朝早くから、湿し灰(しめしばい)の作り方を教わってきました。
作り方は、灰と灰形(淡交社)で予習しましたが、
読むのと、実際では大違い、暑くて本当に大変でした。
夏の暑い土用の今が、良い湿灰を作る
最適とされるのは、太陽によく当てられ(殺菌効果も)、
早く乾かすことができる時期のためです。
梅干しの土用干と同じ意味合いですね。
その為一番大切なのは、熱中症対策と日焼け予防です。
乾かす為に太陽には照ってほしいのですが・・・・
なるべく粒のないさらさらな灰にするには
手でこするようにして灰を揉んで、篩に何度もかけます。
灰はアルカリ性で、素手では間違いなく手が荒れます。
その為、絶対必要なものは、ゴム手袋です。
私は汗をかくので中に綿手袋をはめました。
炉の灰を、桶に移し、水を注ぎ入れる
沸騰したほうじ茶を灰に注ぎかきまぜ、
灰汁を取り除きます。
上澄みを捨て、どろどろな灰を、
ダンボールを下に敷いた茣蓙の上で乾かします。
直射日光に当て、かき混ぜながら乾かす。
乾いた灰を、細かく砕き(手で揉むように)、
濃いめに煮た熱々のほうじ茶を
じょうろでまんべんなく撒きます。
また陽に当て、乾かします。
9割方乾くと、炉用の灰篩(ふるい)で漉します。
夕方には終わります。
なぜ灰に香りのいい沸騰したアツアツのほうじ茶を掛けるのか
と疑問をもたれませんか。
時間がたったほうじ茶では駄目だそうです。
やはり、カビないように栄養補給ですかね。
色づけ(灰白色から黒味に)もあるそうですが、
栄養補給が目的で、灰が再生するのだそうです。
・・・どの成分が栄養補給になるかよくわかりません。
カテキンでかびるのを防ぐかもしれません。
*次のような意見もありました。
利休居士の時代から、番茶や丁子を用いて湿し灰を
作成されておられたのか、否。
色づけしなくても、水だけでも湿し灰
は作れますよという記事です。
なかなか、考えさせられますが。
炉の時は、炭を置く前に炉灰を覆うように
湿し灰を撒きます。
炭点前にも必ず湿し灰を使いますが、
科学的にはこのように考えられております。
湿り気のある灰を撒くことで、
炭の火で灰の水分が蒸発し、
その蒸気が上昇し、釜底に当たり
蒸気が下降することで対流が生じ、
火がおこりやすくなるそうです。
先人の知恵には頭が下がります。
実際に、湿し灰を撒くと、
濃い色が、よい景色になりますね。
そのためには、良い灰が必要で、
受け継いでいかなければなりません。
裏千家・業躰、阿部宗正氏の言葉に、
”良質な灰の値打ちを知ってこそ、
風炉の灰形も上手に作れるようになるのであり、
灰そのものについて何の関心も持たずにいる方が、
上手な灰形を作れるようになるはずもありません。”
と(『灰形と灰をつくる』4頁)
追記)実際に作ってみました。(8月6日記載)
『教えていただいた湿し灰を』参照を