ミヤマシオガマ、ハクサンイチゲ、シナノキンバイなどなど。




で、あっさりと今回のターゲットであるウルップソウも出現です。もう終盤かと思っていましたが、意外と形のいいものが数多く残っています。これは嬉しい。






宿舎からテント場へ向かうところにある岩の周りとか、テント場周辺とか、完全にお花畑です。ウルップソウもたくさん。














ここまで5時間半のコースタイムですが、4時間半くらいで着きました。テントの受け付けは1時からということでしたが、先に張ってもよいということなのでテントを設営したら杓子岳に登ることにしました。この時点ではガラガラのテント場。


稜線に向けて登ると、分岐です。右に行くと白馬山荘を経て白馬岳。左に行くと杓子岳、白馬鑓ヶ岳。でも、分岐で一番目立つのはこの旭岳。白馬岳からさらに北に縦走した先にある朝日岳と紛らわしいです、こっちの方が標高が高いのですが、山頂までの登山道はありません。


旭岳を巻くように続く道があって、それは清水岳という山に続いています。北岳を除き、私の大好きなミヤマハナシノブが咲く唯一の山です。その清水岳から伸びる清水尾根は秘湯の祖母谷温泉に続いており、いつか歩きたいと思っています。が、コースタイムも長いし標高差も大きく、玄人向けです。

さて、稜線に上がって直ぐにテント場方面を見ると、まだガラガラなのが分かります。




お花を観賞しながら、ゆっくりペースのお散歩開始です。まだまだ一日は長い。10時半頃ですからね。杓子岳までは1時間ほどの道なのですが、90分から100分かけて花見散歩しました。








まずは、テント場から歩いて直ぐの丸山に登ります。ここは展望台として便利なところで、白馬岳や杓子岳、白馬鑓ヶ岳、そして黒部川の対岸である立山連峰や、水晶岳などの黒部の山々、果ては針ノ木岳の向こうに槍ヶ岳も見渡せます。






丸山を越えていくと、ウルップソウがたくさんあるゾーンに突入です。が、このゾーンは開花が早かったのか、既に最盛期を過ぎたものが多かったです。ウルップソウは下から咲くので、花の上部が開花していると最下部は枯れているものが多いです。個人的には、最上部がまだ咲いていないくらいのものが一番見栄えがいいと思います。






剣岳方面をバックに撮ろうとするが、なかなか難しい。


もちろんウルップソウ以外のお花もたくさん。イワカガミは、この山域のものは色が濃いように思う。


オヤマノエンドウは、北岳に比べると色は淡めだけど上品に思われる。


いろんなお花が一緒に咲いていて、まさに天空のパラダイス状態。


ミヤマクワガタだ。初めて見た。小さいお花なんだけど、とても複雑な色と形。




ミヤマゼンコかね。この手のセリ科の花は似たようなのが多くて、同定が実質的に不可能と言える。


丸山から杓子岳に向かう途中、ライチョウさんの親子に遭遇です。5羽ほどの子供を連れていました。私はライチョウさんは大好きなので、写真を撮るよりも話しかけたりしてみますが、当然通じるわけもなくどんどん逃げて行ってしまいます。それでも可愛いですけど。








ライチョウさんが行ってしまったので、お散歩再開。形のいいウルップソウや、背景のよさげなシーンを狙います。が、なかなか難しい。










まったく、あまりにゆっくりペースで、丸山と杓子岳の間の最低鞍部にすらまだたどり着いていません。イメージとしては、150メートル下って200メートル登り返す感じなので、楽な訳ではありません。北アルプスですし。今日はアタックザックに必要最小限のものだけを入れて歩いているので余裕ですが、テント泊装備縦走だとキツイんだろうなあ。
それにしても、杓子岳、白馬鑓ヶ岳は絵になる。白馬岳本体より格好いいのではなかろうか。






ハクサンチドリの群生を発見するも、ズームがうまくいかずに写真は残念な感じに。




コマクサもありました。これもピントが合いにくい。ガスがかかり始めて背景が白いからですかね。


杓子岳の山頂に登る道と巻き道の分岐に来ました。ここからは、これまでよりガレた急な坂になるので、落石も含めて注意が必要。




お花はイワウメやキバナシャクナゲなどがありましたが、このガレた道では種類は多くなかったです。


で、山頂です。白馬三山の中では、人生的に杓子岳に最初に登頂することになったというのは何となく意外である。


ガスがかかっているように見えますが、長野県側から夏雲が上がってきているだけで、全体的には十分晴れているイメージです。白馬岳方面。


白馬岳拡大。


流石に豪雪地帯の2,900メートル級。山頂は荒々しい感じ。


一応自撮り。


白馬鑓ヶ岳。どの辺が鑓なのかよく分かりません。丸いイメージの山ですね。


富山県側を眺める。残雪が多くて格好いい感じ。


稜線を旭岳方面。こちらも結構格好いい。


山頂で遊んでいたら白馬岳が長野県側からの雲にアタックされていた図。右側の標高低めのピークが小蓮華山でしょう。




12時を回ってお腹も空いてきたので頂上宿舎に戻ります。宿舎の食堂は、なんと5時まで軽食を出してくれます。とても親切ですね。宿泊客の夕食準備もたいへんだろうに。カツカレー1,200円に興味があったので、戻って食べることにしました。

帰り道もお花見は続きます。ピストンだから行きでも見ているはずのお花なんですけどね。ミヤマキンバイとかミヤマダイコンソウは、どこにでもあるのでありがたみがないかもしれませんが、やっぱり可愛いし黄色は華やかです。






これまではあまり撮ったことのない縦長で撮ってみると、背景が結構よいことがある。


斜めにもしてみる。


このハクサンイチゲは異常に綺麗に写っていると思う。














シコタンソウも見つけた。


テント場まで戻ってきました。まだ1時20分くらいです。それでもだいぶ増えていますね。この後、テントとテントの間を通るのが困難なくらいにビッチリ埋まります。白馬岳は最高に楽しい山ですが、人が多いのが難点。自分もその中の一人なので勝手なことは言えないですけどね。でも、人が増えるとどうしてもマナーの悪い集団とかが出てくるのが嫌ですね。


そして、狙っていたカツカレー。山小屋ご飯は久しぶり。かなりのボリュームで大満足。


これなら、夕食は予定より軽く済ませられそう。この時期は一年で一番日が長い時ですが、それでも山の夕食は6時過ぎと早いので、カツカレー食べてからあまり時間が経っていないですからね。

さて、長くなっているのでいったんここでアップします。夕日の景色と翌日以降のレポートは次回に回します。

キタダケソウを求めて今年も北岳に登る

2017-07-26 22:14:15 | 旅行
7月の8日と9日の土・日に今年も北岳に行きました。本当はその前の週末に行きたかったのですが、金曜の夜には1週間の仕事疲れてダウンしており、とても週末に南アに行く気になれず。ただし、今年はどうしても7月前半に北岳に行きたかったのです。
それは、キタダケソウが咲いているから。例年であれば6月末までに見頃が終わってしまうキタダケソウ。世界で北岳にしか咲かない高山植物で、薄くて上品な白い花びらが特徴。南アは交通規制もあり、一般登山者が利用できるバスが運行されるのが6月25日くらいからなので、山開き前にはキタダケソウの時期が終わってしまうことも多いのです。昨年は7月の最初の週末に行きましたが、残念ながらキタダケソウさんには会えず。一輪だけ終わりかけのものを見つけるのが精一杯でした。
ところが、今年は雪が多かったのと6月の気温が比較的低かったのが幸いし、7月になってもキタダケソウが残っています。ヤマレコレポートなどで情報を確認し、このタイミングを逃すと次に見られるのは数年後かもしれないので絶対に行くことにしました。天気予報は今一つだったのですが、強い風雨で危険な状態でなければ行く覚悟でした。昨年は2度北岳に登っており、山頂からの絶景や稜線美は既に十分楽しみました。キタダケソウさんを見ることができれば、多少の雨風は我慢です。

7時に新宿を出発のスーパーあずさで甲府に向かい、甲府からは山梨交通のバスで広河原を目指します。シーズン序盤ということで、甲府のバス乗り場はそれほど多くの登山者は集まっていませんでした。それでも2台出たけど。


いつも思いますが、このバスは夜叉神峠と広河原しか実質的には止まらないので、2台以上出すなら広河原に行く人と夜叉神に行く人を分けて乗せればいいのに。広河原の方が多いでしょうから、少なくとも1台は夜叉神を通過して走れるようになるから効率的なのに。それはともかく、電車で1時間半、バスで2時間。接続の時間も含めて合計4時間かけて11時に広河原着。いつもながら登山口に着くまでに疲れるパターンです。

広河原の登山センターに着いたら、トイレと簡単な栄養補給をして直ぐ出発です。今回は北岳山頂直下にある肩の小屋のテント場にテントを張る予定。コースタイム5~6時間の道で1,500メートルほど登るので、11時台に出発は遅めです。5時間で登っても4時過ぎですからね。
登山口から北岳方面を眺めると、山頂は雲の中でした。それでも、全体的には晴れて悪くないお天気です。


いつもの吊り橋を通って野呂川を渡ります。野呂川は流れの早い清流で、南アの男性的なイメージに合っていて好きな川です。


そして、最初の2時間ちょっとは樹林帯の急登です。時々階段もどきのハシゴも登場し、テント泊装備ではなかなか厳しい道です。お天気がよかったせいか気温も高く感じました。汗が噴き出し、後から考えるとちょっとした脱水症状に陥ったようです。相変わらず北岳の登りは厳しい。
途中、鳳凰三山方面の視界が開けるところがありますが、こちらも山頂は雲の中でした。


最初の樹林帯はお花も少ないので写真もあまり撮らず、とにかく標高を稼ぐことに専念。結果、1時15分くらいに白根御池小屋に到着です。


昨年は稜線の風が強烈だったので、肩の小屋ではなくて樹林帯に守られている御池小屋にテントを張りました。この小屋を利用される方はあまり多くないのかな。でも、スタッフはとても親切で明るいので、私は好きな山小屋です。そして、南アルプスの天然水の水場です。水の美味しさは折り紙付き。
15分程度休憩し、1時半ごろに出発です。ここからは草スベリの急登。まあ、これまでも急登だから同じですね。


ちょっと進んだところから振り返ると鳳凰三山。


足元にはニリンソウやキバナノコマノツメが多く咲いていました。


でも、本当はこのミヤマハナシノブがいっぱいいると嬉しい。個人的トップ5に入る贔屓の花です。稜線に咲く花以外ではトップかも。今年は開花が遅れているのか、形のいいものはこの株しか見ませんでした。


標高を上げていくとシナノキンバイの大きな花も出てきます。夏のアルプスの代表ですね。


この日は暑かったのか、体調が悪かったのか、とにかく汗だくでした。結果、プチ脱水症状に陥って両足のふくらはぎが攣ってしまうという事態に。下山される方とすれ違う時には心配されてしまうほど、見た目にはまいっていたようです。途中で水分不足に気づいて残りの飲料の量を無視して取りあえず大量に水分補給し、同時に塩タブレットを2つほど食べてからは回復しました。行動中でも体調管理というか、客観的に自分の状態を考えるのは大事ですね。

お花のシーズンはもう少し先だったようですが、それでも楽しませてくれるのが北岳の実力。ニリンソウ(相変わらずイチリンソウ、サンリンソウとの見分けはできない)と思われる花の群落とか、イワカガミやミヤマキンポウゲ、ツマトリソウ、そして贔屓のハクサンチドリなどが見られました。木の花としてはミネザクラやナナカマド。サンカヨウも結構標高高いところにもありました。












で、脱水症状にやられつつ、回復しつつ、ヘロヘロになりながら二股分岐のところまで登ってきました。小太郎尾根まではあと少し。そこまで行けば傾斜はだいぶ緩くなるし、稜線のお花も増えるし、仙丈ケ岳とかも見えるはず。自分を励まします。


この辺りはシナノキンバイの群生がいつも見事ですね。癒しというより活力を与えてくれる感じ。


これはシナノキンバイの蕾かなあ。


そしてこれはハクサンイチゲの蕾かなあ。全体的に、お花はこれからが本番という感じでした。昨年は今頃既に百花繚乱でしたが。


尾根に出る手前には雪がだいぶ残っていましたが、滑るような状態ではないので問題なかったです。


そこに鳥さんが佇み、いい声で鳴いていました。ホシガラスではないけど結構大きい鳥。何だろう。


で、やっと小太郎山分岐に。ここまで来れば安心。もう遭難しない。しかし、登る途中で見えていたように、山頂が近づくにつれて雲の中に入ってしまいました。眺望は利きません。


そしてお花畑が始まる。このミヤマキンバイ、見て下さい。黄色と中心部のオレンジの色が見事です。北岳のミヤマキンバイ、一味違う。




ハクサンイチゲもたくさん。元々群落を作りがちな花ですが。


この通りのお花畑が広がります。白、黄色、紫、ピンクなど色とりどり。まあ、背景は全体的にガスっています。






イワウメはかなり咲いていました。比較的早い時期に咲く花ですからね。


イワベンケイはまだまだ咲き始め。


北岳のクモマナズナは株が大きくて美しいです。


ミヤマシオガマのピンクは目立ちます。


この時期目を惹くのはやはりオヤマノエンドウでしょうか。青紫の小さなお花がまとまって咲くので存在感あります。


ハハコヨモギはまだ始まったばかり。もこっとしたお花が可愛い。木曽駒と北岳にしか咲かないはずです。


キバナシャクナゲは、石楠花の中では一番好きな花です。高貴な感じがする。


このように、尾根に出るとお花を探してしまって足の進みがのろくなりますが、いいんです。どうせ残り40分くらいのコースだし、体も疲れているからゆっくりで。
途中で足が攣ったりしたのでコースタイムよりだいぶ遅れるかと思ったのですが、肩の小屋に着いてみれば実際にはコースタイムより巻いていました。4時20分頃到着。


早速テントを張ります。本来のメインテント場はまだまだ雪に覆われていて、小屋近くの空き地に皆さん場所を見つけて分散して張っています。土曜日ということで結構混んでいました。まあ、7月後半以降のハイシーズンになるとこんなもんじゃないと思います。昨年8月に縦走した時には北岳山荘のテント場に張りましたが、その時は満員でした。平日でしたが。
お天気的にはガスなので、ゆっくり休んでストレッチなどをし、食事を作ります。




でも夕暮れまでにはちょっと雲の切れる時もあって、仙丈ケ岳も見えました。自分がテントを張った所は仙丈ケ岳の正面になるので、ガスが取れれば絶景の稜線テント泊になります。


この日は東の空に大きな月が綺麗に出ていました。翌日の好天を願って就寝です。
そして翌朝。今回も神様は味方してくれました。ガスが取れて晴れています。早速、ご来光を山頂で拝むために出発です。その後は山頂を越えていったん八本歯のルートの方に下り、トラバース道に入ってキタダケソウさんを探す予定です。
たくさんの登山者が山頂での朝日を狙って出発です。


朝日は鳳凰三山のド真ん中から上るようです。


オレンジ色の光が照らします。


日が出ると辺りも染まり始めます。ビッグマザーの仙丈ケ岳。


甲斐駒。


甲斐駒と仙丈ケ岳のツーショット。


富士山も比較的大きく見えるのが南アの特徴ですね。雲海があって神秘的。


山頂のお花も朝日を浴びて綺麗。






そして個人的に日本最高稜線と思っている、白峰三山の稜線。間ノ岳はいつ見ても格好いい。




朝日の山頂を楽しんだら、いよいよキタダケソウさんを求めてトラバース道方面に下ります。その途中でもたくさんのお花を見ることができます。ミヤマオダマキやヤマガラシはこっちの斜面でしか見ませんでした。




ツガザクラもあります。


昨年の8月には、シコタンソウやシコタンハコベ、イワギキョウやイブキトラノオなども咲いていましたが、時期がちょっとずれるだけで違うお花が咲いてくれます。とても楽しい。
で、トラバース道の分岐まで下りてきました。


ここから見る間ノ岳方面も格好いい。ちょっと標高が下がったところから眺めているので、見上げる感じになります。




見逃さないように、やや緊張してキタダケソウを探しながらトラバース道を進みます。白いお花は出てきますが、まずはお約束のハクサンイチゲ。


そしてチョウノスケソウ。


これらのお花もそれぞれ綺麗なのですが、やはり今回は明確なターゲットとしてキタダケソウを求めている。偽装キタダケソウのような白いお花たちは少ないほうが本物を見つけやすいという自己中心的な考えも浮かびます。こんな雲上の楽園でも人間は自分勝手なものだ。私だけかもしれないが。
しばらく進むと、ついに発見。キタダケソウ。薄くてひらひらした花びらと平べったく重なったユキワリソウの花びらのような葉が特徴です。






やはり終盤なのか、形のいい個体はあまりありません。が、まだまだトラバース道は序盤。他に出てきてくれることを願って進みます。




すると、道からはやや離れたところですが、結構大きな群生地が見つかりました。コンデジのズーム機能でよい株を探します。










他にも群生している所が幾つか見つかります。










やはり、ハクサンイチゲに比べるとちょっと清楚というか大人しい感じ。地味と言えば地味。でも薄くて透き通るような花弁と黄緑色の雄蕊・雌蕊は本当に上品。樹林帯のミヤマハナシノブと並び、北岳という厳しい男山にあって不釣り合いなほど女性的。






いやー、キタダケソウ。残っていてくれてありがとう。稜線に咲く花としては、ツクモグサと並ぶ贔屓の花ですね。両方ともとても可愛いというか儚い感じというか。実際には風雨が吹き荒れて水も少ない砂礫の稜線に咲くお花なので、とても強い子たちなのです。が、その姿はとても儚い。それが美しさを感じさせる。

さて、キタダケソウの群生地を過ぎました。トラバース道も終盤。後は稜線に出てもう一度北岳に登り返し、肩の小屋のテント場に戻って撤収です。
その前に、ミヤマムラサキやミヤマキンポウゲなども登場。トラバース道はキタダケソウだけでなく花の宝庫でした。緑色のハクサンイチゲにも会えました。昨年もみつけました。










さて、ここからは北岳山頂への帰路です。


途中も時々お花と景色を楽しみます。










再び北岳の山頂です。時刻は7時くらいかな。もう完全に明るい夏山です。富士山方面。


甲斐駒、仙丈ケ岳方面。


大好きな間ノ岳稜線。


大樺沢左股を見下ろしてみました。雪が多いですね。雪渓登りを楽しみたい人は、今年は白馬岳や針ノ木岳じゃなくて北岳でも楽しめますね。


さて、テント場に戻ります。途中でキバナシャクナゲの形の良いものを見つけました。




テント場です。多くのテントは既に撤収されていました。皆さん下山したり、間ノ岳に縦走されたりしているのでしょう。このテント場、やはり張れると絶景でした。贅沢ですなあ。


何となく、一般登山者は間ノ岳への縦走に便利な北岳山荘を選んでしまうような気がしますが(肩の小屋はバットレスを登る玄人向けのイメージ)、私は両方好きですね。白根御池小屋も好きですから、結局何でも好きなのかもしれない。
本格的な下山前に、残ったインスタントコーヒーを飲みに肩の小屋前のベンチに行きました。皆さん、これから下山ですかね。結構混雑していました。一服したら、小屋のスタッフに挨拶して8時半ごろに下山開始です。


これまでは常にガスの中だった小太郎尾根ですが、今日の下山時には晴れていて展望がよい。正面に甲斐駒がドーン。


うーん、男山である。


下山は右股コースを取ります。残念なことに鹿の食害がひどいらしく、数年前からお花はだいぶ減ってしまっているようです。今回は時期的な問題もあって、シナノキンバイとかニリンソウ(でいいのかよく分からんが)などが主体で、タカネグンナイフウロもミヤマハナシノブもほとんど見られませせんでした。本当は時期が合えば見られるのかな。見られるといいなと思います。










左股を登っている登山者は多かったです。


途中、右股でも一か所だけ雪の残っている所を歩きますが、危険はありませんでした。


私はこの辺りで結構疲れてきてペースダウン。写真を頼まれた小屋泊装備の5名のパーティに追いついたり先に行かれたりしつつ、話しながら進みました。途中、アナグマと思われる大きな猫くらいの動物を見ましたが、写真に収めることはできず。
樹林帯のお花はそれでもちらほらと出てきます。ハクサンチドリに会えるとうれしい。


マイヅルソウ。


これはコンロンソウかなあ。


大樺沢の雪渓越しに鳳凰三山。


おっ、ミヤマハナシノブも1つだけ見つけましたよ。やはり圧倒的に上品。以前はハクサンチドリが最高に上品だと思っていましたが、今はミヤマハナシノブ。


近くにはタカネグンナイフウロも。もっと見たかった。


雪渓の崩れている所は、轟々と水が流れていて凄い迫力。写真では伝わりません。


途中で沢に下りられるところがあって、皆さん水を汲んだり顔を洗ったり。私も手ぬぐいを濡らして顔や腕を拭いたり、頭を冷やしたり。南アルプスの天然水。ありがたい。


カラマツソウが多くなると下山完了が近いイメージ。


沢の向こうに北岳が見えます。今回も晴れてくれて、そしてキタダケソウに会わせてくれてありがとうございます。山に感謝。


下山完了は丁度12時くらいで、バスは1時までなかったので野呂川の吊り橋の辺りで川からの風にあたって涼を取りながら北岳を見ていました。
1時のバスに乗って2時間かけて甲府に出たら、駅の近くの銭湯(高砂湯)で汗を流します。山梨交通のバスも、途中の地元の温泉施設とかに寄ればいいと思うのですが、そういう気は利かないものなんですな。やはり独占企業体というのは問題だと思ったり。

この日、甲府は最高気温35度の予報だったようで、むせ返るような暑さでした。銭湯から出て駅まで歩く5~6分で再び汗が吹き出しますが、それはしょうがない。駅ビルに退避して遅い昼食です。いつもの小作とは違うほうとう屋さんに入り、ほうとうと鳥の唐揚げを食べました。
帰りは、タイミングよくホリデー快速ビューやまなしという列車が来て、自由席に座ることができたので新宿まで効率よく帰ることができました。最後まで予定以上に上手くいった旅でした。

北岳は贔屓の山です。南アを縦走して深い森に溶け込んだ後に山頂に立つのがいいですが、そうでなくてもこれだけの絶景とお花畑、適度な厳しさは十分に楽しい。まだ槍ヶ岳も水晶岳も立山も赤石岳も聖岳も登っていないですが、これ以上に贔屓になる山が出てくるのかやや疑問。次は紅葉の時に来たいかも。早川尾根や鳳凰三山から北岳が黄色に色づくのを見るのがいいように思います。

谷川連峰主脈縦走 その3

2017-07-22 10:06:10 | 旅行
思いのほか写真が多くて3つに分けることになってしまいましたが、縦走記事の最後です。
谷川連峰主脈縦走路の最高峰である仙ノ倉山の山頂。おにぎりなどで栄養補給し、十分休憩を取りつつ絶景を楽しみました。あとは平標山への道を残すのみ。そして、平標山山頂直下には、ご褒美となるハクサンイチゲやミヤマキンバイ、ハクサンコザクラのお花畑があることが分かっています。それでは、まず仙ノ倉山山頂から木道を下ります。


この風景だけでも素晴らしい。この時期に大人気のエリアなのは納得である。ただし、なかなか晴れない。今回の山行はとてもラッキーで、神に感謝である。


マツダランプの標識もいつの間にか東芝ランプに変わり、肩の小屋からの距離も10kmに達していました。


続く稜線美。




そしてお花畑へと突入。








実はチングルマもお花畑に存在していた。ハクサンイチゲが大群落を形成しているので、色の同じチングルマは目立たなくてちょっと可哀想。






最後のピーク、平標山に到着。疲れもだいぶ癒された。


このまま下山してもいいのですが、翌日は日曜日なので平標山の家のテント場にテントを張ってゆっくり過ごす予定です。平標山の家への道は、ひたすら階段を下ります。途中は残雪も結構ありました。


ひたすら下るのも結構こたえる。


左手には、仙ノ倉山への稜線が見えます。さらに下っていくと山頂は稜線の影に隠れてしまいますが。


この道にもお花は咲いています。4年前に来た時にはウラジロヨウラクを多く見た記憶があるのですが、今回はイワカガミやミツバオウレンが多かったです。




標高を下げてくると、稜線の先にエビス大黒ノ頭も姿を現しました。


そして、山の家に着いてみると驚いたことにテント場はほぼ満員。ちょっと無理してようやくスペースを見つけることができたので事なきを得ましたが、もう少し到着が遅かったら危なかった。どうやら、平標山と仙ノ倉山だけを登ってゆっくりとキャンプしながら楽しむパーティが多いようです。日帰りが主流だとは思うのですが、確かにお天気がよければまったり楽しい週末の過ごし方でしょう。

夕暮れ前に簡単にパスタとミネストローネの夕食を取りました。隣では大人数のパーティが豪華にいろいろ調理していた。まあ、そういう山旅は求めていないのでいいのですが、ロングルートで3泊以上する時には食事の内容にももう少し気を使った方がいいかもしれません。栄養的に。


位置的に夕日を見るなら平標山の山頂まで登り返さないといけないと思うので、それは諦めて少しだけ登って景色を楽しみました。夕日は平標山の向こうに落ちていくようです。


北西方面の空。夕焼けています。


オレンジ色に染まる苗場山が綺麗。


主脈稜線方面はそれほど染まりませんでした。


山の家に帰る途中に階段から撮った写真。テント場がいっぱいなのが分かる。


夕日を浴びる山の家。


山の家にある鐘と背後に主脈稜線。


テント場はいっぱいでしたが、夜は特に問題もなくゆっくり休むことができました。そして翌朝。見事にガスっている。


流石は谷川連峰。簡単にはよいお天気は続きません。この日は三国峠まで歩く予定ですが、元々稜線の美しさはについては前日までの主脈縦走で十分堪能していましたから、道すがらお花を楽しめばよいということにします。で、少しゆっくりとコーヒーなどを飲んだ後の6時頃に出発。
ベニサラサドウダンやイワナシが登場しますが、このルートのメインはアカモノとムラサキヤシオでした。










ムラサキヤシオはこれまでほとんど見たことがなかったツツジです。日本海側の山に多いようで、関東近辺だともう少し青紫っぽいミツバツツジが主流です。ムラサキヤシオは完全に赤紫。
展望の開けるところから。仙ノ倉山とエビス大黒ノ頭が確認できます。




基本的には樹林帯で、ツマトリソウやツバメオモトが見られます。イワカガミも相変わらず可愛い。






ルートはずっと基本的にこんな感じ。


ウラジロヨウラクも出てきました。まだ咲き始めといった感じ。でも、前に登った時に見た花が出てきてくれると何となく嬉しい。知り合いに再会した気分。






このルートにこの時期多かったのはアカモノです。アカモノロードと言えるようなところが結構あります。可憐で贔屓の花なので嬉しい。






アズマシャクナゲも時々出てきます。


赤の濃いウラジロヨウラク。


ルート上には雪の残っているところも。


この日のルートの中では唯一のピークとなる大源太山が見えてきました。


この標識の直ぐ足元には、マイヅルソウの群落があります。マイヅルソウもルート上に多く咲いていました。






特に疲れていたわけではないのだけれど、やはり前日の縦走が効いているのか結構体が重く、この日の歩みはゆっくりでした。大学生6名程度のパーティに簡単に抜かされつつも、なんとか山頂に到着。幸いなことにガスがちょっと晴れていて、山頂からは昨日の縦走路を見渡すことができました。正面の平標山、仙ノ倉山。


エビス大黒ノ頭、万太郎山と続き、一番奥に谷川岳。


ザックを下して少し休憩して顔を上げると、これらの稜線の景色は再びガスの中に隠れていました。一瞬出てきてくれたのですね。山々と神に感謝です。
さて、大源太山を後にしていよいよ三国峠に向かいます。それにしても、昨日から続く確実にピークをたどって巻き道のないルートなため、アップダウンが結構激しくて消耗します。この日は3時間半程度の気楽なハイキングのつもりだったのに、実は結構な負担でした。特に、途中のピークである三角山に至ってその後全般的には下りながらもアップダウンが結構ある地点があり、そこを歩いている時には「どうせガスなら三国山はピークハントしないでそのまま三国峠に下山すればいいや」、という気になっていました。

それでもムラサキヤシオの廊下とかあると嬉しい。


なかなかアップで撮るのは難しいけど。


シラネアオイもありました。何だかんだ言ってもお花は豊富ですね。


で、結局三国山は登らずに素直に下山です。三国峠への下山路は木道が整備されていて危険はないのですが、疲れからなのか気が抜けたのか、花の写真を撮った後に歩き始めた直後に一回スッ転びました。いかんいかん。。。
このルート、三国山の辺りは7月にはニッコウキスゲの大きなお花畑が出現するそうで、その時期に行ってみたい気がします。まあ、車がないとアクセスはよくないですけどね。
この縦走中の今年の6月のお花は木のものが多く、レンゲツツジやウラジロヨウラク、標高が下がってくるとタニウツギやヤマツツジが多かったです。








そして、昔から交通の要衝として重要だった三国峠に到着です。神社があり、この峠を通った人の名前が掘られた碑もあります。




三国といいますが、実際には新潟県と群馬県、越後国と上野国の2つの国の境です。江戸と越後を結ぶ三国街道にあり、名前は三国山から来ているとか。今は関越自動車道とかあるけれど、当時は馬か自分の脚で江戸から越後まで歩いたのだから立派です。
ここでしばし休憩。後は15分ほどの下山を残すのみ。大学生のパーティは三国山を登ってから追いついてきましたが、山頂はガスガスだったとのこと。行かなくて正解だった。最後の下山ルートは広葉樹の森で、沢の音が聞こえる上信越の森の雰囲気でした。


下山したところにある標示。


さて、最後の下山を終えると現在の三国街道、国道17号線に出ます。ここは大型のトラックやタンクローリーも通っていて恐いのですが、バス停は30分以上歩いた西部クリスタルというリゾートマンションのところまでありません。車の邪魔にならないように歩き、バス停に着いたものの10:10のバスは3分ほど前に出たばかり。次の11:05のバスに乗って11:52に越後湯沢に着きました。
越後湯沢は温泉町ですが、公共交通機関利用の旅行者場合は駅ビルの「ぽんしゅ館」に併設されたお風呂が便利です。何やら少しだけ日本酒を混ぜたお湯というのもミステリアスでよろしい。


と言うか、越後湯沢の駅は完全に新潟特産品テーマパーク状態です。


お土産も、お菓子などの定番ものから漬物やお蕎麦、当然のごとく多くの種類の日本酒(利き酒コーナーあり)、工芸品など一通り揃います。食堂も充実していて、回転鮨、ラーメン、イタリアンなど多彩。私は並ばないで入れた食堂で、写真の豚丼を食べました。下山後は肉が欲しくなるというパターンだったので。


今年の夏の登山旅行は、ずっと興味のあった谷川連峰主脈縦走で幕を開けました。お天気も全体的には恵まれていました。晴れるべき時にしっかり晴れてくれて、山に愛されている感じでした。お花は、この山域の実力から言えばまだまだ咲き始めだったのでしょう。7月に再訪することがあってもいいですね。その分、雪解け直後の6月は稜線美が最高でした。また、谷川岳肩の小屋も平標山の家も、小屋番さんが親切で過ごしやすかったです。
谷川岳は南アの北岳と並ぶ贔屓の山。馬蹄形もいずれはチャレンジすることになるでしょう。後は、冬に白毛門から谷川岳東面の快晴の図を見てみたい。興味の尽きない山域です。

谷川連峰主脈縦走 その2

2017-07-19 21:03:44 | 旅行
主脈縦走をして思ったこと。なぜこんなにも実直にピークを踏むルートなのか。普通は縦走路と言っても小さいピークなどは巻き道があることが多く、稜線のデコボコを完全になぞるものは少ないと思います。しかし、谷川連峰は真面目に稜線を行きます。想像するに、巻き道は豪雪とその雪解けのせいで崩れてしまうのではないかと思います。そのため、結局は完全に稜線をなぞるルートになるのではないかと。まあ、想像ですが、実際に歩くと確実にアップダウンがあるので疲れます。

愚痴はともかく、せっかくのお天気に恵まれた山行。楽しまないのはもったいないです。谷川岳の影が映る主脈の縦走に出発。


まずは、オジカ沢の頭というピークを目指します。200メートルくらいのアップダウンです。既に稜線にはお花が多いですが、種類はこの時期ではまだ限られていました。ハクサンイチゲ、ミヤマキンポウゲ、イワカガミ(ヒメイワカガミという種類でしょうか)、ユキワリソウ、ミツバオーレンなどです。








これはコメバツザクラかな。去年八ヶ岳の横岳稜線で見たのと似ている。


暫く行くと中ゴー尾根への分岐があります。これを下る人は少ないのだと思うけど、下った先の沢の名前が谷川なのである。恐らくは谷川岳の由来。


ヤマレコレポートにもよく出てくるマツダランプの標識。


振り返ると、谷川岳から一ノ倉岳方面への稜線。まだ太陽はその後ろに隠れています。




アズマシャクナゲ登場。まだ元気に歩いています。


オジカ沢の頭の手前は鎖もある岩場で、気を使うかなり危険な感じのところでした。そんな場所があるとは知らず、さらに高齢の4名パーティがいて狭い道で渋滞したこともあり、ストックをしまうこともできずに難儀しましたが、何とか約1時間でピークに到着。ほぼコースタイム通り。テント泊装備だということもあり、それほどペースは上げていません。


これから進む方向には万太郎山が大きく見えます。谷川連峰の稜線らしい、クマザサが多くて岩岩しくなく、メルヘン感ある稜線美を早速堪能。まあ、累積すれば万太郎山までだけでも500メートルくらいのアップダウンがあるんじゃないかと思うので、楽ではなさそうですが。


ちょっと視線を左側に転じると、残雪の多い谷が美しい。


こっちには道がありませんが、南側はこのような感じ。見えているピークは川棚の頭というところでしょうか。バリエーションルートはあるのかな。冬季は気象条件は厳しいだろうけど、スキルのある人なら行けそう。あのピークから主脈を眺めるのも絶景でしょう。


そして、振り返ると太陽が谷川岳の上に上がっていました。雲海が美しい。


空気が澄んでいて、富士山も見えました。


軽くパンを1つ食べて、次の小ピークを目指します。オジカ沢の頭直下には避難小屋があります。主脈には幾つかこのような避難小屋があり、私のように肩の小屋に泊まらない場合はこれらのうちどれかを利用することになります。まあ、トイレがないのが私としては不安で使いたくなかった。


小障子ノ頭、大障子ノ頭と続く道は比較的緩やかなアップダウンが続く美しい稜線です。




ちょっと左右を見ても、やはり美しい。




お花は相変わらずイワカガミなどが主体。


ピークを登ったという感覚はなく、アップダウンの多い稜線をひたすら歩いていたら着いたという感じの小障子ノ頭。


ここから向かって左側、南方の景色。


これから向かう稜線。万太郎山きつそう。


まずは大障子ノ頭を目指しますが、こんな感じの登りです。大したことないと見るか。縦走中だとキツく感じるものですが。


お天気がいいので文句は言えません。ハクサンイチゲも美しいし。


振り返ると谷川岳からはだいぶ歩いてきた感じ。一番左手の双耳峰が谷川岳、その手前、すぐ右に見えるのがオジカ沢の頭。中央奥には尾瀬の燧ケ岳や日光白根山と思われる山々が見えます。


ちょっと南側に目を転じた図。こういった絶景を楽しみ、写真を撮りつつ登り続けます。


そして、やっと大障子ノ頭に到着。若干コースタイムより遅れ気味。まあ、景色的には気持ちよく歩いています。小鳥の声も聞こえて楽しい。しかし、経過時間が示すように決して楽ではない。


このピークからも再び富士山。手前の山々は奥秩父山塊ですかね。


向かう先の万太郎山。だいぶ大きく見えるようになりました。よく見ると、いったん大きく下ってから登り返す道が分かりますね。まったく。


そして、大障子ノ頭を越えると今回最大の難所が出現。肩の小屋の小屋番さんにも教えていただいていたのですが、登山道が崩壊して滑りやすい(谷底まで行ってしまう)ところがあります。黒い岩の右側を巻くような形で迂回路の踏み跡があるはずだから、そこを通るようにということでした。ところが、それが見つからないままに難所の真上に出てしまいました。少し戻っても迂回路は見つからず、大障子ノ頭まで登り返すのも億劫。ということで、雑草をつかみながら岩を滑るようにして難所を通過。これは通過後に振り返って(上を見て)撮った写真です。これだと伝わりにくいですが、この下は崖です。というか、この部分が既に崖ですが。テント泊装備を背負っての通貨はかなり無理があり、本来は時間をかけてでも迂回路を探すべきでしたが、後続の方々もほとんどこの難所を滑り降りているようでした。まあ、事故がなくて何より。


一息ついて、再び歩き始めます。進行方向右側には越後湯沢方面の町が眼下に見えます。


左は相変わらず残雪の多い谷を挟んでの絶景。


正面には万太郎山。登り返しがキツイ。


振り返ると太陽はかなり上がっていました。左手前のピークが大障子ノ頭です。


ここでミヤマキンバイ。


そして、苦労の末にやっと万太郎山に登頂。時間的にはちょっとだけ巻き返していて、出発地点から計算するとコースタイムとほぼ同じくらいでここまで来ています。実際には、万太郎山の山頂はここから3分ほど歩いた先なのですが、ここは土樽方面に下りる道との分岐になっていて少し開けているので、この時点では万太郎山の頂上だと思って写真を撮っていました。これは歩いてきた道。谷川岳が既にかなり小さい。疲労感を裏付ける距離感である。


北側は、谷川連峰の馬蹄形縦走路にある茂倉岳からの尾根が見えます。豪雪地帯で削られるのか、迫力ある尾根ですね。遠くに小さく見えるのは八海山とか越後駒ヶ岳だろうか。


少し拡大。


進行方向にはエビス大黒の頭を経て今回の最高地点である仙ノ倉山。奥には残雪が多い、平べったい形の苗場山。苗場山がかなり大きくなってきました。夜明けにオキノ耳から見た時には凄く小さかったのに。と言うか、ここに来て初めて仙ノ倉山が見えるようになりました。


他の登山者の方が来られて少し混んできたので、本当の山頂に移動。自撮りなどして15分程度休憩。




これから行く道。先行者がまずは万太郎山を下っているのが見えます。先ほど、進行方向として見ていた仙ノ倉山は見えませんね。それはその右奥、だいぶ先にあるのです。


ここからは、いったん400メートルほど下ってから450メートル以上登り返すという、主脈縦走路最大のアップダウンが待っています。既にアップダウンの稜線をテント泊装備を背負って3時間半ほど歩いてきているので、心の萎えるところです。
しかし、このお天気は素晴らしい。景色を楽しみながら歩かない手はない。実際には、この頃には新潟方面(北側)からの風に乗って夏雲がかなり上がってきており、いずれガスに巻かれることは予想できましたが。まあ、それでも稜線歩きを引き続き楽しみます。




シラネアオイが少しだけ残っていてくれました。違うお花が出てくると嬉しいですね。特にこういうちょっと存在感のある大きめの花は。


ハクサンイチゲは多いので、背景の決まる写真を狙って撮る。


万太郎山から下っている最中に、ガスが稜線まで上がってきました。北からの風は冷たく、火照った体には気持ちいいですが、視界を奪われるのは辛い。


稜線からの景色も徐々にガスの中へ。。。9時ぐらいでした。これから2時間程度はガスに支配されました。


そうなると、稜線美を楽しむのではなくてお花を探す旅に早変わり。相変わらず多いのはイワカガミ。


アカモノも登場。好きな花です。


これは特定できず。


ミヤマキンポウゲも結構増えてきました。


ついにハクサンコザクラも登場。この後、平標山ではハクサンイチゲと一緒に群生しているはず。


タテヤマリンドウも。数はあまりなかったと思います。まだ時期的に早かったのかも。


ツガザクラ。


標高1,954メートルの万太郎山から、いったん1,568メートルの最低鞍部まで下り、そこからはエビス大黒ノ頭に登り返しです。すでにかなりヘロヘロ。登りはもちろんですが、下りもぬかるんだ道で滑らないように注意して歩く必要があったりして、体力を削られるのです。そんな中やっと到着しましたが、まだこのピークを越えてからいったん下って、最高地点の仙ノ倉山2,026メートルまでの登り返しが待っています。谷川連峰主脈、日本アルプスの縦走に劣らぬ厳しさです。いや、風景は超絶癒し系の天国稜線&お花&小鳥の声なんですけど。


しかし、エビス大黒ノ頭を過ぎたあたりで風向きが変わり、南側の群馬県方向から強い風が吹き始めました。すると、みるみるうちにガスが晴れていきます。


進行方向。本日のボスキャラ、仙ノ倉山がガスの中から登場。まさに満を持してのボスキャラ登場シーン。かなり手強いのだろう。緩やか稜線に見えるものの、ここから100メートルくらい下ってから250メートルくらい登り返すのだから、既に披露している体にはかなりの試練。


北側の新潟県は雲の下。稜線からは雲海が美しくてありがたい。


振り返るとこれまで来た道。雲がある稜線のシーンは迫力ありますね。


南側の群馬県側は快晴。


そして、仙ノ倉山直下の避難小屋のところまで来ました。途中でバイカオウレンやアズマシャクナゲに癒されつつ、疲労がピークに達して避難小屋前のクマザサの平地に寝転がって5分ほど休憩です。




ここから眺めるボスキャラ。もう少し小さくてもいいんですけどね。まあ、迫力満点。ありがとうございます。


歩いてきた道。見えるのはエビス大黒ノ頭。


その奥には雲の上に万太郎山のピークが見えます。まあ、疲れて当たり前だよ。このルート。


休憩を終え、意を決して仙ノ倉山を登ります。ゆっくりペースで。できるだけ立ち止まらず、とにかく一歩一歩。途中でお花が綺麗だと写真を撮るのを口実に30秒くらい立ち止まります。








南側はクマザサが見事。


まだまだ山頂は遠い~。


振り返ると美しい稜線。この主脈稜線の縦走もファイナルパートが近い。感無量である。


そして、ついにボスキャラの仙ノ倉山登頂です。12時半頃だったでしょうか。まだ平標山を経て平標山の家のテント場まで歩かなくてはいけませんが、この時点で縦走としては既にハイライトを迎えました。達成感。


進行方向の平標山方面。山歩きを始めた2013年の6月に、平標山に登って仙ノ倉山まで高山植物を楽しみました。人が少ない主脈縦走路と違ってこちらは相変わらず人も多く、木道も整備されていて天国感が漂います。


山頂は360度の大展望台です。北東側のシーン。巻機山や越後駒ヶ岳なども見えています。






歩いてきた谷川岳へと通じる道。奥には白毛門や笠ヶ岳など、谷川岳東面を望む山々も。




西側の平標山方面。


クマザサ越しで見る山頂からのシーンは、独特の美しさ。谷川連峰ならではですかね。飯豊山脈とかも似ているのかなあ。行ってみたいなあ。




見上げると夏空でした。まだ6月前半ですけどね。梅雨の晴れ間。


泥だらけになったシューズ。お疲れ様です。前回の甲武信ヶ岳から、この新しいドロミテのシューズに変えています。


さて、休憩しつつ山頂からの絶景を楽しんだら、最後のピークである平標山へと出発です。と、ここでGooの写真枚数制限に引っかかったので、いったんアップです。谷川連峰主脈縦走シリーズはその3に続きます。


谷川連峰主脈縦走 その1

2017-07-02 21:08:36 | 旅行
以前からとても関心のあった谷川連峰主脈縦走。特に高山植物の綺麗な時期に、この豪雪地帯ならではの稜線美&お花畑を楽しみたいと思っていました。谷川連峰は贔屓の山域です。
今年は雪が多く残っているせいもあってアルプスなどでは実質的な登山シーズン入りが遅れているようですが、谷川連峰はそれなりに雪も溶けていて危険度も例年並みのようでした。そこで、6月16日の金曜日に有給休暇を取得し、その週末と合わせて挑戦です。車があれば日帰りも可能のようですが、公共交通機関利用の場合はどうしても入山が遅くなるのと、どうせならゆっくりと贔屓の山の中で過ごしたいという気分でもあったので余裕のある日程にしました。あとは、天気の読みもあります。梅雨に入っていたので2日続けて晴れというのは難しい状況で、自分の判断で土曜日は晴れると踏んでその日に縦走できるようにしました。

さて、今回は急登で有名な西黒尾根を登ります。これまで、谷川岳には積雪期に4回登っていますが、いずれもロープウェイを利用した天神尾根ルートでした。今回は無雪期でもあり、本丸の西黒尾根ルートを取ります。まずは登山センターのところで水の補給。谷川連峰は稜線に水場がほとんど存在しないので、スポーツドリンクと合わせて4リットルほど担ぎ上げることにしました。このため、ザックの重みは17キロを優に超え、昨年の南アルプス縦走4日間(5日目は2時間の下りだけ)と似たような重さになりました。試練ですな。


それでも、前回の甲武信ヶ岳のおかげで多少は体が慣れてきているのか、少なくとも序盤は順調に進みました。早速西黒尾根に入ります。11時少し前でした。


新緑が美しい森です。小鳥の声も聞こえて気持ちがいい。


が、噂通りの急登である。ちなみに、標高差は1,200メートル程度ですから、楽ではないですが無茶苦茶でもありません。


コースタイムは約4時間。17キロ以上の荷物で基本的に登り一本なので、今回はコースタイムプラス30分くらいでいいと思っていました。1日目は登りだけで、谷川岳肩の小屋に素泊まりの予定です。マットとシュラフも持って行くので、寝具も必要ありません。そうすると2,500円で泊まれるので、結構お得です。時間的にも、11時という遅い出発でも無理がありません。
暫くあるいてヤマレコレポートなどでも見かける鉄塔のところに。鉄塔が出てくると写真を撮って1分ほど休憩というのはお決まりのパターン。


登山道は人が多く入っていると見られ、シーズン序盤でも迷うようなところはありませんでした。でも、冬は雪深いエリアなので、倒木とか結構ある。


少し開けたところから天神平のスキー場が見えました。まだまだ長い登りが待っている。ロープウェイならあそこまで一っ跳びですが


おっと、ここでベニサラサドウダン登場。ツツジの仲間ですが、釣鐘上のお花が可愛い。甲武信ヶ岳では紅の濃くないサラサドウダンでしたが、こちらは真っ赤。




途中、登山道がぬかるみ始め、次第に川のように水が流れ始めました。少し登ると、予想通り雪が残っていました。谷川岳らしい感じです。


ここでマイヅルソウの群落登場。メジャーなお花だと思うのですが意外と見ないかも。同じ蛇紋岩の早池峰山にもたくさんありましたが、それ以外では久しぶりのイメージ。




マイヅルソウはこの後も縦走中に特に三国峠方面の樹林帯で多く見かけましたが、花は咲いていないものが多かったです。葉の形が特徴的なので花がなくても分かるのですが、あれだけの数のマイヅルソウが一気に開花したら素晴らしいお花畑でしょう。

だんだん標高が上がってきて、天神平くらいになりました。こうなると、残りは700~800メートルです。同時にガスも上がってきています。この日はお天気がよかったので、夏山的な感じで日中は雲がどんどん上がっていきました。


谷川連峰は豪雪地帯なので森林限界が低く、暫くすると樹林帯を抜けました。まだ木はあるのですが、かなりまばらになりました。樹林帯を抜けると、直ぐにナエバキスミレが登場。


かなりの群生です。迫力満点。スミレは奥多摩でもたくさん見られますが、キスミレはないですね。


これは名前の特定が難しいスミレさん。


と、ここでカタクリも登場です。谷川岳は天神平方面でカタクリが紫の絨毯のように咲くようです。時期的には最終番でしょう。スプリングエフェメラルの女王、残っていてくれてありがとう。形もいいです。


定番のイワカガミ。この後、縦走中も大量に咲いていました。時期的にピッタリだったのでしょう。


鎖が登場です。噂には聞いていましたが、西黒尾根は鎖場も多く、侮れません。アルプスなどだと、鎖があっても実際には使わなくても登れるところが多いのですが、ここはそんな所はほとんどなし。結構険しいです。少なくともテント泊装備だと夜明け前とかには登りたくない。お天気がよかったのが幸いで、これが雨だと蛇紋岩が滑りまくると思われます。


お花は、この辺りからはキジムシロが多かったです。


スミレさんも引き続き登場。


おっ、ユキワリソウだ。初めて見た。雪解け直後に咲くお花なので、なかなか見る機会がありませんでした。小さくて薄くてひらひらしていて可愛いです。


そして登山道は容赦ない鎖場攻撃。17キロ以上の重量がこの辺りから利いてきて、徐々にペースダウンです。まあ自然な現象でしょう。


チェックポイントのラクダの背に出ました。多少のアップダウンが残っていますが、ここまで来ればあと400メートルちょっとです。


雲がかなり上がってきていますが、この先の道の険しさがうかがい知れます。かなり岩岩しい。


でもお花は綺麗です。これはアカモノだと思ったけれど、葉の形が少し違います。どうやら白いイワカガミの蕾のようです。ヒメイワカガミという種類なのかな。とても可憐です。


谷川岳は双耳峰で格好良く、険しい山容も明らかに男山なのですが、蛇紋岩質で貴重な高山植物の宝庫だったりします。その面ではとても優しい女性的な面があります。南アルプスの北岳もそうですね。北岳は蛇紋岩ではないけれど、固有種もあってとてもお花が綺麗です。が、基本は雄大な男山。この2つのお山はとても贔屓です。

ナエバキスミレやキジムシロなどの黄色いお花が優勢でしたが、引き続きユキワリソウや名前の判別の付かないお花もどんどん出てきます。








そして満を持してホソバヒナウスユキソウが登場。谷川岳と至仏山にしか咲かないはずです。昨年は至仏山で見ました。今年は谷川岳で。




ハクサンイチゲも出てきました。仙ノ倉山山方面に大群落がありますが、ここでも可愛い。


チシマゼキショウでしょうか。早池峰で見たものに似ています。谷川岳にも咲くのかな。


ガスがかかっていますが、お花畑はこんな感じ。


振り返ると、結構厳しい道を登ってきたものだ。なお、岩場の厳しい道が続きますが、恐らくは肩の小屋の方か登山指導センターの方が黄色いペンキでかなり丁寧に目印をつけてくれています。ちょっとした道の選択でも的確で、とても助かりました。


天神尾根方面。Google Photoのサービスでパノラマ化したもの。


ショウジョウバカマもまだ残っているものが幾つかありました。


ピンク系続きでイワカガミとイワナシ。




これは何かなあ。


この辺りまで登ってくると雪田も結構あって、寒いくらいの風が吹きつけてきます。


結構ヘロヘロになりながらも、最終チェックポイントのザンゲ岩にたどり着きました。


まだショウジョウバカマやユキワリソウを見ることができます。




そして、最後の難所。肩の小屋へ向かう道は雪で覆われています。




実際には雪質はザクザクの感じなので、滑る心配はあまりありません。それでも注意して歩きますけどね。
そして、4時間20分くらいかかってやっと肩の小屋に到着。小屋番さん一人ですべて切り盛りしていて大変そうでしたが、親切な感じでよかったです。金曜日ですが意外と宿泊者が多かったです。ロープウェイを使った日帰り登山が主体の谷川岳ですが、やはり主脈縦走をする人も結構いる模様。あとは、写真を狙う人たち。


肩の小屋は水場こそないですが、トイレがあるのがありがたい。谷川連峰はトイレも限られるので。なお、小屋での缶ジュースなどの空き缶は基本的に持ち帰りです。
その後、この日は夕暮れまでずっとガスにまかれ、風雨も強くなってきてしまいました。


まあ、予想天気図からこれはある程度覚悟していた展開で、問題は明日の土曜日。天気予報では9時頃から晴れる予定ですが、できればご来光を見たいですから。
ということで、この日は8時半の消灯と共に就寝です。
で、夜中2時過ぎに目が覚めてトイレに行くと、降るような星空。写真隊の人たちは撮影に向かいます。今回もどうやらお天気の神様は味方してくれた模様です。

翌朝は4時20分ごろにご来光ということで、4時ごろに小屋を出てオキノ耳を目指します。どうせなら最高峰から眺めたいので。途中、ミツバオーレンが朝露に濡れて透き通って綺麗でした。


ご来光を待つ間。雲海も出て最高のコンディション。


湯桧曽川越しに対岸の白毛門方面。この山域は格好いいよ。


いよいよ日の出です。




この日縦走する主脈方面も明るくなっていきます。


その奥にはピンクに染まる苗場山。


更にその後ろは後立山連峰でしょうか。


一ノ倉岳方面。


馬蹄形方面。


トマノ耳と主脈。


主脈の色がオレンジに変わっていきます。


最高に格好いいトマノ耳。


朝日を堪能しました。素晴らしい。なかなか晴れない谷川岳でこれだけの朝日を楽しめたのは本当にラッキーでした。肩の小屋、価値が高いですね。昨夜みたいな強い風雨でも安心だし、こんなご来光が見られるし。
さて、トマノ耳に移ってオキノ耳を眺めましょう。






十分堪能し、小屋に戻って出発準備です。名物の道標も、肩の小屋も朝日のなかでは格好いい。




主脈方面。だんだんと色が変化するのがいいですね。


最後に、Google Photoのいつもの自動パノラマ写真。




5時を10分ほど過ぎたころに主脈縦走スタートとなりました。写真が多いので、縦走シーンは次回に回します。