冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

秘湯 手白沢温泉で雪見湯

2014-12-19 19:54:16 | 旅行
寒波が襲ってきた12月の週末、前々から予約していた秘湯、手白沢温泉に行ってきました。
いつもは単独行の私ですが、流石に今回は会社の人と合計7名での温泉旅行です。
雪山登山と勘違いして遭難の危険を心配するメンバーがいたのが不思議ですが、私以外は普段は雪山はもちろん登山をしない人たちなので、防寒装備や滑らない靴などの注意はしておきました。
皆さんかなりまじめに準備されたようで、結果的にはまったく問題なしでした。

浅草を8時に出発する東武線の特急「きぬ」で鬼怒川温泉駅を目指します。「きぬ」はシルクではなく鬼怒なんだと思います。
社内で靴を履くメンバー。いつもは単独行なので彩りも何もないですが、やはり人が増えるとにぎやか。


鬼怒川温泉駅で10時に下車してからは、10時15分発の日光市営バスで終点の女夫渕まで約1時間半のバス旅。
この日は典型的な冬型の気圧配置で、関東平野はよく晴れていました。東武線に乗っている間はもちろん、バスも途中の休憩所を過ぎてもしばらくは青空。
しかし、東武線の車窓から見えていた男体山の頂上には雲がかかっていたことと、天気図的に尾瀬方面はかなりの雪だと思われたので、山間部ではどうせ弱くても雪になるだろうと思っていました。
結果はその通りで、女夫渕では雪がちらついていました。


バスを下りたところにある休憩所兼トイレで簡単な昼食を取り、12時半ごろに手白沢温泉に向けて出発です。
ここから徒歩2時間半ということで、歩かないと行けない山中の秘湯ということです。
なお、奥鬼怒温泉にはこの手白沢温泉の他に3つの温泉宿がありますが、そのうち日光沢温泉は山小屋的な宿らしいです。一方、八丁の湯と加仁湯はいわゆる温泉宿で、送迎バスもついています。
我々は、どうせなら奥鬼怒温泉の一番奥にある秘湯を目指すことにしたわけです。
と言うか、手白沢温泉のことは、Veryblueさんのブログをはじめ幾つかのブログで絶賛されているのを見つけてから狙っていたわけですが。

2時間半のコースは、遊歩道とされている山道か、スーパー林道のどちらかを選ぶことになります。いずれのコースも所要時間は同じですが、山道の方がアップダウンがある代わりに距離は短いようです。
今回のメンバーは登山に慣れていないうえに、現地は既に雪が積もっていて危険度がある程度高かったので、迷わずスーパー林道を行きます。なお、ツボ足で問題なかったですが、チェインスパイクがあると安全度が増すでしょう。
途中の景色。


雪は弱く、コースの最初は標高差にして100~200メートルくらい(体感)の緩やかな登りだったので、皆暑がっていました。私もフリースは脱いで、かなり軽装で登りましたが、特に問題なかったです。
しばらく行くと道は平たんになり、大きくペアピンするところで橋を渡ります。さらに進むと手白沢温泉と加仁湯方面の分岐に当たるので、そこで手白沢温泉方面を行きます。
ここでも最初は少し登りますが、徐々に道は平たんになっていくので大してきつくありません。メンバーも問題なく歩いていました。
そして、約2時間15分くらいで手白沢温泉が見えるところに出ます。硫黄の香りもしてきます。


登山慣れしていないメンバーでしたが、問題なく到着できて一安心。それにしても、こんな山奥に立派な建物です。


部屋は全部で7部屋あるようです。我々が泊まった部屋は5人くらいなら普通に寝られるくらいの大きさでした。
館内は温泉を使った床暖房で暖かくされていて、とても居心地がいいです。廊下の天井も高く、光取りの窓もしゃれています。


チェックインしたら早速お風呂に向かいます。
源泉から毎分300リットルものお湯が湧き出しており、加水せずに使っているとのこと。贅沢なかけ流しです。
男湯も女湯も内湯と露天があり、内湯の方が温度が高いです。露天風呂は湯の花がたくさんでした。
写真は翌朝起きてすぐに入った時のものですが、翌朝の方が雪が積もっていて景色は趣がありました。
内湯から窓越しに雪景色。


シャワーや蛇口はなし。温泉がそのまま出てます。まさにかけ流し。


露天。天国。山中の雪景色が素晴らしい。








温泉で温まったら夕食までまったり過ごします。私一人ならチェックイン前に近くの根名草山などに挑戦したかもしれませんが、今回はそういうコンセプトではないので雪を窓越しに眺めていました。
中には、この温泉で飼われている川上犬の岳と戯れている人もいましたが。ちなみに、私は猫派です。犬も平気ですが。


なお、部屋から温泉に向かう廊下から外を見ると、いけすがあって岩魚がいます。夕食に出てくるのでしょう。
そして、6時半に待ちに待った夕食です。レストラン顔負けのクオリティです。


まずは前菜。アップルの香りがよい食前酒。野菜は地元のものなのでしょうか。とても味が濃いイメージでした。


そして岩魚の塩焼き。養殖魚とのことでしたが、これが驚愕の美味。肉厚で味が濃い。ウナギでも腕のいい養殖業者が育てたものは天然物以上に脂が乗って美味しいものがありますが、この岩魚は絶品。頭から尻尾まで、骨も完食しました。まあ、それは私が粗野なだけですね。


そして和牛がメインです。


ワインは、自然派の品ぞろえがよいです。値段の張るものは置いていません。と言うか、セレクションはとてもよく考えられています。私も好きな作り手のお値打ちワインが多く、値段に対する品質が高いものばかり。
白はブルゴーニュのシャルドネにしたのですが、その直後にシャンパンでジョゼ・ミシェルがあるのを発見したのであとはこれで通しました。この作り手は、シャンパーニュでは私の最高の好みです。


食堂は広く、薪の暖炉があります。あったかいイメージですね。暖炉の近くに水やコーヒーが置かれていて、セルフサービスで必要に応じて取ることができます。


はっきり言って、都内の普通のレストランより上です。料理もワインの品ぞろえも。
かけ流しの温泉にこの料理。宿泊料金は倍でもいいかもしれません。都心の海外ブランドホテルのアホみたいなサービスと低クオリティレストランがあの値段なのですから。

夕食を堪能した後は、もう一度温泉で温まります。雪が降っていたので星は見えませんでした。まあ、多くを望みすぎてもいけないですね。
男性メンバーのうち2名はここで撃沈しましたが、女性は元気でトランプやって夜を過ごしました。
女性と言えば、宿泊客は女性比率が高かったです。山ガール的な人たちが多く、男性は我々のメンバー以外にはご夫婦で来られている人が1名のみでした。
やはり女性の方が感度が良い国ですな。

翌朝は6時半ごろに起きてまずは温泉。そして7時半から朝食です。これも美味。。。


岩魚の甘露煮だけでなく、野菜もお味噌汁もご飯も最高。ご飯をおかわりしていただきました。いつもは朝食食べない人なんですが、この日ばかりは体が何が正しいか分かっていたようです。
そして、朝食後は最後の入浴。ホントにいい湯。単純硫黄泉ということで、温泉マニアには物足りないのかもしれないですが、私はとても温まりましたし、優しい湯質だったと思います。

9時45分頃チェックアウトして帰ります。まったく、名残惜しい。翌日東京で働くのが嫌でしょうがない。
まあ、そうも言ってられないのでご主人に皆の記念写真を撮っていただいて帰路につきます。
一晩中雪が降っていたので、新雪がふかふかです。


途中、沢の対岸方面を見渡せるところからの風景は水墨画のようでした。この辺りは広葉樹が多いですね。針葉樹の緑が少ないので冬は緑が少なく、本当に水墨画的になります。鳥の声は聞こえますけど。動物の足跡も多かったですね。蹄のある動物だったので、カモシカか鹿だと思います。キツネかタヌキのものも見ました。




そして、2時間ほどで女夫渕に戻ってきました。バスの時間は12時45分なのですが、既に待っている人でいっぱいです。八丁の湯や加仁湯で過ごした人が、送迎バスで先に来ていたようです。これ以上遅れたら、バスの席取りで後れを取るところでした。
少し早すぎる下山でしたが、結果的には上記のように席の取り合いに勝利することもでき、よかったです。
バスで鬼怒川温泉に戻ってからは、帰りの東武線の時間までお土産を買ったり小腹を満たしたりして過ごしました。
栃木県の県民食であるレモン牛乳も食しましたが、かなり微妙でした。果汁ゼロです。


何だかんだで、7時ごろには帰宅。充実した週末旅行でした。参加メンバーも皆とても楽しんだようです。
山登りとは違った趣ですね。たまにはグループでのハイキングも悪くないです。
手白沢温泉のホスピタリティと、温泉の情報を下さった各ブログの方々に感謝です。

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