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意味ネットワーク 用語解説

2007-03-25 | 認知心理学
  

受講学生による解説です


意味ネットワーク(semantic network)

「カラス」―「鳥」―「飛ぶ」など、複数の概念をネットワーク形式で表現し、意味関係を表したものを「意味ネットワーク」といいます。例えば、「鳥」と「カラス」の間は「カラスは鳥の一種である」という関係、「鳥」と「飛ぶ」の間は「鳥は飛ぶという性質がある」という関係で結ぶことができます。人間が長い間覚えていられる量には限りがありますが、このようにいくつかの概念を結び付けて考えることで長期記憶が可能になります。

上の例でいえば、「カラスは鳥である」「カラスは飛ぶ」「鳥は飛ぶ」などと一つ一つを覚えていくと数が多すぎて大変ですが、ネットワークでつなげてひとつのまとまりにすると、少ない知識で色々なことを覚えることができます。「カラスは鳥の一種であり、鳥は飛ぶ」という関係から、「カラスは飛ぶ」ということを導き出すことができるのです。(OM)

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意味ネットワークとは、言語の意味、あるいは一般的な知識を人間の直感によって効率よく表現しようとする試みのことである。意味ネットワークは、それぞれの概念を「リンク」と呼ばれる線で結ぶことにより、様々な意味や知識を表したり、概念と概念の関係を明示できる。これを平面上に表そうとすると、フレーム風に記述することができる。またこのネットワークによって膨大な量の知識を効率よく収めたり、引き出したりすることができる。

しかしこの便利なシステムも、様々な問題を含んでいる。意味ネットワークは概念の「内包」と「外延」を区別して扱えなければならないなど、より複雑システムを必要としてしまうため、効率が下がってしまうことなどがあげられる。意味ネットワークは一見簡単そうで、人間の直感にマッチしているように見えるが、だからこそ混乱が起きやすく論理的に整ったネットワーク構造を提案するのは大変難しい仕事である。外部表現をネットワークに組み込む方法、ネットワークの手続き的な操作方法および形式的な表現形式、そしてその上で推論を行うエンジンの動作定義なども含めて議論されなければならない。(YJ)

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ものが持つ概念やその関係をネットワーク構造によって表現し、知識として記憶しておくネットワークのことを、意味ネットワークといいます。人間の記憶は、コンピュータ記憶とは異なる構造であるため、ビットやバイトといった情報量で表すことができません。そこで、意味を理解し、記憶するためにはこの意味ネットワークが必要になってくるのです。意味ネットワークを考え出したコリンズとキリアンによれば、概念は『ノード』と呼ばれる点で示され、概念間の関係は、『リンク』と呼ばれる線で結ばれ、ネットワークはピラミッド式に、上位概念から下位概念へと成り立っています。例えば、『ゴールデンレトリバー』という概念(ノード)は、その上位概念である「イヌ」と、その上位概念である「動物」と、リンクで結ばれています。このとき、もっとも一般的な特性が一番上の上位概念に位置するようになっています。このようにして、私たちは意味ネットワークの概念(ノード)を増やし、何かを理解するときや、記憶するときに役立てているのです。(HM)

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