冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

Jazz現代の名盤 その42

2011-10-23 18:59:43 | 息抜き
落ち着いたヨーロッパのピアノトリオを1つメモ。
これからちょっとの間、秋の夜長を静かに楽しむ系のアルバムをメモしていきます。
以前、真夏に思い切り冬のイメージのアルバムをメモしたことがありましたが、その反省から。
日本人として季節感は大事にしたいところでしょう。


Micheal Beck Trio。そのまんま過ぎるアルバムタイトル。言うまでもなくMichael Beckというピアニストのトリオ作品ですな。
Joe Haiderという、かなり高齢と見受けられるスイスのピアノ弾きが運営するレーベルから出ているアルバムです。
スイスのピアノってレベル高いんですよね。

さて、このMichael Beckですが、一言で言えば端正な出来のアルバムといえるでしょう。
私がこのブログで好みのアルバムとしてメモしているのは、即興性の利いたパワーのある演奏が多いと思いますが、これは端正。
育ちがいいというか、落ち着きあるメロディをきちっと美しく演奏しながら、トリオのリズムパートもちゃんと生かすところに安心感があります。
2000年代前半のヨーロッパのピアノトリオの特徴が出ていると思います。
イメージとしては、スイスといっても山や湖ではなく、どちらかと言うと都会的な感じ。美しい中部ヨーロッパの都市ですね。ウィーンやフランクフルトのような大都市ではないですが。そんなに大きくない都会の感じがスイス的なのかも。

静か過ぎてつまらないということは、まったくありません。
3曲目の"Point Turnagain"などは3分弱と短い曲ですが、テンポも速いし高音域の絡むあたりは結構迫力あります。
まあ、曲作りが上手いのでしょう。演奏能力やスタイルも大事ですが、センスの良し悪しというのは、結局のところアルバムの出来を相当程度決めてしまいます。
一方、4曲目の"Farewell"はベースのBans Oesterの作品とのことで、ベースのソロパートも含めて極めて落ち着いた語り口。本来はこっちの方がこのトリオのカラーなのだと思います。
いずれにせよ、メロディは綺麗ですし、リズムもちょっと複雑に絡んで(モンクとは言わんですが、ちょっと実験的なものも)、なかなか聴き応えがあります。
私の好みは6曲目の"Open Doors"とそれに続く7曲目の"Three Men in a Boat"ですかね。前半はトリオで一番若いドラムのSamuel Rohrerによる作曲のようですが、リズムはもちろんメロディが端正なのに加えて、トリオの全体的なテンポが小気味よいです。それに続く方はMichael Beckの作曲で、ピアノの生かし方がやはり上手。随所に美しいフレーズが入ります。

それでも、老婆心ながら敢えて付け加えるとすると、普段はあまりJazzを聴かない方が静かで落ち着くアルバムを私のメモの中からピックアップして買ってみるのであれば、1枚だけ選ぶなら他の叙情系、耽美系、審美系をお勧めします。
このMichael Beckが劣ると言うつもりはないのですが、おそらく多くの人にとっては他のメモに書いたアルバムの方が聞きやすいと思いますので。
それらの次に、秋の夜長にこいつも聞いてみると、ヨーロッパのピアノの間でも趣味の違いがハッキリと出て面白いのではないかと。

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