冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

登山の準備と危険回避

2014-08-31 15:22:49 | 社会
登山を始めてから2年目で、それまであまり運動していなかった40代が単独行で前穂高岳~吊尾根~奥穂高岳の縦走をしたわけですが、この数年登山初心者の遭難が多いというニュースや山小屋関係者の苦言などを見るにつけ、ちょっと思ったことをメモ。
と言うか、このブログを見て簡単だと思って同じような中年の単独行での穂高岳挑戦とか増えると恐いので。
会社の人からも、まだ死なないで下さいとか言われて送り出されたことから分かるように、ちょっと間違うと遭難事故に陥る山域でしょう。
そこで、参考までに私の準備をメモしておこうと思った訳。
ちなみに私、性格的に無謀な登山はしません。全て単独行で、登山開始して直ぐに雪山に登ったり2年目で穂高岳に行っているので、それだけ見たたら無謀に見えますが。実際には、恐らく普通の登山者よりも準備にエネルギーかけてます。

A. 知識
・地図は読み込む。等高線の配列やコースタイム、前穂で言えば「カモシカの立場」などのチェックポイントの位置などは、出発時には頭に入っている。岳沢小屋から紀美子平までの40%くらいの位置だということなど。
・ウェブをフル活用して登山道の情報を集める。効果的なのは、「日本アルプス登山ルートガイド」というウェブサイト。主要な山のルートを写真付きで紹介しているので、事前にイメージトレーニングできる。ルートの難易度も主要な難所の攻略法も示されているので使える。これとブログやヤマレコでの皆さんのレポートを合わせれば、自分に近い年齢の登山者や、登山時期の似ている例のことも勉強できる
・遭難のケーススタディ、低体温症の仕組み、応急処置のやり方など、最低限の知識は雑誌の記事やウェブで十分勉強できるので、それくらいはやっておく。変な話、登山始めてからサバイバル知識がだいぶ上がりました。大地震などの時にも使えると思います

B. 体力
・外資系企業でそれなりのポジションにいるので、平日ジムに行くような時間に恵まれるほど暇ではない。つまり、土日に鍛えるか、平日でも寝る前15分くらい筋トレ頑張るくらいしかない。これは結構たいへんで、実際には一朝一夕には体力上がらない。しかし、できる時に少しでもやっていると、1年程度とはいっても体脂肪率も落ちるし筋肉も増える。と言うか、それまで使ってなかったところに筋肉つく。一番効果的なのは、できるだけ連続で2週に1回程度は登山またはハイキングすること。新緑の頃からやっていると、夏山のシーズンにはそれなりに体が慣れている。今年の春まで高層マンションに住んでいた時は、雪山に行く前にテント泊装備13Kg程度を背負って非常階段を上り下りして鍛えた。実際には雪山ではテント泊しないけど、雪山単独行は恐かったので体力だけはつけようとした
・で、私の意見では、問題は体力そのものよりも自分の体力についての理解と判断。例えば、奥多摩を歩いた時の感覚から何時間くらいなら全力で(早足で)歩けるのか考えたり、テント泊装備と普通の装備を背負った時の体の動きの差からテント泊にするのか小屋泊にするのか考えたり、それまでに登った山でかかった行動時間とその時の疲労度から次の対象となる山のコースでの疲労度を予想したり
・この理解と判断がないと、単独行で長距離のコースとか岩場の危険なコースとか予定組めません。穂高の時も、小屋2泊で吊尾根 & 重太郎新道登りだからGo。1泊で強行しても行けたかもしれないけど危険度が高くなると思われたし、テント泊は体力的に無理。南北アルプスで3泊とか4泊とかするコースも、その多くは単独行では体力的に危険度が高いと判断。来年はもしかしたらもっと長い縦走に挑戦するけど、それも体力的な自信がつくことが前提。やってみたら意外とできた、というのは、やってみたらダメだったというのと本質的に変わらないと思っている
・例えば、今回の穂高岳の場合、その2週間ほど前に行った甲斐駒ヶ岳と仙丈ケ岳の時の感覚が大事だった。これで自分の体力の目安がわかったし、体慣らしという意味でもこの南アの山行は大事だった。

C. 技術
・山岳会に入ったり、アウトドアショップの講習会に参加するのが本当は王道と思う。しかし、単独行をしていることから分かるように、人と交わるのが極端に苦手なので、これは難しい
・しかし、今どきウェブとYouTubeで相当勉強でき、それを比較的レベルの低いコースで試してみることで練習もできる。例えば、雪山の登り方・下り方やアイゼンの使い方は、赤城山をゆっくり登る&谷川岳の天神尾根コースで実践することで比較的簡単に身についた。雪山で汗をかかずに登るのは下手なままだけど
•岩稜も、三点支持や鎖場のコツなど、仕入れた知識を八ヶ岳や宝剣岳などで試して慣れていった。岩場と言ってもレベルがあるので、大キレットとかバリエーションルートとか無理ですが。それらは独学では5年、10年かかるような気がする
・あと、技術は基礎体力がないとどうしょうもないことが多いと思う。例えば、道ともいえないようなガレ場で落石を起こさないように & スリップしないように慎重に歩く(特に下る)というのは、足運びの技術というよりも確実に体を支えて足を運ぶ体力が大事だと思う。体力が弱かった昨年は、八ヶ岳の赤岳や阿弥陀岳を下る時に腰が引けたし落石を起こしそうで恐かった。でも今年の前穂から紀美子平とか奥穂のザイテングラートとかの下りは、コースとしては難しくなってるはずなのに相当余裕があった。感覚としては、技術より体力の問題と思う
・登山計画作成は大事な技術と思う。1日の行動時間を考えて現実的な計画を立てるとか、体調や天気の状況から計画を柔軟に変更するとか。穂高の時は最終日に雨が予想されたので、予定を変更して2日目の行動時間を多くして(体調もよかったので)涸沢まで下りた。3日目の雨の中でザイテングラートを下るよりはリスクが少なかったと思う
・このところ夏山で感じるのは、歩くペースの配分と水分補給のタイミングは大事なスキルではないかということ。例えば、キツいと感じたら無理しないようにとか言われるけど、実際には早朝とか体が動きにくいと言ってノロノロと休み休み行ってもダメで、ペースは上がらなくても亀のように着実に一定時間以上体を動かすことで体が慣れてくれる。体調を理解してペース配分できる技術は必要と思う

D. 装備
・無駄なお金はかけないが、買ったものは事前にちょっと使ってみたりして確実に性能を発揮できるようにする。間違った使い方をしないようにする
・ヘルメット(格好いいデザインや色よりも質を重視)やアイゼン(初心者でもあえて12本爪)などは、2人以上で行くならもう一段下の装備でもいいかもしれないものも、単独行であることを考えて投資を惜しまない
・食糧は重すぎても困るが、Soyjoyのような腹にたまる行動食を多めに持っていくなど工夫する。ルート的に山小屋を活用できる場合は、何を自炊して何を購入するのか計画しておく

穂高の縦走中もですね、私も初心者の域をやっと出るか出ないかのレベルなんで言いにくかったですがね、思わず注意したり注意まではしなくてもマジマジと見てしまったのはいましたよ。
・高齢の単独行者で、なんと吊尾根の南稜の頭付近でストックを使って難儀している人。急な岩場でストック使っちゃ危ないでしょ。その年でその程度のことも判断できない経験量で、穂高の縦走に挑んじゃダメでしょ。
・トレランでザイテングラート下ってたカップル。周囲にも迷惑でしょ。落石起こさなかったのはラッキーなだけでしょ。
・明らかに私よりも体力ない感じで同じルートで私に追い抜かれていた中年単独行の人が、涸沢岳から北穂高岳への上級ルートに向かっていったり。無事縦走したとしても、あの時間であのペースだと北穂高小屋に何時つくのか。さらに翌日の雨の中で下るのに不安はないのか。

一方で、涸沢ヒュッテでご一緒した高齢の方とその息子さんは、奥穂高に挑戦するのは3度目でこれまでは山頂に立っていないということで気合が入っていたのだけど、翌日は雨だったから無理しないで上高地に下山してました。素人登山者こそ、こういう判断できないとまずいでしょ。そりゃ、雨は降っていたけど風は弱かったので頑張れば登頂できた可能性もあったとは思いますけどね。でもリスク・リターンプロファイルが悪すぎるでしょ。そして報道されたように、あの週は穂高連峰で何件か遭難、死亡事故がありました。

まあ、私自身は実際には厳しいルートの登山が始まったら人の心配している余裕はないから、今年の雪山や来年の夏山に向けて自分の体力強化と現実的な登山計画作りに集中しますが。
岳沢小屋で会った山岳警察の人、かなりたいへんな仕事よね。

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冷たい風のような火を燃やすものたち

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ピンポイント晴天の前穂高岳~奥穂高岳縦走

2014-08-21 22:29:21 | 旅行
台風11号が日曜に通過してからも高気圧は発達せず、最終的には秋雨前線のようなものが日本列島を覆う始末。
台風一過を期待して夜行バスと山小屋宿泊の予約を入れていたので、10日・11日は天気図を見ながらいろいろ予想。
残念ながら雨は避けられないけれど、13日の水曜日には少なくとも晴れる時間帯が数時間はあるだろうと楽観的に構える。
いや、既に予約してバスとか入金もしていたから、それを正当化したい心理が働いただけですが。
で、11日月曜の夜行バスで翌12日の早朝に上高地に入り、その日は前穂高岳中腹の岳沢小屋に宿泊。13日の水曜日に前穂高岳から奥穂高岳を縦走して14日に下山するプランを実行しました。
穂高連峰の縦走コースとしては初心者向けと言えるルートですが、岩登りのような急登や岩稜のトラバースを含むコースであることに変わりはなく、風雨が厳しい条件であれば大げさな話ではなく滑落死もあり得るということで、その場合は素直に撤退することだけは決めていましたが。


毎日アルペン号で中湯温泉まで行き、そこからシャトルバスで上高地に入ったのが朝の5時半ごろ。中湯温泉でシャトルバスを待っている間に雨が降り始め、上高地バスターミナルに着いた時には本降り。少しは弱くなることを期待して1時間くらい朝食のパンを食べたりしながら待ったものの、雨の勢いはそのまま。河童橋周辺もこんな感じ。
仕方ないので7時少し前に岳沢小屋に向けて出発。それなりの数の登山者がいましたが、ほとんどの人は横尾方面に向かった模様です。涸沢に宿泊するか、槍ヶ岳を狙うのでしょう。

雨の樹林帯は土や木の香りが強まって趣があるのも事実ですが、レインウェアは通気性が限られるので汗地獄に陥ります。
レインウェアを脱いだら雨に濡れてビショビショ、着ても汗でグチャグチャ。救いのない2時間の登り。それでも今回は小屋泊装備で軽量なのが多少は有利。テント泊装備の人は本当に辛そうでした。
そして、いつものように高山植物に現実逃避する。ヤマホタルブクロ。


ミヤマアキノキリンソウ。たくさん咲いていました。9月まで息の長い花ですね。


たくさん咲いていると言えば、昨年はコバイケイソウがどの山でも大量に咲いていたのに、今年はまったく見ませんね。当たり年と外れ年の差が極端な花のようです。
群生地で大きな白い花が咲き誇っているのは壮観なので、自分が辛い縦走をする時は当たり年で現実逃避に使わせてもらいたいものです。

何だかんだで9時ごろには岳沢小屋に到着。しかし雨がひどい。当然ガスも。


上高地方面もほとんど見えない。


仕方ないので取りあえず小屋で待機。元々、この日は岳沢小屋に泊まって翌日に長距離を歩くつもりだったので、その意味では計画通り。
しかし、本来は午前中上高地を散策してから午後に小屋に登るつもりだったわけで、9時ごろから一日山小屋で時間を潰すというのもなかなか苦しい。が、それしか選択肢がない。
他の登山者の方や、長野県の山岳警察(救助隊)の方と情報交換したりして時間を潰し、あとは早めにチェックインして寝てました。
結果的には、これが体力温存という意味ではよかったかも。夜行バスだとどうしても睡眠の質が悪いので、疲れた状態で穂高岳の縦走をするのは嫌だったのだけど、天気が悪かったおかげで逆にしっかり休養を取ってから縦走に臨めました。

そして、午後3時ごろから雨が上がり、4時過ぎには晴れ間も出てきた。翌日に向けて希望の持てる感じ。乗鞍岳方面もはっきりと見えてきました。

天気予報も、13日だけは晴れ時々曇りくらいで雨は降らない模様。ただし、13日の夜からまたまたお天気は崩れるようで、本当にスポット的に間があるだけみたい。

はい、翌日です。晴れました。神に感謝。と言うか、本当に神のご加護があるような気がしました。


5時にお弁当を受け取り(岳沢小屋のお弁当は買いです。後述参照)、意気揚々と登り始めます。何せ神が味方じゃ。
前穂高岳に登る重太郎新道は、岩場の急登で危険なようですが、ガイドブックなどによると事故の多くは下山で発生しています。今回、この道を登りで使うことにしたのは安全のためと、前穂高岳に登頂したいという気持ちの2つが理由です。昨年の紅葉シーズンに徳沢にテントを張ったとき、そこから見えた前穂の威容に感動したからです。

最初の30分ほどはストックを使って登ります。つまり、手を使って岩場をよじ登るような道ではありません。
高山植物も、晴れた日に見るものは雨の中で見るものとはちょっと感じが違います。

クガイソウ。重太郎新道でしか見ませんでした。

トリアシショウマ。上高地に下るまで、いたるところに咲いていました。

モミジカラマツ。高山帯でしか見ませんでした。

ミヤマシャジン。これも重太郎新道でしか見ませんでした。

少し登ったところから上高地方面を見ると、焼岳が朝日に照らされて輝いていました。


目を上げると、穂高連峰の稜線が綺麗に見えます。見るだけなら楽しいですが、自分が歩くことを想像するとかなり恐ろしい道ですね。西穂高岳から奥穂高岳に続く稜線は上級者向けですが、確かにギザギザです。あれを踏破するのは辛そうだ。


最初のハシゴが出たところでストックをしまい、その後は手を使って登る所が多くなります。
しばらくするとカモシカの立場という開けたところに出ます。西穂からの稜線、明神岳方面の稜線、上高地方面などが見渡せます。


明神岳はクライマーのためのルートが多いようで、確かに絶壁でした。


重太郎新道は確かにかなりの急登で手を使わないといけないところばかりですが、登りで使う限りはそれほど危険ではないと感じました。
むしろ、延々と足だけで稼ぐルートよりは楽しめると思います。まあ、これもお天気がよかったから言える話なのですが。

高度があがってくると、明神岳方面の稜線もハッキリ見えるようになります。西穂方面に負けないギザギザ度です。


途中、雷鳥広場と呼ばれる辺りから見た上高地方面。絶景。


そして、2時間強でついに重太郎新道を登り切り、紀美子平に到着です。ここでザックを置き、前穂山頂への最後の30分ほどの急登に向かいます。
その前に左右の絶景を。




これが紀美子平からの登り。


この登りも楽ではないですが、これまでに八ヶ岳の赤岳、阿弥陀岳、あるいは最近の甲斐駒ヶ岳などの岩の直登ルートを経験していたためか、あまり恐怖感なく登ることができました。下りもしかり。昨年は阿弥陀岳の下りとかかなり怖い思いをしましたが。
で、その登りの途中にも奥穂高岳の威容を眺められます。


そして、やっと前穂高岳山頂、標高3,090メートルに到着。昨年来の目標を果たしました。山頂はまさに360度の大パノラマ。穂高連峰から槍ヶ岳、その後ろに立山連峰と後立山連峰、至近には常念山脈、振り返れば富士山と南アルプスまで見渡せます。








前穂高岳の北尾根は、やはりバリエーションルートとして上級者に人気のようですが、この日は登っている人は見かけませんでした。北尾根は昨年の紅葉シーズンに登った屏風の耳に続いているので、懐かしい感じです。


山頂は意外と広くて、絶景を見るために端から端まで移動して楽しみました。
30分くらい山頂にいたと思います。ある程度感動が落ち着いてから、紀美子平まで戻りました。
戻ったら弁当です。体質的に起きてすぐはほとんど食べられないので、このくらいの時間がたってからの方がいいのです。そして、吊尾根でシャリバテしないためにも栄養補給は重要です。
写真を撮る前に一口がっついてしまったので鮎が半分になっていますが、岳沢小屋のお弁当は豪華です。濃い味付けも、汗で失ったミネラルの回復に役立つはず。たいへん美味しゅうございました。


さて、腹も膨れていよいよ吊尾根です。
高低差も少ないし、大キレットのように急峻でもないです。しかし、そこは穂高連峰の稜線。注意して進みます。


吊尾根は意外と道幅もあるので滑落の可能性は低いでしょうし、ペンキでルートも示されているので間違って稜線に出てしまうような危険も少ないと思います。
この日は上高地方面の景色や進行方向の西穂~奥穂の稜線、あるいはコルを通過してからは涸沢方面がずっと見渡せたので、たいへん楽しいルートでした。
吊尾根途中から前穂を振り返った図。


これは涸沢方面。雪渓が見事です。下の方に、この日泊まった涸沢ヒュッテも見えています。


途中、オンタデを中心とした花畑なども見られます。


高山植物は、重太郎新道から吊尾根にかけてはイワツメクサとイワギキョウが多かったです。




あとは、ヨツバシオガマも結構ありました。今までもいろんな山で見かけましたが、穂高のヨツバシオガマは色が薄めで上品な感じ。今まで見た中で一番好きです。


ウサギギクは終盤でした。吊尾根に幾つか元気なものが残っていた程度。


数は少なかったけどタカネヤハズハハコ。肉厚な葉がおもしろい。


コメススキは地味ですが、いい味を出しています。


そして、吊尾根のハイライトの一つは雷鳥さんとの遭遇。一羽の子供を連れた母鳥との親子でした。とても可愛いですね。初めて本物に会いました。遭遇に感動してしばし眺めて声をかけたりしているうちに逃げられてしまい、後姿の写真しかありませんが。それにしても、何故か雷鳥はさん付けで「ライチョウさん」と呼んでしまう。


吊尾根で唯一気を付けるべきところは、奥穂山頂への直前ある南鐐の頭周辺。鎖もありますが、傾斜が急なだけでなく足場も下手をするとちょっと不安定です。ここだけは慎重に行くべきでしょう。


それを越えれば、あとは奥穂山頂への道を素直に登るのみです。西穂からの稜線には難所として有名なジャンダルムも見えています。確かにあれを越えて稜線を歩くのは危険そうだ。


そして、行動開始から5時間程度経過した10時過ぎに、奥穂高岳山頂に到着です。日本3位の高峰、標高3,190メートルを制覇しました。


常念山脈も、槍ヶ岳への稜線も、迫力の絶景です。




山頂はかなりの数の登山者で混雑していましたが、前日のお天気が悪かったのでこれでも少ない方なのでしょう。
それより、前日の大雨からは想像しがたい好天と、それがもたらす絶景に感謝です。

ここでも30分くらい景色を見入ってから奥穂山頂を後にしました。次は、涸沢岳との間の鞍部にある穂高岳山荘を目指します。途中、すれ違いのできない場所などで渋滞が発生していましたが、そんな時は高山植物を愛でていました。これはクモマグサ。かなり希少な花のようです。


この日の高山植物の写真で気に入っているものを幾つかアップ。






穂高岳山荘からは、涸沢カールが真下に眺められます。雪渓はまだまだ巨大でした。


穂高岳山荘は穂高連峰の稜線に建つ名物山荘ですから、ここに泊まって星空を眺めたり翌日のご来迎を見ることができたらいいなあと思っていました。
しかし、翌日の天気があまり期待できないようなので、それなら雨の中急な岩場のザイテングラードを下るよりは、この日のうちに涸沢まで下ってしまった方がいいだろうという判断に傾きました。
で、11時半ごろに穂高岳山頂に到着してからはコーラを飲んだりして少し休憩し、涸沢岳(3,110m)に空身でピストン(往復40分程度)してから下山することにしました。
これは涸沢岳山頂からの前穂(左)、奥穂(右)、穂高岳山荘。


そして涸沢岳から槍ヶ岳までの稜線。途中は北穂高岳。


涸沢岳を過ぎて北穂に向かうと上級者コースになるのですが、そこまで行かずに涸沢岳山頂で止まれば安全ですし、前穂と奥穂を一時に見渡せる絶景を楽しめるのでお得です。

さて、穂高岳山荘まで戻ってから涸沢に向けて下山を開始します。前穂への登りで使った重太郎新道ほどではないかもしれませんが、こちらも急峻な岩場として有名なザイテングラードを下るので、気は抜けません。
お天気はずっと晴れていて暑いくらいだったのですが、下りに入るころになって飛騨側から雲が出始めました。そのせいで少し涼しく感じ、実際には岩場の下山も順調でした。
ザイテングラードでは手を使う場所も多かったですが、1時間程度でこれを抜けて普通のガレ場に出てからはストックを使いました。
左右を眺めると、前穂や北圃の威容が見える、贅沢なルートでした。


ある程度下りてくると、涸沢のお花畑に入ります。オンタデの群生が見事だった。


個人的に好みのアオノツガザクラもいっぱい咲いていました。


そして涸沢の花といえばチングルマ。


高度が下がってくると、広い範囲で上を見渡すことができるように視界が開けます。涸沢の雪渓を前穂、吊尾根、奥穂が囲む図。


2時間少しで涸沢小屋に到着。しかし、かなり混雑しているようだったので1段下の涸沢ヒュッテを目指しました。ヒュッテの方が大きいので、いざという時の収容人数に余裕があると思ったからです。1つの蒲団に二人寝るとかあり得ないので。
幸いヒュッテはまだまだ余裕があったようで、素泊まり6,000円(モンベル会員の割引500円後)で布団を確保しました。
その後は濡れタオルで体をふいてからビール。合計9時間半ほどの行動時間を経て、前穂、吊尾根、奥穂、涸沢岳、ザイテングラードと歩いてきたので、その疲れを癒します。
この日頑張った道具たち。


夕食はパスタを作って食べました。涸沢ヒュッテは、屋根のあるテーブル席でバーナーを使わせてくれてありがたかったです。岳沢小屋も、室内での調理が許されていました。ありがたいです。
夕食を食べている6時過ぎに早くも雨が降りだしました。本当に、晴れていたのはこの日に縦走していた時間帯だけでしたね。ラッキーです。
そして、翌朝の涸沢はこんな感じ。奥穂も前穂も何も見えません。


14日の木曜日、弱い雨の中6時少し前に下山開始です。
雨の沢筋の道は、沢の音や樹林帯の香りが強くて悪くないです。途中で高山植物も結構見ました。登りだとムレて辛いけれど、下りならそれほどでもありません。まあ、最後には汗だくなんですが。
それにしても梓川の透明度は凄まじく、雨でもまったく濁っていません。


アキノキリンソウとソバナ。ソバナは横尾までの登山道にたくさん咲いていました。珍しい白花も。




お盆の終盤ということで、土日にかけて穂高や槍を狙う登山者と雨の中ですれ違いましたが、残念ながらこの週のお天気は回復しなかったようです。
上高地も徳沢辺りまで戻ってくると、登山者よりも観光客が多くなりますそして、キツリフネやタカラコウなどと花も変化します。私は徳沢園でソフトクリーム食べました。去年食べなかったので。




結局雨は止まず、10時20分ごろ小梨平まで下りてきました。ここの食堂で山菜そばを食べながら時間をつぶし、11時にお風呂が営業を開始したので汗を流しました。
その後は雨も降ったりやんだりでしたが、バスの時間までバスターミナル近くでお土産を買ったりして過ごしました。
時間つぶしで入った河童橋の五千尺ホテルのコーヒーは絶品でした。

河童橋から岳沢方面を眺めると、着いた日と同様にこの日も穂高岳は雲の中。まったく、前日の好天は返す返すラッキーでした。


3,000メートル級のピークを3つ縦走し、昨年来登ってみたかった前穂・奥穂を制覇したので充実感ある山旅でした。ライチョウさんにも会ったし。何より、事故もなく安全に帰ってこられたのが一番でしょう。
紅葉シーズンまであと1,2回は北アルプスに行くかもしれませんが、今度は後立山連峰を狙いたいと思っています。

南アルプス 甲斐駒ヶ岳&仙丈ケ岳 その2

2014-08-10 22:33:01 | 旅行
2014年7月下旬の甲斐駒、仙丈ケ岳登山の後半戦。仙丈ケ岳登山です。
3,033メートルということで、子供の頃に家族で富士山に登って以来の3,000メートル峰です。つまり、昨年登山始めてからは最初の3,000メートル峰。
とは言え、すそ野の広い女性的な山容で南アルプスの女王と言われる仙丈ケ岳。そして、高山植物も豊富と聞いています。
北アルプスや南アルプス南部の3,000メートル峰のような緊張感は正直感じていませんでした。
まあ、その認識はあまり間違っていなかったのですが、問題は翌朝の体の動かない度合い。5時ごろから行動開始したんだけど、とにかくペースが上がらない。
夜中に音を出す人がいたりしてテントでの睡眠があまり深いものにならないのはいつもの通りだけど、それ以上に朝の体が重く感じましたね。何が原因だったのか。
とにかく、小仙丈ケ岳を経て行くコースを取り、一歩一歩樹林帯を進みました。

最初の45分くらいを過ぎると、流石に体も徐々に温まってきたのか、ペースも少しアップ。
そうこうしているうちに展望が開ける場所に出て、朝日に浮かぶ甲斐駒ヶ岳を眺めることができました。


5合目を過ぎる辺りからやっと森林限界を越えてハイマツ帯に入ります。そうすると、目指す最初のピークである小仙丈ケ岳も見えてきます。


横を見るとナナカマドが群生しています。この時期は白い花が目立ちますが、秋には真っ赤に紅葉するのでしょう。


小仙丈ケ岳に着くと、そこは仙丈ケ岳に続くカールを初め、雄大な景色を見渡すことのできる大展望台でした。
中国地方から南アルプス登山にいらしていた方としばし語らいながら景色を楽しむ。
まあ、仙丈ケ岳と言えばこの稜線。


北岳と間ノ岳。日本で2番目に高い山と3位タイの山。


そして、ここからの稜線歩きは本当に快適。絶景カールですし、岩場のアップダウンもそれほど苦しいものではありません。
距離的にはそれほど短くないし、北沢峠から山頂までは1,000メートルあるのでそれなりに楽ではないのですが、お天気に恵まれたこともあって楽しく歩くことができました。
北アルプスの3,000メートル峰と違って、岩稜で危険なところがある訳ではないので安心して楽しめますな。

仙丈ケ岳は高山植物でも有名です。特に稜線に出てからは可憐な花のお花畑状態でしたね。
樹林帯でも、おそらくは山小屋の方が登山道から外れて人間が踏み荒さないように防護柵を作っているのだと思いますが、その内側に多くの花を見ることができました。

ゴゼンタチバナは樹林帯のどこにでもあったイメージ。


タカネグンナイフクロはハクサンフクロよりも色が濃い感じです。


稜線は大お花畑で、コケモモあり、


チングルマあり、


イワカガミあり、


アオノツガザクラあり、


ミネズオウあり、


タカネツメクサあり、


イワツメクサあり、


そして、最後の登りを経て登頂。
三角点の向こうには中央アルプス木曽山脈が。


振り返ると甲斐駒。その奥には八ヶ岳。


北岳と富士山のコラボも見られました。この位置からだと北岳の雄姿が際立ちますな。


白根三山の稜線から目を移すと、南アルプス南部の3,000メートル峰もよく見えます。アクセスも難しく、ルートも長くて手ごわい山域です。


なんと、山頂でキアゲハに会いました。ライチョウには会わなかったけど。帰ってからWikipediaで調べたら、高山でも普通に生息するらしいです。


山頂でお会いした九州からいらしていた60代の2人パーティは、甲斐駒、仙丈、北岳、間ノ岳、鳳凰三山と回った後で北アルプスに転戦する2週間の旅を始めたところだとおっしゃっていました。
昨年は荒川三山~光岳までの縦走もしたらしい。日本の老人は元気すぎる。

山頂で30分以上絶景を楽しみましたかね。下山は千丈小屋から馬の背ヒュッテ方面に向かい、沢沿いを下りようと思っていました。
下山路にもハクサンイチゲやチングルマ、タカネツメクサなどが多く咲いていました。


千丈小屋の水は、カールの雪渓の雪解け水ですね。


馬の背ヒュッテに下る途中では、森林限界から下に行くあたりでナナカマドのトンネルのようなところを通ります。仙丈ケ岳、南アルプスの女王なだけあり、植物豊富で母なる山の感じですな。




樹林帯に入ると、山小屋の方が整備されていると思われる柵が登山道に沿って設置されていて、その内側に花が多く咲いています。
シナノキンバイとか、


ハクサンチドリとか、


カラマツソウとか、


マルバダケブキとか


お腹がすいたので馬の背ヒュッテのベンチでフリーズドライの食事をして、沢沿いのコースに向かいました。
ところが、ここの雪渓が崩れかけていて危険ということで、この道は通行禁止。


少し下ったところで沢を渡り、登りで使ったルートと合流する道を行くことになりました。
ピストンになると風景や植物が同じなのでちょっと残念。

11時15分ごろに下山し、1時間以上時間があったのでゆっくりとテントを撤収。この日はビールではなくコーラで安全な帰還を祝いました。


真夏の登山は、やはり高山の方が涼しくていいですね。アルプスの稜線が絶景なのは間違いないですし。
甲斐駒と仙丈ケ岳は北沢峠からなら無理なく登れますし、消費体力と絶景度の比率で考えるとお得感のある山域だと思います。
お天気が良くても昼前には雲が下界から上がってきてしまうことが多いのが難点ですが、朝早く出発して山頂に到着できれば大体どこの高山も360度のパノラマ大絶景が約束されていると思います。
南アルプス北部は盟主の北岳を残していますが、ここは固有種のキタダケソウの咲く時期にテントを担いで大縦走をしてみたいと思っていますので、技術・体力がついてくるまでもう少し先の話になるでしょう。

南アルプス 甲斐駒ヶ岳&仙丈ケ岳 その1

2014-08-09 16:13:59 | 旅行
インド旅行中のトレッキングで体力の衰えを感じ、その対策のために始めてみた登山。
ヨルゲン・ランダースの「2052 今後40年のグローバル予測」を読み、ウェブでいろいろリサーチした結果、固有種の多い、そしてとても可憐な日本の高山植物が温暖化で見られなくなる前に自分の目で見ておきたいと思って徐々にはまっていったわけ。
その初期段階で買ったムック本で、甲斐駒ケ岳と仙丈ケ岳は特に興味を覚えた山でした。

名山と言われているのは知っていたし、ベースキャンプとして北沢峠にテントを張れば2日間で効率的に両方の山に登れるし、絶景度も高いし高山植物も豊富らしい。
3,000メートル前後の標高を誇る南アルプスの山ということで、登山を始めたばかりの昨年は見送ったものの、今年は是非行ってみたい山でした。
で、お天気に恵まれた7月最後の週末(+月曜)で行ってきました。

山の団十郎とも呼ばれ、日本百名山でも屈指の名峰とされる甲斐駒ヶ岳。


南アルプスの女王と呼ばれ、雄大なカールを誇る仙丈ケ岳。


行ってきましたと言いつつ、予想よりも厳しい旅でした。
7月初旬の大雨+落石のため、南アルプス林道のバス道が通行止めになってしまった今年の南アルプス北部。
登山口までのアプローチがたいへんです。
甲斐駒ケ岳、仙丈ケ岳のベースとなる北沢峠には、東京方面から公共交通機関を乗り継いでいく場合には以下のようなルートを取ります。

1. 新宿→甲府 (中央本線)
2. 甲府→(北岳などの登山口である)広河原 (山梨交通のバス)
3. 広河原→北沢峠 (南アルプス市営バス)

この2.の部分ですが、本来は1日に数便あり、2時間程度の行程です。
しかし、今年は落石のためにこのルートが使えず、大回りして奈良田というところを通って行くルートに変更されています。
1日に2便のみ。3時間以上のバス旅です。ちなみに、新宿から甲府は2時間半程度で行くので、甲府から広河原の方が時間距離が長いことになります。

しかも、甲府をバスが出るのは朝の(夜中の)3時と9時のみ。
その日に登山したいなら、3時に甲府を出て7時過ぎに北沢峠に着く便しか使えません。
当然湧き上がる疑問。3時のバスに乗るということは何時新宿を出る電車に乗ればいいのか。

もちろん他の列車もあり得ますが、この疑問への答えは意外と簡単に出ます。
金曜と土曜限定ですが、23時54分新宿発、翌午前2時21分甲府着の、快速ムーンライト信州81号というのが運行されています。
夏休みの登山旅行や帰省用の列車だと思われます。


これなら比較的効率的に行けますが、問題は全席指定ということ。
既に金曜発の分は売り切れでまったくキャンセルが出る状況ではなく、仕方なく土曜発のものを購入しました。
この時点で、登山は日曜と月曜と決まりました。

そして、土曜の23時54分に新宿を出てから7時間以上電車とバスを乗り継いで、ついに登山口のある北沢峠にたどり着きました。日曜の朝7時10分頃です。
既に標高2000m。下界の猛暑をよそに、かなり涼しいです。


ここからは、沢沿いに広いテント場を持つ長衛小屋まで約15分歩きます。
土日で登山する人が多いため、テント場はいっぱい。受付を済ませ、何とか平たんなところを見つけて設営です。


で、8時過ぎにようやく登山開始。電車でもバスでも、座っていたとはいってもたいして眠れなかったので、体調は万全ではないですがしょうがないです。
初日の日曜には甲斐駒ヶ岳を目指します。前回の早池峰は高山植物が目当てでしたが、甲斐駒は単純に登ってみたいと思っていた山です。私にとっては珍しいケースで、単に登ってみたいというのは他には木曽の御嶽山とか北アルプスの穂高岳くらいしかありません。
ヤマレコなどでもおなじみの、仙水峠から駒津嶺を経て登頂するルートを選びました。

最初のうちは樹林帯ですが、暫く行くと視界が開けてガレた岩の多い地形になります。火山じゃないのにちょっと火山っぽい、というか、広々とガレ場が続くので、ガスに巻かれたら方向を見失いそうで怖いですね。


体調が今一つでしたが、コースタイムより10~15%くらい早いペースで仙水峠まで歩きました。
ここまで来ると、南には仙丈ケ岳(その主峰ではなくて前面にある小仙丈ケ岳)、北には八ヶ岳、東には尾根の先に鳳凰三山の地蔵岳が見えます。
錚々たる山々の絶景ですね。鳳凰三山は昨年登りました。南アルプスの中では初心者向けと聞いていたのに随分と苦労した覚えがあります。まあ、それこそ絶景&高山植物の宝庫でしたから、得るものも多かったですが。




仙水峠からは駒津嶺を目指してまたまた樹林帯を行きます。先行するツアー登山の老人部隊を追い抜きながら進むと、開けたところからは甲斐駒ヶ岳の雄姿も見られるようになりました。
右手の少し低いピークは摩利支天。10時前くらいですかね。この頃はまだ天気もよく、素晴らしい風景を楽しみながら登っていました。


樹林帯の登りは多くの登山者の間で不人気ですが、私は嫌いではありません。
土や緑の香りに癒されるし、コケや広葉樹の姿も好きです。鳥の声や風の音も、日本の豊かな自然を感じさせてくれてとても好きです。
森林限界を超えた稜線の絶景や雪山のツートーンカラーも美しいですが、五感をフル動員して楽しめるのは夏の樹林帯のように思います。
針葉樹の若芽が黄緑色に生えてきているのも可愛いと思います。


甲斐駒ヶ岳の樹林帯は、お隣の仙丈ケ岳に比べると高山植物の花は少なかったと思います。
それでも見つけたのは、コゴメグサとか、


シナノオトギリとか、


タカネニガナなど。オトギリソウと似ているけれど、葉の形が違いますね。高山植物を見る目ももだんだん養われてきたのではないかと自画自賛。


むしろ、頂上直下の花崗岩帯の方が花は豊富だったかも。
ハクサンイチゲ。


ミヤマダイコンソウ(ミヤマキンバイかも)


タカネツメクサ


イワツメクサ


これはGoogle先生にいろいろとお聞きしても同定できなかった花


駒津嶺に着くと、雲が相当濃くなっていました。天気予報では、前線が通過することが見込まれていました。上手くいけば前線の影響があるのは中部日本の北部だけで済むかもしれないと都合いいことを考えていましたが、やはりそうは問屋がおろさなない。


そして、ここからが辛かった。
有名な直登ルートと巻き道の分岐に至るまでの道ですが、やせ尾根の岩場で結構たいへんです。
土日の登山で甲斐駒に来ていた人の多くとすれ違うのも大変でした。
また、今回から使ったアタックザックがトレッキングストックを収納できない構造だったのも祟り、余計な荷物を抱えながら進むのはかなり無理がありました。
直登ルートを選んだのはよかったものの、体力的にも技術的にも、そして途中で降りだした雨のためにも、予想以上に苦戦しましたね。若い登山者に抜かれたし。


で、雨が降ってきて眺望がなくなったために写真もほとんどなし。
登ってみたいとかねてから思っていた甲斐駒ヶ岳2,967メートルの登頂は果たしたものの、感動は今一つでした。残念。やはり天気が登山には圧倒的に重要です。


その後、山頂から摩利支天に進んで巻き道を下山。
摩利支天では大国主命とか祀ってましたが、何を信仰している山なのかちょっと不明。


摩利支天から甲斐駒山頂を眺めるものの、雨に煙る。


そして、途中で濡れた岩でスリップして転んで若い登山者に笑われたりしながら何とか無事下山。
一応目標達成なので長衛山荘でビールを買ってテント場の近くの沢で冷やして飲みました。雪解け水は冷蔵庫より冷却能力が高いです。


ちょっと昼寝したら日が傾いていて夕暮れが迫っていましたが、雨はすっかり上がっていました。
翌日の天気は大丈夫そうです。


当初は、仙丈ケ岳分もいっぺんに書いてしまうつもりでしたが、時間がかかるし長いし切りが良いところで一度切ります。
仙丈ケ岳編は後ほど。