冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

北アルプス奥地への旅1

2016-03-21 20:44:28 | 旅行
久しぶりの更新。既に2015-16年の雪山シーズンも残雪期(今年は短そう)に入りましたが、2015年のお盆の頃の山行記事です。

お天気が確信できなければ山旅にはいかないという鉄則を破って臨んだ黒部への旅。お約束のように雨に降られて、見たいものや達成したかったことは3割くらいしか体験できなかったものの、3泊4日という比較的長期のテント泊をして初めて感じることのできることもあって、実りの多い旅だったと思う。
これまではテント泊は2泊3日までしかやったことがなくて、しかも1日目か3日目は大体楽な予定だったから、実際にテント泊装備で歩くのは2日がマックスだった。4日間歩くと、何だか違うものが見えてきたような気がする。と言うか、ヤマレコやブログで時々見かける山にどっぷり浸かってくるというのはこういうことなのかなと、ちょっと感じることができた。年に1回くらいはこのくらいの山旅をするのがよいような気がする。体力チェックにもなるし。

で、行ってきたのはお盆の週の終わりの日曜日、8月16日から翌週の水曜の19日まで。土曜の夜の夜行バスで新穂高温泉に入り、最後は富山県の折立に下りる旅。
花の季節は少し外してしまっていたけれど、黒部五郎岳のカールや鷲羽岳の雄姿、鏡平から見る槍・穂高連峰の図や、ビッグマザー薬師岳(私の感覚では薬師岳は女性的ということになっている)への登頂とそこからの北アルプス奥地の絶景など、高密度の旅の予定に出発前から興奮気味でした。
問題は、どう考えても17日は雨になりそうで、それがどの程度早く回復するかでこの旅の楽しさは大きく変わりそうだということ。危険なルートではないもののテント装備では体力的に楽なルートでないことは間違いなく、無理はしないことに決めて出発しました。

そして、結局はかなり雨にやられた今回。以下は達成したかったことの星取表。
鏡平からの槍・穂高連峰の絶景→◯
双六岳の高山植物と独特の景観→×
双六小屋から望む鷲羽岳→○
三俣峠からの鷲羽岳の雄姿→×
鷲羽岳登頂→×
黒部五郎岳のカールの絶景とお花畑→×
黒部五郎岳登頂→○
黒部五郎岳、北ノ俣岳、太郎平に至るルートの絶景→△
薬師岳登頂→○
薬師岳からのパノラマ→○

星取表にあるように敗北感が漂うのと、9月以降猛烈に多忙で海外出張なども立て込んでいたのでなかなか更新できずにいたものの、自身の記憶・記録のためにもエントリ開始です。

いつものように眠れない夜行バスで、穂高連峰の岐阜県側の登山口、新穂高温泉に到着です。この日は午前中は快晴が約束されており、3泊4日のずっしり重たいザックが苦しいものの、気合を入れて出発です。


最初は林道。わさび平小屋までの1時間少しの道です。


珍しい花はあまり見かけませんでしたが、大きな黄色い花が気になりました。名前が不明ですが。


途中、笠ヶ岳への急登で有名な笠新道への分岐がありました。笠ヶ岳、登山対象としてはあまり関心がない山だったのですが、後日薬師岳から北アルプス南部を見渡した時にその存在感に感心しました。


特に問題なくわさび平小屋に到着。しかし、太陽が昇ってくるにつれて気温の上昇が感じられる。重装備の山歩きでの高温は、体力を一気に削られるのでとても苦手。涼しいうちにできるだけ進もうということで、ちょっと水を飲んだら早々に出発。


お天気に恵まれるというのは本来ありがたいことですが、15キロくらいの装備を担いでアルプスの縦走をする場合、特に1日目の体がまだ山に慣れていない上に標高差的にはかなりの高度を登る段階では、暑さにエネルギーと水分を持っていかれて相当苦しいです。初日は曇りの方がいいかも。3日とか4日かけて縦走するなら、稜線に出てからの2日目以降が晴れていれば景色も問題ないし。


お盆で登山者も多かったので、途中の秩父沢とかイタドリヶ原では休憩せず、息が上がったら少し立ち止まるくらいで歩き続けました。花も珍しいものは見かけなかったので。これが後々疲れになって効いてきたのかも。とにかく、シシウドヶ原まで頑張ってきました。約1,000メートル登ってきたことになります。


既にかなりばてていて、ここからまだ数百メートル登るとは信じたくない状況。やはり標高差1,600メートルを登らねばならない1日目は地獄だった。
それでも、少しは花を見ながら癒されつつ進みます。




そして、ようやくたどり着いた鏡平山荘。ここにテントを張ってしまいたいところですが、無情にもテント場のない山小屋です。
しかし、鏡池というのは名前通り。槍・穂高連峰の映る絶景ハンティングは成功。達成感は高まります・


既に本当にバテバテで、初日の食料として持っていたおにぎりや行動食のソイジョイを食べながら30分弱休憩です。いやー、テント泊装備かかえながら笑顔でしゃべっている人たちには頭が下がるよ。

ところでお天気。快晴でここまで来ましたが、鏡池の写真でもわかるように徐々に雲が出始めています。夏はどうしても日中雲が出ますね。そして、天気予報では翌日は雨。あと1時間遅れて鏡池に着いていたら、このような美しい写真にはならなかったかもしれません。そういう意味ではラッキーだったし、きつい思いをして歩いてきた価値がありました。

ここからは、標高2,558メートルの弓折岳までコースタイム1時間の道。しかしこれが辛かった。


これまでのいろんな山行では、テント泊装備を抱えていても、何だかんだ言いながらコースタイムよりはほとんどの場合短めの時間で歩いてきました。ソロなので、同行者と話したりせずに黙々と進むからです。しかし、この時は1時間半近く、つまりコースタイム50%オーバーのノロノロペース。
花を愛でますが、これも癒しというより単に休む感じ。花もトリカブトやリンドウなど秋のものに変わってきていたし。






何とか弓折乗越に到着し、喜びの写真。ここにあったベンチに横になって休みました。まったく動けない状態。ちなみに、下の方に見えるのが鏡平です。


それでも、周囲を見るとハクサンボウフウやハクサンフウロ、ミヤマキンバイなどが見られて、稜線の花々に多少は慰めてもらえます。特に、ハクサンボウフウはこれまで小さい白い集合花というイメージしかなくて名前も覚えていなかったけど、この北アルプス奥地への旅では道なりにずっと咲いていてくれて、可愛くてありがたかったです。




ここから双六小屋のテント場へは1時間10分の道。雲も出て槍ヶ岳などは隠れてしまいましたが、元々風景を楽しむ余裕がなくなっていたのでそれほどショックではありません。


途中にコバイケイソウなどの花が現れ、癒しと写真を撮るという口実の休憩タイムを与えてくれます。




ひたすら歩きます。2日目からは体もなれるはずだし、標高差1,600メートルとかいう登りもない。だからまずはテント張ってラーメン食べて休む。それだけを考えて歩きます。登山道自体はそれほど困難な道ではないですが。




そして、ついに北アルプスの奥地に鎮座する鷲羽岳が見えてきました。堂々たる雄姿。この姿、初めて見えた時はかなり感動します。


水晶岳や赤牛岳の方が奥地なのですが、私としては山容の格好いい鷲羽岳にあこがれがありましたからね。

こうなると、それまで以上に花にも気が回るようになり、写真を撮りまくる。












双六岳方面と思われます。体力的にとても登る気は起きない。翌日の天気がもしもよければその時考える。ここは花の名山らしいけれど、初夏の花々は盛りを過ぎていましたし。


徐々に大きくなる鷲羽岳。


そして、ついに双六小屋も見えてきました。このアングル、結構定番ですね。雲が出てきてしまっていますが、鷲羽岳は見えているし、単に青空の背景よりも逆に迫力があったかも。


長かった。休憩も入れて新穂高温泉から約7時間。3泊4日の装備を背負っての道はこれまでの経験でも最もきつかったと思われます。
小屋まで最後の道を行く。


小屋の手前には双六池。北アルプス奥地は水に恵まれています。


そして、やっと双六小屋到着。


テント場はそれなりに混んでいましたが、多くはお盆を山で過ごして翌日下山する人たちだったようです。


まずラーメン。とにかく疲れていましたからね。生き返ります。山小屋のありがたさを実感。


この後、少しテントで寝て休んで、起きて周囲の写真を撮ったりして過ごしました。
夕食は豚の生姜焼き with 茄子。茄子は軽いので山行携帯野菜のお勧めらしいです。3泊の旅ということで、今回は私としてはメニューを頑張りました。


で、夜寝ていると、お約束のように雨。天気予報通りです。4日も山奥にいれば多少天気の悪い日があってもしょうがなかろうということで決行した今回の旅ですが、黒部の奥地に向かう2日目は予定を変更せざるを得なそうです。



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