冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

テント場各駅停車の薬師岳~立山縦走 3

2017-08-27 21:11:12 | 旅行
さて縦走3日目。この日の朝は前日とは異なり、曇天のスタートです。ちょっと残念。とは言っても視界はあり、ガスに巻かれている訳ではないので、天気の好転を期待しながらテントを撤収。今回の旅の目的地の一つである五色ヶ原にむけて出発です。スゴ乗越のテント場からは最初ぬかるんだ樹林帯の急坂を下ります。大きな石が出てきて結構気を使う道。脇に咲いている小さなツマトリソウに癒しをもらいつつ進みます。


曇天なので見通しは利かないのですが。。。


下の方は見えます。黒部川、上の廊下が厳かに流れる。山深いところです。健脚の人でも最低一泊した後でないとたどり着けないところを歩いていますからね。


少し開けたところから前方が見えました。越中沢岳。昨日のテント場で、五色ヶ原方面から来た人たちが口々に厳しいと言っていた山。


そして、その右手にスゴの頭も出てきました。こうして2つ並ぶと悪役モードが感じられます。まあ、昨日聞いた話に影響されてますけど。


贔屓の花であるアカモノが出てきました。もう時期は終わっているはずなので、残っていてくれた株です。せっかくなのに、またもピントが合っていない!


ようやくスゴ乗越に到着。ここからは登りです。


この日のコースは樹林帯で展望があまりなく、その上基本的に曇天、そして道はぬかるんでいたり大きな石が出てきて厳しかったりするので、写真は少なめです。進行方向にスゴノ頭らしきものがチラチラ見えたりします。樹林帯で滑りやすく、木の根や大きな石で苦労する道は、その危険度が意外と軽視されていると思います。どうしても岩場の方が危険だと思われがちですが、樹林帯のいやらしい道は一発で命にかかわらないまでも、足をひねったり尻もちついたりする危険性はかなり高いですし、そもそも神経を使うので疲れます。


可愛いお花。ツツジのような葉を持つ樹に咲いていました。


そして、少し展望の開けたところにでました。ここからは岩岩しい急な登りを行くことになるのですが、その前に景色を堪能。正面の谷は黒部川で、左の大きいのは赤牛岳です。黒く高いピークが水晶岳、奥のやや白っぽいのが鷲羽岳でしょう。


赤牛拡大。ゴッドファーザーの迫力。やはり黒部の主のイメージだわ。




進行方向のスゴノ頭。雲の感じが悪役感を強めています。


その奥の越中沢岳も姿を現しつつある。恐えー感じだな。


少し進み、越中沢岳の山頂付近のガスが取れつつあったので拡大。なるほど、かなり険しい道が山頂に向けて突き上げているようだ。




そして現在の登山道も微妙に厳しい。この後、もっと本格的に大きな岩場になり、写真を撮る余裕がなくなりました。


少し休めるところから周囲を見渡す。この光景、特に後ろにある大きな山、最初は赤牛岳かと思いましたが、何となく感じが違う。写真を撮った後に薬師岳だと気づきます。そして、写真右手の緑の山の平らな部分にスゴ乗越小屋が見えます。




うーん、結構たいへんなところを歩いてきたのかもしれない。
その後、大きな岩の険しい道を引き続きよじ登りつつ、トレランのような軽装の人に抜かれたりしながら進みます。この辺り、お花はありません。疲れるとちょっと止まって振り返り、風景の写真を撮ります。まずは赤牛岳、水晶岳方面。




視線をずらしていくと、雲ノ平。奥にちょっとだけ笠ヶ岳が出ていますね。


黒部川の谷。


そして昨日歩いてきた薬師岳方面。




その少し左に見えている黒部五郎岳の拡大図。


で、苦労の末にスゴノ頭の直下に来ました。登山道はスゴノ頭の山頂を通りません。まあ、もう十分だ。それほど長くなかったものの、内容的には厳しい道でした。この道、登りもたいへんだったけど、下りは下りで神経使う道だと思います。


このチェックポイントには、反対側から来られた3人のトレラン的軽装備の人がいました。口々に越中沢岳の下りのエグさについて話していて、テント泊装備でこれから向かう私には、聞こえる内容がプレッシャー。そして、これがこれから進む越中沢岳。見えている道が既に険しい。まずは水分補給して落ち着きます。


ここからは、地図で急坂となっている所を100メートルほど下り、その後同じく急坂となっている所を300メートル弱登り返します。まあ、アップダウンの大きさとしては、アルプスの縦走のなかでは標準的だと思いますが、この急坂というのが曲者。その証拠に、全然写真なし。それでも、スゴノ頭からの下りはチングルマがたくさん咲いていたので、一枚だけ撮っていました。


ザレているというと言い過ぎなのですが、比較的小さめの石が多いガレとザレの微妙な間のような急坂でした。足をとられないように、同時に落石を起こさないように進みます。また、越中沢岳への登りに入ると、ルート上に丸印などはついているのですが、それでも急坂のために頭を下げて歩きがちになってしまい、結果として丸印を見失ってルートを外れるリスクも結構あると感じました。私も一瞬ルートを外しそうになり、直ぐに気づいて数歩戻るようなことが2回ほどありました。そんな中、振り返ってみたスゴノ頭とその奥にある巨大な薬師岳。


苦労しつつも、スゴノ頭と同じくらいの標高のところまで来ました。


今見直していても、意外なほどに写真がありません。とにかく注意を要するガレ・ザレ、そして鎖なども登場する岩場の連続で、落ち着いてカメラを出す気にならなかったのでしょう。たまにすれ違う人がいるのですが、お互い必死の形相でした。お花の写真は数枚ありますが。例えばこのミヤマママコナとか。


数少ないルートの写真。この地点は危険度高くないですが、それでも丸印のついているところ、写真のルート上の右端と左端に自分がいることを考えると、その先にはいやらしい道が続いていることが想像できるはず。


で、急坂を登り切ると山頂か、と思うと意外と山頂が遠い。それでも、山頂までの最後の道はかなり緩やかになり、右手には雪渓があって風が吹いてくるので涼しく、ちょっとしたボーナスステージです。


そして、お花も復活。










山頂に到着です。越中沢岳、侮れない山ですね。


薬師岳方面を臨みましたが、残念ながら次々に雲がやって来てしまい、景色は見通せず。


逆に、これから向かう方向はある程度見通せます。つーか、登ってきたルートの鬼のような厳しい道とちがって、こちらは極端に平らでアップダウンのない楽な道に見えるんですけど。


この見た目は正しかった。ここから暫くは本当にボーナスステージ状態で、ほぼ平坦な道を楽に下っていくだけです。お花も結構多くて、ミヤマコゴメグサとか、チングルマ、ハクサンイチゲ、イワイチョウなどがたくさん。




木道まで登場し、パラダイス状態です。まあ、こんなに落差つけないで全体的に普通の道にして下さい、って言ってもせん無いですけどね。


木道終了後は、越中沢乗越まで少しは下りらしい道を下りますが、全然きつくはありません。標高が下がってきてちょっと蒸し暑いのと虫が飛んでいるのが気になるくらい。樹林帯なので眺望はあまりなく、お花を楽しみます。種類もちょっと変化してきたしね。例えばクルマユリ。


ウサギギク。


ハクサンフウロもこの辺りから一気に増えました。


実際にはいろんなお花が混在して咲いています。


そして、この写真ですが、分かりますかね。数羽のライチョウさんの雛が写っています。


親鳥さん。縦走中の稜線の中では標高の低いところでしたが、出てきてくれてありがとう。ライチョウさんは大好きなので、写真を撮るというよりも立ち止まってじっと眺めてしまう。


慌てて行ってしまったライチョウさん親子を見送り、次のピークである鳶山に向かいます。それほど厳しい道ではないですが、250メートルくらい登り返すのでそれなりのボリュームがあります。と、ここでトウヤクリンドウを発見。秋の花のイメージですね。まだお盆前だし、今年は残雪が多くて夏のお花の開花がゆっくりだったと聞いていましたが、高山では確実に秋がやってくるのですね。


鳶山の前には偽ピークがあり、そろそろ山頂かと思って着くとその先に新たなピークが見えるパターン。テント泊装備で歩いていると、このパターンにはかなりがっかりさせられます。


特に厳しくはないけど普通に辛い登りを経て、ついに鳶山に到達。これを越えれば目指してきた五色ヶ原です。


振り返ると、今回の山旅の悪役だった越中沢岳。こちら側からだと比較的ゆったりした山容。この裏側は嶮しかった。




そして五色ヶ原方面をついに見渡します。曇天気味なのが残念ですが、天空の湿原。左に五色ヶ原山荘も見えています。オレンジ色の屋根とクリーム色の壁は、後立山連峰の種池山荘と同じでメルヘン感がある山小屋ですね。


五色ヶ原を、視線をややずらして見た図。黒部湖越しに後立山連峰の山が見えるはずですが、雲がかかっていて今一つ。ちょっと見えている端正な三角錐の形の山は、北葛岳です。最初は分からなかったのですが、後から五色ヶ原山荘の方に教えてもらいました。




もう一度五色ヶ原山荘を入れた図。


さて、暫く鳶山の山頂で休憩したら、いよいよ五色ヶ原に向けて下ります。この道は基本的に全面的にお花畑。木道が整備されており、完全に湿原ですね。


お花はいろいろです。










五色ヶ原と言えばチングルマというイメージが強いですが、実際にはイワカガミなどと一緒に咲いているものが多いです。白とピンクがとても可愛い。






コバイケイソウは今年は外れの年で、まったく咲いていませんでした。これが全部咲いたら凄い迫力だろうなあ。


よく見ると、木道だけではなく、周囲の土が崩れないように補修しているのも分かります。誰かが湿原を守るために働いてくれている証拠。


山荘が近づいてきました。


10時半過ぎに山頂に着き、テントの受付(700円、水とトイレ含む、しかしトイレに紙はない)を済ませてコーラを購入。今日の縦走はこれでお終い。もうちょっと歩けますが、物足りないという感覚はあまりなく、湿原の散策に時間を使いたいと思っていました。
テント場へは10分くらいの道を行くのですが、木道の補修作業中で逆に道が悪くなっており、滑らないように気を付けました。五色ヶ原のテント場は広く、周囲をお花畑に囲まれた楽園のようなところです。が、この日は曇天であまり景色には恵まれず。黒部湖越しに見えるはずの針ノ木岳なども完全に雲隠れでした。仕方ないのでテント設営後は水場で2日間着ていた速乾性のTシャツなどを洗い、自分の体も拭いてサッパリしました。
その後、12時少し前からサブザックで湿原散策に出発。お天気が微妙なので、レインウェアの上だけ持って行きました。
直ぐに、ハクサンコザクラがたくさん目に入ってきました。ハクサンイチゲなどよりも少し時期的に早いお花のイメージなので、残っていてくれて嬉しい。






他にもミヤマキンバイやツガザクラ、アオノツガザクラなどなど。期待通りたくさんのお花。








池塘も残雪もいっぱいです。




もちろん、お目当てのチングルマも。チングルマは本当に愛らしい。


チングルマとイワカガミのペアは、色の取り合わせがよくて可愛さ10倍。


これは知らない花ですが、とても上品なイメージ。名前を知りたい。


イワイチョウもミヤマキンポウゲも形のいいものがたくさんありました。




空模様は怪しい。本当なら、湿原の背景に大きな山々が見えて迫力十分のはずだが。


山小屋に最後にたどり着くように木道を回っています。いろんなお花が出てくる。ハクサンボウフウやミヤマタンポポ。ヤマハハコはまだまだ蕾に近いです。基本は秋の花なんでしょう。秋の花の代表格であるミヤマトリカブトも咲き始め。大群落になるらしいです。








ガスが相当濃くなってきた。雲行きもどんどん悪くなって、雨が近い予感。せっかくの湿原散策なのに。ヨツバシオガマやエゾシオガマもありました。




湿原のお花畑は本当に見事で、一面お花だらけです。これでコバイケイソウが当たり年だったら凄い迫力だろうなあ。


と、ここでライチョウさんのカップル登場です。ガスが濃くなっていて、画像もガスの中のイメージになっていますが。雛は連れていませんでした。今年はできなかったのかな。来年は雛がたくさん育つことをお祈りです。そう言えば、雄のライチョウは久しぶりというか初めて見たかもしれない。






ライチョウさんに一日に2回も会うことができて上機嫌ですが、パラパラと小雨が降ってきました。1時20分ごろに小屋に着いたので昼食を取ろうとしたのですが、既に終了とのこと。まあ、食料は十分持っているので問題はないですが、どうせなら山小屋の食事も体験したかったのに残念。小屋番さんとは、五色ヶ原から見える山の話をして、天気のことなどをいろいろ教えてもらいました。ありがとうございます。


雨も本降りになってきたので、雨宿りせずに取りあえずテントに戻ります。洗ったTシャツなどは着て乾かすしかない。まあ、気温が十分高いから問題ないですが。この後、ずっと雨は降ったり止んだり。5時過ぎから雨脚が強まり、室堂方面から遅めに到着されたパーティは雨の中のテント設営に苦労されていました。私もこの日はテントの中で夕食の支度。写真はこの後ありません。
五色ヶ原を楽しむのが今回の旅の大きな目的だったので、その意味ではこの日のお天気は少し残念。でも、翌朝に期待です。早朝晴れていれば、湿原と後立山連峰や立山連峰のコラボが大迫力で楽しめるはず。それを期待して就寝です。

テント場各駅停車の薬師岳~立山縦走 2

2017-08-20 21:54:43 | 旅行
さて2日目。薬師峠のテント場で夜中3時前頃にトイレに起きると、嬉しいことに満点の星空。天の川のクッキリ具合もこれまでの山行の中でもぴか一クラス。こりゃ、少なくとも夏雲が上がってくる前までは絶対の好天が期待できます。黒部五郎岳方面に向かう隣の方は私より少し早出でしたが、お互いの無事を祈りつつ出発です。私が歩きだしたのは5時少し前でした。


少し登った所から振り返ると、有峰湖方面は雲海の下ですね。あの雲が上がってくる前に稜線美を楽しみたい。


薬師岳への登山道は、それほど急ではないですが、大らかで巨大な山体を感じさせる長い道のりです。途中、薬師平と呼ばれるお花畑の湿原がありますが、その前後も相当な数の種類のお花が、これでもかというくらいに咲いています。


定番ですがチングルマ。私は、可愛さという意味では、チングルマは高山植物の花の中でもトップクラスだと思っています。ツクモグサと双璧かな。


アオノツガザクラ。これも可愛いけど。


大きな黄色いお花のシナノキンバイと、本当はもっとたくさん咲いているけどここにはちょっとしか写っていないハクサンイチゲ。


随所に雪が残っていて、ちょっと風が吹くと涼しい空気を提供してくれます。が、写真でも分かるかもしれませんが、この残雪が夏雲を多く作り出しているらしいのです。気温が上がると水蒸気となって雲に成長していくんですね。今年は残雪が多いので、立山連峰全体での影響は無視出来ないものなのだと思います。


視界が開け、お花畑の向こうに黒部五郎岳。大好きな山なのですが、残念ながら2年前に登頂した時は霧雨の中でした。コバイケイソウの当たり年に再訪したいところです。


槍ヶ岳も相変わらず、どこから見ても存在感抜群。


そして薬師岳。見えているのは頂上ではなく、東南稜の頭に過ぎないことは学習済みです。あの向こうに山頂がでーんとあるのです。あー、でかい。


更に進むと、北陸を代表する山である白山も捉えられます。


うーん、いい天気じゃないか。天気予報にまたも勝利したな。


薬師岳直下の薬師岳山荘です。ここに泊まれば山頂ご来光というオプションもあるんですけどね。テント場ないですからね。


この辺りの風景を背景にしたチングルマの穂は、前回登った時も撮ったと思うが。


目指す薬師岳山頂方面から太陽が顔を出しました。もちろん、既に日の出から90分くらい経っているので明るいのは間違いないんですけど、周囲を山に囲まれているので太陽が見えるようになるのは自分の位置によっていろいろなんですね。まあ、こうなると急に暑くなるし日焼けも気になる。


やっと東南稜に至る分岐のピークに来ました。東南稜は正規ルートではなく、間違って入り込まないように✖がいっぱいついています。


ここから雲ノ平越しに槍ヶ岳、穂高連峰まで一望できます。


拡大図。


黒部五郎岳、そしてその左奥には大きな稜線の後に笠ヶ岳。さらにその奥に乗鞍、御嶽。


砺波平野と日本海方面。


前回もそうでしたが、今回もまさに大絶景の展望台です。さてある意味偽ピークである東南稜の頭を越え、本当の山頂がやっと見えてきました。薬師如来の祀られている祠が左奥のピークの上に見えますね。まだちょっと遠いけど。


既に薬師岳名物のカールを堪能できます。大きい山だよ。


で、山頂に到着です。コースタイムは余裕持ち過ぎだと思います。テント泊装備でも2時間弱で着きました。2日目で体が慣れていることを考えたとしても2時間40分はかからないでしょうね。なお、祠の写真は撮り忘れましたが、標識は撮りました。


黒部の山々と雲ノ平方面を振り返る。


主だった峰々にズーム。まずは黒部の最高峰である水晶岳。別名黒岳。確かに黒くて高く、稜線を広げた姿は大ボス感が強いです。


水晶岳から続く稜線上にあるもう一つの百名山、鷲羽岳。こっちから見るのは2回目。本当は晴れた日に三俣峠から見たい。定番の絶景シーンで雑誌によく載っているやつですけどね。でも自分の目でも見たい。


富士山も見えています。


巨大な赤牛岳と、その後ろに野口五郎岳。裏銀座縦走路ですね。


そしてやはり雲ノ平の奥の槍ヶ岳。


お次はこれから進む縦走路の方面。カールを右に見ながら岩岩しい道が続いています。北薬師岳への道は細い岩稜らしいから気を付けないと。ちなみに、そのずっと奥には剣岳まで続く立山連峰の稜線が見えていますね。あれを立山まで歩いていきます。今回の縦走旅では。


これから進む先の図。薬師岳より北側に続く、立山・剣岳への立山連峰と、黒部湖を挟んで東側の後立山連峰。全体を見渡せます。


剣岳と立山。やはり周囲の山より一段と大きい。この時はあまり意識しませんでしたが、立山の前には浄土山、龍王岳、鬼岳、獅子岳などが写っています。五色ヶ原も確認できますね。


拡大図。後の大きいのが立山。手前の雲が出ている平原が五色ヶ原。


後立山連峰。一番奥の白馬岳は今年の7月に登っています。それ以外の唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳もそれぞれ登っています。


これは、縦走3日目と4日目あたりで間近から眺めたいと思っている針ノ木岳とその近辺の山々です。思ったのだが、立山連峰サイドから後立山連峰を見ると、登山の時間である午前中は逆光ですね。西から東を見ることになるので、そのため、写真は山が青く写ってしまって面白味は少ないですね。後立山連峰サイドから立山連峰の写真を撮ると、緑もクッキリなんですけど。


さて、山頂を十分楽しんだので北薬師岳方面に向かいます。ここからはこれまで歩いたことのない道。ここからが本当の意味で今回の縦走のスタートとも言えます。ガレたやせ尾根なので、それほど高度感はないですが注意が必要です。


カールの上です。残雪多いです。下を流れるのは黒部川の上の廊下。沢登りの究極ルートの1つなのでしょう。行ってみたいですが、スキルをどうつけるのか不明です。


イワギキョウがたくさんありました。


時期的にピッタリだったのか、オンタデ(ウラジロタデかも)もたくさんありました。


カール。確かカール自体が特別天然記念物指定を受けているはず。




ミヤマダイコンソウを今年はよく見ます。厳しい環境の所にも黄色いお花があると癒されます。


イワギキョウは青が華やかだけど、見るからに厳しい環境が好きそうな感じもする。と言うか、岩場に映える。


コケモモ可愛い。他にも、タカネヤハズハハコ、ハクサンボウフウ、チングルマ、シラタマノキなどがあって、どれも写真を撮っているのですが、どうもピントがずれていたりして失敗が多かった。お花の写真撮る時はスクワット状態なので、せっかくスクワットするならちゃんと撮らないともったいない。


カールで雄大とか言うとたおやかなイメージだがが、実は結構厳しい道。




薬師岳の山頂からはだいぶ歩いてきました。と言うか、遠くから見ると薬師と北薬師の間ってそんなに離れているように見えないし、コースタイムも30~40分とかなっているけど、これは嘘だと思う。険しい道だし、私は50~60分かかった。


右手には常に赤牛岳が見えています。薬師岳と赤牛岳は、大きさで言えば黒部の双璧でしょう。どっしり。でも、実はその背後に見える野口五郎岳稜線もかなり大きいようだ。


岩場のやせ尾根を歩くこと約1時間、やっと北薬師岳山頂に到着です。


立山連峰と後立山連峰。薬師岳山頂から見たものより少し大きくなったかも。


これから行く道。どうしても立山などの大きな山が目立ちますが、北薬師岳からいったん大きく下ることが分かると思います。緑濃い稜線部分ですね。よく見ると、その緑濃い稜線がかなりハードなルートであることも分かるかも。この時は私は分かっていなかったですね。大きい山ばかりに目が行って。


その大きい山。やはり見ごたえ十分である。


後立山連峰は、信州側から上がってくる夏雲によって、そろそろガスに巻かれるようです。まだ8時半頃だったと思いますが。


水晶岳や雲ノ平、その向こうの槍ヶ岳や穂高連峰はだいぶ後ろになりました。


とは言っても、拡大して見るとやはり格好いい。太陽が高くなってきて、早朝には青いだけだった山にも緑や白、岩の灰色などのコントラストがハッキリしてきます。見えている谷は、黒部川上流ではなくて岩苔小谷と呼ばれる水晶岳からの沢なのだと思います。秘湯中の秘湯である高天ヶ原温泉も、この写真のどこかにあるはず。




赤牛岳は常に見えているので存在感が強すぎる。


ここでヨツバシオガマを撮ったり。


立山方面を見て気づきましたが、こちらにも平原が広がっています。有名な弥陀ヶ原ですね。かなり規模が大きいのが分かります。


何だかんだで20~30分は山頂で遊んでいましたが、出発です。出発後振り返った図。


それなりに険しい道は健在です。




だんだん夏雲が上がってきて、進行方向の立山・剣岳方面も隠れつつある。


私が歩く道にもガスが上がってきました。


それでも、相変わらずお花が大事な私の山歩き。ミヤマキンバイが少しずつ出てきました。もう終盤なんでしょうね。


チングルマやアオノツガザクラも。




ハクサンボウフウも登山道に沿っていっぱい咲いているんですけど、なかなかいい感じの背景が決まらないのが残念。個人的には好きな花です。


ヨツバシオガマ。ちょっとずれれば北薬師岳の山頂と被らなかったのに。


途中、見晴らしのいいところから振り返った薬師岳、北薬師岳。格好いい。こう見ると、大きくゆったりのビッグマザーというより北アルプスらしい岩峰ですね。


縦にして撮ってみた。こっちの方がより鋭く見えるかも。ガスというか夏雲は西側から上がってきつつあるのですが、東側からの風に押し戻されるので一気にガスに巻かれる状況ではありません。そのため、稜線の絶景をかなり楽しむことができました。


赤牛岳~水晶岳~鷲羽岳稜線と雲ノ平方面も縦で撮ってみた。槍ヶ岳は雲隠れ。縦で撮ると黒部川の谷の深さが分かりますね。


ザ・赤牛岳。読売新道にビビッているので、登る日がくるのかどうか微妙な山です。




赤牛岳と、その後ろに見える野口五郎岳と思われる稜線もアップにして縦撮り。




ザ・水晶岳(&鷲羽岳と槍ヶ岳)。


ザ・水晶岳縦版。格好いい。水晶岳はやはりいつか登ろう。


さて、先を行きましょう。相変わらずお花が綺麗です。固有種とか珍しいものはないですけどね。








稜線の道ではなくて、ハクサンボウフウにちゃんとピントが合っていればよい写真だったのに。


稜線は気持ちいいです。






引き続きお花たち。










右手前方には、思い出深い針ノ木岳、蓮華岳が大きくなってきました。


チェックポイントの間山に到着です。が、この頃には流石に夏雲が上がってきていて、というかそれ以上に稜線の標高が下がってきたのが原因だと思いますが、展望は得られませんでした。


間山を過ぎるとさらに一段と標高を下げます。間山池という辺りからはかなりぬかるんでいて、岩場とは違った意味で注意を要する道でした。でも、お花は相変わらず綺麗です。稜線の花と少し変化して、イワカガミやミツバオーレンなども目立つようになりました。








コメバツガザクラだと思うんだけど、これは稜線のイメージだけどね。


タカネニガナは白花もありました。




赤牛岳が真横。でかいなあ。右奥の黒いピークは水晶岳です。


ガスが濃くなってきて展望が悪くなっているので、引き続きお花に気が行く。






11時前にはスゴ乗越小屋に到着。テントの受付を済ませます。700円で水とトイレ込み。


小屋からテント場までの3分ほどの道には水芭蕉が残っていました。あと、ツボスミレが多かった。


テント設営完了。


一段落したら、小屋で昼食を取りに行きました。縦走中はあまり小屋食を食べない傾向があったのですが、今回は時間もあるし、せっかくなら思い出にもなるかと思って。ネパール人の従業員の方がいらっしゃるらしく、数量限定の特製カレーが昼食メニューにあったので注文しました。1,000円。値段は適正というか、こんな山奥なのにクオリティが下界レベル。個人的な好みとしてはもう少しスパイシーな方が好きですが、こってり豆やココナツを感じるカレーは悪くないですね。


それほど寒いとは感じなかったのですが、部屋の中はストーブ。


私とは反対に五色ヶ原からテントを担いで歩いてこられた方と情報交換しました。この方、明らかに私より体力あるんですけど、それでも五色ヶ原からスゴ乗越はキツかったとのこと。越中沢岳とスゴノ頭がハンパないらしい。事前のリサーチ不足であまり気にしていなかったのですが、明日の道は厳しいと覚悟です。
昼食後はテント場でまったり。疲労回復のためにストレッチしたり、本を読んだり、他の登山者の方と情報交換しました。皆さん、越中沢岳の悪漢ぶりを強調されるのが印象的でしたが。。。
その越中沢岳とスゴノ頭は雲の中です。


少し時間が経って、スゴノ頭は姿を現しました。うーん、ここからではその厳しさはよく分からん。


黒部川を挟んで対岸の風景。烏帽子岳とかですかね。位置的に。


上空はこんな感じで綺麗な雲でした。標高の高いところは意外と晴れていたんじゃないかな。まあ、この日は夜明け前の星空も完璧で天の川がまさにミルクのようでしたから、天気は全体的によかったです。




まあ、それでも夕方からはちょっと雨に降られました。この時期は仕方ないですね。
さて、翌日は散々皆さんに脅かされた越中沢岳とスゴノ頭をやっつけて、念願の五色ヶ原に到達する予定。お天気にも引き続き期待です。

テント場各駅停車の薬師岳~立山縦走 1

2017-08-15 23:22:25 | 旅行
8月4日に折立の登山口から入山し、7日に立山室堂に至る縦走をしました。東京に帰るバスの予約が8日になってしまったので、合計4泊の旅です。昨年の南アルプス縦走と同じです、が、それに比べると一日の行動時間は短めで、比較的余裕のある旅です。
今回の縦走のポイントは:
1) 3泊以上でそれなりに長く山を楽しむことができる山域である
2) 一日に8時間以上、場合によっては10時間とかいう行動時間は避けられるため、天気さえ良ければ余裕を持って山歩きを楽しめる
3) 時期的にお花が綺麗である
4) (折立から薬師岳を除いて)行ったことのない山域に挑戦する
ということですが、ルート上にある五色ヶ原に特に行ってみたかったというのもあります。2015年の夏に針ノ木岳から黒部湖越しに眺めた五色ヶ原の湿原がパラダイス感に溢れている感じだったので、行ってみたいと思っていました。それに、チングルマの大群落があるらしいのですが、普通は夏山最盛期までに多くが花から穂に変わってしまいます。が、今年は残雪が多かった影響で8月に入ってもチングルマの花が本番状態ということで、雲上のパラダイスの完璧な姿を楽しむことができると思ったからです。五色ヶ原側から針ノ木岳を見るのも楽しみ。
なお、テント場各駅停車というのは、このルート上にあるテント場にすべて泊まることを意味します。具体的には、薬師峠、スゴ乗越、五色ヶ原、立山室堂(雷鳥沢)です。頑張れば、初日にスゴ乗越まで、あるいは二日目に薬師峠から五色ヶ原まで行くこともできたでしょう。が、それでは夜明け前のヘッデンタイムにお花を無視して進むことにもなるし、楽しくなさそうなのです。まあ、楽しむのが第一です。早く歩く、遠くまで行くことを重視していません。

で、山行のまとめ的な写真を数枚先に上げておきましょう。
















さて、8月3日の深夜、毎日アルペン号に乗って折立を目指します。新幹線が開通したとは言っても、東京からは遠い富山県。お値段も12,000円という。。。まあ、新幹線使ったりすると、それだけじゃなくて路線バスの料金も発生するから結局夜行で時間を有効に使う意味でもこのバスを利用しがちです。白馬岳方面に行くバスは大型で快適そうでしたが、折立行きのバスは25人乗りくらいの中型でした。これも、まあしょうがない。


有峰林道は通行規制があるので、折立の登山口に着くのは6:40くらいです。既に多くの登山者がいました。ツアー参加の方々が多いようです。また、関西方面からの来ていると思われる人が多いのもの特徴。薬師岳を含む立山連峰は、関西からの方がアクセスがいいと思われます。逆に、鹿島槍ヶ岳などの後立山連峰は東京寄り。


さて、登山開始から暫くは樹林帯の急登です。4泊分の食料を含む17.5㎏ほどのテント泊装備を背負っていますから、序盤から汗が吹き出す苦行を強いられます。この時点では目立った花も少ないし。アカモノは既に花が終わっていて、その名の由来となる赤い実を付けていました。


折立からの道に多いのは、このミヤマママコナ。紫の比較的地味な花です。


樹林帯は急坂なので、ベンチの設置なども特になく休憩ポイントは少ないです。そんな中、登山ブログなどによく出てくるアラレちゃんのチェックポイントは、比較的道幅も広くなっていて平らなのでザックを下すこともできます。


樹林帯は90分弱で抜けます。北アルプスの豪雪地帯らしい森林限界の低さ&高層湿原の存在が薬師岳の特徴ですね。ありがたい。ここからは高い木がほとんどなくなり、左手に薬師岳を見ながらの道になります。その前に小休止。水分補給しないと。


昨年の南ア縦走は一日の行動時間が長く、そのためかザックやシューズなどへの感謝の念も強まり、ザックなどをを対象に写真を撮りまくっていました。しかし、今回は5~6時間の行動時間の日ばかりなのでそういう感じにはならず。その意味では貴重なザック写真だ。それはともかく、高曇りっぽいですが薬師岳方面は今のところよく見えます。


高層湿原と言えば、昨年は尾瀬に2度足を運びました。もちろん、この登山道脇の湿原は尾瀬ヶ原のような規模ではありませんが、遠くに有峰湖が見えたりしてそれはそれで楽しい。


お花は尾瀬に似ていて、贔屓のキンコウカやタテヤマリンドウが多かったです。キンコウカは嬉しい。




タテヤマリンドウは、その名の通りこの後立山までの縦走路でずっと出てくるのですが、薬師岳の特徴としては白花のタテヤマリンドウが非常に多いことですね。半分くらいは白花じゃないかな。縦走して越中沢岳とかに入ると、もう白花は出てこないんですけど。その他にも、引き続きミヤマママコナとかイワイチョウが多く出てきます。イワイチョウは終盤だったのかな。個体数が多かったので全体的には目立っていました。チングルマは、標高の低いこの辺りでは既に穂になっていました。






道は非常によく整備されているのですが、こういう石って意外と足の置き場的に疲れる。


あと、登山者が多いせいだと思うのですが、登山道の中央を通らないで脇をどんどん侵食してしまう人がいるのは問題だと思います。確かに中央部がえぐれていたりして歩きにくいところもあるのだけれど、それを理由に脇に広がると結果として登山道が広がり、自然が侵食されるので。既に登山道が広がっているように見えるところも多いのですが、元々の登山道と思われる中央部分を皆が歩くようにした方がいいとは思います。まあ、限界あるけどね。大勢が入山する百名山とかだと。

天気は基本的に晴れなのですが、夏雲が徐々に上がってきているのが気になる。


黙々と歩みを進めますが、やはりお花は気になる。特に、キンコウカの大群落があったので、これには足を止めざるを得ません。








そしてワタスゲも登場。今年はタイミングを外していて、ポワポワメルヘンのワタスゲは縁がないと思っていただけに、ここでの思わぬ出会いは嬉しい。




それにしても、森林限界抜けてからが意外と長い。まあ、5時間のコースタイムというのは盛り過ぎですけどね。3時間半から4時間で着くんじゃないかな。太郎平まで。


お花は、アキノキリンソウやニッコウキスゲも出てきます。タテヤマリンドウも、ブルーの鮮やかなものがまとまって出てくるようになりました。タテヤマリンドウは小さめの群落を作りがちなので、家族が固まっているような感じで可愛いと思います。










これから先の道がずっと見えているというのも、なかなか目的地に着かない時は厳しいものがある。


お花的には、オトギリソウやヨツバシオガマ、タカネニガナなど種類が増えてきます。




そうは言っても頑張っていると何時かは到着するのが登山のいいところ。太郎平に到着。2年ぶりです。早速CCレモンを購入しました。暑かったから。


雲は出ていますが、雲の平や水晶岳方面はそれなりに見渡せます。


薬師岳方面は絶望的かな。まあ、この日の予定はもうテントを張るだけ。余裕を見て薬師岳とは反対の北ノ股岳方面のお花畑を見に行くつもりですが、薬師岳を登って本格的な縦走を始めるのは翌日からの予定。今回は無理はしないのです。


テント場は、太郎平から20分くらい歩いた薬師峠というところにあります。


このテント場の強みは何といっても水場でしょう。豊富な水量。そして美味しい水です。ちなみに、併設されているトイレもテント場としてはかなり綺麗です。


さて、テントを設営したら12時少し前に北ノ股岳に出発です。


隣のテントは若いソロ男性だったのですが、この方は翌日から黒部五郎岳方面に縦走とのことで、この日は薬師岳に向かわれました。テント場から向かう方向は逆ですが、それぞれお天気はどうでしょうか。
太郎平の山小屋の周囲はお花畑で、多くの種類の花が混在していて見事です。








ちょっと歩くと、太郎山という小ピークに着きます。この辺りもお花は多く、楽しいです。と、ウサギギクがまとまって咲いている所に高山蝶がやって来ました。ミヤマモンキチョウのようです。珍しいと聞いていた種類なので、焦って写真を撮ります。




あー、全然ピントが合っていない。そして蝶はひらひらと優雅に飛び去ってしまいました。うーん、残念。まあ、肉眼ではしっかり見た。

お花は、相変わらずタテヤマリンドウ、タカネニガナ、エゾシオガマなどが数多く咲いています。






ちょっと下ってから北ノ股岳に登り返します。左手を見ると水晶岳、ワリモ岳、鷲羽岳の大きな稜線が、雲の平の向こうに見えます。雲の平の右側の盛り上がりは祖母岳かな。


まあ、かなり雲が出ているので絵的にはちょっと残念ですが、ハイキング中はそれなりに景色を楽しんでいます。湿原があるのでお花も次々に出てくるし。
チングルマ君。この標高だと花が残っているものも結構あります。


ポワポワのワタスゲも。


イワイチョウは多かったです。これまではあまり見たことがなかったのですが、十分取り返した。完全に咲き切ったものより、咲き始めの方が上品な感じだとは思います。あと、これまでは花の落ちた後のイワイチョウの葉をよく見ていました。おそらく、イワイチョウと同じ場所にハクサンコザクラも咲くところが多いのだと思います。そして、ハクサンコザクラの花が咲く時には大きめのイワイチョウの葉が目立つ(花は落ちている)という状態が多く、そのためイワイチョウの葉とハクサンコザクラの葉を誤解しがちでした。今回イワイチョウをよく観察できたのでこの2つを見間違うことはないでしょう。まあ、実際には全然違う葉の形なのだが。




北ノ股岳への道は中央部がかなりえぐれてしまっていて歩きにくく、さらにお花や風景を楽しみながらのゆっくりお散歩なのでコースタイムと比較するとだいぶ時間を取っています。2時までは歩いて、その後戻れば太郎平小屋に3時には着けるだろうと思っていました。で、急な坂を登り切ってそろそろ山頂かと思ったら、何とその向こうに本体が。2年前に来た時の記憶は薄れていて、すっかり騙されました。まあ、あと15~20分くらいの道のりに見えましたが、ガスがかかったり切れたりという感じだし、展望は今いる小ピークからのものとそれほど変わらないでしょう。ということで、2時少し前にお散歩終了。小ピークからの景色を楽しみます。


とは言っても、主だった黒部の山々はことごとく山頂付近が雲の中。唯一雲から出ている赤牛岳にズームです。いつ見てもでっかい山ですね。


私のイメージでは、黒部の主はこの赤牛岳です。双璧で水晶岳。赤と黒で色も対照的。薬師岳はカールのイメージが女性的なビッグマザーで、鷲羽岳は端正な正統派のやや冷たいキャラ。それに対して黒部五郎岳は特徴的な風貌を持つ好青年のイメージ。
さて、太郎平方面に戻ります。こちらも夏雲がどんどん上がっている。こりゃ、夕方前に一雨あるかも。




と、ここで人生初ムシトリスミレ。尾瀬でも早池峰でも谷川岳でも見逃していましたが、ここで登場とは。そして、蝶のように動かないはずなのになぜかこの写真もピントがずれているという。。。


戻る途中、水晶岳の上の雲が切れました。岩岩しくて男性的、それでいてシャープな山ですね。今まで、後立山連峰の各山頂や穂高岳などからその姿を何度も見ていますが、登頂する機会に恵まれていません。ある種憧れの山です。




太郎平に戻ると、積乱雲のような雲も出てきていました。


で、テントに戻ってまったり。隣の青年も戻ってきましたが、やはり薬師岳山頂はガスガスまっ白だったようです。お互い翌日以降の好天に期待です。
夕食は、定番のレトルトカレー&ミニトマト+中華卵スープでそれなりに美味しく栄養を補給です。


心配したとおり、6時頃からパラパラと雨が降ってきました。それ程ひどい降り方ではなかったので、耳栓をして早めに就寝です。翌日は日の出が4:40くらいということで、山に囲まれたこのエリアが十分明るくなるのは5時前後かな。それくらいに出発のつもりで3時半頃に起きる予定です。縦走レポートは次回以降に。



ウルップソウを求めて白馬岳 & 下山は蓮華温泉 その2

2017-08-11 10:50:28 | 旅行
さて、遅めのお昼に頂上宿舎の食堂でカツカレーを食べたら、まだしていなかったテントの登録などを済ませ、夕食まではマッタリ過ごします。とは言うものの、テント場は満杯。満杯なのに続々と人が入ってきて、信じられない間隔でテントを設営。いやー、白馬岳、人気の山だとは知っていましたが、これほどまでとは。この写真は私のテントから顔を出したらみられる場面で全体を写してはいませんが、それでも何となく混雑ぶりが分かるのでは。


まあ、適当に文庫本を読んだり近くのお花を見て楽しんだりして過ごし、6時過ぎに持ってきたゆで卵とソーセージをフリーズドライの雑炊に入れて夕食です。本当はパスタの予定でしたが、カツカレーのおかげで結構お腹がいっぱいなので軽めにしました。パスタは翌日に。


で、7時頃が日没なので6時30分くらいに丸山にて夕日鑑賞へ。長野県側から上がってきた夏雲もいい具合に降下しつつ残っていて、いい雰囲気。






そして、杓子岳と白馬鑓ヶ岳が相変わらず格好良い。




旭岳は独特の存在感ですね。




その奥に見える雪倉岳方面。高山植物の宝庫らしいので、一度は歩いてみたい。


白馬岳は尖がっていて厳しい感じかな。長野県側と富山県側の切れ落ち方が全然違うのが特徴ですね。


剣岳や毛勝山方面。雲海の上に出ていて絵になる。






遠くには、後立山の南端部にある針ノ木岳や、その向こうに槍ヶ岳や水晶岳も見えます。写真だとうっすらしか写っていないけど。






旭岳の肩の辺りに夕日が沈みました。




満員御礼のテント場でしたが、夜中はそれほど騒音は気になりませんでした。私の山道具の中で絶対に忘れてはいけない一品である、JALの耳栓のおかげかもしれませんが。
で、翌朝4時半過ぎ。今度はご来光を求めて同じ丸山に登ります。朝の方が空気が澄んでいて、長野県側から上越地方の頚城山塊も、富山県側の剣岳方面もハッキリ見えます。






旭岳の後ろに雪倉岳など。


白馬岳。


なかなか朝日があがりません。皆焦れながら待っています。しょうがないので遠くの風景を眺めたり。


どうやら東側は厚く雲海が垂れ込めているせいで綺麗なご来光は拝めないようです。既に日の出の時刻を回ったのに、周囲は明るくなるけれど日はでない。白馬岳の向こう側、頚城山塊の上の方から、5時前になってようやく太陽が見えてきました。


これが精いっぱい。


朝焼けはしませんでしたが、空気が澄んでいたので稜線は綺麗だった。




朝日は残念でしたが、気を取り直してテントを撤収。いよいよ白馬岳本体に登頂すべく出発です。で、6時10分くらいに白馬山荘にやって来ました。日本最大の山小屋で、ケーキも食べられる下界とあまり変わらない設備を誇るようです。


まだ歩き始めたばかりで朝早いので、エネルギー補給や休憩のニーズはありませんでした。そのため、この巨大山小屋のレストランはスルーです。ここから山頂へは15分ちょっとの距離。時々お花を愛でながらゆっくり目に歩き、ついに白馬岳2,932メートルに登頂。山頂には多くの人がいました。


お天気はまだ持っていましたが、富山県側から雲がどんどん迫っていて、しばらくすると雨になりそうな雰囲気。昨日頂上宿舎の方に聞いた感じだと、雨はお昼頃からという予報だったようですが、もしかすると少し早めに降りだすかも。そんな中、山頂からの景色はしっかり楽しみます。旭岳方面。


杓子岳、白馬鑓ヶ岳の向こうには、後立山連峰の盟主である鹿島槍ヶ岳の双耳峰が雲の上に出ています。絵になりますね。




大雪渓方面を見下ろす。


今日歩く小蓮華山方面。あの山頂からの白馬三山の眺望が素晴らしいらしい。




雪倉岳方面は既に雲のかかり方が不穏な感じでした。


さて、山頂で十分楽しんだら先に進みます。で、白馬岳のお花畑は実は山頂を越えたこっち側の方が凄かったです。タイミング的な問題なのかもしれませんが、ウルップソウもまだまだ生きのいいものが多いし、嬉しかったのは大好きなツクモグサもかなり残っていたことです。早朝であまりお天気もよくないので花は開かずに閉じていましたが、それでもモコモコ、フサフサでとても可愛いです。








ウルップソウとツクモグサが一緒という贅沢。


形のいいウルップソウがいっぱいです。






ハクサンイチゲももちろんたくさんあります。


イワベンケイの咲き始めのものも。お花が綺麗で全然先に進めない。お空の雲は厚くなってきた感じだから、本来は急いで動くべきなんだけど。。。


ミヤマシオガマやミヤマオダマキなど色が鮮やかで目立つものも。背景が完全にガスってきています。まったく、冷静に歩みを進めるべきでしょう。そうせずにお花と遊んでいたのですけどね。むしろ、天気が悪くなればライチョウさんも出てきてくれるかと思ったりして。




そして、馬ノ背と呼ばれるところだと思うのですが、ちょっと切り立った部分を通過していた時に雨がパラパラと降ってきました。最初は大したことなかったので、天気予報的にも弱い通り雨だと思ってザックカバーだけつけて(レインウェアの上はもともと気温的に羽織っていた)行こうとしました。が、直ぐに本降りになってしまい、レインウェアの下もはくことになるし、焦って滑って尻もちつくし、もう散々。お花の写真も流石に少なくなります。が、キスミレはキバナノコマノツメとタカネスミレを見分けたと本人が勝手に確信したので、たくさん写真に収めました。








長野・新潟・富山の三国境も通ったはずですが、標識すら見落としました。と思っていたら、今写真を見直すと分岐の標識が三国境ですね。当日は雨に打たれてサッサとカメラをしまっていたので気付かずでした。この辺りはコマクサの群生地らしいですが、時期的にもほとんど咲いていなかったと思います。雨でこっちも探す余裕なかったけど。




クロユリを一輪だけ発見。


人気の山なだけに白馬岳には登山者がいっぱいなんですね。そして、必ずしもよく山に来ていないと思われる人も多くて、あえて登山道の細くなったところでカッパを取りだしたり立ち止まったりしているから渋滞ができてしまったり。人気の山はどうしてもこういう事態になりがちですが、雨の日だと結構ツライですね。
その後、晴れていればほとんど気にならないレベルの多少のアップダウンを経て、小蓮華山の山頂に到着。


白馬三山の絶好の展望台と聞いていたのですが、まさしく真っ白で何も見えず。雨に打たれて悲壮感。そのため、山頂にとどまることなく、白馬大池を目指して下山を開始します。
すると直ぐに、アオノツガザクラの大群落に遭遇。強くなっている雨でカメラのレンズが濡れていますが、後続に追いつかれて自分が渋滞の原因にならないように素早く写真を撮る。






イワカガミやチングルマも咲いていますが、立ち止まってゆっくり鑑賞する余裕がなくてとても残念。




一瞬、3分くらいですかね。ガスが切れて雨も上がったのですが、ゆっくりと景色を見定める余裕もない。これは雪倉岳方面かな。


そしてこれは栂池方面か。


やっと白馬大池が見えてきた。この後雨脚が強烈に強まりました。


ミヤマダイコンソウは結構咲いていて、微かな癒しを提供。


ハクサンチドリは数は少ないですけどね。綺麗ですからね。


白馬大池の周囲にはまだ残雪が。


ハクサンコザクラで有名なのは聞いていましたが、登山道脇のものを見るのが精いっぱい。


大池の山小屋でトイレ休憩&可能なら軽食も取りたいと思っていたのだけど、外のトイレの近くにザックを置くスペースなどなくて、ザックカバーはしているものの小川のようになっている地面にザックを置く気にもなれなかったので我慢。あと2時間くらいで蓮華温泉に下れるはずだし。もちろん軽食もなし。ガラス戸越しにちょっと中を見たけどウルトラ満員で、皆ずぶ濡れだからそこに交じりたくなかった。
やっぱりお天気は大事です。ガス、雨と両方にやられるとどうしようもないですね。ガスだけでも景色がなくなるので厳しいですけど、まだ花は見られます。そこに強めの雨が加わると、気分的にもただただ進みたい、目的地に着きたいというだけで、全然楽しくないのです。

蓮華温泉への道は樹林帯で、ぬかるんでいて滑りやすかったのでゆっくり進みました。というか、実際には20名くらいの団体の直後に張り付いてしまい、向こうも気を使ってくれたので少しずつ抜いていくことはできたのですが、狭い道ですれ違いも困難な上にぬかるんでいるということで無理はしませんでした。
お花は、ゴゼンタチバナなど樹林帯らしいものが結構咲いていました。






途中、雪倉岳が大きく見えるポイントがあったらしいのですが、どこだったんだろう。一応、展望の開けるところでは写真を撮ってみました。




途中、いくつか嫌らしい感じのハシゴが出てきたのと、左手が崖になっているにも関わらず残雪がバッチリというトラバース道を行くところが難所でしたが、1時間くらいで団体さんの全員を無事にかわすことができ、そこからは駆けるようにスピード下山、を始めた瞬間に高山植物が多く現れました。天狗の庭というポイントのようです。


ミヤマムラサキは先週の北岳以来、目にするのは2度目です。タカネバラは昨年の至仏山以来でこれも2度目。いずれも比較的珍しい花のはず。








他にもシラネアオイ(7月中旬なのに)とかツボスミレとか出てきたのですが、カメラのピントを合わせるのが上手くいかずにろくな写真がありません。実際問題、雨のせいでカメラもレンズ部分含めてかなり濡れてしまっていて、壊れないように拭くのが大変だったり。
そんな中、前週に北岳に行っていたためか体が山に慣れている感じだったので、体調は悪くなくて下山のスピードはかなり速かったです。ところが、調子に乗ると危ないもので、木の枝に頭を軽くぶつけたと思ったらそれが帽子に引っかかってしまい、引き倒されるようにして大きく転倒。幸いケガもなく特に問題もなかったのですが、単独行なので常に注意しないと。

いよいよ標高が下がって、開けたところから見える風景もだいぶ里山っぽくなってきました。まあ、それでもかなり山奥感あるけど。


オオバミゾホウズキとマイヅルソウがたくさん咲いていました。




タニウツギが出てくると下山終了が近いイメージ。


と、ここでコース上にピンクのテープが道を遮るように張ってありました。実は、その先の登山道が崩落しているために迂回路へと誘導するものだったらしいのですが、説明文などが見当たらなかった(見落とした?)のでピンクテープの意味が分からず、それを無視して進んでしまいました。結果、このような崩落路に至る。


蓮華温泉から白馬大池方面に登山してきてすれ違った人たちには、かなりの高齢者や小さい子供のいる家族連れなどもいたため、皆こんな道を無事に登ってきたのか疑問に思いましたが、通過してきたピンクテープのことはすっかり忘れており、雑草を必死につかみながらなんとかこの崩落路を通過。その直後に迂回路と交わる地点があり、迂回路から降りてこられた他の登山者に指摘されて自分のミスを認識しました。万一崩落路から滑落していたら、誰にも気付かれることなくそのまま死んでいたかも。遭難というのはこういうちょっとしたミスで起こるのでしょうね。勉強になりましたが、気をつけないと。

蓮華温泉への最後の道には、ギンリョウソウやアザミ、カラマツソウも登場しました。






温泉特有の硫黄の臭いはしなかったものの、この辺りの沢は温泉を含むものもあるはず。


そして、ついに蓮華温泉へ下山完了です。一軒だけしか建っていない山奥の秘湯。夏季はバスが通っていますが、冬季は自力で歩いて来るしかなく、バックカントリースキーヤーにとってはある意味秘境の楽園のようなところだとか。


キャンプ場は15分弱歩いた先にあります。テント場というよりキャンプ場なので、完全に整地されていてトイレや水場、調理場などもあるパターン。この時は雨が一時的に上がっていて、テントを張るのに雨でたいへんという不幸は回避されました。


これは雨の完全にあがった後の夕方のの写真ですが、海の日3連休なのにガラガラでした。まあ、雨だったし。


さて、テントを設営したら早速露天風呂に向かいます。まあ、雨がまた降り出していて、時々強くなったり弱くなったりしていたので、あまりコンディションはよくないですけど。でもここまで来たら露天風呂入らないと。これはキャンプ場への道から見た蓮華温泉。山奥の一軒宿である。


ちなみに、蓮華温泉は露天風呂だけ利用する場合には何度入っても500円。内湯は入らなかったのですが、800円です。
露天風呂は4つ。上2つがお勧めなのかな。一番上は薬師の湯。女性がいる時は女性用になるため、男性が入るにはタイミング的に運がないといけません。下山してきた道を遡り、露天風呂方面へ。


最初に出てくる黄金の湯は男性2人が使っていたし、どうせなら標高のたかいところのお湯につかりながら景色も眺めたいので、ここはパス。蓮華温泉の宿から20分くらい歩くと、このような荒涼とした感じで硫黄臭が強くなってきます。


すると、仙気の湯という比較的大きな露天風呂が現れます。ここにも3人の男性がいました。その上の薬師の湯ですが、ラッキーなことに女性はいない様子。女性が来たら譲らないといけないですけど、雨だし誰も来ない可能性が高いと思ってそっちに行きました。完全貸切状態でした。雨だけどラッキーと言えばラッキーです。


天気がよければ雪倉岳とか朝日岳が見えるのでしょう。


これはちょっと左側に視線をずらした図。緑濃い山が、下山してきた白馬大池につながっている山です。


全体的に緑色っぽい。酸性硫黄塩泉ということですが、それがどう関係しているのか不明です。


仙気の湯を見下ろせます。


温度はそれほど高くないですが、ずっと入っているとのぼせるので上半身を外に出したりしながら、1時間以上温泉で遊んでいました。遊びすぎですが、どうせなら満喫しないと。テントで本読んでもしょうがないし。
夜は多少風がありましたが、樹林帯だし問題もなく、翌日はそれなりに晴れた朝を迎えました。日の出前ですがある程度明るくなってきたので、早速朝風呂を浴びに行きます。今回は仙気の湯。


眺望もある程度ありましたが、山座同定は難しい。




また1時間くらい遊んでいたら、関西から毎年いらしているという80代の男性がいらっしゃいました。毎年白馬岳に登り、蓮華温泉を楽しまれるそうです。素晴らしいですね。それほど危険な山ではないと思いますから、健康を維持して楽しまれるにはとてもよい対象だと思います。蓮華温泉の歴史などだけではなく、関西の経済のことにお詳しく、いろいろと興味深いお話を聞くことができました。

名残惜しいですが、ウルップソウと秘湯をターゲットとした白馬岳の旅も終わりです。8:15に糸魚川に向けて出るバスに乗ります。これは、帰る前に宿の向こうに見える山を見た図。あれが雪倉岳でしょうかね。


ライチョウさんには2日目以降は会えませんでした。


夏季限定のバスですが、車窓からは雨飾山がバッチリ見えたり、姫川沿いの絶景が楽しめたりしてなかなか見どころが多かったです。


そして2時間ほどで糸魚川駅に到着。北陸新幹線の駅なので新しい感じ。


駅の標示。妙高はねうまラインは、火打山・妙高山に登るときに使うことになるはず。


日本海が見えました。山から海への旅になりましたね。


白馬岳は、大雪渓、高山植物、ライチョウ、稜線の景色など、多くの技を持つ名山だと思います。そして、蓮華温泉も秘湯感があって楽しい。今回は2日目のお天気が雨だったがことちょっと残念でしたが、それより何より、まだまだこの山域ではやり残したことがたくさんです。お花という観点からは白馬岳から朝日岳までの道を歩かないといけませんし、温泉という観点からは白馬鑓温泉というもう一つの秘湯も残っています。小蓮華山からのシーンも見逃したし、清水岳のミヤマハナシノブと清水尾根から祖母谷温泉への道などもあり、興味が尽きない山域です。危険な道を踏破することに達成感を求めていないので、不帰の嶮を行くことはないと思いますが、むしろいつか積雪期に来てみたい気はします。自分だけでは絶対無理なので、山岳会とかに入らないといけないでしょうけど。
この夏は、この連休の後はお天気が不安定で、特に北アルプス方面ではまとまった縦走プランを実行しにくいまま8月に入ってしまいました。夏山シーズン本番ですが、あとはどこに行けるでしょうか。