冬萌(ふゆもえ)
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バレンタインデーが近い
日ごろ見向きもしない
織り込みチラシ
きみがしげしげと見ている
どうしたのと聞くと
少し照れて
どんなチョコくれるかなってさ・・
なんと
もらえることを前提に
見ているカタログ
ちなみに~
どんなチョコがお気に入り?
これなんかさぁ~
色とか形がいいよねぇ
目を輝かせているではないか
気がつかなかったけど
成長してるんだね
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ささやかな芽生え
枯れ木のように見える幹や枝にも
よく見るともう新芽が用意されていることに気づく
冬に草の芽や木の芽が
わずかに萌え出していることを
冬萌とよぶそうです
落葉樹の場合
本当は葉を落とした後
ちゃんと次の準備をしていて
冬を越すのですね
冬眠する動物たちとよく似ていますね
春になると
突然 芽をふき 花を咲かせるような
印象を受けますが
そうではないのですね
立春といえば
外はまだ寒いけれど
木々たちの暦にも
ちゃんと記されているようです
固くちぢこまって
冬の寒さに耐えている小さな芽
あなたの心の中にも
ささやかな冬萌がのぞいていませんか
(山下景子著「美人の日本語」より)