心の風景 認知的体験

癌闘病記
認知的体験
わかりやすい表現
ヒューマンエラー、安全
ポジティブマインド
大学教育
老人心理

メタ認知研究を支えるドグマ

2006-11-06 | 認知心理学
06/11/6 海保メモ

メタ認知が科学方法論的には、こうした危うさかかえながら、これほど長く生きながらえて、今や流行語の如くなりえていられるのには、次のような3つの理由が指摘できる。
 一つは、認知科学には、表象主義や計算主義ほどの強いドグマではないが、研究テーマの選択に当たって実感主義と呼ぶにふさわしいドグマがある。心について人々が実感していることは研究テーマとして積極的に取り上げていくべし、というドグマである。意識にしても誰しもがその存在を実感している。メタ認知もそうである。もう一人の自分が頭の中にいる実感は誰にもそれなりにある。科学的な扱いの難しさゆえにそれを無視してしまわずに、ともかく、研究してもみようというドグマが研究者の間で共有されるようになったのである。
 2つ目の理由は、アナロジー的な制約である。認知科学はコンピュータ・アナロジーの科学である。心をコンピュータになぞらえて理解していこうとするのであるが、その時、メタ認知の役割が想定できたのである。これによって、メタ認知が概念としての明確な制約が与えられ、安心して使えるようになったのである。
 最後に、実証性である。ブラウンの著書にも多彩な心理実験の知見が紹介されているのをみてもわかるとおり、メタ認知という概念を導入することによって、新たな心の領域が発見され、多彩な実験研究が蓄積されるようになった。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿