冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

新緑の川苔山、蕎麦粒山

2018-05-14 21:40:33 | 息抜き
GWに長沢背稜を経て雲取山、飛龍山まで縦走しましたが、その長沢背稜でまだ歩いていない部分の稜線を5月12日の土曜日に踏破しました。川苔山へのアプローチとして最も魅力的な川乗林道の通行止が解除され、百尋ノ滝にも行けるようになったので、川苔山に登るついでに蕎麦粒山も登って一杯水の避難小屋まで一回りしてきたのです。
結論。この道(蕎麦粒山~一杯水避難小屋)素晴らしい。奥多摩でも指折りの広葉樹林で、新緑や紅葉の時期は絶対行くべき道。今回は行かなかったけど、ハナド岩で小川谷を眺めるのと合わせると、奥多摩の山深さと広葉樹林の美しさを完全に堪能できると思います。

週末の奥多摩駅名物トイレダッシュを横目に7時27分発の東日原行のバスの列に並びましたが、この日は晴れ予報&日曜は雨予報だったので人出が多くてバスでは座れませんでした。まあ、15分くらいなので平気ですが。半分くらいの人が川乗橋バス停で下車し、川苔山を目指すようでした。奥多摩にはよく行く私ですが、なぜか川苔山は初めてです。メジャーな山なのですけどね。それはともかく、林道脇には川乗谷の沢が流れており、とても清涼感があります。朝は気温も低いので、気持ちのよいスタート。


沢沿いなので、この時期はウツギ系の木の花が目立ちます。マルバウツギだと思う。ヒメウツギかもしれない。


ガクウツギも多かったです。白いウツギの花は沢の流れる音と合わせて清涼感を強化。


この辺りのガクウツギの生息状況はかなり楽観的になれるものがあります。すごい数だった。


そして新緑も綺麗。ブナ系、カエデ系ともに多かった。


藤も綺麗。今年はお花が早いので、藤の季節もほぼ終了っぽかったですが。


40分ほどで林道の終点まで来て、登山道に入ります。なお、バイオトイレは故障中なのか、使えませんでした。


この登山道、お勧めです。沢沿いでとても涼しいし、沢の音が癒しになる。とても気持ちのいい道です。


新緑のトンネルである。


ヤマツツジがありました。今年はヤマツツジも早くも終盤っぽいけど。


とにかく、清涼感という言葉が合う登山道である。




水の透明度も素晴らしい。アルプス行かないでも、奥多摩で十分美しい。




新緑も言うことなしである。


と、楽しくハイキングして有名な百尋ノ滝への分岐に到着。当然ここは滝の見物に寄ります。落差約40mの滝は迫力十分で、周囲の新緑と合わさってとても綺麗でした。滝つぼ近くまで行けるので、写真が好きな人は凝った写真を撮りそうですね。




さて、この日は先が長いので、あまり長居しないでサクサク行きます。百尋ノ滝を後にしてしばらく、比較的急な道を進んだら沢を横切るところに出ました。ここで小鳥さんが登場。声は聞こえてもほとんど姿を見せることはないし、見えても高い樹上でズームしてやっと、そしてフォーカスすると直ぐに飛び去るのが常ですが、この小鳥さんは沢に下りてきて比較的近い距離にいました。他の登山者が気付かずに近づいてしまったのですぐに飛び去ってしまったのが残念ですが、なんとか後姿を撮りました。いや、ホント、野鳥の写真はめったに撮れないよ。ミソサザイかな、と思いますが確信はありません。


相変わらず、沢沿いの道を行きます。ヒメレンゲも咲いていました。




しばらく行くとついに沢の音が聞こえなくなり、小鳥の声がよく聞こえるようになります。あと一頑張りで山頂でしょうか。


山頂に続く尾根道に出ました。防火帯なのか道幅が広く、解放感のある道です。




そして、川乗橋のバス停から約2時間半で山頂に到着。コースタイムとあまり変わりませんが、百尋ノ滝に寄ったりしているから実際には余裕がある感じ。テント泊装備でない山行、余裕があって安心だと思う。


山頂からは西側が開けていて眺望があります。左の尖がりは鷹ノ巣山でしょうね。中央の一番高くて奥にあるのが雲取山。


視線をずらして右側を見ると、三ツドッケこと天目山が見えますね。今日は直下の一杯水の避難小屋までは行くけれど、天目山の山頂は行かない予定。2週間前にに行ったし。いずれにしても、あそこまで歩くのかと思うとちょっと気が滅入る。まあ、テント泊装備じゃないし、大丈夫だろう。


で、ここでもパンを一つ食べたら直ぐに出発です。まだまだ先が長いから。川苔山の山頂付近には、ツルキンバイが群生していました。奥多摩では珍しくない花ですが、白いお花の多い時期に黄色いお花はなんとなくホンワカしていいものです。




そして、ここから稜線上でたくさん出てきたのはミツバツツジとシロヤシオ。ミツバツツジは時期的にもっと前のイメージですが、標高が高めのせいか、結構残っていました。シロヤシオは全体的にはまだ5分咲きですかね。赤紫色と白のツツジの競演は見ごたえありです。














川苔山山頂付近は道が入り組んでいますが、今回は蕎麦粒山方面を目指して西に進路を取ります。日向沢の峰(ひなたざわのうら)は途中にある小ピークです。


やはり防火帯なのか、広い道が続きます。正面に目指す蕎麦粒山をとらえています。


この白いお花、多かったけど終盤っぽかった。名前が不明。


時々樹間から富士山が見えますが、限りなく薄い。


相変わらずの登山道。なだらかに見えますが、意外とアップダウンがあります。特に、川苔山から一気に200mくらい下るイメージなので、その後の登りを気にすると下り坂が憂鬱になります。


ここでサラサドウダンの花が登場です。昨年は奥秩父の甲武信ケ岳で見ています。






川苔山の山頂から40分ほどで分岐に出ました。巻き道は崩壊しているところがあるらしく、通行止めです。私は奥多摩ビジターセンターのウェブサイトで情報を仕入れていたのですが、この標識で薄めに消されているのを見て危険に気付く人がいるのだろうか。


川苔山を振り返る。山頂直下までは結構急坂もありますが、山頂は丸い感じで優しいイメージの山容ですね。


稜線上でもミツバツツジとシロヤシオの競演。


ツツジは、5枚の花弁の上のやつの内側に見える点々が綺麗だと思っている。シロヤシオは黄緑の点々。


三ツドッケも蕎麦粒山もまだ遠いなあ。


11:20頃、川苔山の山頂から約一時間で日向沢の峰に到着。この辺りからアップダウンが結構キツイ。つーか、アップがキツイ。


お天気的には薄めながら雲が出てきてしまい、青空は隠れてしまいました。まあ、広葉樹が綺麗だし、時々樹間から見える景色も山深い感じでなかなか趣があります。






そして、蕎麦粒山への急登。いったん少し下ってから登り返すのがえげつない。


11:55に蕎麦粒山の山頂に到着。川苔山から1時間40分弱で着きました。最後にかなりコースタイムを巻いた。登り返しのところでコースタイムが緩めに設定されていたようですが、この日は日帰り装備で軽装だったので、お花の写真などで時間を取られなければサクサク登っていました。まあ、全体的に言って、奥多摩のアップダウンの中では普通レベルだと思います。大岳山から御前山に縦走したり、奥多摩駅から石尾根で六石山、鷹ノ巣山と行くよりはずっと楽です。


狭い山頂には10名程度の人がいて、かなり混んでいたイメージです。この山ってそんなに人気がないと思うんですが、やはり季節がいいからでしょうか。また、明らかにベテランと思われる方は、川乗橋から直の破線ルートである鳥屋戸尾根を登ってきたようです。登りなら私も何とか行けるかもしれませんが、下りに使うと道に迷うんだろうな。奥多摩の深いところは、森は魅力的ですが道迷いが怖いです。写真は、登ってきた川苔山方面を振り返った図。こちら以外は眺望がありません。


ここでもちょっとパンを食べつつ短めの休憩を取ったらすぐ出発。時間的にはだいぶ余裕ができていましたが、何となくあまりゆっくり休みたくなかった。で、ここから一杯水の避難小屋までの道は本当に素晴らしい広葉樹林です。道自体は長沢背稜らしいフラットでよく整備された道です。


とにかくブナ(カエデも少々)の大木が多くて、行ったことないけど白神山地かと思いました。






















大きな木はそれだけで圧倒的な存在感があって素敵ですが、新緑に日光が当たってキラキラしてとても綺麗でした。都内でこの景色が楽しめるとは。とにかく、奥多摩の他の山域よりも絶対的に木が大きい。森の香りがよい。ただ足早に歩くだけではもったいないですよ、この道は。
そして、やはり足元の春のお花は終盤でスミレがちらほら程度の感じだったのですが、少ないながらもヒゲネワチガイソウが残っていました。これは嬉しい。






ヒゲネワチガイソウは、ツルキンバイの群落の中に交じって咲いていました。




楽しい広葉樹林歩きもいよいよ終盤。一杯水の水場まで来ました。GW後に雨が降ったせいか、水量は多かったです。せっかくなのでここで水分補給。


水場から避難小屋へは5分もかかりません。この日は三ツドッケには登らないで、小屋前のベンチで持ってきたおにぎりなどを食べて少し休憩。GWには咲いていなかったツツジが綺麗です。人が多かったです。時間的にはまだ下山も余裕でできますが、中には泊まる人もいたのかもしれません。


下山は、GWにはテント泊装備を担ぎ上げたヨコスズ尾根を使います。あの時はまだまだ標高の高いところでは木々の芽は出ていなくて、ほとんど冬の様相でした。今回は新緑シーズン真っただ中という感じで、とても気持ちのよい下山になりました。尾根とは違って、ミズナラとカエデ、たぶんイタヤカエデと呼ばれる種類のものが結構多かったです。ブナもありますが、ミズナラやカエデの方が目立っていました。














最後は、杉の植林帯の急坂を下って東日原のバス停付近に下山です。


日原川を通りから眺めると、その透明度の高さを認識できます。




いつもの「もえぎの湯」で汗を流して終了でしたが、満員で30分くらい待たされたのがちょっと想定外でした。まあ、時間的には余裕あったので問題なかったです。
日原方面は奥多摩でも山深いエリアで、これまではあまり来ていませんでしたが、これからは贔屓のエリアとして春や秋を中心に来ることになりそうです。

今年の春の里山の花々

2018-04-22 20:06:59 | 息抜き
今年は奥多摩の山に早春から比較的多く出かけています。天候的には、今年は3月から暖かいので花も2週間くらい平年より早めらしいです。新緑も早くて、GW前に既に綺麗になってきています。GW頃までが春のお花の最後の時期になりますかね。その後でもウツギとかは楽しめると思いますが。
GWも山歩きをすると思うので、まだ他の春のお花にも出会うかもしれませんが、この時点でとりあえず列挙。

ハナネコノメ


コチャルメルソウ


カタクリ


ヒメレンゲ


ユリワサビ


ムラサキケマン


シロヤブケマン


ミヤマキケマン


ヨゴレネコノメ


ツルネコノメソウ


ミヤマハコベ


ツルカノコソウ


ニリンソウ


ミツバコンロンソウ


カキドオシ


クサイチゴ


ラショウモンカズラ


エイザンスミレ


フイリフモトスミレ


ナガバノスミレサイシン


ツボスミレ


シコクスミレ


マルバスミレ


ヒナスミレ


タチツボスミレ


イワウチワ


ツルキンバイ


ヒトリシズカ


ミツバツツジ


アセビ


モミジイチゴ


キブシ


アブラチャン


ミツマタ


ヒメウツギ


おまけ。新緑。









里山の可憐な花々

2018-03-28 23:12:28 | 息抜き
山歩きを始めた理由の一つは、希少な高山植物を自分の目で見て、写真に撮っておきたいと思ったから。
2052」という本を読んで、地球温暖化は止まらないと確信したんですよね。悲しいけど。温暖化のために気候が変わると植生も変わってしまい、自然に予想不可能な影響を与えるのはほぼ確実。繊細なバランスで生きてきた動植物にとっては危機です。
そして、日本には固有種の動植物がとても多くて、その中でも高山植物は特に固有種が豊富。日本の固有種というレベルではなく、その山域にしか咲かない花、その山にしか咲かない花などがたくさんあって、それらの多くは特別な自然環境に適応した結果として今の生態がある訳で、繊細なバランスが崩れたら真っ先に絶滅してしまうと考えられる。
だからその前に見ておきたかった。

まだまだ東北地方や北海道のお花をはじめとして見ていないものも多いのですが、過去5年間の山行でかなりの種類の高山植物に出会うことができました。希少種としては、キタダケソウ、ナンブトラノオ、ミヤマサラシナショウマ、ハヤチネウスユキソウ、ホソバヒナウスユキソウ、オゼソウ、ウルップソウ、ツクモグサ、クモマグサなどなど。いわゆる稜線の高山植物ではなくても、ミヤマハナシノブやホテイランのような樹林帯の希少なお花にも出会いました。不思議な形の花も多いけど、可憐なものもやはり多くて、花を目的とした山行はとても楽しいです。

閑話休題。本日は里山のお花。
高山植物とは違うのですが、里山にも多くの可憐なお花が咲きます。特に春にはスプリングエフェメラルと呼ばれる花々が咲き乱れ、とても賑やか。最近では、こうした里山の花々にもこれまで以上に関心を持っています。理由は、姿がとても可憐なものが多くて愛らしいのと、中にはやはり日本の固有種のような珍しいものもあるからです。また、高山植物同様にどんどん個体数が減っている様子だからです。気候変動も要因かもしれませんが、里山の荒廃やハイカー・トレランランナーの増加も大きな要因のようです。ヤマレコなどを見ると、貴重なお花畑の位置はあえて曖昧にして登山記録を書いている人が結構います。場所を教えると人がなだれ込むのでしょう。
私の場合はほとんど一般登山道のメジャーなところでの撮影なのでそれほど隠すこともないのですが、それでも先週末に出会ったハナネコノメは場所をあまり明確にしない方がいいと思いました。

で、これまでの里山山行で出会ったお花の写真を幾つか掲載。


カタクリ。


ニリンソウ。


ムラサキケマン。


カキドオシ。


ヒメレンゲ。


ハナネコノメ。


ナガバノスミレサイシン。


クワガタソウ。


ヒトリシズカ。


レンゲショウマ。

今後のターゲットは、イワウチワ、キクザキイチゲ、アズマイチゲ、フクジュソウ、セツブンソウなど。フクジュソウは、東京と埼玉の県境に近いところに群生地があるようだけれど、いわゆるバリエーションルートになるので初心者だと道迷いで遭難するかもしれないから今年も挑戦できませんでした。長沢背稜という県境の尾根を何度か歩いて、あの山域に慣れてからでないと危ないでしょうね。
あとは、佐渡島でトレッキングをすると多くのお花が見られるようです。せっかく行くなら観光を兼ねて2~3泊したいところなので、しっかりしたプランニングと天気図解析が必要ですけど。飯豊山脈などと並んで、お花目的で行ってみたいところの一つです。

とてもいい本です 「宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八」

2018-03-02 15:39:02 | 息抜き
新聞などの書評欄でも高い評価を得ている、とても読みやすい新書です。

宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八

宇宙開発・探査の歴史についてあまり詳しくない人はもちろん、ある程度知識のある人でもとても楽しめると思います。アポロやボイジャーについてはある程度知っていても、その裏で科学者や技術者がどんな夢や問題意識を持って仕事してきたのか、プロフェッショナル 仕事の流儀とかの感覚で楽しめます。さらに、惑星探査を超えて地球外生命体の探査についての部分はイマジネーションを掻き立てられます。そう、イマジネーション。これがこの本のキーワード。著者も何度もそれを強調されているのですが、本当にイマジネーションって大事だと思います。想像力と好奇心が人生を決めますよ。人生の豊かさを。この本は特にイマジネーションについてフォーカスして書かれています。想像してみよう、と何度も促されます。

純粋に、本気で夢を追い、イマジネーションを働かせている人は、短期的な利益や目の前の問題を超えたものが自然に見えてくるものです。優れた経営者も同じだけど。宇宙のことを考えれば、それは当然時間の感覚が日常生活とは全然異なるものが多くて、その夢を実現しようと本気で考えれば、短期的な利益のために地球を害する政治や経済には困惑してしまう。そんな感覚にも激しく共感します。

子供のころから宇宙にもエンジニアリングにもサイエンスにも興味なかった人でも、純粋に楽しめる本です。なぜならイマジネーションを刺激され、短期的な利益や問題から離れた視点を提供され、圧倒的に大きなものに対峙して謙虚な気持ちにさせられるから。
中学生に読んで欲しいと思うと同時に、Politically correctなことに心を砕いて小さくまとまったりストレスためている現代社会人にも読んで欲しいと思う。

初冬の奥多摩 榧ノ木尾根から鷹ノ巣山、石尾根で下山

2017-12-10 22:05:06 | 息抜き
本当は紅葉シーズンに歩けばとても美しい道だと思いますが、2度目となる今回もこのルートは冬に歩くことになりました。榧ノ木尾根は鷹ノ巣山登山では比較的マイナールートだと思いますが、広葉樹林がとても綺麗で気持ちのよい道です。お天気が良ければ西側には南アルプスも見えますし。そして、石尾根は言うまでもなくメジャールートで、ここも広葉樹林が見事です。今年2月の積雪期に歩いた時には野鳥がたくさんいたのですが、今回は鳥は比較的少なかったのが少し残念でしたが。

12月2日の土曜日、気温は低めでよく晴れるという予報を信じて奥多摩にハイキングです。一時痛めていた膝の状態も大分良くなったので、今回は鷹ノ巣山に行きました。奥多摩駅からは峰谷行きのバスに乗り、朝8時05分頃に倉戸口のバス停で下山。ほとんどの人は小河内ダムを横切って御前山に行くか、鷹ノ巣山でも峰谷ルートを取るようで、倉戸口で降りたのは私だけでした。この日は気温が低かったせいで奥多摩湖の湖面から霧が立ち上っていました。


奥多摩湖の周囲はまだ紅葉が綺麗な木々も残っていました。いろは楓でしょうか。






さて、まずは倉戸山に登らなければいけません。倉戸山の山頂から石尾根方面に向けて北に伸びているのが榧ノ木尾根ですから。晴れていはいますが、霧がガスのようになって山を登って行くのが気になる。


本格的な登山口の前の舗装された道で、セキレイと思われる小鳥さんがいました。直ぐ逃げてしまうので写真を撮るのは至難です。


さて、倉戸山です。奥多摩湖畔からは山頂までの標高差600メートル弱ですが、これが奥多摩でも有数の急登なんですよね。落ち葉がふかふかなシーズンですが、斜度が急なところでは足を滑らさないように注意が必要です。それ以上に、写真のような状況なのでルートを見失って道迷いのリスクがあります。


ブナと思われる落ち葉。紅葉という感じではないですが、晩秋~初冬の感じで、木々に少し残っている濃いオレンジ~茶色の葉がよい雰囲気だし、落ち葉の香りもよくて気持ちのいいスタートです。


樹幹から倉戸山が見えます。まだ遠いな。


徐々に高度を上げていくと、木々は完全に葉を落としていました。冬の装いとなった広葉樹の森の先に青空が見えているシーンは好きです。


前日・前夜に少し雨が降ったのか、濡れた落ち葉の道が綺麗。濡れると色が濃くなりますから。


登山道に入ってから約1時間で倉戸山の山頂に着きました。急登続きでやれやれといった感じ。


奥多摩湖を見下ろす。少しだけ見えます。湖面に朝日が当たっている。


目指す鷹ノ巣山はまだまだ先です。あと2時間はかかるでしょう。


さて、ここからはいよいよ榧ノ木尾根です。幾つかの短めの急坂を除けば、全体としては比較的緩やかな尾根道が続きます。この日は霜柱が凄かったですが、その上に多くのドングリが。


広葉樹林の尾根道なので、明るくてとても気持ちがいいです。紅葉シーズンに来たかった。


見上げると空が美しい。空の色が冬ですね。


それにしても、榧ノ木尾根は道迷いの注意書きがあるのは頷けます。落ち葉のせいでルートを見失う可能性は高いでしょう。この日は、バス停で降りたのが自分一人だったこともあり、比較的慎重にピンクテープを探したりしながら進みました。


途中、ちょっと開けたところに出ます。開けてしまうと余計にルートが分かりません。まあ、2月に歩いた時の感覚があったので素直にまっすぐ進むのを基本として、確実にルートを追うようにしました。初めて歩くのだったらもっと緊張したでしょう。


西には大菩薩嶺が見えます。その奥には南アルプスも見えているのですが、樹幹からズームして写真に収めるのは難しく、この段階では眺めるだけ。


これは雲取山でしょうかね。


とっとこ歩いて、10時15分頃に水根分岐に到着。もう道迷いの心配はないですが、榧ノ木尾根の美しい広葉樹林帯ともお別れです。


ここからは針葉樹が増えます。カラマツが見事です。やはり黄葉は終わっていて、葉は落としてしまっていましたが。


更に行くと別の針葉樹の森です。これは自然林ですね。杉ではないし、檜ともちがう感じ。木肌が松とはちがうので何の樹か分かりませんが、推測するに槇の木か、あるいはコメツガでしょうか。


西の方角には南アルプスも見えているのですが、樹幹からコンデジで撮影しようとすると手前の木にピントが合ってしまうので難しい。やっと撮影できた甲斐駒ヶ岳。甲斐駒だけは雪が目立ちません。


北岳と間ノ岳こちらは真っ白。仙丈ケ岳も真っ白でしたが、上手く写真を撮れず。


さて、石尾根と交差するところに来ました。10時40分くらい。やはり鷹ノ巣山までは全体で3時間くらいのコースですね。


この日は富士山は見えませんでした。と言うのも、石尾根に合流して鷹ノ巣山山頂を目指し始めたところから、急にガスが出てきたのです。湖面からの霧が夏雲のように上がってきたのでしょうか。遠くは晴れている感じなので、この一帯だけがガスに包まれつつあります。


それでも南ア方面は何とか見えている。頑張って撮った北岳。


最後の滑りやすい急坂を登り切り、鷹ノ巣山に登頂です。11時少し前でした。


歩いて来た榧ノ木尾根方面を見るものの、急速にガスに巻かれつつある。まったく、ここまでは青空で気持ちよかったのに、山頂に着いたらガスとは。天気図的にも天気予報でも一日晴れだと思っていたのに。


しょうがないのでお湯を沸かしてカップ麺を食べつつ、少しでもガスが切れるのを待ちます。と言うか、寒い中ですが四方に目を凝らしてガスの薄いところからの景色を探す感じ。大菩薩方面へは山が重なる感じの山深さがあっていいんですけどね。写真はガスで何となく煙った感じになっています。




それほど本格的に曇っている訳ではないのでガスが切れる時間もあって、石尾根を少しだけ七ツ石山方面に下りて北側が開けたところから。左の高いピークが雲取山でしょうかね。


山頂から甲斐駒と仙丈ケ岳。


白峰三山。今年は南アはキタダケソウを見るために初夏に北岳に登っただけでした。来年は赤石岳とか南部に行ってみたい。


まあ、スッキリはしていない風景ですが、これだけ見られればよいでしょう。富士山は残念でしたが。お昼を食べ終えたら、石尾根で奥多摩駅方面に下山します。寒かったのにそれなりに頑張ったから汗もかいたし、やはり寒ければ暖かい温泉が恋しいということで、もえぎの湯を目指します。それにしても、下山はガスに突っ込んでいくような状況。


あっという間にガスの中。


見上げても榧ノ木尾根の時のような青空には恵まれず。


こんな状況なので写真もあまり撮らず。暗い感じになると小鳥さんも活動が鈍るのか、あまり声が聞こえませんでした。この状態ではわざわざ登ってもしょうがないので、六石山への分岐も素直に無視してひたすら下山です。石尾根の激下りゾーンも落ち葉が多くてこの時期ならではの趣がありましたが、青空がないと締まりませんね。




林道との合流地点を過ぎてしばらくいくと、流石に標高が下がってきたので紅葉が少し残っていました。このくらいまで来ると、ガスも逆に晴れてきました。標高の高いところに雲が滞留していた模様です。




最後は杉の植林帯を抜けて林道を歩き、奥多摩の集落に出ます。


もえぎの湯は小さい施設ですが、この時期は流石にそれほど混んでいないので十分にリラックスできます。






秋の夜長の読書 「真珠湾からバグダッドへ」 ドナルド・ラムズフェルド回顧録

2017-12-04 00:03:08 | 息抜き
既に初冬ですが、この本はどうしてもご紹介したい。今年読んだ本の中では、「ジョージ・ケナン回顧録」と並んで共感し、自信を深めてくれ、自戒を促してくれた本です。


「真珠湾からバグダッドへ」 ドナルド・ラムズフェルド回顧録

子供の方の(2001-08年の)ブッシュ大統領、あるいはブッシュ政権は、あまり好かれていないというのが実態でしょう。2001年9月11日の同時多発テロ後、アフガニスタンとイラクに侵攻。対テロ戦争を始めました。しかし、テロはなくならないし(国家対国家の戦争ではないので、なくならないのはある意味当然)、独仏を中心としてヨーロッパの大国からもその戦争への大義を問われ、それが特に大量破壊兵器が発見できなかったことと収容所でのイラク人捕虜に対する米軍兵士の虐待問題などで炎上し、特にイラクでの占領政策が当初数年うまくいかずに米軍兵士の死傷者数がどんどん増え、予算の問題から民間の軍事サービス会社を使ったことがさらに現地の統制や米国内の利権とからんで批判され、政権内でも穏健派的な立場に見えたコリン・パウエルやコンドリーサ・ライスに比べて常に強硬派だったラムズフェルドは批判の矢面に立ちやすかった。メディアの攻撃も受けやすかった。

しかし、この人の人生は凄いです。シカゴのあまり裕福ではない家庭に生まれながら海軍の予備役訓練課程の制度を利用してでプリンストンで学び、レスリングではオリンピック代表寸前のアスリート。軍の支援を受けて学んだので卒業後は軍に入りますが、パイロットとしても教官としても優秀。そして30代に突入して直ぐにシカゴの選挙区から下院議員(当然共和党)に当選。フォード政権では史上最年少の国防長官。いったん政治を離れてからも大手の企業やベンチャー企業のCEOや取締役としてビジネスでも確固たる実績を残し、ブッシュ政権で史上最年長の国防長官として入閣。以後、他の閣僚は後退していく中で約6年の長きにわたって、史上まれに見る困難な時期の国防長官を勤め上げます。

とにかく芯がぶれない。保守の神髄が分かっている。単に右寄りなのが保守ではない。自由とそれに伴う責任を果たすという厳しい文化を守ることを徹底している。だから厳しい決断をする。だからフェアな議論をする。フェアな議論をふっかければ、それはPolitically Correctな余地がなくなることにつながるので、当然敵を作る。それが政権内や議会や司法や同盟国やメディア相手であっても、絶対にぶれない。

いろんな語録やエピソードをここで紹介してもよいのだけれど、それはこの本の中の文脈で味わって欲しい。もちろん、イラクの占領政策を含め幾つかの点については、既にある程度歴史的に政権側の判断の巧拙について評価が決まっている部分もあり、ラムズフェルドの主張を鵜呑みにできない部分もあります。しかし、芯の部分では共感できる。勉強になるし、勇気づけられるし、自戒させられます。

嫌いな人の回顧録を読むのは、考え方の幅を広げたり視野を広げる上で有効ではないでしょうか。特に、相手はこれほどの人物です。挑戦する価値のある本です。読まない決断をする前に、この質問にどう答えるか自問してみるのもよいでしょう。対テロ戦争をブッシュとラムズフェルドが始めなかったら、世界は今より平和だったのでしょうか。北朝鮮へのオバマ政権の柔和な対応が現状を生んでいることも忘れるべきではないでしょう。

晩秋の奥多摩 高水三山と御岳渓谷のハイキング

2017-11-23 19:35:24 | 息抜き
高水三山の縦走路は、山登りというよりは軽いハイキングコースです。それなりに経験ある人が一人で歩くなら、8時半頃に出発して急がずに歩いても12時前には余裕で下山可能。それでもほぼコースタイム通り。この日はお天気が良かったので、そんなに簡単に歩き通してしまうともったいないくらいですが、紅葉も盛りを過ぎて少し寂しい奥多摩を気軽に半日楽しんで、午後は別のことに時間を使えるという意味ではよいかもしれません。
4年前に山歩きを始めた年の11月後半にも高水三山に行きましたが、その時は紅葉のタイミングがバッチリでした。
それにしても、4年前の方が写真が上手なような気がする。。。

まあ、あまり気にせずに今回のハイキングの記録です。今回も軍畑から御岳までのコースで、高水山(759m)、岩茸石山(793m)、惣岳山(756m)の順に回ります。8時15分頃に軍畑の駅に着いたら軽くおにぎりなどでいつも通りの栄養補給をしてから出発です。駅から出発だとトイレにも困らなくて便利です。


最初は20分ほど一般道を歩きます。このピンクの花、里の花ですね。我が家の近くでも見ます。名前は不明。そもそも外来種なのかもしれません。これだけ咲いていると迫力あるので思わず写真に収めました。




この標識は見落とさないと思いますが、ここで曲がります。


柿の実が少し残っているのが晩秋感を演出。


高源寺というお寺の脇を少し行くと登山道に入ります。


その手前には柚子の木が多いです。前回来た時には農家の方が直売で3個100円などで売っていましたが、今回は見当たらず。


ウグイスでしょうか。野鳥が道路上を飛び跳ねていたので急いで写真を撮ったのですが、後姿だけで微妙。ホントに小鳥さんの写真は難しい。


で、高水三山へのハイキングです。奥多摩らしい急登、そして安定の杉の植林帯です。


急登&杉の植林帯と書くとあまり面白くないように聞こえてしまうのですが、序盤の急登は体が温まるので嫌いではありません。この時期には。気温は5度くらいだったと思いますからね。杉は、流石に晩秋ではあまり香りません。針葉樹林帯は香りがよいのですが、それも春から秋の序盤までですね。
暫く行くと、大きなススキ野に出ました。ここはこの時期は見ごたえがあると思います。




ススキ野を越えていくと、暫くは杉の植林帯が続きます。




注意して見ると、杉の根元には広葉樹の幼木やシダが多く見られます。間伐のおかげで日光が入りやすくなっているんですかね。徐々に本来の山の姿を取り戻してくれればいいです、が、それには何十年もかかるんだろうなあ。私が見ることはできないのかなあ。


ところで、この高水三山の縦走コースには、写真のような看板が立っていて目安になります。


針葉樹の中には、檜と思われる大木もあります。これは恐らく植林ではなくて天然林なのだと思います。


展望はないものの、さらに歩いていると稜線と思われるゾーンに入ります。そうすると樹種が変わり、広葉樹が増えて登山道にも落ち葉が増えてきます。当然、紅葉した木も。






やはり赤い葉が美しい。山モミジですかね。




この日は何故か高水寺の山門の方には行かず、高水山の山頂に直接行く道を取ってしまいました。お寺と紅葉のコラボが魅力的なのに。後から気づいたのですが、取って返すのも面倒なのでそのまま山頂へ。その途中でも紅葉は見られます。




で、高水山の山頂に到着。ほぼコースタイム通りというゆっくりハイキング。


山頂にもカエデやミズナラなどの広葉樹が多いです。カエデはイタヤカエデですかね。ミズナラは、樹に付いている葉は緑~黄色っぽい感じですが、落ち葉はすべて完全に枯葉状態。本来は黄葉する樹ではないのかもしれません。






さて、まだ1時間20分程度しか歩いていないので疲れもなく、ちょっと水を飲んだりしたら直ぐに岩茸石山に向かいます。すると、大量の霜柱ゾーンが。低山でも冬になりつつありますな。


高水山の山頂直下の道はちょっと急で険しいです。これは、岩茸石山と惣岳山にも言えることで、奥多摩らしい急峻な道です。奥多摩はルートの距離的にはそれほど長くないものが多いのですが(石尾根縦走とかは別)、登山道の斜度はきついですね。
まあ、それをやり過ごせば、高水三山の縦走路はアップダウンのほとんどない優しい道です。尾根道では広葉樹もだいぶ葉を落としていました。


樹幹からは秩父方面が見渡せます。


開けたところから見るとこんな感じ。里山の風情があります。


で、20分程でこの日の最高峰、岩茸石山に到着。


この山頂は北側の眺望が利きます。あまりメジャーな山がある訳ではないので山座同定は難しいですけど。お天気がいいのでとても気持ちのいい景色ですね。空の青さが都心とは違うように思います。


秩父方面だけでなく、はるか東の方まで見渡せます。スカイツリーや新宿は簡単に確認できます。


これは筑波山でしょうね。


北の方には日光の男体山まで見えました。寒い日だったから空気も綺麗だったでしょう。


岩茸石山の山頂付近は紅葉の最終版という感じ。




山頂から見る山肌の紅葉は綺麗です。写真だと、実際よりも緑が強く出るようです。実際に目で見た感じは、もう少しオレンジとか黄色の印象が強いです。




ここからは、高水三山の縦走ということで惣岳山に行くこともできますが、埼玉県方面に尾根をつないで棒の嶺に至ることもできます。その道は2014年の春に歩いたことがあります。まあ、今日はサクッと惣岳山の予定です。
さて、やはり山頂直下の道は距離的には短いもののかなり険しいですが、慎重に下って縦走再開です。安定の杉の植林帯が続きます。


ちょっと開けたところからは、歩いて来た山が見えます。それにしてもいいお天気。


この日は小鳥の声はあまり聞こえませんでしたが、やはり時々聞こえてくると嬉しいものです。姿を求めて立ち止まって探してみても、まったく見つからないんですけどね。
さて、更に進んで北側に開けたところから見えるのは棒の嶺ですかね。ちょっと平らな山頂の方。違うかもしれないけど。この辺りの里山が簡単に同定できるようになると、ベテラン感が出て格好いいと思う。アルプスの山だとメジャーなので、同定できて当たり前感があります。




さて、10時40分頃に惣岳山到着。予定通り午前中には縦走終了して下山できそうです。


山頂には祠があります。惣岳山は、登山道にご神木があったり縄がかけてあったりして、信仰の山であることをうかがわせてくれます。


さて、下山です。下山中に出てくるこの大木がご神木です。檜ですかね。大きすぎて一枚だと入り切らないので二分割。




大きな木を見ると何となく安心するのはなぜでしょう。それはともかく、惣岳山から御岳駅までの下山路は基本的にずっと杉の植林帯です。写真だと明るく写っていますが、実際は日光が遮られていてかなり暗いです。信仰の山には針葉樹が似合うような気もしますけど、やはりもう少し広葉樹が欲しいと思ってしまう。


11時50分頃に下山完了です。お腹が空いていたら蕎麦でも食べようと思っていたのですが、縦走中におにぎりやパンを食べたせいでお腹いっぱい。素直に御岳渓谷に向かいます。


紅葉は最盛期をやや過ぎていたように思いますが、多くの人で賑わっていました。まあ、十分綺麗でしたからね。






途中、直売で柚子やお手製の梅干しを売っている農家があったので、購入しました。柚子は3つで200円、梅干しはパックにいっぱい入って300円でした。柚子は、もう少し形の悪いものを3個100円で売っている所もあったので、お風呂に入れるならそっちがいいでしょう。鍋物の薬味的に使うなら200円の方がいいと思いますが。
で、最後は沢井の駅近くにある酒蔵、澤ノ井です。ここにはレストランや試飲&販売所があるのですが、既に経験済みなので今回はパス。12時50分台の電車に乗って都心に帰りました。


高水三山、物足りないと思う人も多いと思いますが、軽く短時間のハイキングでリフレッシュするにはいいコースだと思います。多くの人が歩いているのも安心ですし。今週は冷たい雨も降ったので、今年の紅葉シーズンはもう終わりかもしれませんが、冬でも危険度は少ないので凛とした空気を楽しむには悪くないコースではないでしょうか。

秋の奥多摩 紅葉散策

2017-11-09 21:22:00 | 息抜き
11月5日の日曜日、快晴で気温が比較的低くてハイキングしやすいお天気だったので、半年ぶりに奥多摩に繰り出しました。ちょっと膝の調子が悪かったので無理せず、御前山だけを登るコースです。
週末の朝の奥多摩駅は相変わらず登山者がたくさん。バスは2台とか3台とか出ますが、それでも今回は座れませんでした。


まあ、いいんです。どうせ小河内ダムまでの15分程度ですから。さて、小河内ダムのバス停についたら放水を見ながら渡り、御前山の登山口へ。




このサス沢山ルートは、私が山歩きを始めた2013年の春に初めて奥多摩の山に登った懐かしいルートです。ある意味原点。
登山口から急登なのは奥多摩らしいです。まあ、実は奥多摩を余裕で歩くだけの体力があれば、登山道の整備された北アルプスや八ヶ岳は問題なく歩けるでしょう。奥多摩の急登を舐めてはいけません。
それはともかく、紅葉シーズンですからね。ゆっくりペースで景色を楽しみましょう。




植林の杉も多いですが(杉は紅葉しませんが、香りがよいので好きです)、奥多摩らしいブナやナラの広葉樹は素敵です。






そして足元にはドングリ。熊さんの冬ごもりには欠かせないドングリ。つまり、広葉樹林帯では熊さんに出会うリスクはあります。


1時間くらいでサス沢山に到着です。ここは奥多摩湖の展望が良いところです。


左奥に見える一番高いのが大菩薩嶺です。何だかんだで一度も登っていません。10月に行きたかったのですが、雨が多かったのと膝が悪くて断念。


なお、ここからは雲取山は位置的に見えません。手前の山に隠れてしまいます。
さて、このサス沢山コースのよいところは、アップダウンがほぼ皆無なところですね。急登続きなので体力がないと息が切れるでしょうけれど、アップダウンでやられるよりは精神的に楽だと思います。そうは言っても急な坂は厳しいですが。


まあ、紅葉に癒されつつ進めばいいんです。落ち葉の香りもいいものです。小鳥さんも鳴いているし。正面に太陽を臨む感じで進みました。








大きな木。ブナでしょうかね。とても写真に納まりません。


ということで2分割。上部はこのように見事な紅葉。オレンジ色の紅葉も綺麗ですね。


黄色い葉を持つ樹もたくさんあります。いろは楓でしょうかね。


紅葉を拡大。


更に拡大。


道は結構広いところも多く、広葉樹林帯は日差しが入ってキラキラして明るいのでとても気持ちがよいです。気温が低いので汗だくにならないのも秋のよいところ。


縦にして見るとこんな感じ。


やや開けたところに出ました。


落ち葉がふかふか。登山道は踏み跡があるので、ある程度固く踏み固められていますが、それでも落ち葉の感触を楽しむことができます。独特の香りもよい。熟成した赤ワインの香りは森の香りや木の香りなどに例えられることがあると思いますが、そんな感じ。


自分の影も。


いろんな紅葉を楽しめます。






道の左右で紅葉の状態が異なる。いろんな種類の広葉樹が生きている証拠です。


カラマツも少し出てきました。落葉する針葉樹。黄色く燃え上がる感じで、群生しているとこの時期は大迫力です。


これは大きな広葉樹。やはりブナでしょうか。


標高1,200メートルくらいの紅葉が一番見頃だったようです。






空を見上げると、快晴の青が美しい。


さて、御前山山頂から15分ほどにあるチェックポイント、惣岳山に到着です。ここからは道が分岐しており、御前山の山頂へ向かう道と小河内峠への道があります。小河内峠を越えて陣馬尾根を下るルートは2年前の10月後半に歩きました。紅葉とドングリを楽しみました。今日は御前山の向こうに回って湯久保尾根を下りるつもりです。


惣岳山の辺りには赤色が目立つ樹が幾つかありました。


カエデの中には赤くなるものや黄色、オレンジ色など、いろんな色になるものがありますね。同じ種類のカエデが日光や水の関係で違う色になるのか、違う種類のカエデが違う色になるのか、私は知りません。


この葉も赤いですが、樹の種類は特定できず。


御前山の山頂手前には、北側の展望が開けるところがあります。奥多摩の名峰である鷹ノ巣山が見えます。




更に進むと、南側の展望が得られるところがありました。当然富士山が主役です。


そして、登山口からちょうど2時間くらいで御前山の山頂に到着です。奥多摩三山では、御前山と大岳山は何度も登頂しています。ルート的にいろいろと行きやすいんですよ。三頭山は一度登っただけ。10月に考えていたのだけど、お天気的に行けずでした。


山頂にはカラマツが数本あり、綺麗に黄色く色づいていました。


結構大きくて迫力ある樹ですね。




時間的には10時半前で早いのですが、山頂なので行動食を食べたりして景色を楽しみつつ休憩です。南側は丹沢方面が見渡せ、紅葉の林も見事でした。




山頂付近はだいぶ葉が落ちている樹も目立ったので、紅葉を愛でるのであればこの週末が最後のチャンスだったかもしれません。もちろん、登山口から中腹まではまだまだ楽しめるでしょう。
さて、この日は膝に少し不安があったので、大岳山方面などに縦走することはせず、今まで歩いたことのない湯久保尾根を素直に下って檜原村方面に下山します。湯久保尾根は比較的斜度が緩い代わりに距離は長めですが、下山で急峻なルートだと膝への負担が大きいですから、この日はこれがベストな選択だと思いました。
で、湯久保尾根。特に上部は安定の杉植林帯です。奥多摩らしいですが、時期が時期なのでやはり広葉樹が欲しいですね。


ちょっと広葉樹が混ざるところもあります。


針葉樹の香りは好きなのですが、植林帯だと木と木の間が詰まっているので日光が入りにくくて暗いのが難点ですね。広葉樹が多いところに出るとホッとします。


左手を見ると、大岳山が見えます。紅葉しているブナ帯と緑の植林帯がくっきり分かれる山肌が奥多摩らしい。


進む道も、左右で広葉樹林帯と杉の植林帯が分かれています。


湯久保尾根でも、中腹の紅葉は綺麗でした。




そして、この日は数多くのリンドウを見ることができました。リンドウは晴れていて乾燥していないと花が開かないのですが、この日は快晴だったのでかなりの花が開いていました。




そして、不思議なのは登山道の脇に多くのリンドウが咲いているのに、どれだけ注意して見ても登山道から離れた林の中には見つけられないこと。道に咲いていると、登山者に踏まれてしまうリスクも高いと思うのですが。




時期的に花は少ないのですが、一輪だけアザミが咲いていてくれました。


シロヨメナは散りかけのものが大半で。これはその中でも比較的形のよかったものです。


里が近くなってくると、杉の植林に交じって違う種類の針葉樹が目立つようになりました。松の一種だと思います。それにしても、大木。最初に1,2本出てきてた時は、山の守り神のように保存されているのかと思いましたが、同じような巨木が結構見られました。奥多摩の自然もいろいろです。


午後1時ごろに小沢の集落に下山しました。


あいにく、1時台はバスがなく、2時20分頃まで待ちぼうけになってしまいます。それなら、数馬方面からもバスも合流する払沢の滝のバス停まで歩いた方が効率的と考え、一般道を45分くらい歩きました。天気が良かったのでこれもハイキングの一環として悪くなかったです。北秋川沿いなので沢は綺麗だし、途中に小さい滝とかたくさん出てきたし。


最後は、いつもの瀬音の湯で汗を流して終了です。


奥多摩はほどよい急登なので運動になるし、何だかんだで土の香りや樹の香り、小鳥の声など景色プラスアルファで楽しいところです。冬前にもう一度くらいハイキングに来てもいいですね。

秋の夜長の読書 「ねこ禅」

2017-11-06 20:16:03 | 息抜き
秋の夜長の読書シリーズ。変化球。空前の猫ブームに便乗。


世の中は犬派と猫派に分かれますが、私は猫派です。飼ってはいないですが。それにしても昨今の猫ブームは、動画にしても写真集にしても実際のペット数にしても、猫派が犬派を駆逐してしまいそうな勢いかと思われるほど。この本もそんなブームの一環で出てきたのでしょう。
ねこ禅」は、猫ちゃんの写真といっしょに見開きページにありがたい禅語が1つ載っています(禅語についての解説付き)。全部で50語。5つのセクションに分かれています。

1. ねこのように「しなやかに生きる」
2. ねこのように「自然体を忘れない」
3. ねこのように「愛し、愛される」
4. ねこのように「欲張りにならない」
5. ねこのように「やる時はやる」

それぞれ10語ずつ、行雲流水とか和光同塵とか禅語が紹介され、それを実践している猫ちゃんのありがたいお姿が写真で拝めます。
日は短くなるし年末に向けて忙しくなるしで、気は晴れずにストレスの多い方も多い秋。かなり和むこのありがたい本をお勧めします。

秋の夜長の読書 「ジョージ・ケナン回顧録」

2017-10-21 20:47:20 | 息抜き
文庫本で3巻の長尺ですが、1冊ごとに読み終わりが近づくと、もう少し長ければいいのにと思わざるを得ないほどに面白く、共感できる本でした。読み終わってしまうのがもったいない。もっと読んでいたいと思いました。まだ年末まで2か月あるので確定ではないものの、今年読んだ本の中ではベストになる可能性が高いでしょう。


ジョージ・F・ケナン回顧録I (中公文庫)


1つ1つの外交政策の提言については、この回顧録から長い年月を経た今では必ずしも賛同できないことが多いのではないかと思われます。特に、北朝鮮という異常な国家と相対する日本の現状を考えると。しかしながら、一貫して冷静で現実的かつ可能な限り非暴力的な姿勢で考えられた政策提言は、外交という厳しい交渉と駆け引きの世界におけるフェアで高潔な精神・態度を垣間見させてくれます。同時に、国家という巨大組織の中で文字通り政治的に翻弄される現実は、巨大な企業組織における私自身の体験と重なる部分をどうしても感じることになり、圧倒的な説得力と親近感を感じさせられます。土台となる考え方、置かれた条件や環境に苦しみながら最善を尽くす態度、複雑な問題そのものの知的な面白さ、などなど個々の提言の内容を越えた面白味が随所に感じられる本です。

こんなことに関心ある人にお勧めです。
・冷戦時代の対ソ封じ込め政策の本質と実態
・(仮想)敵国の理解と公正で威厳ある対峙
・国家・組織の利益、大儀と政治的な限界
・マッカーシズムの本質
・第2次大戦後の欧州、極東における東西バランスの微妙な歴史
・政治(外交)と軍事のバランスと対立
・理解し合えないものの存在とシーシュポスの神話的不条理への挑戦

そのうちレビューエントリを書くと思いますが、「チューリングの大聖堂」というもう一冊の今年のベスト候補の本の舞台も、このケナンが外交官を引退した後に学究生活を送るのも、ともにプリンストンの高等研究所です。オックスフォードのAll Souls Collageと並んで憧れるところですね。この2つの大学の性格はだいぶ違うけど。