日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

貫井徳郎著「空白の叫び」

2010-09-22 | 読書
本屋さんで躊躇してしまった1册
カバーからして薄暗い地下駐車場の写真、重い内容を示唆している。
ようやく読んだ。

2002~2006年にかけて連載され、2006年に単行本となった
貫井徳郎著「空白の叫び」文春文庫



14~5歳の中学三年生、縁もゆかりもない男の子達
祖母と叔母と暮らす普通の子
団地に住む荒んだ暴力的な子
眉目秀麗頭脳抜群のお屋敷に暮らす何の不足もない子

それぞれの葛藤を胸に、計画的に母親を殺す子
荒れくれた果てに、女性教師に絡めとられ教師を殺した子
複雑な家庭環境にも不満がなく、ただ一つ苛つく使用人の子を殺した子
(上刊)

殺人は仕方がなかった、3人とも反省の気持ちは皆無
少年法改正前の14才達は世間から守られつつ少年院に入るが
少年院は弱肉強食の世界
少年を改心させる所ではなく、痛めつけるために(?)存在する

普通の子は身を守るために、強い先輩に近付き買収をし
荒くれた子はひたすらお経を唱え孤立し
恵まれた子は心の異常で医療少年院に移り
3人とも同じ頃に卒院する。
(中刊)

それぞれが社会に溶け込める事が出来ずに、再会して行動を共にする。
3人とも互いに頼りつつ、協力しつつ新たな犯罪に突き進む。
(下刊)

読んでいるうちに主人公達が中学生である事を忘れ、時々確認しつつ進める。
中学生ともなると思考や行動は大人と大して変わらないだろうが
この深さは作者なのか、登場人物なのか?
しばし混乱してしまう。

読後の考えがまとまらないままいると
ニュースでは厚労省の局長が元の職場に復帰
事件が(捏造だったが)報道された頃は
こんな普通に見える小母さん(失礼!)高いポストに就いて犯罪を犯すなんて!と
報道のまま受け取っていた。
地検の執拗な追込みに屈せず、疑惑を晴らし
一時の疑いを抱いた事に後ろめたさを感じる。

肩肘張らずに普通に見える事が一番強い。

この本では普通の子が一番悪い。
普通の事の奥深さを感じるとともに
少年達のおかれた環境や、生まれながらの場所を選べない運命(?)
環境に負ける事なく自然体の生き方
人を殺す事に何一つ言い訳があってはならない。
自然に真面目に誠実に生きても
何一つ報われる事ない、現実を受け止めるしかない・・

なんかいつもと違う事になってしまって・・ごめんなさい。

是非読んでもらいたい1冊、
間違い・3册です。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 夏の思いで | トップ | 今日のお天気のトマト »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事