ひとみの目!

元神戸市会議員・社会保険労務士・行政書士
人見誠のブログです。

企業年金

2012-03-30 21:12:57 | 日記
3月24日、社労士会北区会に参加してきました。

企業年金がテーマでしたが、AIJの問題があっただけに、関心はそちらに移っていました。

厚生年金基金は、厚生年金保険料の一部を基金の掛金とし、基金独自の給付に充てる掛金と合わせて運用し、支給する「代行部分」が設けられています。

しかし、企業年金を取り巻く環境は変化してきました。

主には、景気の低迷・悪化と退職給付会計(国際会計基準)導入です。

景気の低迷・悪化により、株式市場など市況が悪化し、運用成績が悪くなりました。

例えば、経済成長率は、1956年~1973年度平均9.1%、1974年~1990年度平均4.2%、1991年~2010年度平均0.9%とだんだんと下がってきており、それに合わせて10年国債の金利や普通預金・定期預金の金利も下がってきていますし、日経平均株価も1989年をピークに下がり続けています。

それでも運用利回りを昔の5.5%に設定したままの基金も多く、また独自給付の財源だけでなく代行部分の財源まで割り込んでいる基金も多く生じているようです。

そのような状況の中、平成12年開始事業年度から国際会計基準の導入により、退職金を債務認識しなければならなくなりました。

つまり、将来支払うべき退職金を現在価値に割り引いた金額を貸借対照表にのせなければいけなくなりました。

それにより貸借対照表の中身が悪くなるため、それを嫌がる企業は厚生年金基金をやめて、代行部分を国に返上し、独自給付部分は確定給付企業年金などに移行するところが多くありました。

しかし、代行部分を国に返上する際には通常負担金が生じるため、負担金を払える基金は代行返上し、払えない基金はさらに財源に困窮する・・・

そこに、高利回りの運用を続ける(実際は虚偽でしたが)AIJが登場し、お金に困っている基金が資金を預けた、というような背景があるのではないでしょうか。

中には3割もの資金をAIJに預けた基金もあるようです。

この問題は、単にAIJや金融庁の問題だけでなく、年金制度そのもの問題といえるのではないでしょうか。

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