その日その時 写真で見る歳時記

気ままに写した写真に気ままな言葉たちの集まり

薄氷(うすらい)

2008年02月23日 | Weblog

 

薄氷(うすらい)

 

***

 

薄氷の解けて緋鯉の輪も広し

 

***

薄氷を踏んでははしゃぐ

 

いたずら盛りの顔が

 

大きな顔と小さな顔が

 

見る見るうちに

 

昂揚してゆく

 

小さなきみは

 

大人になったら

 

タップダンスの貴公子に

 

陽が次第に高くなる

 

春はすぐそこ

 

小鳥も賑やかに歌う

 

・・・

***

 

一歩一歩春に近づいている証

次第に春めいて

吹く風もやわらかくなり

もう氷も張ることがないだろうと

思っているころ また寒さがぶり返し

水溜りや池

田んぼの隅っこなどに

薄い氷が張ることがあります

ちょっと触ると

パリパリ割れてしまいそうな薄さで

池などの岸辺近くでは

萌え始めた草の緑が

氷の中に透けて見えたりします

 

薄氷の草を離るる汀(みぎわ)かな 高浜虚子

やがて日が高くなると

あっけなく解けてしまうのも

はかなくて「薄氷」は

春がすぐそこまで来ていることを

予感させる言葉です

(道行めぐ著「美しい日本語帳」より)