恋衣(こいごろも)
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涙しむ着れば想いの恋衣
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恋衣ってなぁあに~~
近ごろやたら大人びた質問
さて・・困った~
なんて答えよう
うっかりなこと言えば
思わぬところで使われ
赤面することになる
子どもの知識欲にも
色恋が進入してきた
・・・・
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恋は来い
「恋衣まとっている・・・・」
恋をしている人を
優雅に言い表しています
きっと ふわふわと身も心も
舞い上がってしまいそうな衣でしょうね
ところで 「恋」は「来い」なのです
古くは 人に限らず
土地 季節 植物など
自分から遠く離れている物事を
思い慕う気持ちを言いました
つまり
「自分のそばに来てほしい。こっちへ来い」・・
そんな気持ちが「恋」なのですね
だから 身近な存在になったとき
恋が冷めてしまうのも
当然のことなのかもしれません
恋衣も知らず知らずのうちに
脱ぎ捨ててしまっているもの
そこから
着飾らないもの同士の
新しい物語が始まるのですね
(山下景子著「美人の日本語」より)