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認知工学とは

2008-07-31 | 認知心理学
朝倉心理学講座「認知心理学」より

第1  認知工学とは

●人間工学から認知工学へ  
道具や機械など人工物の設計をおこなうときに、ユーザや消費者の認知や行動の特性への配慮は不可欠である。こうした問題意識は、すでに第一次世界大戦(1914ー18)の頃からアメリカで、使いやすい兵器の開発を契機に工学関係者に共有され、それが、第二次世界大戦を経て「人間工学(human engineering)」という新たな研究領域を生み出した。現在、日本では、もっぱら大学の工学部において、学科や専攻として制度化されている。  「認知工学(cognitive engineering)」のねらいも、人間工学のそれと基本的には同じである。  

両者の違いは、図1に示すように、一つには、対象とする道具や機械にある。もう一つの違いは、人間工学では、「使いやすい」道具/機械の設計のために、人の物理的、生理的特性のほうに主たる関心を向けるのに対して、認知工学では、「わかりやすい」情報環境の設計のために、人の認知特性のほうにより関心を向けるところにある。  

こうした違いは、道具や機械の時代変化を反映している。とりわけ、20世紀後半、コンピュータのパワーアップと普及に伴い、社会の至るところで「もの(物)」から「こと(情報)」への劇的なパラダイムシフトが起こった。社会が情報の生産、流通、消費を中軸とする情報化社会になってきた。  心理学も、1章でみてきたように、「情報を処理する機械としての人間(情報処理のアナロジー)」の認知特性に目を向けるようになった。ここに、人間工学に加えて新たに、認知工学を必要とする時代の流れが出てきた。  

図 人と道具/機械と仕事の進化 ppt

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