3月14日『毎日新聞』経済欄コラム「経済観測」
【 最近、一流といわれるある大学で教鞭をとっている人から聞いた話であるが、今年の新入生の質は、早くからゆとり教育で育った世代のせいか一段とひどい。学力が劣るだけはでなく、学ぶ意欲にも欠けるものが少なくないとのことである。
その人によれば、企業としても4年後にはそうした人材を受け入れることになることを覚悟すべしということであった。
その話を聞いてふと思ったのは、昨年末問題になったいわゆる未履修の根はかなり深いところにあるのではないかということであ。大学受験に必要のない科目を外した方が受験に有利と考えた高校側の問題というのが一般的な見方のようであるが、それだけでなく生徒の側に学ぶだけの力も、学びたいという意欲もなかったという面がなかったかどうか。高校に責任があるとすれば、そうした生徒におもねって、未履修を引き起こしたことにあるのではないか。
私たちの時代、文化系に進むものが歴史を学ばないですむなどといったことは考えもしなかった。しかもグローバル化が叫ばれる時代に世界の歴史を知らないで何がわかるというのであろうか。そんなことも考えずに必要最低限のことだけやればすむなどと考える人間に大学に入る資格があるのであろうか。こんな若者が就職してくる時代になるとすれば、これまでのように、平均的な力はあることを前提に、どこの大学を出たかは問わない、大学に成績も見ない、人物本位で採用するなっどといっていたらとんでもないことになりかねない。大学で何を学んだかを確認するとか、採用の時期を4年生の秋以降に遅らせることなども考えておいたほうがよくはないか。
( 童 ) 】
大学で何を学んだか、何を身につけたかといわれると、冷や汗が出、忸怩たる思いにかられる。
それでも(童)子の心配はわかる。が、その原因が直ちに、ゆとり教育で育ったからといわれると異論はあるが。